古い1銭硬貨に価値はある? 明治・大正・昭和の1銭硬貨の価値をお教えします!

実家から1銭と書かれた古い硬貨が大量に出てきました。これは価値があるものでしょうか?

1銭硬貨は銅やアルミで作られ、発行枚数も多くありふれた古銭です。
そのため価値のあるものは限られており、分かりやすいです。

そうなんですね。価値のある1銭硬貨ってどんなものなんですか?

価値のある1銭硬貨は、発行枚数の少ない年号のものやエラーコインです。
古銭鑑定士が、昔の1銭硬貨について解説していきます。

[監修:奥村 志門/執筆:増田 英明

1銭硬貨の全種類と価値

この記事では明治・大正・昭和にかけて発行された、1銭の額面を持つ硬貨をご紹介します。
1銭硬貨は昭和28年に通用が停止されるまで、全部で7種類発行されました。

この「銭」という単位は、円よりも下の単位になります。
1銭が100枚で1円の価値があります。
つまり100銭で1円ですので、1銭は0.01円とも言えます。

現物の貨幣としては流通していませんが、銭は計算上の単位としては存在しています。
例えば株価を伝えるニュースなどで、耳にしたことがあるかもしれません。
そのほか利息や税金、お給料計算など、お仕事で銭という単位を使われる方も多いと思います。
実は数字の上では、未だ身近に存在するんですね。

それでは最初に発行された1銭硬貨から順番に見ていきましょう。
また、価値の参考となる買取価格も一緒に掲載しました。
もしお手元に1銭の硬貨をお持ちでしたら、ぜひ記事のものと見比べてみてください。

竜1銭銅貨(明治6〜21年)

竜1銭銅貨竜図
竜1銭銅貨額面

本日の買取価格

  • 銅銭まとめ買取(1円/g)

・素材(品位):銅980/錫10/亜鉛10
・重さ:7.13グラム
・直径:27.87mm

日本で最初に発行された1銭は、明治6〜21年まで発行された銅製のものです。
本来であれば明治3年から発行される予定のところ、製造工場の完成が遅れていたため、銀貨に遅れての発行となりました。
また工場の竣工が明治6年の12月だったため、実際に発行されたのは翌年、明治7年になってからです。

発行枚数は初年度の明治6年が130万枚と最も少ないですが、それ以降は毎年平均で3,000万枚の発行枚数になっています。最も多い年は明治10年で、9,800万枚となっています。明治14年は初年度に次いで発行枚数が1,612万枚と少なくなっています。

図案は先に発行されていた竜50銭銀貨と同じように、表面は竜図、裏面は額面という構図になっています。
表面の竜図ですが、竜の口が閉じた図になっています。一方、銀貨の方は口を大きくあけています。これは銀貨と銅貨で、いわゆる「阿吽」の構造になっています。さらに竜の巻き方も、銀貨の竜とは逆になっています。そのため当時はこれを雌雄の竜になぞらえ、縁起物としてお守りがわりにする人もいたとか。
また竜鱗の形状が明治10年を境に変更されました。明治10年銘までが角ウロコ、明治13年銘の後期以降は波ウロコになっています。

裏面は額面が縦書きで書かれています。さらに菊紋を挟んで「以百枚換一圓」という言葉が刻まれています。これは1銭銅貨100枚あれば1円銀貨と交換できます、という意味です。銀貨にはこういった言葉の記載はありません。
なお、同時期に発行された竜2銭銅貨半銭銅貨とは統一のデザインになっています。

竜1銭銅貨は発行枚数の少ない明治6年のものや、明治14年の手替わりには価値があります。またエラーコインが多いことでも知られています。
それら以外の流通品ですと、発行枚数が多く、また現存するものは状態の悪いものが多いため、価値はありません。

