記念金貨の価値が額面を大幅に超える理由を解説

2024年3月29日に「天皇陛下御在位60年記念10万円金貨」を買取させていただきました。買取価格はなんと221,200円です。

天皇御在位60年記念10万円金貨

10万円金貨なのに…20万円以上なんて!およそ倍ですね!

では今回は、“なぜ記念金貨にこれほどの価値が付けられるのか”を解説していきます!

[監修/執筆:渡邉 博(代表/鑑定士)]

そもそも日本の記念金貨ってなに?

記念金貨とは、国家的な行事や、皇室の慶事の際に発行される、金を素材とした貨幣のことです。
様々な種類の記念金貨が発行されておりお金としての価値があります。

普通に”お金”ってことですよね?あんまりピンと来ないです…。

近年だと、お金としての通貨の目的よりも、純金の資産としての面が強くなっていますね。投資先としても近年注目を上げています。

記念金貨3種の本日の価値

まずは代表的な記念金貨3種の本日の価値を見てみましょう。額面の金額(10万円)よりも価値が高いことが分かります。

天皇陛下御即位記念10万円金貨

直径: 3.3cm 重さ: 30g
品位: 金1000

本日の買取価格

平成2年(1990年・御即位2年目)に平成天皇のご即位を記念して、造幣局より発行された額面10万円の記念金貨です。
表には鳳凰と瑞雲、裏には菊花紋章と桐と唐草が描かれています。

天皇陛下御即位記念10万円金貨 買取価格の記事もあわせてご確認ください。

天皇陛下御在位60年記念10万円金貨

直径: 3.0cm 重さ: 20g
品位: 金1000

本日の買取価格

昭和天皇の在位60年を記念して、1986年(昭和61年)に発行されました。
日本で初めて発行された記念金貨でもあります。
表には鳩と水、裏には菊花紋章が描かれています。

天皇陛下御在位60年10万円金貨の価値や偽物の見分け方の記事もあわせてご確認ください。

皇太子殿下御成婚記念5万円金貨

直径: 2.7cm 重さ: 18g
品位: 金1000

本日の買取価格

1993年(平成5年) 9月9日に皇太子殿下御成婚記念として日本造幣局より発行された5万円金貨です。
皇太子の婚約を詠う和歌にちなんで表面に瑞鳥の鶴2羽と波、裏面には皇室の御紋章である菊花紋章と皇太子殿下のお印である梓が描かれています。

皇太子殿下御成婚記念5万円金貨の今の価値と買取価格の記事もあわせてご確認ください。

「ご即位10万円金貨」と「ご在位10万円金貨」、どちらも同じ”10万円金貨”なのに、どうしてこれほど価値に差があるんですか?

10万円金貨の価値に差が出る理由は、ずばり”金の量“です。詳しく解説していきます。

なぜ記念金貨には額面以上の価値があるの?

記念金貨の価値を上昇させる要因は3つあります。

価値を上昇させる要因

  • ①素材が純金
  • ②特別なイベント時のみに発行される
  • ③発行枚数に限りがある

特に①の「素材が純金」であることが記念金貨の価格を大幅に上昇させています。
記念金貨はその名の通り金で製造されています。そして、その素材であるは、製造された当時よりも価格が上がっているのです。
たとえば、「ご即位10万円金貨」は30gの金で作られているので、1gあたりの金価格が10000円の場合、30万円の価値があるということになります。

「ご在位10万円金貨」は20gの金で作られているので、1gあたりの金価格が10000円の場合、20万円の価値があるということになります。

同じ10万円金貨でも、価値に差があるのは”含まれる金の量が違うから”なのです。

上昇し続ける金の価値

金は、元々資産として所有することが主な目的でしたが、昭和から平成、令和とスマートフォン・パソコン・精密機械などの素材としての需要が高まり記念金貨の価値が上昇し続けています。
需要が高まったことによりそれに比例し、投資商品としての取引が活発になったため、金の価格は年々右肩上がりになっているのです。
また、金は世界中の市場で取り扱われており、安全・安心・安定した資産になります。

2024年3月29日には、金の国内公表価格が【11,893/1g】を記録し、歴代最高値を更新しました。

金価格の年次推移(昭和、平成、令和)

上記の、金価格推移グラフを見てわかる通り、ぐんぐんと金の価値は上昇してきました。

その金で作られている”金貨”も当然、価値が上昇することになります。

今後も金の価値は上がり続ける?

