500円札がなくなった理由|いつまで流通していた?発行停止・廃止の背景

500円札が発行停止になったのは、500円硬貨が日常の支払いを担うようになったためです。
自動販売機で乗車券や酒類などを買う場面が増え、100円以下の硬貨だけでは支払いに手間がかかるようになりました。
そこで、100円の次を担う500円硬貨が導入されました。
500円札は500円玉が出た1982年に直ちに廃止されたわけではなく、C五百円券の発行が1994年4月1日に停止されるまで並行して発行されました。
発行停止※になっても、紙幣が使えなくなるわけではありません。
500円札の詳しい発行期間と500円玉への移行時期は、500円札から500円玉へ変わった時期・理由で年表とあわせて解説しています。
手元の500円札の価値や売却先を確認したい場合は、500円札の価値・買取価格をご覧ください。
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 1982年4月1日 | 500円白銅貨が流通開始 | 紙幣と硬貨が併存開始 |
| 1994年4月1日 | C五百円券が発行停止 | 500円札の新規発行が終了 |
| 現在 | B・C五百円券は有効 | 発行停止後も通用力を維持 |
目次
500円札が発行停止になった理由
500円札が発行停止になった理由は、500円硬貨が500円の支払いを担うようになったことです。
500円硬貨を導入した背景には、自動販売機の急速な普及と、硬貨流通で100円硬貨が中心になっていたことがありました。
国会では、大蔵省理財局の資料に示された導入理由として、次の2点が説明されています。
- 自動販売機の急速な普及
- 補助貨幣の流通高に占める100円硬貨の大きな割合
| 背景 | 確認できる事実 | 500円硬貨の役割 |
|---|---|---|
| 自動販売機の急増 | 1970年の約106万台から1982年の約486万台へ増加 | 高額商品の硬貨決済を補完 |
| 100円硬貨の比重 | 補助貨幣流通高の約63%を100円硬貨が占有 | 100円の次の額面を硬貨で補完 |
| 高額商品の無人販売 | 乗車券・雑誌類・酒類を国会答弁で例示 | 複数枚の100円硬貨を減らす |
500円硬貨の導入で500円札がすぐ使えなくなったわけではありません。
1982年から1994年まで約12年間、500円札と500円玉は並行して発行されました。
1970年から1982年までの自動販売機普及台数
自動販売機の普及台数は、500円白銅貨が発行される前の約12年間で約4.6倍になりました。
警察庁資料でも、自動販売機や両替機などを含む「自動販売機等」は全国で約490万台とされています。
約490万台は、現在の国内の自動販売機普及台数を上回る規模です。
| 年 | 普及台数 | 1970年比 |
|---|---|---|
| 1970年 | 1,064,210台 | 1.0倍 |
| 1971年 | 1,391,470台 | 1.3倍 |
| 1972年 | 1,780,570台 | 1.7倍 |
| 1973年 | 2,204,503台 | 2.1倍 |
| 1974年 | 2,502,324台 | 2.4倍 |
| 1975年 | 2,795,586台 | 2.6倍 |
| 1976年 | 3,096,290台 | 2.9倍 |
| 1977年 | 3,391,280台 | 3.2倍 |
| 1978年 | 3,769,950台 | 3.5倍 |
| 1979年 | 4,217,640台 | 4.0倍 |
| 1980年 | 4,581,650台 | 4.3倍 |
| 1981年 | 4,762,950台 | 4.5倍 |
| 1982年 | 4,861,140台 | 4.6倍 |
500円硬貨への対応が想定された商品
国会答弁で例示されたのは、飲み物だけではありません。
高額商品を扱う自動販売機を500円硬貨に対応させる一方、安価な商品を扱う機械は100円硬貨対応のままでもよいと説明されました。
| 商品 | 想定される機械 |
|---|---|
| 乗車券 | 鉄道などの券売機 |
