1円銀貨の分類

こちらの記事では1円銀貨の分類について解説をしていきます。

「1円銀貨」と言っても種類がいくつかあり、それぞれで値段も大きく違うので、お手元にお持ちの方もそうでない方も参考にしていただければ幸いです。

お急ぎの方は、最後の「要点まとめ」からお読みください。

[監修/執筆:渡邉 博

 

旧1円銀貨 or 新1円銀貨

まず、1円銀貨は大きく2つに分けることができます。
「旧1円銀貨」と「新1円銀貨」です。

この2つは柄が違うため、簡単に見分けることができます。

 

旧1円銀貨

旧1円銀貨は片方の面に大きく竜が描かれています。
この竜が握っている玉のことを「宝珠(ほうじゅ)」と呼びます。
竜の周りを「大日本・明治三年・一圓」という文字が取り囲んでいます。

もう片面には中央に日章(旭日)がデザインされています。
上部には 天皇と皇室の紋章である菊紋「十六弁八重表菊紋」と、その両側にそれに準じて格式あるとされる桐紋「五七桐花紋」があしらわれています。
下部には日章を取り囲むように菊と桐の枝飾りが描かれています。

また、旧1円銀貨は明治3年にしか発行されていません。

そして旧1円銀貨の中で分類できるポイントが2つあり、その中でそれぞれ
①「普通円」、「正貝円」、「欠貝円」
②「有輪」、「無輪」
に分けることができます。詳しくは後述いたします。

 

新1円銀貨

新1円銀貨は片方の面に大きく竜が描かれています。
この竜が握っている玉のことを「宝珠(ほうじゅ)」と呼びます。
竜の周りを「大日本・明治〇〇年・900・ONE YEN・416」という文字が取り囲んでいます。
この900は新1円銀貨の銀品位(含有量)を表していて、416は量目を表し、416 GRAINS(約26.96グラム)となっています。

もう片面には中央に大きく縦に「一圓」と書かれています。
上部には 天皇と皇室の紋章である菊紋「十六弁八重表菊紋」があり、その周りを取り囲むように菊と桐の枝飾りが描かれています。

新1円銀貨は大型・小型に分類をすることができます。
詳しくは後述いたします。

▶️新一円銀貨の歴史や価格については、こちらの記事もご参照ください!

 

旧1円銀貨の分類(「圓」3種類)

では、旧1円銀貨を見分けるポイントの1つ目です。
竜の真下部分、「一圓」の「」の字に注目してください。
(※昔の表記のため、時計回りに文字が書かれています。)

拡大したものをそれぞれ並べると、↓このようになり、

圓の部分が少しずつ違う「普通円」、「正貝円」、「欠貝円」の3種類に分けられます。

これから、それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。

 

普通円

まずは、3種類の中でもっとも数の多い「普通円」です。
普通円の「圓」の字を拡大して見てみましょう。

「圓」という字の11画目に当たる、「貝」部分の斜め払いが短く切れたようになっています。

払いの部分が切れていない正貝円と見比べてみると、違いがわかりやすいかもしれません。

 

正貝円

続いて、3種類の中で2番目に数の多い「正貝円」です。
読み方は「せいかいえん」、「せいがいえん」など、明確に定められていないので人によって違うかと思います。

正貝円の「圓」の字を拡大して見てみましょう。

どこも欠けていない、綺麗な「圓」の字になっています。

詳しくは後述しますが、普通円よりも発行枚数が少なく価値が高いため、買取金額が上がります。

 

欠貝円

最後は、3種類の中でもっとも発行枚数が少ない「欠貝円」です。
旧1円銀貨全体の2~3%程度とも言われています。
読み方は「けつかいえん」、「けつがいえん」、「けっかいえん」など、こちらも明確に定められていないので人によって違うかと思います。

欠貝円の「圓」の字を拡大して見てみましょう。

「圓」という字の9画目に当たる、「貝」部分の横線(内側下)が欠けたようになっています。
また、11画目の「貝」部分の斜め払いも、普通円と同様に短く切れたようになっています。

