5銭銀貨の価値はどれくらい? 5銭銀貨、全3種の価値をお伝えします!

5銭と書かれた銀色のお金が出てきました。これは価値があるものでしょうか?

これは5銭銀貨というものですね!
5銭の銀貨は、明治3〜13年まで発行されていたものです。

本物の銀貨なんですね。小さいですが、もしかしてプレミアとかついたりしますか?

はい。5銭銀貨には、銀の価値以上のプレミアがつくんです!
古銭鑑定士が、5銭銀貨について解説いたします。

[監修:渡邉 博/執筆:増田 英明

5銭銀貨の全種類と価値

この記事では、明治時代に発行された5銭の額面を持つ銀貨をご紹介します。
5銭銀貨は明治3〜13年にかけて発行され、全部で3種類あります。
参考となる買取価格も一緒に掲載しました。
もしお手元に5銭銀貨があれば、見比べながらご覧ください。

旭日竜5銭銀貨(明治3〜4年)

旭日竜5銭銀貨表
旭日竜5銭銀貨裏

本日の買取価格

  • 明治3年【美品】:6,000円
  • 明治4年【美品】:15,000円

・素材(品位):銀800/銅200
・重さ:1.25グラム
・直径:16.15mm

旭日竜5銭銀貨は、明治3年から発行された5銭銀貨です。
わずか1年でデザイン変更となったため、総発行枚数は150万枚ほどしかありません。

この旭日竜5銭銀貨には、デザインの一部が通常品と異なる手替わりが存在します。
手替わりは明瞭ウロコと呼ばれて、明治3年発行のものに見られます。
普通品のものに比べると、竜のウロコが遠目にもくっきりと見えるのが特徴です。
手替わり品は普通のものに比べ希少性があるため、価値が高いです。
買取価格は普通品ですと美品のもので6,000円ですが、明瞭ウロコになると、なんと30,000円になります。

また明治3年のものは、製造上の理由により側面にギザギザがないものが存在します。
どの程度現存するかは分かりませんが、市場では多少プレミアが付くそうです。
ですので、側面にギザギザがないものでも本物の可能性があります。

旭日竜5銭銀貨の買取金額と詳細はこちらをご覧ください。

旭日大字5銭銀貨(明治4年)

旭日大字5銭銀貨表
旭日大字5銭銀貨裏

本日の買取価格

  • 明治4年 前期【美品】:3,000円
  • 明治4年 後期【美品】:2,000円

・素材(品位):銀800/銅200
・重さ:1.25グラム
・直径:16.15mm

旭日竜5銭銀貨にかわって、明治4年に発行されたのが旭日大字5銭銀貨です。
明治4年のみの発行で、その発行枚数は約160万枚です。
また前期と後期の2種類に分けられ、どちらも価値のある銀貨として知られています。
最も価値があるのは前期に発行されたもので、美品ですと3,000円でお買取いたします。

この前期と後期については、旭日章の光線、竜の周囲を囲む玉の数によって判断できます。

  • 前期:旭光線 66本/玉の数 79個/玉の状態 密着
  • 後期:旭光線 53本/玉の数 65個/玉の状態 等間隔

しかし、旭日大字5銭銀貨は非常に小さい銀貨です。
この大きさのもので、玉の数や旭日章の線数を見るのは至難の技です。
そこで、もっと簡単に判別できるの方法をお伝えします。

それは「五銭」面の左側、桐の花の部分になります。
ツボミと開花した花びらの位置関係で判別します。
花とツボミの位置が離れているものが前期、接触しているものが後期になります。
ちなみに前期のものですと、花のデザインが旭日竜5銭銀貨と同じになっています。

竜5銭銀貨の買取金額と詳細はこちらをご覧ください。

竜5銭銀貨(明治6〜13年)

竜5銭銀貨表
竜5銭銀貨裏

本日の買取価格

  • 明治7年【美品】:7,000円
  • 明治10年 ハネ明【美品】:3,000円
  • 並年【美品】:500円

・素材(品位):銀800/銅200
・重さ:1.35グラム
・直径:15.15mm

明治6年からは、竜にデザインが変更された竜5銭銀貨が発行されました。
初年の明治6年の発行枚数は500万枚、翌年の明治7年には700万枚と、増えています。
ですが明治8年になると600万枚前後となり、それ以降は発行年によってばらつきがあります。
また一番多く発行されたのは明治10年は発行枚数も約2,000万枚と非常に多く発行されています。
竜5銭は全体として発行枚数が多いため、他の5銭銀貨に比べて市場での価値は高くない年号が多いです。

ですが、竜5銭銀貨には手替わりが2つ存在します。
有名なものは、明治6、明治9〜10年にみられる「ハネ明」が存在します。
ところでハネ明とは、普通のものとどこが違うんでしょうか。
答えは竜の描かれた面、元号である明治の「明」の字になります。

「明」の字のうち「日」にハネがあり「月」とくっついてるように見えます。
この手替わりがハネ明と呼ばれるものです。
ちなみに「明」が普通の字体(「日」と「月」で離れているもの)はトメ明と呼ばれ、普通品になります。

ちなみにデザインが同じ竜20銭銀貨竜10銭銀貨にもハネ明の手替わりが存在し、価値は高いです。

ハネ明の他に手替わりとして、明治8年と9年に見られる「トメ銭」があります。
これは銭のつくり側、「戔」の一部がハネではなくトメになっているものです。

竜5銭銀貨で最も価値が高いのは、明治7年のものです。
普通品の竜5銭銀貨ですと買取金額は美品で500円ほどですが、明治7年では7,000円と10倍以上になります。
ちなみに価値の高い明治7年ですが、手替わりは存在しないようです。

▶︎竜5銭銀貨の詳細についてはこちらで詳しくご紹介しています。

5銭銀貨を比較してみました!