発行初年度の明治6年の竜1銭は、ヤフオクでは800〜1,000円ぐらい、フリマサイトでは2000円前後で販売されています。
ですが、買取専門店や古銭商などの業者に買取をお願いすると、値段がつかないことがほとんどです。
業者では竜1銭の取り扱いは非常に多いため、選り分けたり、個別に売却すると手間と時間ばかりかかってしいます。そのため古銭商や買取業者では、個別に値段をつけて買いとることはほとんどありません。

明治14年の手替わりについては、文章で説明すると大変分かりづらいです。ですので次の項目では、画像つきで手替わりについて解説いたします。

明治14年手替わり「大四」

竜1銭銅貨には、普通品よりも少し価値のある手替りが存在します。
手替わりとは、ある部分が通常のものとは異なったもののことを指します。
ここでは明治14年「大四」という手替わりをご紹介します。

こちらの画像をご覧ください。左が普通品、右側が手替わりです。

明治14年大四

年号の漢数字「四」に注目してください。
普通品は「四」の漢数字の上下の隙間が大きくとられています。
大四の方は漢数字が大きく、そのため竜図と馬の歯との隙間が狭くなっています。
また四の字の中が、普通品はカタカナの「ル」、大四は漢字の「八」のようになっています。

竜1銭銅貨の大四の手替わりは、コレクター市場では数千円の価値になるそうです。
とはいえ状態の悪いものだと、価値は低くなってしまいます。多くの人に使われてきた竜1銭銅貨ですので、状態が悪いものの方が多いです。

また「大四」も明治6年のものと同じく、業者では通常、個別に値段をつけて買いとることはありません。
ですので時間に余裕がある方は、ご自身で分類した上で、買取依頼を出すと良いかもしれません。

稲1銭青銅貨(明治31〜大正4年)

稲1銭青銅貨表
稲1銭青銅貨裏

本日の買取価格

  • 明治33・35年【美品】:300円
  • その他年号:銅銭まとめ買取(1円/g)

・素材(品位):銅950/錫40/亜鉛10
・重さ:7.13グラム
・直径:27.87mm
稲1銭青銅貨は明治31年より発行されました。
この発行は明治30年に制定された貨幣法に基づく変更で、1銭より先に5銭硬貨が発行されています。ちなみにこちらの法律では、江戸時代の寛永通宝文久永宝も使える、とされていたそうです。

発行枚数は、初年度の明治31年が360万枚程度です。最も多い年は大正2年で1,500万枚、続く大正3年、4年でも1,000万枚を超えています。逆に発行枚数が少ないのは明治33年で、300万枚程度になっています。

稲1銭青銅貨では、硬貨のデザインが一新されています。一番の特徴であった竜の図案が廃止され、シンプルな日章に変更されました。これは竜を尊ぶのは当時の敵国であった清の思想であり、しかも清の皇帝を象徴するものだという批判が多かったためだと言われています。もともとは天皇を象徴するものとして採用された竜図が、日本と清国の関係が変化するうちに、意味あいが変わってしまったようです。
また表面も菊紋に代表される天皇を象徴するような図案がなくなり、稲穂のみになりました。この構図は稲5銭白銅貨でも採用されています。
さらに稲1銭青銅貨では竜1銭銅と大きさや重さに変更はないものの、銅と錫の割合が変更され、銅合金から青銅貨になっています。

稲1銭青銅貨は明治33、35年は特年と呼ばれ、価値のある年号として若干のプレミアがつきます。
それ以外の年号ですと発行枚数が多く、また状態の悪いものがほとんどのため価値はありません。
このほか流通品目的ではない明治39、42、44年銘の稲1銭青銅貨が存在するそうです。オークションやフリマサイトでレプリカ品として売られていることがあります。こうした特別な硬貨は、財務省に保管されているのかもしれませんね。

桐1銭青銅貨(大正5〜昭和13年)

桐1銭青銅貨表
桐1銭青銅貨裏

本日の買取価格

  • 銅銭まとめ買取(1円/g)

