【全12種類】小判の種類の見分け方
日本には小判が12種類もあるんですよ。
小判といえば、時代劇とかでよく見ますよね。そんなに種類があるんですか?
どれも似たように見えますが、ポイントさえ押さえれば誰でも判別できますよ。
目次
そもそも小判ってなに?
小判とは、江戸時代の金貨の一つです。江戸時代を通じて幕府の標準的金貨幣でした。
慶長6年 (1601年)、慶長小判が大量に鋳造され、全国的通貨となり、慶長以後は、元禄・宝永・正徳・享保・元文・文政・天保・安政・万延の各種小判が発行されていきました。
大きさで判別できる小判
まずは、大きさで判別できる2種類の小判を紹介いたします。
日本の小判12種類のうち、ほとんどのものは手のひらサイズです。
成人の手のひら(指は含みません)にすっぽり収まる程度の大きさです。
しかし、異なる小判が2種類あります。「天保五両判金」と「万延小判金」です。
詳しく説明いたします。
天保五両判金
発行が天保年間のみであったことから天保五両判、あるいは、中判とも呼ばれています。
大きさを比較してみよう
どの程度大きさに差があるのか比べてみましょう。
天保五両判金は寸法約8.9cm、天保小判金は寸法約5.9cmになります。
※写真は実物大ではありません。
※小判の大きさは一定ではありませんので、サイズの比較はあくまでも目安としてお考えください。
5両としての額面を持つ
そのため、5両の額面を持つ小判は、天保五両判金のみとなります。
拡大して見てみると、このように見分けることが可能です。
万延小判金
こちらの万延小判金は、その他の小判よりも小さいのが特徴です。
手のひらと比較すると、およそ半分程度の大きさです。
その大きさからか、万延小判金は「雛小判」とも呼ばれています。
大きさを比較してみよう
どの程度大きさに差があるのか比べてみましょう。
天保小判金は寸法約5.9cm、万延小判金は寸法約3.3cmになります。
※写真は実物大ではありません。
※小判の大きさは一定ではありませんので、サイズの比較はあくまでも目安としてお考えください。
3種の大きさを比較してみよう
先程の天保五両判金、天保小判金、万延小判金をすべて比較すると、以下のようになります。
次は、天保五両判金・万延小判金以外の、大きさの近しい小判を見分けていきましょう。
刻印がある小判の見分け方
大きさの近しい小判を見分けるために見ていただきたいのは、裏面の刻印部分です。
裏面には3つの刻印があります。
うら面の刻印を確認
それぞれ刻印について解説していきます。
①は花押印(かおういん)と言い、全ての小判に共通して押されています。
②は極印(ごくいん)と言い、鋳造された時代などを表しています。こちらが見分けるために重要な刻印です。
押されている場所は右上でないこともあります。
③は座人印(ざじんいん)と言い、小判を作成した人が打つ刻印です。
※3つとも、それ以外の呼び方をする場合もあります。
この裏面の②極印を確認していくことで判別が可能になります。
天保五両判金、万延小判金以外の残り10種類のうち、極印が打ってあるものは次の7種類あります。
- 元禄小判金
- 宝永小判金
- 佐渡小判金
- 文政小判金
- 天保小判金
- 安政小判金
それでは、詳しく説明します。
元禄小判金
こちらは極印が花押印の左側にあります。
拡大して見てみましょう。
元禄の「元」の文字が刻印されています。
「元」が刻印されているのは元禄小判金のみですので、これで見分けることができます。
宝永小判金
こちらの極印は、花押印のかなり右上にあります。
拡大して見てみましょう。
「乾」という文字が刻印されています。
宝永小判金は、この極印から、「乾字小判(けんじこばん)」とも呼ばれています。
「乾」が刻印されているのは宝永小判金のみですので、これで見分けることができます。
佐渡小判金
こちらの極印も、花押印のかなり右上にあります。
拡大して見てみましょう。
佐渡の「佐」という文字が刻印されています。
佐渡小判金は、この極印から、「佐字小判」とも呼ばれています。
「佐」が刻印されているのは佐渡小判金のみですので、これで見分けることができます。
しかし享保小判に「佐」の極印を打った、後世の変造品も確認されています。その場合は左下の座人印にも注目してみましょう。
佐渡小判金は座人印が筋神、利神、高神、又神の品のみ現存しているため、それ以外の場合は変造品と判断できます。
元文小判金
こちらの極印は、花押印の右上にあります。
拡大して見てみましょう。
真書体の「文」という文字が刻印されています。
元文小判金は、この極印から、「真文小判」とも呼ばれています。
また、花押印・極印・座人印以外の凹凸は、両替時に付けられた刻印です。
元文小判金は両替印があるものが多いため、両替印が無い場合は価値が大きく上がります。
ちなみに、「文」が刻印されているものは、元文小判金の他に、文政小判金もあります。
