10円玉に価値のある年号はある? ギザ十は本当に価値が高い? 10円玉の「気になる」をまとめました。

10円玉に、価値のある年号はないですよね?

いいえ、実はあるんです!
特に昭和61年後期というものは価値があります。

じゃあギザ十(昭和26〜33年の10円玉)はどうですか。

昭和26〜33年の10円玉も、市場では価値があると言われています。
古銭鑑定士が、10円玉について解説します。

[監修:奥村 志門/執筆:増田 英明

10円玉の種類と価値

ここでは10円玉の価値と、価値のある年号について解説します。
小売での参考価格も載せていますので、価値が一目でわかります。

10円青銅貨
(昭和26〜現在)

10円玉表
10円玉裏

小売での参考価格
昭和26〜33年【並品】:10〜100円
昭和26〜33年【未使用】:2万円以上
昭和61年後期:1万円以上
※状態・年号で価格は異なります

・素材(品位):銅950/亜鉛40/錫10
・重さ:4.50グラム
・直径:23.5mm

昭和26年から発行され、大幅なデザイン変更がないまま現在も活躍している硬貨です。10円玉の発行枚数ですが、ほとんどの年で億単位で発行されています。昭和48〜56年にかけては、なんと毎年10億枚以上も発行されました。そのため珍しいものではなく、どの年代も額面以上の価値があるとはいえません。

とはいえ、10円玉は多くの年号で手替わり品が見られます。この中で価値が高いと知られているのが、昭和61年後期と呼ばれるものです。なお後期に該当しない場合は、価値は額面です。
ちなみに10円玉の周囲にギザギザのある、いわゆるギザ十(ギザ10)とは、昭和26〜33年に発行されたものになります。ただし昭和31年は10円玉自体が発行されなかったため、存在しません。

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▶︎10円青銅貨(ギザ十)の買取価格こちら

10円玉で価値が高いものは?

この項目では、額面以上の価値になる10円玉についてご紹介します。
まずは10円玉で最も有名であろう、ギザ十からご紹介いたします。

価値のある10円玉:昭和26〜33年(ギザ十)

側面にギザギザのある10円玉、いわゆるギザ十です。
ギザ十は、かつてレアコインの代表のように言われていました。
しかし年々、コインコレクターの数は減っています。
また摩耗によりギザが消えてしまっているものも多いです。
そのため、最近では注目されず、結果として価値がないものになってしまいました。

未使用品であれば、市場では2万〜5万円以上で取引されることもあるそうです。
しかし、ちょっとした欠点があるだけで価値は大幅に下がってしまいます。
世に出回っている10円玉は、ほとんどが人の手に触れている流通品ばかりです。
未使用品のギザ十はほとんどないと思って良いでしょう。

価値のある10円玉:昭和61年後期

10円玉の手替わりで価値が高いとされるものです。

昭和61年10円玉には、前期後期が存在します。
通常のものは前期、本来のデザインと違ったものが後期と呼ばれます。

貨幣のデザインが変更になる場合、通常は年ごとに変わります。
ですので、同じ年に異なるデザインが入り込むことはありません。
しかし昭和61年には同じ年に異なるデザインが存在するのです。
そのためレアコインとしての価値があります。

では昭和61年後期は、通常のものとどこが違うんでしょうか。
文章だけでは分かりづらいので、図を用意しました。ご覧ください。

昭和61年後期の注目場所
平等院鳳凰堂の左側と中央の階段に注目してください。
それでは拡大したもので、具体的に見ていきましょう。
見るべきポイントは3箇所です。

昭和61年後期の見分けかた

①左側、上の屋根です。
前期のものは、屋根の先端がどことなく丸く鈍い感じ(鈍角)です。
後期のものは、屋根の先端が鋭くピンと尖っています(鋭角)

②左側、下の屋根です。
前期のものは、二重の屋根に切れ目が入っているのがわかります。
後期のものは、屋根に切れ目がありません。それに、先が鋭くなっています。

③中央の階段部分です。
前期のものは、階段左右の縦線が上下で切れています。
後期のものは、縦線が上部とくっついています

昭和61年後期をチェックするのに、一番分かりやすいのは階段部分です。
まずは階段部分をチェックし、該当したら屋根を確認してみましょう。

ちなみにこのデザインは本来、昭和62年プルーフ貨幣セット用のものでした。
それが何らかのトラブルで、昭和61年発行のものに刻印されてしまったのです。
エラーコインの一種、とも呼べるかもしれませんね。