以上3種類、5銭の額面を持つ銀貨についてお伝えしました。
次に5銭銀貨にはどのような違いがあるんでしょうか。
3種類の銀貨、それぞれ並べてみました。
実物を比較しながら確認していきましょう。

写真左から、旭日竜5銭銀貨、竜5銭銀貨、旭日大字5銭銀貨の順で並べています。
5銭銀貨表
ぱっと見た感じでは、真ん中の竜5銭銀貨が小さいいですね。
公称値は15.15mmと、他2枚の16.15mmより1mm小さくなっています。
実際に銀貨を重ねてみると、より分かりやすいです。

デザインは、旭日竜5銭銀貨と旭日大字5銭銀貨が同じになっています。
例えば20銭銀貨なども、表面に同種のデザインのものがあります。
ちなみに旭日大字5銭銀貨の手替わりで「前期」のものは、旭日竜5銭銀貨と同じ、とお伝えしましたね。
写真のものだと、ツボミと花の位置がとても近く、旭日竜5銭銀貨とは異なっています。
ですので、後期のものだということがわかりますね。

では次に、反対面、年号のある面を見ていきましょう。
5銭銀貨裏
こちらは旭日竜5銭銀貨と竜5銭銀貨が同じようなデザインになっています。
旭日大字5銭銀貨は額面が堂々と書いてあるので、ぱっとみただけでいくらかわかりますね。
また額面と発行年が円周に沿って記されているのは、3種類に共通です。

では現在使っている硬貨と比べてみると、どんな感じでしょうか。
現役の硬貨で一番小さい、アルミの1円玉と比べてみました!
1円玉と比較
ぱっと見ただけでも現在使っている1円玉の方が大きいですよね。

1円玉の直径は20mmですので、5銭銀貨とは約4〜5mmほどの差があります。
そのため、1円玉の方が二回りほど大きいく見えます。
これほど小さい銀貨ですから、落とした時に探すのが大変だったかもしれませんね。

以上、5銭銀貨を実際に比較してみました。
いかがでしたか。
実際に比較してみることで、それぞれの特徴や共通点がわかりました。
次に、5銭の額面を持つ銀貨は他にあるのかどうか、見ていきましょう。

5銭の額面を持つ銀貨は他にある?

結論から言いますと、5銭の額面を持つ銀貨は先の3種類以外に存在はしません。

5銭の額面を持つ貨幣は、竜5銭銀貨が明治13年に発行を終了してから、白銅など他の素材に置き換えられました。
どの5銭硬貨も発行枚数が多く、そのほとんどが価値のないものになります。
特に第二次大戦中に製造されていたアルミ製や錫製の5銭は現存数が多く、保存状態の良いものでも価値はありません。
そして戦後になると、円単位より下の少額貨幣は役目を終え、発行されなくなりました。

そんな5銭ですが、実は価値あるものが存在するんです。
ここでは番外編として、銀貨以外の5銭で価値のあるものをご紹介します。

稲5銭白銅貨(明治30〜38年)

菊5銭白銅貨表
菊5銭白銅貨裏

本日の買取価格

  • 明治28年【美品】:6,000円
  • 明治28年以外:銅銭まとめ買取

・素材(品位):銀750/ニッケル250
・重さ:4.67グラム
・直径:20.60mm

明治22〜30年まで発行された5銭の白銅貨です。
中心に大きく「五」と書かれているのが印象的な硬貨です。
こちらのものは最も多い年で4,000万枚近く発行されており、ほとんどの年号に価値はありません。
ですが明治28年のみ、100万枚発行枚数が少なく希少性があるため価値があります。
状態の良いものであれば、市場では明治29年のものにも若干のプレミアがつくようです。

稲5銭白銅貨(明治22〜30年)

稲5銭白銅貨表
菊5銭白銅貨裏

本日の買取価格

  • 並年【美品】:100円
  • 明治36年【美品】:15,000円

・素材(品位):銀750/ニッケル250
・重さ:4.67グラム
・直径:20.60mm

明治22〜30年まで発行された稲の絵柄が特徴の5銭の白銅貨です。
菊5銭白銅貨と同じく、ほとんどの年号に価値はありません。
裏面の旭日章は、旭日20銭銀貨旭日10銭銀貨を思わせるデザインです。

発行枚数はまちまちで、発行枚数の少ない特年(価値のある年号)がいくつか存在します。
その中で37万枚程度と極端に発行数の少ない明治36年は最も価値があります。
ちなみに稲5銭白銅貨は明治38年までの発行とされていますが、明治39、42年銘のものも存在するそうです。

▶︎稲5銭白銅貨の買取価格はこちらに掲載しています。

価値のある5銭銀貨は、鑑定のプロに見てもらおう!

以上、5銭銀貨全3種類とその価値を解説しました。
5銭銀貨、特に旭日竜5銭銀貨や旭日大字5銭銀貨は銀としての価値以上にプレミアが付いています。
また、銀貨でない5銭にも、実は価値のあるものも一緒にお伝えしました。

ですが価値あるからこそ、偽物も作られるのが現実です。
5銭銀貨だけでなく、それ以外の5銭にも偽物が存在します。

本物と偽物を見分けるには、誰でもできる方法は重さを計ることです。
コインの計量には、できれば小数点まで見られるハカリを使いましょう。
それでも分からない時は古銭の専門家に鑑定してもらうのがオススメです。

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