正徳小判を作った人は誰? 元禄小判との違いをわかりやすく解説

正徳小判を作った人は誰? 元禄小判との違いをわかりやすく解説

実家の押し入れから小判が出てきたのですが、これって売れるんでしょうか?

まずは種類をはっきりさせましょう。裏面の中央左あたりに文字はありますか?

いいえ。何も書かれていません。

もしかすると貴重な正徳小判かもしれませんね。今回は正徳小判の価値や見分け方を解説していきましょう。

正徳小判のあれこれをわかりやすく解説

正徳小判は日本で使われていた小判の一種です。
時代は江戸、1714年(正徳4年)に発行されたと記録に残っています。

当時は他の小判と同様に1両分の貨幣として使われ、現代の価値になおすと20万円以上の価値を持つ高額な硬貨でした。

まずは正徳小判の現在の買取価格を確認しながら、なぜ正徳小判が高価なのかも解説していきます。

正徳小判の重さ/品位/発行年

正徳小判表
正徳小判裏
  • 重さ: 17.72g
  • 品位: 金857/銀143
  • 発行年: 1714年(正徳4年)

正徳小判の買取価格はいくら?

現在、正徳小判は以下の価格で買取を実施しています。
正徳小判は小判の中でもプレミア価値が高く、買取価格も高価です。

本日の買取価格
極美品 美品

180万円

150万円

その他の価値については、大判・小判の買取価格一覧表をご覧ください。

正徳小判にプレミアがつくわけ

正徳小判の価値が高くなっているのは、残存枚数が少ないためです。
古銭というものは、残存枚数が少なければ少ないほどプレミア価値も高まります。

正徳小判は、民衆の支持を得るために金の含有量を増やして作られた小判でした。
しかし、その含有量は過去に使われていた慶長小判より少なく、民衆からは不評に終わってしまいます。
正徳小判への交換を渋る人が多いために流通は上手くいかず、半年もしないうちに新しい小判が発行されました。

金の含有量を増やすために製造枚数を減らしたこともあり、正徳小判はもともと枚数が少ない小判だったのです。
そのため、現代に残っている枚数も当然少なくなり、正徳小判にはプレミア価値がついています。

正徳小判と元禄小判の違いは何?

正徳小判と近い年代で作られた小判の中に元禄小判という種類があります。
大きさや重さはほぼ同じで、金の含有量だけが違うためデザインで見分けないといけません。

正徳小判

正徳小判表
正徳小判裏

元禄小判

元禄小判表
元禄小判裏
わかりやすいのが「時代印」の有無です。
これは小判だと裏面の左中央に打たれる極印で、製作された時代を示す漢字一文字が刻まれます。
元禄小判は「元」の字が時代印に使用されていますが、正徳小判は時代印がありません。
なので、正徳小判と元禄小判は裏面の時代印を確認するだけで見分けられます。
裏面の「時代印」の有無

正徳小判だけでしか見られない「重光次」

もうひとつ、他の小判と正徳小判を見分けるポイントとして、正徳小判にしかない特徴があります。
それは、表面の「光次」に現れる要素です。

正徳小判のみ、「光」の右下になる6画目と「次」の右上になる4画目が重なっています。
これが「重光次」と呼ばれるもので、正徳小判を見分けるポイントです。
正徳小判だけの「重光次」

正徳小判を作った人は誰?

江戸時代の小判は、幕府のトップである徳川家の指示によって製作されていました。
ただし、正徳小判は少々事情が異なっています。

事実上流通に失敗してしまった正徳小判ですが、その裏には一体どのような人物がいたのでしょうか?

正徳小判は将軍の案ではなかった

正徳小判が発行された1714年(正徳4年)の将軍は、7代目となる徳川家継です。
ですが、1709年に生まれた家継は当時、まだ5歳の子どもでした。
到底幕府をしきれる年齢ではないため、家継の代わりに側近が政治を取り仕切っていたのです。

正徳小判への改鋳も家継ではなく、新井白石(あらいはくせき)という側近が取り仕切っていました。

新井白石(あらいはくせき)という人物

新井白石は江戸中期に幕府を支えた政治家で、朱子学をはじめとした多くの学問を修めた人物でした。

写真:Wikipedia

6代将軍の徳川家宣に仕えたのち、家継の補佐も勤めていました。

必要とあれば将軍を叱りつけるほど厳格な人物だったと語られており、悪政を立て直すために尽力した記録が残っています。
そんな新井白石が仕切っていた政策のひとつが正徳小判への改鋳でした。

正徳小判はどんなねらいで作られた?

そもそも、正徳小判が作られた当時、民衆からの小判の評価は散々でした。
というのも、2代前の元禄小判は金品位を大幅に落としたことで小判の価値を激減させました。
さらに、1代前の宝永小判は小型化によって品位を上げてはいますが、実際に使われている金の量はさらに減っています。

長く使われてきた慶長小判と比較すると金の量が半分になってしまい、巷では小判への信用がすっかり失われてしまったのです。
そこで新井白石は、大きさを元に戻したうえで可能な限り慶長小判に品位を近づけた正徳小判を発行させました。