・素材(品位):銅950/錫40/亜鉛10
・重さ:3.75グラム
・直径:23.03mm

桐1銭青銅貨は、大正5年から昭和13年にかけて発行された青銅貨です。
銅価格の上昇を受けて、稲1銭よりも小さく、そして軽くなって発行されました。

発行枚数は初年度は1,919万枚、最も多い大正11年ですと2億5321万枚もあります。他に2億枚を超えた年は大正8年、大正10年、昭和10年です。逆に発行枚数が最も少ないのは昭和4年の300万枚、次いで昭和5年の500万枚となっています。

硬貨のデザインですが、表面は唐草模様と菊、裏面に桐と桜花が採用されました。桐は古来から家具や楽器などに利用されている、馴染みの深いものです。また稲1銭銅貨では採用されなかった菊紋が入っていますが、天皇家の象徴とされる十六弁八重表菊ではなく、十弁の菊の花になっています。
同時期に発行された5厘青銅貨も、桐1銭青銅貨の構図と同じになっています。

桐1銭青銅貨は昭和4年、5年のものですと、特年として若干のプレミアがつきます。
特年のものは、ヤフオクなどのオークションサイトで500〜1,000円程度で取引されています。
しかし買取店や古銭商ですと桐1銭青銅貨の取り扱いは多いため、選り分けや販売の手間を考慮し、個別に値段がつかないです。
またこれ以外の年号のものは、発行枚数が億を超えているもののため価値はありません。

カラス1銭黄銅貨(昭和13年)

カラス1銭黄銅貨表
カラス1銭黄銅貨裏

本日の買取価格

  • 銅銭まとめ買取(1円/g)

・素材(品位):銅900/亜鉛100
・重さ:3.75グラム
・直径:23.03mm

昭和13年、日中戦争の拡大を受け制定された臨時の貨幣法で、新しい1銭の製造が決定しました。
大きさはと重さは桐1銭青銅貨と同じですが、品位が銅900/亜鉛100と変更され、黄銅(真鍮)貨となりました。
黄銅貨といえば現在の5円玉が代表です。しかし5円玉に比べると亜鉛が少ないため、カラス1銭は赤みがかった色になっています。

発行枚数ですが、昭和13年のみの発行され、1億1,360万枚とされています。

デザインは表面には菊紋と桐紋、それを囲む波模様、裏面は八咫烏と桜花になっています。このデザインについては一般公募した図案を組み合わせたものとされています。
この八咫烏は、「古事記」や「日本書紀」など日本の神話に登場する3本の足を持つカラスです。八咫烏は神の遣いとして東征に向かう神武天皇の道案内をつとめたとされています。八咫烏が採用されたのには、戦争に突入する時代背景も関係していたのかもしれません。

カラス1銭黄銅貨は発行期間は短いものの、発行量が多いため、価値のあるものではありません。
完全未使用と言われる傷のない状態のものでも、プレミアは期待できません。

カラス1銭アルミ貨(昭和13〜15年)

カラス1銭アルミ貨表
カラス1銭アルミ貨裏

本日の買取価格

  • アルミ銭まとめ買取(0.5円/g)

・素材(品位):アルミ1,000
・重さ:0.90グラム
・直径:17.60mm

黄銅貨の1銭は半年足らずで発行が終了し、アルミ素材の1銭に切り替えられました。
硬貨のデザインもカラス1銭黄銅貨を流用していますが、サイズはさらに小さくなっています。

このカラス1銭アルミ貨への切り替えは、戦争で使用する銅を確保する目的がありました。後にアルミも戦闘機の材料として使用されますが、この頃はまだ銅の方が需要があったようです。
1銭はアルミ以外にもステンレス(不銹鋼)での製作も検討されていたそうです。ですがステンレスですと素材が硬く、量産に難があることから見送られたそうです。
ちなみにアルミ銭は水に浮く硬貨として、市中での評判はあまり良くなかったようです。

発行枚数は昭和13年は4,550万枚、14年が4億4,460万枚と約10倍、発行最後の昭和15年は6億枚を超えています。1銭という額面が、いかに広く使われていたかがわかる発行枚数ですね。

