2銭銅貨の種類は? 価値は? 明治の2銭銅貨を徹底解説‼︎

2銭という昔の硬貨を持っています。これは価値があるものなんですか?

2銭は銅製のもののみで、発行枚数の多い古銭です。
価値のあるものは少ないため、ご自分で見つけることができます!

そうなんですね。では価値のある2銭銅貨について教えてくれませんか。

はい、お教えします!
価値のある2銭銅貨は発行枚数が少ない年号エラーコインです。
古銭鑑定士が、昔の2銭銅貨について解説していきます。

[監修:奥村 志門/執筆:増田 英明

2銭硬貨の全種類と価値

この記事では明治時代発行された2銭の額面を持つ硬貨をご紹介します。

2銭硬貨は、これまでに1種類だけ発行されました。

そしてご存知の通り、銭という額面のお金は今日では発行されていません。
「銭」という単位は、計算上でのみの存在する単位です。
ちなみに100銭で円に繰り上がるので、2銭は0.02円になります。

それでは2銭硬貨をご紹介します。
また参考となる市場での価値についても一緒にお教えいたします。
もし2銭の硬貨をお持ちでしたら、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

竜2銭銅貨(明治6〜17年)

竜2銭銅貨

本日の買取価格

  • 明治6年【美品】:2,000円
  • それ以外:銅銭まとめ買取(1円/g)

・素材(品位):銅980/錫10/亜鉛10
・重さ:14.26グラム
・直径:31.81mm

竜2銭銅貨は明治6~17年に発行された、日本で唯一の二銭硬貨です。
表面には「竜図」、裏面には「大日本」の文字と額面が彫られています。
このデザインは、同時期に発行された竜1銭銅貨、半銭銅貨と共通です。

竜2銭銅貨の発行枚数と歴史

そもそも、竜2銭銅貨は明治4年に「新貨幣条例」(お金についての法律)が定められた際、計画には含まれていませんでした。
それは、銅貨を製造する環境が整っていなかったからです。
その後、銅貨の製造工場が完成したことで明治6年から竜2銭銅貨の発行が開始しました。

初年度である明治6年の発行枚数は、394万枚程度に抑えられています。
ですが、それ以降は毎年1,000万〜4,000万枚も発行されて大量に出回っています。

他に発行枚数が少なかった年は明治17年で、発行枚数が1,209万枚と初年度の次に少ないです。
反対に、最も発行枚数の多かったのは明治10年で4,329万枚も製造されました。
なお、明治11年と12年は明治10年銘のまま製造されたため、この2年の年号の2銭銅貨はありません。

例外的に、すでに発行終了している明治25に竜2銭硬貨が2枚だけ製造されています。
これは、アメリカのシカゴで行われた博覧会用に作られたものです。
しかし、その博覧会以降この2枚がどこへいってしまったのかは不明です。

竜2銭銅貨のデザイン

竜2銭銅貨の表面の竜図をよく見ると竜の口が閉じています。
口を閉じている竜は「吽(うん)竜」とも呼ばれます。

これに対し竜50銭などの銀貨は竜が大きな口を開けた「阿(あ)竜」です。
竜の口が、銀貨と銅貨で対になっているんですね。

こうした構造を「阿吽(あうん)」と呼び、古くから馴染みのあるデザイン様式のひとつです。
神社の狛犬、仁王像(金剛力士像)や、「阿吽の呼吸」という言葉でも知られていますね。

さらに、口だけでなく竜のトグロの巻き方も銀貨と銅貨で逆になっています。
そのため、当時は銀貨と銅貨の竜図を雌雄の竜に見立て、縁起物としてお守りにする人もいたそうです。

この竜2銭銅貨は、竜の鱗のデザインが途中から変更されています。
最初のデザインのものが角ウロコ、明治10年銘の途中から波ウロコになっています。

ウロコの形が四角いものを「角ウロコ」、簡略化され波のような模様だと「波ウロコ」です。
明治10年製の竜2銭銅貨はウロコの形状で若干価値が変わります

竜鱗比較

使い勝手が悪かった竜2銭銅貨

竜2銭銅貨は大きさが31.81mmと大型で、今の500円玉よりも大きいサイズです。
重さは14.26gですから500円玉の2倍はあります。
そう思うと、何枚もお財布に入れて持ち歩けるような硬貨ではありません。
当時も使い勝手が悪いと不評だったとか。