しかし、急激な改革に世の中はついてこれず、結果的には貨幣不足が原因のデフレに陥ってしまいました。

正徳小判の偽物の見分け方

プレミア価格がついている正徳小判も贋作のターゲットになりやすい貨幣です。
市場にも出回っているため、取引する際には注意しましょう。

小判の偽物を見分けるためには以下の3つポイントに注意します。

  • 小判の重さ
  • 極印の数
  • 磁石への反応

それでは、それぞれ詳しい調べ方を解説していきます。

重さを計測する

古銭の真贋を調べる際には、重さの計測が有効です。
同種の小判は同じ量の金属を使って作っています。つまり、重さもほぼ均一です。

正徳小判は重さが17.72gになるように作られています。
この値から1g以上の誤差がでれば偽物を疑いましょう。

参考までに他の小判の重さは以下の通りです。

その他小判については、小判全種の見分け方や価値についてをご覧ください。

極印の数を調べる

小判の偽物のなかには、極印の数が足りていないものがあります。
本物の正徳小判の極印の数は表に4つ、裏に3つです。

表には上下に「扇形の桐紋」がふたつ、「壹两」と「光次の花押」がひとつずつあります。
正徳小判 表面の4つの極印
裏はの極印は中央の「花押」、左下の「験極印」がふたつです。
正徳小判、裏面の4つの極印

このうち、ひとつでも足りないものがあればその正徳小判は偽物です。

磁石に反応するかを調べる

小判は金銀で作られている硬貨です。
金銀は磁石に反応しない貴金属ですから、本物の小判も磁石には反応しません。

ですが、偽物の小判の場合は話が変わります。
偽物は高い金銀の代わりに安い鉄やニッケルを使いがちです。
そのため、磁石に反応してしまうことがあります。

磁石に近づけるだけで簡単に確認できるので、小判を鑑定する際は必ず試してみましょう。

正徳小判を高く売るためのポイント

正徳小判を少しでも高く売るためには、小判の状態を美しく保たないといけません。
ですが、状態を保つうえで注意すべき点もあります。

それは、以下の3点です。

  • 磨かない
  • 傷をつけない
  • 空気に触れさせない

それぞれ、何に注意すべきなのか詳しく解説していきます。

汚れていても古銭は磨かない

同じ古銭であっても綺麗な物の方が高くなるのは間違いありません。
ですが、磨いて綺麗にした古銭となると話は別です。古銭における美品とは、製造時の状態を残しているという意味です。
見た目がピカピカであっても、磨きや洗浄といった加工が入っているとわかった時点で価値が落ちます。
汚れていても古銭は磨かない

そして、古銭鑑定に慣れている人であれば洗浄の痕跡は必ず見極められます。
確実に価値を下げてしまうので、古銭は磨かないようにしてください。

試金石は古銭を傷つける

金貨が金メッキか否かを確認するために試金石を使う方がいますが、これも古銭を扱ううえではタブーです。
試金石は金を削って中の金属を確認するためのものです。
試金石は絶対に使わない!!

つまり金貨の表面を傷つけてしまうことになり、それが原因で買取価格が下がります。
重量を計測したり、磁石を使えば素材は確認できるので試金石の使用は避けましょう。

劣化させない保存法を用意する

古銭の状態を悪化させる原因の一つが酸素による酸化です。
これは、できる限り空気に触れないようにすることでしか避けられません。
最初から桐箱に入っている小判であれば、そのまま桐箱にしまっておいてください。
空気に触れない保存方法

もし箱無しの小判が見つかったら、早めに密閉できる容器にしまいましょう。
その際、段ボールなどの厚紙で挟んで補強しておくのもオススメです。

正徳小判を売るならどこがお得?

正徳小判を少しでも高く売りたいのであればどこで売るかも考えましょう。
高額な古銭を取引するにあたって、よく用いられているのは以下の方法です。

  • ネットオークション
  • フリマアプリ
  • 古銭専門買取業者

では、それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
詳しく解説していきましょう。

ネットオークション

ネットオークションでは高額商品の売買も活発で、古銭もよく取引されています。
100万円を超えるような商品の取引履歴もあり、高額古銭を売るにはちょうどいい販売ルートです。

ただし、取引は基本的に自己責任となります。
トラブルが発生したとしても多少の見舞金がある程度です。
商品が高額であればあるほどリスクも高くなることは覚えておきましょう。

また、出品手数料として最低でも落札価格の10%程度を差し引かれる点も注意が必要です。
こちらも落札価格が高額であれば高額であるほど高くなります。
手数料で引かれた分を考えると、収入額が相場を下回ってしまったという話は少なくありません。

フリマアプリ

フリマアプリもネットオークションと同様に手数料が引かれる点は変わりません。
ですが、自分で価格を設定できるので確実に黒字にすることは可能です。

ただし、その分販売価格が高めになってしまうため買い手が付きにくくなります。
そもそもの懸念点として、フリマアプリは高額商品に買い手がつきにくいという点があります。
高額な古銭となると、フリマアプリ内でのニーズはかなりニッチです。

長期的に出品を続けるつもりでないとおすすめはできません。

古銭専門買取業者

もう一つの方法が古銭専門の買取業者への依頼です。
古銭専門の買取業者であれば、必ずプロの鑑定士が所属しています。
厳正な査定のもと、適正な買取価格を提示してもらえます。

商品を送ってしまえば査定から買取まで一任できるので手間もかかりません。
「早く売りたい」、「手数料を払いたくない」、「トラブルが怖い」と思うのであれば、買取業者の利用がオススメです。

正徳小判を売るならアンティーリンクに

正徳小判についての解説は以上となります。
残存枚数の少なさゆえに希少価値が高く、とても高価な品物です。

状態次第で価値が下がるとしても、ほとんどが100万円を超えてきます。
個人で取引するとなるとリスクも高く、古銭売買への知識と慣れが欠かせません。
少しでも取引に不安があるのであれば、買取業者の利用を検討してみてください。

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