このカラス1銭アルミ貨には、昭和14年銘のものに「ル四」という手替わりが存在します。


左側が「角四」というもので、右側が「ル四」と呼ばれています。
四の中が、カタカナのルに見えるものが「ル四」です。これに対し、通常の「角四」は、角ばっていて左右均等になっています。
小さい硬貨ですので、ルーペなどで見ないと区別するのは難しそうです。

カラス1銭アルミ貨は昭和14年「ル四」のみ、市場では少しプレミアがつきます。それ以外のものには価値がありません。

「ル四」は現存数も多く、市場では1枚数十円、傷や汚れの少ない状態ものでも500円前後になります。
しかし買取店や古銭商では価値のないものとして買い取ってもらえないか、個別に値段がつくものではありません。

ちなみに明治14年のアルミ銭10枚に1枚ぐらいの割合で見つかります。手替わりとしては見つかる割合は、比較的高いといえます。
お時間に余裕のある方は探してみてはいかがでしょうか。

富士1銭アルミ貨(昭和16〜18年)

富士1銭アルミ貨表
富士1銭アルミ貨裏

本日の買取価格

  • アルミ銭まとめ買取(0.5円/g)

・素材(品位):アルミ1,000
・重さ:0.65グラム/0.55グラム(1943年)
・直径:16.00mm

昭和16年からは、さらに軽く、サイズも小さくなったアルミ銭に変更されました。それが富士1銭アルミ貨です。
この頃には戦闘機でのアルミの需要が増加したため、サイズの小さい硬貨に変更されたそうです。
しかも昭和18年の途中には量目変更がなされ、厚みが薄くなり0.1gほど軽くなっています。

発行枚数は、なんと初年の昭和16年だけで10億枚を超えています。翌年の昭和17年になると1億枚程度ですが、昭和18年には11億枚以上となっています。そして量目変更後も、6億2,716万枚も発行されたそうです。

硬貨のデザインは、表面には富士山と菊紋、裏面には大きく額面の「一」が描かれています。過去の1銭硬貨に比べ、シンプルなデザインになっています。

富士1銭アルミ貨はその発行枚数の多さもあって、希少性はなく、価値はありません。
状態の良いものであっても、手替わり等もないため市場での価値はありません。

1銭錫貨(昭和19〜20年)

1銭錫貨表
1銭錫貨裏

本日の買取価格

  • 錫銭まとめ買取(0.5円/g)

・素材(品位):錫500/亜鉛500
・重さ:1.30グラム
・直径:15.00mm

戦況の悪化からアルミでの貨幣製造が難しくなったため、昭和19年には錫製となりました。同時期に5銭、10銭も錫に変更されています。
1銭は錫50%と亜鉛50%の合金のため、正確には錫亜鉛貨と呼ばれます。

錫は当時日本の占領下にあったマレーシアやインドネシアなどの南方諸国で多く産出されていました。しかし素材としての欠点が多いため、使用には難があります。錫だけではとても柔らかく、また熱に弱いそうです。容易に偽造されてしまう心配もありました。そこで亜鉛との合金とすることで、なんとか発行にこぎつけました。

発行枚数は昭和19年、昭和20年とあわせて16億2,958万枚とされています。しかし戦況の悪化のために材料不足となったため、10銭と5銭は昭和19年のみで製造終了となりましたが、1銭は昭和20年にも製造されました。
ですが昭和20年8月に製造されたものは、終戦後、日本を占領したGHQによって鋳つぶされてしまいました。大日本の文字が戦前を思わせるのでよくない、という理由だったそうです。

硬貨のデザインは富士アルミ1銭よりもシンプルで、表面は額面の真ん中に菊紋、裏面は「大日本」と発行年銘のみになっています。また表面の「一銭」の額面が横文字になっています。錫という素材だけでなく、簡素なデザインを見ても、当時の日本の逼迫した状況が伝わってきます。

戦前最後の硬貨となった錫1銭貨ですが、素材は錫と亜鉛であり、また発行枚数も多いため価値はありません。
現存するものは、ほとんどが劣化して黒ずんでいます。また空襲で焼け、変形したものも多いです。これがお金であると気が付かない場合も多いかもしれません。

1銭は今のお金にするといくら?