そもそも金はどのような状況で価値が高まるのでしょうか。直近での主な要因としては、以下のようなものが挙げられます。

・ロシアによるウクライナ侵攻やアメリカでの銀行破綻など、経済に不安が立ち込めると、投資先としての金の需要が高まり、金の価値が上昇します。

・また、日本含めて世界中で低金利政策が続いているため、お金を銀行に預けるのではなく、別の投資先のほうがメリットが増えることになります。金は昔から安全な投資先と見られているため、金への需要が増え、金の価値上昇につながります。

・そして、新型コロナウイルスの影響もあるでしょう。新型コロナウイルス蔓延の影響で、金の採掘、供給が不足し、金の価値が上昇することにもなりました。

上記のような要因が今後も継続されるならば、今後も金の価値が上がり続けることになりますが、今後も中東や東ヨーロッパなどの中央銀行による”金”の購入は今後も続きそうであること、パレスチナ・イスラエル紛争などの激化、ブラジルやロシア、インド、中国などの金需要の増加などを背景に、2024年中には金価格は12,321円(1gあたりの円換算)を超える、そして5年以内に18,433円を超えるのではないかという説があるようです。

仮に金価格18,433円になったら、ご即位10万円金貨は50万円以上、ご在位10万円金貨は30万以上の価値ということになりますね。

コレクター品としての価値は?

記念金貨は、特別なイベント時のみに発行されます。発行枚数が多いため、コレクター品としての希少性よりは金資産としての価値が高くなります。

記念金貨は換金しないほうがいい理由

例えば10万円金貨を銀行に持っていけば、10万円に換金してもらえるんですよね?

もちろん換金してもらえますよ。ただ、前述のとおり、記念金貨には金としての価値があるので換金するのはお勧めしません。

「換金できるならしようかな」と思っている方……

ちょっと待ってください!

記念金貨には額面以上の価値があるため、額面通りに換金してしまうのはもったいないことなのです!

もちろん記念金貨は、今でも額面通りのお金として使用できることが財務省から認められています。
ただ、記念金貨に対応している自動販売機や自動レジは存在しないため、実際に使用したい場合は銀行などで現行貨幣に換金していただくことになります。

参考(※別サイトに飛びます。):財務省質問ページ「過去に発行された記念貨幣は、現在でもお金として使えますか」

つまり換金してしまえば、額面での価値(10万円金貨の場合、ただの10万円)になってしまいます。

もう皆様お分かりかと思いますが、記念金貨は、お金としてではなく金資産として持っておくほうが良いのです!

【昔と今】金相場を比較してみよう

ここからは、御在位10万円金貨が発行された1986年と、現在(※2024年3月29日時点)の1gあたりの金相場を比較してみましょう。
なお、その他の金貨も数字が違うだけで同じ内容となります。

1986年 2,044円/1g
現在 11,893円/1g (※2024年3月29日時点)

発行された当時と比べて、金の価格が上がっているのが一目瞭然ですね。

金相場で考えると、あきらかに価値が上がっていますよね。

御在位10万円金貨

直径: 3.0cm 重さ: 20g
品位: 金1000

重さに注目してください。

御在位10万円金貨は、1枚あたり20gです。
上記の通り、発行年の1986年には1gあたり約2,000円でした。
そのため当時は、

1986年
【 20g × 2,000円 = 約40,000円 】

という計算になります。当時の金には4万円の価値しかありませんでした。
ところが、2022年において金相場は1gあたり約11,000円前後です。

2024年
【 20g × 11,000円 = 約220,000円 】

単純に計算しただけでも、現在で10万円金貨には約22万円の価値があることになります。

その他の記念金貨の各種類がどれだけ価値が上がったのか一覧表で確認しましょう。

【種類別】記念金貨の価値推移
1986年 2024年
天皇即位記念 10万円金貨(30g)