| 雑誌類 | 新聞・雑誌の自動販売機 |
| 酒類 | 酒類の自動販売機 |
「500円の商品が増えたから」というより、100円以下の硬貨を何枚も投入せずに高額商品を買えるようにすることが導入の趣旨でした。
紙幣対応ではなく500円硬貨が選ばれた理由
500円札を受け付ける自動販売機もありましたが、紙幣を識別できる機械は多数派ではありませんでした。
1982年末には約490万台の自動販売機等があった一方、紙幣識別用の磁気検知センサーを備える高性能機は約20万台でした。
紙幣を識別できる高性能機は、全体の約4.1%にとどまりました。
既存の硬貨専用機を500円硬貨に対応させる方が、紙幣対応機を広げるより現実的だったと考えられます。
| 区分 | 台数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 自動販売機等 | 約490万台 | 硬貨を扱う無人機器が大規模に普及 |
| 紙幣識別センサー付き高性能機 | 約20万台 | 自動販売機等の約4.1% |
| 500円硬貨対応の改修費見込み | 1台約4万円 | 1981年の国会答弁で示された当時の見込み |
100円硬貨が硬貨流通の中心だった
1981年3月末、100円硬貨は補助貨幣※の流通高の63.6%を占めていました。
100円硬貨が、すでに硬貨流通の中心でした。
この63.6%は、紙幣を含む現金全体に対する割合ではありません。
補助貨幣の流通高に占める構成比であり、流通高は決済回数ではなく、市中に出ている額面金額を示します。
| 時点 | 100円硬貨の構成比 | 意味 |
|---|---|---|
| 1976年1月末 | 63.3% | 硬貨流通の6割超を100円硬貨が占有 |
| 1981年3月末 | 63.6% | 100円の次を担う高額硬貨が必要な状態 |
| 最新公表値 | 23.2% | 2026年7月の貨幣流通高に占める割合 |
1976年1月末の時点でも100円硬貨の構成比は63.3%でした。
約5年間にわたり6割超の状態が続いており、100円硬貨の比率が急に上がったというより、100円の次の額面を担う硬貨が必要な状態が続いていたといえます。
自動販売機が急増したことも重なり、500円硬貨の導入につながりました。
500円硬貨の普及後に不正利用対策が必要になった
500円硬貨は、自動販売機での決済に対応しやすい通貨として普及しました。
しかし、1999年には偽造貨・変造貨※が急増し、韓国の500ウォン貨を加工した変造500円貨が自動販売機で不正利用される問題も起きました。
自動販売機で使いやすくするために導入された500円硬貨が、後には硬貨識別を逆手に取った不正利用の標的にもなりました。
| 時期 | できごと | 500円札の発行停止との関係 |
|---|---|---|
| 1982年 | 500円白銅貨を導入 | 硬貨による500円決済が拡大 |
| 1999年 | 偽造貨・変造貨が急増 | 硬貨への移行後に生じた課題 |
| 2000年 | ニッケル黄銅貨を発行 | 潜像加工・斜めギザで対策を強化 |
| 2021年 | バイカラー・クラッド貨を発行 | 偽造抵抗力をさらに強化 |
2000年のニッケル黄銅貨は、偽造・変造への対応として、白銅貨から素材を変更し、潜像加工※と斜めギザを採用しました。
2021年のバイカラー・クラッド貨は、韓国の500ウォン貨による不正利用への直接的な対策ではなく、偽造抵抗力※をさらに高めるための改鋳です。
バイカラー・クラッド、異形斜めギザ、微細文字によって、従来のニッケル黄銅貨より偽造や変造をしにくくする工夫が加えられています。
新500円硬貨を受け付けない自動販売機がある理由
2021年に発行された500円バイカラー・クラッド貨は、額面が同じ500円でも、旧500円硬貨と素材や偽造防止技術が異なります。
旧型の自動販売機や券売機では、硬貨選別機※を交換または改修しなければ、新500円硬貨を識別できません。
新500円硬貨は当初、2021年度上期の発行が予定されていました。
新型コロナウイルス感染症による金銭機器の改修作業への影響を受けて延期され、2021年11月1日に発行が始まりました。