ここまでで、今までに発行されてきた1銭硬貨の全種類を一気にご紹介しました。

1銭ですが、錫1銭貨の後は一切発行されませんでした。そして昭和28年に制定された小額通貨整理法によって、銭という単位そのものが通用力を失いました。
1銭は現在では、金額などの計算上で存在するのみになっています。

▶︎参考:日本銀行「1円未満のお金が使えなくなったのはいつからですか?」

ではこの1銭、今のお金にするとどれぐらいの価値があるんでしょうか。

ざっくりと計算すると、1銭は明治後半の頃で、200円ぐらいになります。

この頃、人気を博していた食べ物があります。それはあんぱんです。
文明開花の代表ともいわれ、当時、明治天皇にも献上されたそうです。
ちなみにこのあんぱんを最初に開発したのは、今でも有名な銀座木村屋總本店さんだそうです。

当時、このあんぱんが1個1銭だったそうです。
2023年現在、木村屋さんのあんぱんが5個入りで1,100円(税込)ぐらいです。1個だと200円の計算ですね。

とはいえ、同じあんぱんを基準にしても、コンビニのものを基準に考えるとどうでしょう。
コンビニのあんぱんを基準にすると、だいたい120円前後、ということになってしまいます。
また別の品物、例えばうどん(当時2銭)を基準にすると、200〜250円前後になります。
さらに物ではなく、企業物価指数という統計で見てみると、1銭は14円ぐらいになるそうです。

このように、比較の対象とする物や時代によって、色々と変わってしまうんですね。
古いお金の価値を現在価値に置き換える、というのは思ったより簡単ではないようです。

とはいえ「一銭も無い」という言葉で馴染みのある1銭、思ったよりも価値のある金額だったのようです。

1銭硬貨の価値をまとめると…

以上が1銭硬貨、全7種類になります。
ここでいったん、1銭硬貨の価値についてまとめましょう。

POINT

  • 竜1銭銅貨は明治6年、明治14年「大四」に価値がある
  • 稲1銭青銅貨は明治33・35年に価値がある
  • 桐1銭青銅貨は昭和4・5年に価値がある
  • カラス1銭アルミ貨は昭和14年「ル四」に価値がある

ですが価値のない1銭でも、数万円のプレミア価格になるものも存在します。それがエラーコインです。
中には希少性があるため、10万円以上という価値になるものも存在します。

次の項目では、価値の高いエラーコインについて見ていきましょう。

希少価値の高い1銭のエラーコイン

エラーコインという言葉は、ネットやテレビなどで聞いたことがあるかと思います。
硬貨製造の際に何らかのトラブルが原因で、通常のものと異なった仕上がりになってしまったものです。

近年の硬貨では製造技術や検品技術の向上もあって、見かけることは少なくなりました。
しかし明治〜戦前のものは技術も未熟であったため、エラーコインが多数存在します。

では1銭にはどういった種類のエラーコインがあるんでしょうか。
ここではエラーとして有名なものを順番にご紹介します。

陰打ちエラー

1銭陰打ちエラー
陰打ちとは両面が同じ刻印になっているもので、しかも片面は凹凸が逆になっているものです。「影打ち」と表記されることもありますが、正確には「陰打ち」です。
陰打ちは銅銭に多く、また現在の10円玉でも見られるエラーコインです。さらっと見ていると、以外と見落としがちなエラーコインです。
写真の竜1銭銅貨のような陰打ちエラーですと、3万円前後になります。

傾打ちエラー

傾打ちエラーサンプル
表裏で図案の向きがズレてしまっているエラーです。角度ズレエラーとも呼ばれ、ズレ角度の大きさによって価値が変わります。5度ぐらいの小さなズレですと、一見しただけではわからないことが多いです。傾打エラーは素材に関係なく存在します。
価値としては、どの種類の1銭でも1万円を超えない程度のものがほとんどです。