欠けがなく、払いの部分も切れていない正貝円と見比べてみると、違いがわかりやすいかもしれません。

3種類の中でもっとも発行枚数が少ないため、価値も1番高いです。
それぞれの弊社での買取金額については、この後ご説明いたします。

 

普通円・正貝円・欠貝円の買取金額

重ねてのご説明にはなりますが、それぞれの発行枚数は

 普通円 > 正貝円 > 欠貝円

となっているため、買取金額もこれに比例します。
弊社での買取金額は、以下の通りです。

普通円: 12,000~40,000円
正貝円: 15,000~50,000円
欠貝円: 40,000~20万円


上記は目安ですので、状態によってはこの限りではないこともございます。
より詳しく金額が知りたい方はこちらからご覧ください。

また、偽物である場合は買取価格は大幅に下がります。
旧1円銀貨の真贋の見分け方ページは、こちらの記事をご参照ください。

 

旧1円銀貨の分類(有輪・無輪)

では、旧1円銀貨を見分けるポイントの2つ目です。
先程とは反対側の、旭日模様の面をご覧ください。

赤い四角で囲まれている旭日の中央部分は、微妙な違いの2種類が存在します。
それぞれを「有輪」、「無輪」と呼びます。

これから、どこが違うのか詳しく見ていきましょう。

 

有輪・無輪の見分け方

まずは、こちらの画像をご覧ください。

旧1円銀貨の有輪と無輪を並べたものです。
(状態の違う2枚を並べているので、色味が違っていて申し訳ございません。)
どこが違うか、おわかりになりますか?

拡大写真もご覧ください。

正解は旭日の中央部分、外周の太さです。

有輪は外周が太くくっきりとしていて、無輪は太さがほぼなくすっきりとしています。
有輪はアウトラインが太いため、比較したときに丸い部分が小さく見えるかもしれません。
無輪はアウトラインが目立たないため、丸い部分が浮き出ているように見えるかもしれません。

これらを踏まえて、少し引いた写真をもう一度どうぞ。

なんとなくわかりますでしょうか?

ただ、有輪と無輪は市場価値に大きな差がありません。
なので、弊社では有輪と無輪の買取金額は区別をしておりません。

 

有輪・無輪の買取金額

少し上でもお伝えしましたが、有輪と無輪は市場価値に大きな差が無いため、弊社では有輪と無輪の買取金額は同額です。
(※ 他社様ではそうではない場合もございます。)

弊社での旧1円銀貨の買取は、市場価値に基づいて、
先程の「普通円」、「正貝円」、「欠貝円」を区別して査定をしています。
より詳しく金額が知りたい方はこちらからご覧ください。

もちろん偽物の場合、買取価格は大きく下がってしまいます。
旧1円銀貨の真贋については、こちらの記事もご参照くださいませ。

続いては、新1円銀貨の区別についてです。

 

新1円銀貨の分類(大型・小型)

新1円銀貨は大型と小型に分けられます。
上の画像はどちらが大型で、どちらが小型かわかりますか?

正解はこちらです。

 

0.5mmの差ですが、大型の方が少しだけ大きいです。
ノギスなどをお持ちでしたら、一度測ってみるのも良いかもしれません。

どちらか片方しかなくて並べて比較ができない場合でも、他の見分け方がいくつかございますのでご安心ください。

 

大型・小型の見分け方(1)

大きさ以外で大型と小型を見分けるポイントは2つあります。
まず1つ目は「面のふち部分の分厚さ」です。

それぞれの写真のふち部分を塗りつぶしたものが上の写真です。
外周部分の細かい点々を「馬の歯」と呼ぶのですが、
小型は馬の歯の外側にうっすらとふちがあり、
大型は馬の歯の外側にしっかりとふちがあります。

塗りつぶしのない写真ももう一度ご覧ください。

おわかりになりますでしょうか?