そのせいもあって、明治17年を最後に発行が終了しました。
その後は、国によって回収して再利用される対象になったそうです。
この明治17年には、小さすぎて使い勝手が悪かった一厘銅貨も発行終了となっています。

余談ですが、大正時代に「二銭銅貨」という小説が発行されています。
これは日本の推理作家、江戸川乱歩の処女作にあたる作品です。
作中には重要アイテムとして2銭銅貨が登場します。
大正期の小説のタイトルになるほど、竜2銭銅貨は身近な硬貨だったのでしょう。

竜2銭銅貨の後も、2のつく硬貨は現在に至るまでほとんど発行されていません。
新20円金貨のみ昭和まで発行されましたが、庶民に馴染みのあるものではありませんでした。
もしも竜2銭銅貨の発行が続けられていたら、2が付く硬貨が今も存在したかもしれませんね。

2銭硬貨の価値ある年号は?

以上、2銭硬貨をご紹介しました。
では唯一の2銭硬貨である竜2銭銅貨の、価値のある年号についてみていきましょう。

竜2銭銅貨は発行枚数の少ない明治6年のもの、明治7年のものに価値があります。また発行最終年の17年も、価値がある年号です。
それら以外の年号のものですと、発行枚数が多いため価値はありません。
ただ竜2銭銅貨は状態の良いものは少ないため、状態の良いものですと、年号に関係なくプレミアがつく傾向にあります。

明治6年の竜2銭銅貨ですが、並品ですとヤフオク、フリマサイトで1,000〜1,500円前後になっています。未使用のものですと、コレクター向けオークションで1万円を超えることもあるようです。

また明治八年の「大八」と呼ばれる手替わり品がコレクターに人気があるそうです。
この大八とは、年号の「八」の書体が、通常のものと異なっている手替わりです。

大八
大八は普通品と比べて、ハネやハライが鋭く、また少し字が大きいのが特徴です。
こちらは普通品と見比べるながら調べると、わかりやすい手替わりです。
ちなみに普通の八のものは「正八」と呼ばれ区別されています。

大八の手替わりは並品だとヤフオクやフリマサイトですと500〜1,000円前後です。ですが未使用のものや、鑑定会社のケースに入ったものですと、数万円を超える価値があります。

そんな竜2銭銅貨ですが、買取専門店や古銭商などの専門業者に買取を依頼すると、値段がつかないことがほとんどです。
業者では竜2銭銅貨の取り扱いが非常に多いことです。買取をした大量の竜2銭銅貨を個別に売却すると手間と時間がかかってしまいます。そういった理由から、竜2銭銅貨は個別に値段をつけていないそうです。
ですのでお時間のある方は、ご自分で選り分けて個別に査定を依頼をするのが良いと思います。

2銭は今のお金にするといくら?

2銭硬貨の「銭」というお金の単位ですが、戦後の昭和28年に制定された小額通貨整理法という法律で、完全に通用力を失っています。
そのため現在では、金額などの計算上使われる単位になっています。

▶︎参考:日本銀行「1円未満のお金が使えなくなったのはいつからですか?」

ところで2銭って、今のお金にすると、だいたいどれぐらいの価値になるんでしょうか。

竜2銭銅貨の流通していた明治10年の頃ですと、2銭は、今のお金で400円ぐらいになります。

竜2銭銅貨が発行されていた明治10年台ですと、かけそばは2銭ぐらいだったそうです。
2023年現在、立食い蕎麦屋でかけそばを食べた場合、400円前後かと思います。
ということは、かけそば1杯で比較すると、2銭=400円とざっくり計算できます。

当時のお金の価値を物で比較する場合、その時代には存在しないものも多いです。
そのため一般的に馴染みのある主食が比較に使われることが多いです。
ですので今回は、庶民には馴染み深いかけそばを参考にしてみました。

ですが昔のお金を現代のお金の価値に計算する場合、何を基準とするかで大きく変わってきます。
今後、物価はさらにあがっていくと思われるので、数年後には2銭=500円になっているかもしれません。
そして立食い蕎麦ではなく街の蕎麦屋さんを基準にすると、2銭はもう少し高くなりそうです。

このように、昔のお金を今のお金に置き換える場合、比較の対象とする物や時代によって変わってしまうんですね。
今回お伝えした金額は、あくまでイメージだと思ってください。