ズレ打ちエラー

1銭ズレ打ちエラー
図案が、本来とは異なる位置にプレスされてしまったものです。どの程度ズレているかによって価値が変わります。ズレ打ちは素材に関係なく発生するエラーです。
1銭ですと竜1銭銅貨、桐1銭青銅貨で見かけることがあります。価値としてはズレ具合によって異なりますが、桐1銭青銅貨よりも竜1銭銅貨の方が高い傾向にあります。

片面打ちエラー

1銭片面エラー
コインの片面が打刻されず、つるつるの状態のままになったものが片面打ちエラーです。現行コインでも見られるエラーですが、表面を加工した偽物も多く出回っているエラーです。中には、両面が刻印されていないものも存在するそうです。
こちらのものは1銭錫貨の片面打ちエラーで、過去に4万円ほどの価値がついたそうです。

ヘゲエラー

竜1銭ヘゲエラー
プレス時の衝撃やクズの付着によって、表面がシワ状になったり、ささくれのように剥けてしまったエラーです。素材に関わらずよく見かけるものですが、見た目のせいもあって人気は高くありません。
そのため、価値としても数千円程度、高くて1万円前後のものが多い傾向にあります。

メクレエラー

桐1銭メクレエラー
コインの表面がはがれ、今にもめくれそうな状態になっているエラーコインです。コインのめくれ具合によって、価値は高くなります。ただしめくれた部分が剥がれてしまうと価値は下がってしまいます。このメクレエラーはヘゲエラーに分類されることもあります。
こちらもヘゲエラー同様に、その価値は数千円程度から、高くて1万円前後のものが多いです。

エラーコインは偽物に注意!

ここまで、エラーコインの種類と価値について見てきました。
1銭という額面ですが、エラーコインになるだけで想像以上の価値になります。

ですがエラーコインに価値あることは今では有名なため、偽物が多く出回っています。
エラーコインの偽物とは、人為的に古銭に加工を加えたものになります。

そしてエラーコインは、専門家の間でも本物か偽物かの意見が分かれているものも存在します。
それだけに、素人がエラーを判断するのは簡単ではありません。

ですのでエラーコインを見つけたら、まずは鑑定士に査定を依頼するのがよいでしょう。

価値の高い1銭硬貨は他にもあった!

これまで価値のある1銭硬貨として、エラーコインを紹介してきました。
こうしたエラーコイン以外に、もっと価値のある1銭硬貨はあるんでしょうか。

実は1銭硬貨にはエラーコインと同じくらい、あるいはそれ以上の価値にあるものが存在します。
それが試鋳貨と呼ばれる硬貨です!

コインは正式な硬貨のデザインが決定し生産されるまでには、多くの試作品が作られます。その試作品のことを試鋳貨と読んでいます。
試鋳貨はあくまでサンプルとして作られたもののため、もともとの数が少ないです。
また発行後に処分されるため、本来は市中に出回るような物でありません。
このような理由から希少性があり、市場での価値が高くなっています。

また生産までされたものの、様々な理由から発行には至らなかった硬貨も存在します。
こちらは未発行貨幣とも呼ばれ、正確には試鋳貨ではありません。
しかしこちらも珍しいもののため、価値があるものになります。

ここでは価値の高い1銭の試鋳貨をご紹介いたします。

明治2年1銭銅貨

明治2年1銭銅貨表
明治2年1銭銅貨裏

本日の買取価格

  • 【美品】:400,000円

・素材(品位):銅980/錫10/亜鉛10
・重さ:8.69グラム
・直径:29.10mm

明治2年、新貨幣を製造するにあたって、政府は見本となる貨幣を製作しました。
この試作貨を見た造幣局の御雇外国人ウォートルスは「イギリスでもこれに勝る彫金はできまい」と絶賛したそうです。