 

大型・小型の見分け方(2)

大型と小型を見分けるポイントの2つ目は「エッジ部分」です。
エッジ(edge)とは角やふちの部分のことを指します。

まずはこちらの写真をご覧ください。

どこに違いがあるかわかりますでしょうか?
では、エッジ部分を拡大した写真をご覧ください。

丸印のところに注目をしてみてください。

小型は角が丸くなだらかになっていて、
大型はしっかり角張っています。

目視でももちろんこのように判別はできますが、実際に触っていただいた方がよりわかりやすいかとは思います。
触ると小型はなだらかで、大型は角張っているために尖っているかのような感じがあります。

以上が新1円銀貨の大型・小型を見分けるポイントです。

 

新1円銀貨の買取金額

弊社での新1円銀貨の買取金額は、並年(プレミアのない年号)の場合、

未使用品: 1万円
美品: 6,000円
磨き有り: 5,000円
修正品: 3,500円

となります。
大型か小型かももちろん区別はしますが、それ以上にプレミアのある年号かどうかが大きく金額を分ける部分となります。

より詳しく金額が知りたい方はこちらからご覧ください。

新一円銀貨は偽物が多いです。偽物の場合、価格は大幅に下がります。
本物と偽物の見分け方については、こちらの記事をご覧ください。

 

おまけ:丸銀打ちについて

1円銀貨には「丸銀打ち」という加工が施されているものもございます。
まずはこちらの写真をご覧ください。

「圓」という字の右あたりに、「銀」という字が〇で囲まれた極印があります。
こちらを「丸銀」と呼びます。

この写真は新1円銀貨の小型です。
ものによっては、丸銀が左に打たれているものもあります。

 

丸銀打ちの意味

1円銀貨は元々貿易専用の貨幣として製造・発行されたものです。
明治11年からは国内でも流通できるようになったのですが、明治30年に日本政府は貨幣法の制定に際して、1円銀貨の通用停止・引換禁止を決めました。

ところが、日清戦争以来 台湾や朝鮮では1円銀貨が広く流通していて、すぐに通用禁止にできず、当分の間、丸銀の極印を打ち、外地でのみ通用を認めることになりました。
しかしいざ実施すると、丸銀の有無で使える・使えないといった市場の混乱が発生したため、明治30年10月に発効した丸銀打ちは、翌31年3月には取り止めになりました。

丸銀打ちの有無は市場価値にそこまで大きな差がありません。
なので、弊社では丸銀打ちの有無で買取金額の区別をしておりません。

 

丸銀打ちの買取金額

少し上でもお伝えしましたが、丸銀打ちの有無は市場価値に大きな差が無いため、弊社では丸銀打ちの有るものと無いものの買取金額は同額です。
(※他社様ではそうではない場合もございます。)

弊社での旧1円銀貨の買取は、市場価値に基づいて、
先程の「普通円」、「正貝円」、「欠貝円」を区別して査定をしています。
より詳しく金額が知りたい方はこちらからご覧ください。

もし偽物である場合、買取価格がつかないこともあります。
こちらの記事を参考に、旧1円銀貨の真贋を見分けてみてください。

新1円銀貨の買取金額が知りたい方はこちらからご覧ください。

新1円銀貨も偽物ですと、買取価格は大幅に下がってしまいます。
新1円銀貨の真贋については、こちらの記事で詳しくとりあげています!

 

要点まとめ

① 旧1円銀貨と新1円銀貨を分類

片面が竜、もう片面が日章(旭日)の場合は 旧1円銀貨

片面が竜、もう片面に縦書きで「一圓」の場合は 新1円銀貨

 

② 旧1円銀貨を「圓」で3種類に分類

「圓」の「貝」部分の斜め払いが切れていたら 普通円

「圓」の「貝」部分がどこも欠けていないのは 正貝円

「圓」の「貝」部分の内側下の横線が切れていたら 欠貝円

 

③ 旧1円銀貨を日章(旭日)で2種類に分類

日章の円の外周が太くくっきりしていたら 有輪

日章の円の外周が細くすっきりしていたら 無輪

 

④ 新1円銀貨を大型と小型に分類

直径が違う(小型:38.1mm、大型:38.6mm)

面のふち部分が違う(小型:ふちが薄い、大型:ふちが分厚い)

エッジ部分が違う(小型:角が丸くなだらか、大型:角張っている)

 

もちろん、状態などによってはこの判別方法に当てはまらない場合も無いとは言い切れません。
あくまでも参考にしていただければ幸いです。

 

この記事を見てもわからないことがありましたら、LINEでの無料査定も承っております。