2銭硬貨の価値をまとめると…

以上、2銭硬貨の価値についてお伝えしました。
2銭硬貨は、過去に竜2銭銅貨のみが発行されました
ですので2銭硬貨といったら、竜2銭銅貨のことを指します。

それではここで、竜2銭銅貨の価値についてまとめましょう。

POINT

  • 竜2銭銅貨で最も価値のある年号は明治6年
  • 竜2銭銅貨は明治7年、明治17年、明治8年「大八」の手替わりにも価値がある
  • 竜2銭銅貨で状態が良いものは、価値が上がる

そして、これ以外の年号のものでも、価値が高くなるものが存在するんです。
それが、竜2銭銅貨のエラーコインです。
希少性が高いため数万円になるものだけでなく、中には10万円以上の価値になるものも存在します。

次の項目では、価値の高いエラーコインについて見ていきましょう。

希少価値の高い2銭硬貨エラーコイン

「エラーコイン」という言葉を、ネットやテレビなどで聞いたことがあるかと思います。
これは製造の際に何らかのトラブルが原因で、通常のものと異なった仕上がりになってしまったものです。

近年の硬貨では製造技術や検品技術の向上もあって、見かけることは少ないです。
しかし2銭硬貨である竜2銭銅貨の作られた明治時代は製造技術が未熟であったため、エラーコインも多数存在します。

ここではエラーコインとして有名なものを簡単にご紹介します。

陰打ちエラー

2銭陰打ちエラー
陰打ちとは、両面とも同じデザインになっているものです。しかも片面の凹凸が、通常のものと逆になっているのが特徴です。「影打ち」と表記されることもありますが、正しくは「陰打ち」だそうです。単純に両面とも同じものは、両面打ちという別のエラー種別になります。
陰打ちは銅銭に多く、現行の10円玉でも見られるエラーコインです。
陰打ちエラーは、高いものですと数10万円にもなるエラーコインです。

傾打ちエラー

傾打ちエラーサンプル
表裏で図案の向きがズレてしまっているエラーです。このエラーはズレている角度の大きさによって価値が変動します。数度程度のズレですと、気が付かないことが多いです。角度ズレエラーとも呼ばれています。
ズレ打ちは状態の良いもので数万円程度です。過去、180度ズレているもので10万円を超えるものもありました。

ヘゲエラー/メクレエラー

竜2銭ヘゲエラー
プレス時の衝撃やクズの付着によって、表面がシワ状になったり、ささくれのように剥けてしまったエラーです。コインの表面がはがれ、めくれているものはメクレエラーとも呼ばれます。銅銭に多いですが、他の素材の硬貨でも見かけるものです。
見た目のせいもあり、価値は高くないものが多いです。およそ数千円程度、高くて1万円前後のものが多くなっています。

エラーコインは偽物に注意!

ここまで、エラーコインの種類と価値について見てきました。
価値のない年号の2銭でも、エラーコインになるだけでプレミアがつきます。

ご紹介したものの他に、有名なものですとズレ打ちエラー、片面打ちエラーといったエラー種別も存在します。
もちろん、未だ知られていないようなエラーコインが存在するかもしれません。

エラーコインに価値あることは、今では誰もが知っている情報です。
そのため偽物もつくられ、市場にエラーコインとして出回ることも増えました。
こうしたエラーコインの偽物はただの加工品のため、価値はありません。

中には専門家の間でも本物か偽物か判断の分かれるエラーコインも存在します。
それだけに、エラーを判断するのは簡単ではありません。

そんな時に助けになってくれるのが、古銭の専門店です。
特に古銭専門店には、エラーコインに精通した鑑定士が在籍しているお店もあります。
エラーコインと思われるものを見つけたら、専門家に査定を依頼してみましょう。

2銭硬貨、どうするのがいい?