同じ500円硬貨でも、自動販売機の表示や改修状況によって使用できる機器と使用できない機器があります。

2022年3月の国会答弁では、新500円硬貨への対応率は、ATM類で約9割、鉄道の券売機で約8〜9割、飲料自動販売機で約2割と説明されました。
飲料自動販売機で対応が遅れた背景には、全国に多数設置された機器ごとに硬貨選別機の交換や改修が必要だったことに加え、コロナ禍による設備更新の先送り、コインメックの供給・改修作業の混雑がありました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 非対応になる理由 | 旧型の硬貨選別機が新貨の仕様を識別できない |
| 必要な対応 | 硬貨選別機の交換または機器改修 |
| 費用 | 機種、改修内容、出張作業で変動 |
| コロナ禍の影響 | 金銭機器の改修作業が遅れ、発行時期も延期 |
| 供給・作業の混雑 | コインメックの改修対応が集中し、納期遅延を案内 |
| 更新の判断 | 新500円硬貨の流通状況を見ながら対応 |
| 飲料自販機の対応率 | 2022年3月時点で約2割 |
費用について、政府は機器ごとの改修内容で負担が異なるため、正確な総額は把握していないと答弁しています。
同じ国会審議では、委員が自動販売機1台につき最低5万円程度との試算を示しました。
発行停止後も500円札は流通・利用できるのか
500円札は発行停止後も有効な日本銀行券です。
現在のATM、セルフレジ、自動精算機、自動販売機では、旧500円札を受け付けないことが一般的です。
| 確認したいこと | 回答 |
|---|---|
| 額面での通用力 | 現在も有効 |
| 新規発行 | 実施されていない |
| 流通での使いやすさ | 機械・店舗での受け入れは期待しにくい |
| ATMへの入金 | 旧500円札を受け付けない場合があるため、確実な方法ではない |
| 銀行窓口への預け入れ | 取扱可否は金融機関ごとに異なる |
| 日本銀行での交換 | 旧様式で流通に不便な紙幣は、現在発行中の紙幣へ引換可能 |
1994年4月1日以降、C五百円券の新規発行は行われていません。
500円札は一斉に回収されたわけではありません。
店舗で使われたり、金融機関へ預け入れられたりした紙幣は、金融機関を通じて日本銀行へ戻ります。
日本銀行では真偽・枚数・汚損の程度を鑑査し、流通に適さない紙幣を裁断します。
ATMは旧500円札を受け付けない場合があるため、回収・交換の手段として頼れません。
たとえば、みずほ銀行が公表するATM利用可能紙幣に、岩倉具視の500円札は含まれていません。
銀行窓口での預け入れも取扱条件が異なるため、事前に利用先へ確認してください。
旧様式で流通に不便な500円札は、日本銀行本支店の窓口で現在発行中の紙幣へ引き換えられます。
実際に使える場所や金融機関ごとの取扱いは、500円札は今でも使える?銀行・ATM・コンビニでの利用可否で確認してください。
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500円札の発行停止に関するよくある質問
500円札はなぜなくなったのですか?
500円札は1982年にすぐ廃止されたのではなく、1994年4月1日まで発行されました。
紙幣が使える自販機があるのに、なぜ500円玉になったのですか?
多数の硬貨専用機で高額商品を扱いやすくするため、500円硬貨への対応が進められました。
500円硬貨への対応が想定された商品は何ですか?
これらの高額商品を扱う自動販売機は、500円硬貨に対応する改修が想定されました。
500円札はいつまで流通していましたか?
発行停止後も通用力は失われていないため、法令による特別な措置がない限り、額面で有効です。
500円札は復活しますか?
現在の500円の額面は500円硬貨が担っています。
500円札は発行停止後も使えますか?
ATM、自動販売機、セルフレジなどでは受け付けないことが一般的なため、金融機関での交換を確認してください。






