この試作品を制作したのは、金工師(彫金家)の加納夏雄という人物です。刀剣愛好家でもあった明治天皇の太刀飾りも手がけた技術士そうです。
明治2年に造幣局に出仕し、明治8年まで勤めたのち、引退。引退後は東京芸術大学(当時は東京美術学校)の教授となりました。

この図案は本採用されませんでしたが、試作貨の評判もあり、その後の貨幣の極印製作は加納夏雄のもつ工房が担当することになりました。

明治3年1銭銅貨

明治3年1銭銅貨表
明治3年1銭銅貨裏

本日の買取価格

  • 【美品】:300,000円

・素材(品位):銅980/錫10/亜鉛10
・重さ:7.13グラム
・直径:27.80mm

新貨幣条例に合わせて試鋳された、明治3年銘の1銭銅貨です。
デザインは旭日章、裏面は竜図です。同時期の旧一円銀貨などと同じ構成になっています。ですが竜のウロコが点々になっています。
銀貨は順調に発行されたものの、銅貨については製造工場の建設が間に合わなかったため、結局この1銭は発行されませんでした。
この後、銅貨はデザイン変更され、明治6年に竜1銭銅貨として発行されることになります。

1銭陶貨(昭和20年)

1銭陶貨表
1銭陶貨裏

本日の買取価格

  • 【美品】:500円

・素材(品位):三間板粘土60%/泉山石15%/赤目粘土15%/その他10%
・重さ:0.65グラム
・直径:16.00mm

陶製、つまり土が素材の硬貨です。この1銭陶貨は発行に向けた製造も進んでいました。

終戦直前の昭和19年、金属の材料も枯渇してきたため、政府は陶製の硬貨製作を検討します。翌20年には図案が決定し本格的に製造に入りました。
京都、瀬戸、有田という、現在でも製陶業で有名な3箇所で製造が進められ、とくに瀬戸では1,300万枚も製造されていたそうです。
1銭陶貨は発行準備まで整ったものの、終戦となったため、すべてが廃棄されることになりました。

こちらの図案は表面が富士、裏面が桜となっています。1銭陶貨には他にも桐紋や菊紋が採用されたもの、色が白いものなど、いくつか種類があったようです。中には戦後に製造された偽物も出回っているそうです。

1銭硬貨、どうするのがいい?

ここまで、1銭硬貨の種類と価値についてお伝えしてきました。
1銭硬貨にも価値のあるもの、価値のないものとが存在することが分かりました。
そして1銭という額面のものは、現在使用することができません。
そうなると何らかの方法で今のお金にかえる必要がありますね。

最後の項目でお話するのは、1銭硬貨の換金方法についてです。

1銭の換金方法として、どんなものを思いつきますか?
おそらく、以下の2点になると思います。

  • オークションやフリマサイトで売却する
  • 買取専門店に持ち込んで買取してもらう

換金というと、銀行での両替も思い付くかと思います。
ですが現行のお金ではないため、銀行に持っていっても交換はしてもらえません。
もちろん1銭を100枚集めたところで、1円としての価値はありません。
そのため1銭の換金方法はオークションやフリマサイトか買取専門店の2つに絞られます。

それでは、それぞれの換金方法について具体的に見ていきましょう。
もちろんそれぞれの方法について、メリット・デメリットもお伝えいたします。

オークションやフリマサイトで売却する

まずはオークションやフリマサイトに出品する方法です。
スマホがあれば時間を気にせず取引ができます。
そのため、普段から利用されている方も多いと思います。

この方法のメリットとデメリットをまとめると、以下のようになります。

【メリット】
・自分の希望する金額で売却できる可能性がある
・取引はPCやスマホで手軽に行える
【デメリット】
・PCやスマホの操作に慣れていないと、取引は難しい
・クレーム対応などの問題は自分で対応する必要がある

またオークション形式では、売却の価格が希望と大きくずれることがあります。
想像以上の高値になることもありますが、希望よりも低くなることも多いです。
フリマサイトのように自分で価格を決める場合はどうでしょうか。
これならば希望の金額で売却が可能ですね。

