

重さ: 164.5g
品位: 金521/銀449/雑30
元書(極美品) 1,300万円(税込)
書改(極美品) 900万円(税込)
重さ: 164.5g
品位: 金521/銀449/雑30
元禄大判金は、江戸時代に作られた「大判金」という大きな金貨の一つで、元禄8年(1695年)に行われた元禄改鋳から発行が始まりました。
この大判のいちばんの特徴は、裏面に『元』という極印(年代印)が押されていることです。
裏面に「元」の極印
この『元』の極印は、元禄時代に作られたすべての金貨や銀貨に共通して見られました。
実は、江戸時代に作られた大判の中で、年代印が押されているのは元禄大判金だけです。
他の大判(享保大判金や天保大判金、万延大判金など)には、このような刻印はありません。
元禄大判は江戸時代の大判の中で最も発行枚数が多いといわれていますが、後の改鋳の際に品質の良い新貨と交換され鋳つぶされたため、現在まで残っているものは多くありません。裏面に元禄を示す「元」という極印が打たれているのが特徴です。
出典:造幣局 : 造幣博物館のご案内(PDF:13.5MB)
元禄大判金の量目(重さ)と品位(純度)は以下のとおりです。
他の主要な江戸期大判金と比較すると、その品位の変化が明確になります。
名称 | 量目 | 品位 |
---|---|---|
天正大判金 | 165.2g | 金730/その他270 |
慶長大判金 | 164.7g | 金672/銀294/雑34 |
明暦大判金 | 167.7g | 金670/銀276/雑54 |
元禄大判金 | 164.5g | 金521/銀449/雑30 |
享保大判金 | 165.4g | 金676/銀324 |
天保大判金 | 165.2g | 金674/銀326 |
万延大判金 | 112.4g | 金344/銀639/雑17 |
ご覧のとおり、元禄大判金は慶長大判金とほぼ同じ重さ(約165g)ですが、金の割合(品位)は67.2%から52.1%へと大きく下がっています。
これは、徳川幕府が財政に困り、金貨の中の金の量を減らす「改鋳」を行ったことが原因です。
その結果、見た目は変わらなくても、お金としての本当の価値(実質的な価値)は減ってしまったことがわかります。
元禄大判金は発行された数も多く、合計で31,795枚※も作られたとされています。
これは、享保大判金の8,515枚や天保大判金の1,887枚と比べても、圧倒的に多い数です。
種類 | 発行年(主な時代) | 発行枚数 |
---|---|---|
慶長大判金 | 1601年~1695年 | 不明(現存数は比較的多い) |
元禄大判金 | 1695年~1710年 | 31,795枚※ |
享保大判金 | 1714年 | 8,515枚 |
天保大判金 | 1837年 | 1,887枚 |
万延大判金 | 1860年 | 4,860枚 |
元禄大判金は、江戸時代に発行された大判の中で最も多く作られたにもかかわらず、今では現存しているものがとても少ないため、古銭コレクターの間で非常に高く評価されています。
「たくさん作られたのに、なぜ今はほとんど残っていないのか?」
この一見不思議な現象には、当時の貨幣制度の仕組みが深く関わっています。
元禄大判金が発行されたあと、正徳(1711~1716年)や享保(1716~1736年)の時代に、金貨の質(=金の純度)が大きく上がる改鋳が行われました。
つまり、あとから出てきた新しい金貨のほうが、実際の価値が高かったのです。
そのため、元禄大判金などの古くて質の低い金貨を持っていた人々は、新しい質の良い金貨にどんどん交換してしまいました。
逆に、もし新しい金貨の質が下がるような場合には、人々は古い良質な金貨を手元に残そうとします。
たとえば、慶長金銀が今でも比較的多く残っているのは、このような理由によるものです。
しかし元禄や宝永期の金貨は、改鋳によって質の高い新貨にどんどん交換されたため、現代に残る数が少なくなってしまったのです。
このような背景から、元禄大判金は発行枚数は多かったにもかかわらず、今では非常に希少価値が高く古銭市場でも高値で取引される貴重な品となっています。
元禄大判金の表面には、「拾両」という額面と製造を担当した「後藤」の文字、後藤家当主の「花押=署名のような印」が墨で書かれていました。
大判金の製造は「大判座」という役所が独占しており、そこを任されていたのが京都の後藤家でした。
この「墨書」も後藤家の当主が代々おこなっており、大判金の「本物」を証明する大切な印でした。
大判金の墨書の状態によって、価値が大きく変わります。
元禄大判金の墨書は第十代後藤廉乗光侶と第十一代後藤通乗光寿によって施されました。
墨書は時間がたつと薄れたり消えたりすることがありました。
そうなると、持ち主は大判座に持ち込んで書き直してもらうのが一般的でした。
ただし、書き直しには費用がかかったため、人々は大判金を真綿で包むなどして、大事に保存していました。
さまざまな背景から、元禄大判金は非常に貴重な存在となりました。
唯一の年号印があることや、現存数の少なさが加わってコレクターの間では非常に高い評価を受けています。
歴史的価値と希少性を兼ね備えた、まさに古銭界の逸品といえる金貨です。
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