価値のある10円玉:エラーコイン

最後は、10円玉のエラーコインを見ていきます。
エラーコインは1点ものなので、オークションなどでは高値で取引されることもあります。
もちろん価値ある年号のエラーであれば、その価値は上がります。
ただ硬貨製造や検品の技術は時代が下るにつれて上がっています。
そのため市場で見かけるエラーコインは、昭和〜平成初期のものに多いです。

陰打ちエラー

両面が同じ刻印になっているものです。しかもよく見ると、凹凸が逆になっています。日常で表裏を見ることはないので、以外と見落としがちなエラーコインです。

傾打ちエラー

10円玉傾打エラー
表裏の位置がズレてしまったエラーです。角度ズレとも呼ばれます。ズレが大きいほど価値が出ます。ズレの小さいものは比較的多く出回っているようです。

刻印ズレエラー

本来とは異なる位置に刻印されてしまったものです。ズレ幅によって価値が変わります。過去、オークションで何百万円以上になったものがあります。

ヘゲエラー

10円玉ヘゲエラー
打刻時の衝撃によって、表面にシワがよったり、剥けてささくれのようになったエラーです。見た目は悪いですが、10円玉のエラーコインとしてよく見かけるものです。価値としては1万円前後のものが多いです。

メクレエラー

10円玉メクレエラー
表面が剥離してしまったものです。めくれ具合によって価値は変わってきます。剥がれた部分をはがしてしまうと、価値は下がってしまいます。ちなみにメクレエラーは、ヘゲエラーに分類されることもあります。

その他のエラー

以上のエラーコインのほか、刻印が浅いものや消えているものなど、様々な種類があります。
また、エラーコインでは50円玉や5円の穴ズレエラーが有名ですね。
ですが穴ズレエラーは10円玉にはありません。
もし穴のある10円玉があれば、それはエラーではなく加工品です。

価値のある10円玉は本当にレアなのか

価値がある10円玉がいくつかあるのはわかりました。
ではこれらの品物って、本当にレアなんでしょうか?

価値のある年号の10円玉を探してみた!

検証のため、貯めていた300枚ほどの10円玉を選別してみました。
探す対象は昭和61年後期、未使用のギザ十、エラーコインです。

10円玉選別

昭和61年は4枚、すべて前期でした。
ギザ十も10枚ありましたが、未使用には程遠ものばかり。
もちろん、エラーコインは一つもありません。

価値のある年号の10円玉は本当にレアだった

これだけの10円玉を探しても、価値のある10円玉は見つかりませんでした。
簡単に見つからないものだからこそ、価値があるんですね。
未使用のギザ十、昭和61年後期、エラーコイン、すべてレアコインなのが分かりました。

価値のある10円玉は専門家に見てもらおう

以上、価値のある年号の10円玉、エラーコインを紹介しました。
普通のギザ十に価値がないのは、驚かれたかもしれません。
また昭和61年の後期というものは、初めて聞いたかもしれません。
そして未知のエラーコインが、どこかに存在するかもしれません。

ですが、エラーコインは価値が高いためか、加工品が多く出回っています。
加工なのかエラーなのか、専門家でないと判別できないこともあります。
また昭和61年後期、摩耗が激しいものは見分けが難しいです。
ですので価値の高い10円玉は、コイン専門の鑑定士に査定をしてもらうのがオススメです。
(※加工品については500円玉の記事で詳しく紹介しています)

10円玉どうするのがいい?

10円玉の価値のある年号は、ごく一部に限られることがわかりました。
では価値のない10円玉、どう処分すればよいのでしょうか。
また10円玉の価値を高める方法とか、無いんでしょうか。
ピカピカにしたら、価値が高くなるような気がしませんか。
まずは10円玉をきれいにする方法から見ていきましょう。

10円玉をきれいにする

10円玉をきれいにする方法は、巷にいっぱい溢れています。
もしかしたらご自身で試されたことがあるかもしれません。
有名なものはソースレモン汁です。
酸性のものを使うと、ピカピカなります。

本当かどうか、早速、10円玉をきれいにする実験をしてみました!

10円玉きれいにする実験

実験ではお弁当についてきたソースの残りを使いました。
ソースにひたしてしばらく放置すると、なんだか色が変わってきます。
そしてソースをふきとると、こんな感じになりました!