しかし、「文」の書体が違うため、簡単に見分けることができます。
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こちらの極印は、花押印の右上にあります。
拡大して見てみましょう。
草書体の「文」という文字が刻印されています。
文政小判金は、この極印から、「草文小判」とも呼ばれています。
先述のとおり、「文」が刻印されているものは、文政小判金の他に、元文小判金もあります。
天保小判金
こちらの極印は、花押印の右上にあります。
拡大して見てみましょう。
天保の「保」という文字が刻印されています。
天保小判金は、この極印から、「保字小判」とも呼ばれています。
「保」が刻印されているのは天保小判金のみですので、これで見分けることができます。
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こちらの極印は、花押印の右上にあります。
拡大して見てみましょう。
「正」という文字が刻印されています。
安政小判金は、この極印から、「正字小判」とも呼ばれています。
「正」が刻印されているのは安政小判金のみですので、これで見分けることができます。
以上が、大きさの近しい7種類の小判の見分け方です。
刻印のない小判の見分け方
次に、刻印の無い3種類の慶長・正徳・享保の小判の見分け方についてです。
表面の槌目を確認することによって区別可能になりますので、これから解説をします。
おもて面の横線を確認
画像をご参照ください。小判のおもて面には横線が多数入っています。
この横線のことを、「槌目(つちめ)」または「茣蓙目(ござめ)」と言います。こちらの記事では呼び方を「槌目」で統一いたします。
ここで確認していただきたいのが、この槌目です。
慶長小判金
慶長小判金です。
他の小判と比べると、槌目が細かいのが特徴です。
このことを「細目打ち」とも言います。右側の小判と比べると、槌目と槌目の間隔が狭いことがわかるかと思います。
拡大して見てみましょう。
慶長小判金は、槌目がデザインや文字に重なっています。
その他の小判は、デザインや文字が鮮明に見えますが、慶長小判金は少しぼんやりとした印象になっています。
- 槌目の細かさ
- 槌目がデザインや文字に重なっている
この2点が慶長小判金の大きな特徴です。
そして、もう1点確認できるところがあります。それは裏面の座人印です。
(右下に刻印されている場合もあります。)慶長小判金と間違えやすい「正徳小判金」「享保小判金」は座人印が2つあります。
こちらは左下に刻印がされています。
以上が、慶長小判金の見分け方です。
最後は、極印も無く、槌目で判別も難しい、「正徳小判金」と「享保小判金」の見分け方についてです。
おもて面の光次印を確認
画像をご参照ください。全ての小判の表面下部には、「光次(みつつぐ)」という刻印があります。
これは、小判を彫金した人物を表す刻印で、後藤庄三郎光次(ごとうしょうざぶろうみつつぐ)という彫金師が作成した小判であることを示しています。
この後藤家は、世襲制のため江戸時代の終わり頃でもずっと同じ光次印が使用されていました。
正徳小判金と享保小判金を見分けるには、この光次印をよく見ることが重要です。
正徳小判金
赤丸で囲った部分の光次印を、拡大して見てみましょう。
画像をご参照ください。
「光」と「次」の字が繋がっています。
享保小判金は字が離れているので、比較してみましょう。
見えづらい場合は、ルーペなどを使用してみてください。
享保小判金
赤丸で囲った部分の光次印を、拡大して見てみましょう。
画像をご参照ください。
「光」と「次」の字が離れています。
正徳小判金は字が繋がっていましたよね。
以上が、日本の小判12種類の見分け方です。
要点まとめ
- まずは大きさを確認
手のひらよりも大きければ 天保五両判金
手のひらの半分程度であれば 万延小判金
- うら面の極印を確認
「元」の字があれば 元禄小判金
「乾」の字があれば 宝永小判金
「佐」の字があれば 佐渡小判金
真書体の「文」があれば 元文小判金
草書体の「文」があれば 文政小判金
「保」の字があれば 天保小判金
「正」の字があれば 安政小判金
- おもて面の槌目を確認
槌目の間隔が狭く、デザインに重なっていたら 慶長小判金
- おもて面の光次印を確認
「光」と「次」が繋がっていたら 正徳小判金
「光」と「次」が離れていたら 享保小判金
以上です。
もちろん、状態などによってはこの判別方法に当てはまらない場合も無いとは言い切れません。
あくまでも参考にしていただければ幸いです。
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本物と偽物の見分け方については、以下ページで解説しています!
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