以上、2銭硬貨の種類と価値についてお伝えしました。
2銭硬貨には竜2銭銅貨の1種類しかなく、価値のある年号とそうでないものが存在します。
そして2銭という額面の古銭は、お金として使用することもできません。
持っているだけでは、ただのアンティーク品です。

そうなると価値のあるなしに関わらず、何らかの方法で換金をする必要がありますね。
この項目でお伝えするのは、2銭硬貨の換金方法についてです。

2銭硬貨の換金方法として、どんなものがあるでしょう。
主な換金方法は、この2点になるかと思います。

  • オークション・フリマサイトに出品する
  • 買取専門店で買取をしてもらう

現行のお金ではないため、銀行に持っていっても換金はできません。
ですので2銭硬貨の換金方法はオークションやフリマサイトの利用、買取専門店に依頼の2つになります。

それでは、それぞれの換金方法について詳しく見ていきましょう。

オークションやフリマサイトに出品する

最初にご紹介するのは、オークションやフリマサイトに出品する方法です。
スマホのおかげで、こうした個人売買も敷居が低くなりました。
そのため、利用されている方も多いと思います。

この方法をまとめると、以下のようになります。

【良い点】
・希望金額で出品することができる
・PCやスマホで手軽に取引が可能
【気になる点】
・出品操作、個人売買に慣れていないと難しい
・取引上の問題(クレームなど)は、自分で対応しなければならない

ちなみに、オークションやフリマサイトですと、売却時に手数料がかかります。
出品先によって異なりますが、売れた金額の1割ぐらいが手数料になります。
最終的に手数料が引かれた金額を受け取ることになります。
ですので、その手数料も考えた価格で出品する必要がありますね。

また注意が必要なのは、エラーコインを出品する時です。
自己判断のみで、専門家や鑑定機関の査定のないものを出品する場合は要注意です。
もし偽物であった場合、売却後にクレームや返金対応、あるいは別のトラブルに発展するリスクがあります。

取引経験があり、こうしたリスクも引き受けられる方にはお得な方法だと言えます。

買取専門店で買取をしてもらう

もう一つの方法である買取専門店はどうでしょうか。
駅前や商店街、ショッピングセンターなどでも買取店を見かけるようになりました。
現在でも、買取店の数は増え続けています。

買取店で売却をする際に考えておくべきことは以下の通りです。

【良い点】
・対面で応対してもらえるため信頼感、安心感がある
・近くに店舗がない場合は、出張買取も可能
【気になる点】
・買取店や担当者によって買取価格に差が出やすい
・古銭の専門ではない可能性がある

買取専門店の一番の強みは、対面でのやりとりができるところです。
また古銭以外の品物も一緒に持って行って買取をしてもらうこともできます。

ですが、なんでも買取をするというところに弱点があったりもします。
古銭は昔から続くような専門店があるほど、専門性が高いジャンルです。
買取店は様々なジャンルを取り扱っており、古銭が専門のお店は限られてきます。
そのため、真贋や相場などを正しく判断できないこともあります。

対面取引で、すべてお任せして売却したい方は、買取店が一番の選択肢になります。

郵送専門の買取店はどうなの?

買取店の中には、郵送買取を専門にするお店もあります。
こうした会社は、インターネットを中心に情報を発信しています。
ですので、目にする機会は少ないのではないかと思います。

この郵送買取専門店の良い点と気になる点は、どんなことでしょうか。

【良い点】
・全国どこにお住まいでも取引ができる
・店舗型の買取店よりも高価になる可能性が高い
【気になる点】
・まれに配送時のトラブルが起こることがある
・振込での支払いのため、すぐに換金ができない

郵送専門業者の一番の利点は、街の買取店以上の結果が期待できることです。
郵送専門のため運営コストが低く、その分を買取価格に反映することができるためです。

郵送買取で一番気になる点は、配送時のトラブルです。
日本では諸外国に比べ荷物にまつわるトラブルはとても少ないです。
しかし残念ながら、トラブルがないとまでは言い切れません。
そのため各配送会社ともに、配送時の補償があります。

ご自宅にいながら高価買取してもらうなら、郵送専門買取店がおすすめです。

価値のある2銭硬貨は、プロに見てもらおう!

以上、2銭硬貨の換金方法についてお伝えいたしました。
それぞれの方法に、良い点と気になる点があることがお分かりいただけたかと思います。
どの方法をとるのがいいのかは、人によって異なります。
これらの内容をもとに、ご自身にとってベストな方法を選んでください。

またエラーコインのように希少性の高い品物ですと、偽物も存在します。
価値の高い2銭硬貨を見つけた場合、まずは専門家に査定を依頼するのが確実です。

郵送買取専門のアンティーリンクでは、LINEでの事前査定を行なっています。
お手持ちの2銭硬貨の画像を送ると、古銭の専門家による査定ができます。
2銭硬貨だけでなく、古いお金や古い紙幣の査定はアンティーリンクにお任せください!