ただし、最終的に売却金額から手数料を引かれることになります。
サイトによって異なりますが、およそ売値の1割ぐらいが手数料となります。
また希望価格が相場と離れていると、いつまでも売れない可能性もあります。

特に注意が必要なのは、エラーコインや試鋳貨を出品した場合です。
鑑定機関の査定を経ていないものを出品し、それが偽物だったらどうでしょう。
その場合、返金や返送、あるいは以上のトラブルに発展することもあります。

取引でのリスクをすべて受け入れるのであれば、お得な換金方法だと言えます。

買取専門店に持ち込んで買取依頼する

では、最近街に増えている買取専門店はどうでしょうか。
マスコミでも取り上げられるほど、リユース業は今、活況を呈しているようです。

この買取店で売却をする際のメリットとデメリットは以下の通りです。

【メリット】
・実店舗があり、対面で応対してもらえるので、安心感がある
・現金で買取をしてもらえるため、即換金が可能
【デメリット】
・お店や査定員によって価格や結果に違いがある
・近所に店舗がない場合、遠くまで移動しなければならない

買取専門店の一番の強みは、対面なので安心感があるところです。
そして買取店ですと、古銭以外にもブランド品や貴金属、着物やお酒まで、さまざまなものを買い取ってくれます。
ですので、古銭以外の不用品も一緒に買い取ってもらうことができます。

ですが買取店は様々なジャンルを取り扱うため、古銭の専門ではない可能性があります。
そのため、真贋や相場などを判断できないこともあります。

郵送買取専門店という方法もある

店舗を持っていない買取店というのも存在します。それが郵送買取専門店です。
こうした会社は、ほとんどがインターネット上で情報を発信しています。
では郵送買取専門店のメリットとデメリットを見てみましょう。

【メリット】
・全国どこにお住まいでも、自分の都合に合わせて売却ができる
・店舗型の買取店よりも高価での買取が期待できる
【デメリット】
・郵送による取引のため、対面での取引は原則できない
・振込のため、即換金ができない

郵送ですと、買取専門店が近くにない場合や、お店に足を運ぶ時間がない方にうってつけですね。
また郵送専門業者は店舗型に比べて運営コストが低いため、その分を買取価格に反映しています。
そのため郵送専門店であれば、街の買取店以上の結果になることも。

とはいえ、郵送専門店は非対面ですので不安も残ります。
その場合、事前に電話で連絡を入れてみる、ネットでの口コミ情報を調べてみることで、不安を払拭できるかもしれません。
また、最近ではLINEなどのSNSを使った査定をやっていたりします。
事前にやりとりをしてから、実際に売却するかどうかを決めるのも良さそうです。

価値のある1銭は、プロに鑑定してもらおう!

以上、価値のある1銭の換金方法についてお伝えいたしました。
それぞれの方法に、メリット・デメリットが存在します。
これらをふまえた上で、ご自身で納得のいく方法を検討してみてください。

では最後に、1銭硬貨の価値についておさらいしておきましょう。

POINT

  • 竜1銭銅貨は明治6年、明治14年「大四」に価値がある
  • 稲1銭青銅貨は明治33・35年に価値がある
  • 桐1銭青銅貨は昭和4・5年に価値がある
  • カラス1銭アルミ貨は昭和14年「ル四」に価値がある
  • 1銭のエラーコイン試鋳貨は特に価値が高い

いかがでしょうか。
1銭硬貨のうち価値のあるものは限定されており、それ以外のものは価値のないものです。

またエラーコインや試鋳貨など希少性の高い品物ですと、偽物も存在します。
ですので、価値の高い1銭硬貨を見つけた場合、まずは専門家に査定を依頼するのが確実です。

郵送買取専門のアンティーリンクでは、LINEでの画像査定を行なっています。
お手持ちの1銭の画像を送るだけで、古銭専門家による査定を依頼できます。
1銭硬貨だけでなく、古いお金や古い紙幣の査定は、アンティーリンクにお任せください!