10円玉きれいにした後

表面は茶色い汚れがとれて、全面ピカピカになりました。
裏面はソースが付着した部分、そうでない部分にかなり色の差が出ています。
きれいになった部分、汚れたままの部分がとても分かりやすくなっていますね。
なるほど、ソースを使えば10円玉はきれいになることが証明されました。

この他にも重曹クエン酸も有効です。
10円玉は、身近な材料でピカピカにできるんですね。
お手軽に試せるので、お子さんの自由研究にぴったりですね。
ぜひ一度、お手持ちの10円玉で試してみてはいかがでしょうか。

きれいにしてはダメな10円玉もある

ここで注意です。
きれいにしてはダメな10円玉があります。
それは、価値ある年号やエラーコインなどの10円玉です。

実は10円玉を人工的にきれいにすると、市場での価値はぐんと下がってしまうのです。
価値ある年号の10円玉は、きれいにせず保管にしましょう。

詳しくは、こちらの記事で紹介しています。ぜひご覧ください。

普通の10円玉はお店で使うのが一番

10円玉貯金をしても、たいした金額にななりません。
溜めずにこまめに使うのが第一の選択肢です。

ですが、ギザ十を自販機で使う場合は注意が必要です。
ギザ十は自販機ですと返却されてしまいます。
自販機の性能は昔と比べものにならないほど上がっています。
それに長年使われていると、摩耗によって重さも変化します。
そんな理由から、ギザ十は自販機で認識されないんですね。
ギザ十を使うならお店で直接が良いです。

価値のある年号の10円玉は換金がオススメ

では、これまでの内容をおさらいしてみましょう。

  • 10円玉はソースなど身近なものできれいにできる
  • 価値ある年号の10円玉は、きれいにしない方がいい
  • 10円玉は、お店でこまめに使うのがいい

ですがギザ十も大量にあれば、額面以上での換金が可能です。
もちろん昭和61年後期やエラーコインであれば、高価換金の可能性があります。
次の項目では、10円玉を高値で換金する方法をご紹介します。

価値のある年号の10円玉の換金方法

価値のある年号の10円玉、どうすればお手軽に高価換金できるんでしょうか。
ここでは3つの方法で、疑問にお答えします。

オークションやフリマサイトに出品する

自分でオークション等に出品する、という方法があります。
この方法では、値段を自分で決められるメリットがあります。
しかし売れた後のやりとりは、すべて自分でやらなければなりません。
例えば昭和61年後期だと思っていたら実は前期だった、なんて場合はどうでしょう。
クレーム対応、返品も自分でやらなければなりません。

難しい判断が不要な普通のギザ十であれば、この方法が一番良さそうです。
ただ数枚程度ですと、手数料などを引くと額面程度になってしまう可能性もあります。

買取専門店に直接持ち込む

近くに買取店があれば、直接持ち込むという方法があります。
その場で売却、換金が可能ですので、お手軽と言えます。
対面取引ですので、安心感があるのも強みです。
ですが、10円玉は買取不可、あるいは額面以下の可能性があります。
手軽な反面、無駄足になってしまう…なんてことも。

郵送買取専門店に依頼する

郵送買取の専門店に依頼をするのはどうでしょうか。
郵送なら自分の都合に合わせて査定依頼が可能です。
査定結果が出るまで、その場で待たされるといったこともありません。
そして店舗型に比べ運営コストがかからないため、その分、高価買取も期待できます。
とはいえ、買取店と同じく10円玉が買取不可の場合もあります。
また今では珍しくなりましたが、配送中のトラブルも起こりえます。

価値ある10円玉の換金は、自分にあった方法で

以上、10円玉の換金方法を見てきました。いかがでしたか。
この項目での要点を、ざっとまとめてみました。

  • 普通のギザ十はオークションやフリマサイトを使う
  • 対面での安心感を求めるなら、店舗型買取店を使う
  • 急がないなら、高価買取が期待できる郵送専門買取店を使う

価値ある年号の10円玉やエラーコインは、自分での判断が難しい場合があります。
直接あるいは郵送で、プロに査定してもらうのが確実です。
最近ではLINEを使った事前査定を行なっているお店も増えてきました。
買取店を利用する場合は、事前査定を利用するのも手ですね。

この記事を参考に、ご自分にあった換金方法を選んでください。