約60,000円

約330,000円

天皇在位60年記念 10万円金貨(20g)

約40,000円

約220,000円

天皇ご成婚記念 5万円金貨(18g)

約36,000円

約198,000円

天皇在位10年記念 1万円金貨(20g)

約40,000円

約220,000円

天皇在位20年記念 1万円金貨(20g)

約40,000円

約220,000円

天皇在位30年記念 1万円金貨(20g)

約40,000円

約220,000円

<令和>天皇即位記念 1万円金貨(20g)

約40,000円

約220,000円

長野オリンピック記念 1万円金貨(15.6g)

約31,200円

約171,600円

日韓ワールドカップ記念 1万円金貨(15.6g)

約31,200円

約171,600円

2005年 日本国際博覧会1万円金貨(15.6g)

約31,200円

約171,600円

東日本大震災復興事業記念 1万円金貨(15.6g)

約31,200円

約171,600円

東京2020オリンピック記念 1万円金貨(15.6g)

約31,200円

約171,600円

郵便制度150周年記念 1万円金貨(15.6g)

約31,200円

約171,600円

近代通貨制度150周年記念 1万円金貨(15.6g)

約31,200円

約171,600円

沖縄復帰50周年記念 1万円金貨(15.6g)

約31,200円

約171,600円

記念金貨の買取実績

記念金貨の買取実績を紹介していきます。

【買取実績】2023年6月2日(岡山県)

2020年東京オリンピック1万円金貨。138,100円で買取させていただきました。

【買取実績】2023年6月4日(徳島県)

御即位10万円金貨です。275,100円で買取させていただきました。

【買取実績】2024年3月26日(神奈川県)

御即位10万円金貨です。330,000円で買取させていただきました。

(株)アンティーリンクでは、同じ御即位10万円金貨でも、金の価値と連動して買取価格を設定しているので、時期によって大幅な価格差が生まれています。

まとめ

それでは簡潔にまとめましょう。

記念金貨をお金として使用する場合は、銀行で換金することもできるけど、業者に買い取ってもらったほうがいいということですね。

ただ、記念金貨の素材である金の相場は年々上がり続けているため、金資産として所持するか、売却するのかは難しい判断となるでしょう。

注意:記念金貨は貨幣として認められているため、溶かしてインゴットにしたり潰したりすると貨幣損傷等取締法が適用されます。

溶かすことはダメですが、記念金貨として金資産を所有するコレクターの方々からすると希少価値の高いものになります。

  • 金としての価値

この要素によって市場価値が高くなるのです。

発行年と金相場の比較

それぞれの記念金貨が発行された時点での金価格を以下にまとめました。

1986年 2,044円/1g (御在位60年記念 10万円金貨)
1991年 1,609円/1g (御即位記念 10万円金貨)
1993年 1,328円/1g (御成婚記念 5万円金貨)
1997年 1,337円/1g (長野オリンピック記念 1万円金貨)
2002年 1,385円/1g (FIFAワールドカップ 1万円金貨)
2009年 2,584円/1g (御在位20年記念 1万円金貨)
2015年 4,842円/1g (東日本大震災復興事業記念 1万円金貨)
2019年 4,845円/1g (御在位30年記念 1万円金貨)
2022年4月8日時点 8,843円/1g

以上の表をグラフにすると以下のようになります。
それぞれの記念金貨発行時点より現在の価格が大幅に上昇しています。
発行年と金相場の比較

ちょっとした余談

御在位・御即位・御成婚の3つの金貨は、全てブリスターパックというものに入れられて発行されています。(※プルーフは除く)

ブリスターパックとは

透明のプラスチックを成形し、封をしたものです。片面は少し厚みのあるプラスチックになっています。

プルーフとは

貨幣を美しく見せるため、打刻を繰り返し行い、表面を鏡のように磨き上げた観賞用の貨幣です。

金の買取は相場価格で公正に

弊社、アンティーリンクでは、日本の記念金貨各種の買取金額を日々変動する市場に合わせて設定をしております。
買い取り金額の相場に合わせ、推移も公開しております。
記念金貨以外の地金相場に基づくコインの価格推移は下記からご覧いただけます。
コインの価格推移はこちら

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