10銭銀貨の価値はどれくらい? 10銭銀貨全3種の価値をお教えします!

10銭というお金が見つかりました。これは価値があるものでしょうか?

これは10銭銀貨になります!
銀貨の10銭は、明治3年〜大正6年まで発行されていたものです。

銀貨ということは、価値があるんでしょうか?

はい。10銭銀貨は、銀以上の価値があります!
古銭鑑定士が、10銭銀貨について解説いたします。

[監修:渡邉 博/執筆:増田 英明

10銭銀貨の全種類と価値

この記事では、明治時代に発行された10銭の額面を持つ銀貨をご紹介します。
10銭銀貨は明治3年〜大正6年にかけて発行され、全部で3種類あります。
買取価格も一緒に掲載していますので、一目で価値がわかります。

旭日竜10銭銀貨(明治3年)

旭日竜10銭銀貨表
旭日竜10銭銀貨裏

本日の買取価格

  • 明治3年 明瞭ウロコ【美品】:1,200円
  • 並年【美品】:350円

・素材(品位):銀800/銅200
・重さ:2.50グラム
・直径:17.57mm

旭日竜10銭銀貨は、明治3年に発行された10銭の額面を持つ銀貨です。
ですが、わずか1年でその役目を終えたため、総発行枚数は1年間で600万枚ほどです。
また旭日竜10銭銀貨には、デザインの一部が通常のものと異なる手替わりが存在します。
手替わり品は普通品に比べて希少性があるため、価値があります。
有名なものは明瞭ウロコという手替わりです。
この明瞭ウロコは明治3年に発行された手替わりです。

旭日竜10銭銀貨の買取金額と詳細はこちらをご覧ください。

竜10銭銀貨(明治6〜39年)

竜10銭銀貨表
竜10銭銀貨裏

本日の買取価格

  • 明治7年 ハネ明【美品】:23,000円
  • 並年【美品】:300円

・素材(品位):銀800/銅200
・重さ:2.70グラム
・直径:17.57mm

旭日竜10銭銀貨にかわって、明治6〜39年にかけて発行されたのが竜10銭銀貨です。
こちらは約33年にもわたって発行されており、発行枚数は年ごとにバラバラです。
最も多い明治38年で3,400万枚程度、少ない明治13年で77枚ほどです。
そのため発行枚数の少ない年は特年と呼ばれ、価値のある年号として知られています。

竜10銭銀貨は、旭日竜10銭銀貨のように手替わりが存在します。
有名なものは明治7年のハネ明と呼ばれるものです。
異なる箇所は、元号である明治の「明」の字になります。
前期は「明」の字のうち「日」にハネがあり「月」とくっついてるように見えます。この手替わりがハネ明と呼ばれています。
さらに明治7年は発行枚数も他の年号に比べ少なく、約1,000万枚ほどしか発行されておりません。

竜10銭銀貨の買取金額と詳細はこちらをご覧ください。

旭日10銭銀貨(明治40年〜大正6年)

旭日10銭銀貨表
旭日10銭銀貨裏

本日の買取価格

  • 100円

・素材(品位):銀800/銅200
・重さ:2.25グラム
・直径:17.57mm

明治40年からは、竜から旭日章にデザインが変更された旭日10銭銀貨が発行されました。
初年(明治40年)の発行枚数は1,200万枚、翌々年の明治42年には2,000万枚と、発行枚数が2倍以上になっています。
それ以降は、発行年によってばらつきがあるものの、発行枚数は1,000万枚以上となっています。
このように旭日10銭は全体に発行枚数が多く、他の10銭銀貨に比べて価値は高くありません。

旭日10銭銀貨で最も価値のあるのは初年度の明治40年で、状態が良いと市場では多少プレミアがつきます。
しかし旭日10銭は流通品が多く、また発行から年月が経っているため、状態の良いものは稀です。

また銀貨のデザインは表面は変更がありましたが、額面のある面については竜10銭銀貨と同じになっています。

旭日10銭銀貨についてはこちらで詳しくご紹介しています。

10銭銀貨、3種類を比較してみました!

以上、10銭の額面、を持つ銀貨を簡単にご紹介しました。
ここからは実際に10銭銀貨、3種類を比較してみます。
どんな違いがあるのか、確かめてみましょう。

写真の左から、旭日竜10銭銀貨、竜10銭銀貨、旭日10銭銀貨の順で並べています。
10銭銀貨比較表
ぱっと見ただけでは、大きさに違いがあるか分からないですよね。
それもそのはず。10銭銀貨は3種類とも公称値は17.57mmとなっています。
例えば50銭銀貨ですと、各種それぞれに大きさが異なります。
ですが10銭銀貨は、すべて同じ直径なのです。

また、竜10銭銀貨と旭日10銭銀貨は表面のデザインが同じです。
大きさが同じなので、裏面まで見ないと、どちらのものかわかりません。
ちなみに一番古い旭日竜10銭銀貨だけは、旭日章のあるデザインになっています。
このデザイン構成は、20銭銀貨などでも同じようになっています。

次に反対面を見ていきましょう。

10銭銀貨比較反対面
どんな印象を持たれましたか。
旭日10銭銀貨にくらべ、竜10銭、旭日10銭の方が高額な感じがしませんか。

額面や発行年が円周に沿って記されているのは、3種類に共通です。
記載に使われている書体もトメ、ハライのある明朝体が使われています。
またこの時代のものは、横組みの文章は右から左に読みます。
うっかりすると「明治四十年」を「明治十四年」と読み間違えることもありそうですね。

では現在使っている硬貨と比べてみると、どんな感じでしょうか。
現役の1円玉と比べてみました!
1円玉と比較
ぱっと見ただけでも、現在使っている1円玉の方が大きいのが分かります。

1円玉の直径が20mmで10銭銀貨と約2.43mmほどの差があります。
そのため、1円玉の方が一回りほど大きいサイズとなっているのです。

確かに額面も1円玉の方が大きいです。10銭が10枚で1円です。
ですが、現在の1円玉はアルミニウム製、10銭は銀貨です。
実際の価値でいえば、昔の10銭の方がはるかに高いことが分かります。

10銭の額面を持つ銀貨は他にある?

10銭という額面の貨幣は、旭日10銭銀貨の後、銀製ではなくなりました。

ですが、実は大正7年に製造までされた、幻の10銭銀貨があるんです!
それが八咫烏(やたがらす)10銭銀貨と呼ばれるものです。

八咫烏10銭銀貨(大正7・8年)

八咫烏10銭銀貨表
八咫烏10銭銀貨裏

本日の買取価格

  • 1,200,000円以上
    ※状態、発行年により異なります

・素材(品位):銀720/銅280
・重さ:1.50グラム
・直径:16.06mm

八咫烏10銭銀貨は表、裏のデザインともに小型50銭銀貨に類似したデザインの銀貨です。
裏面の旭日章の真中にある、八咫烏(ヤタガラス、日本の神話に登場する三本足カラス)の飛翔する姿が特徴の銀貨です。
八咫烏10銭銀貨は、それまでの10銭銀貨に比べて品位が720に下げられています。
そして銀貨のサイズも少し小さくなっています。
この銀貨、発行準備は進んでいたものの、銀価格が高騰したために全量回収となりました。
市場には流通しなかったため、試鋳貨というジャンルに分類されています。

なお、この八咫烏銀貨は他にも20銭、50銭も作成されました。

この八咫烏10銭銀貨以降、10銭の額面で銀貨は発行されていません。
大正9年からは白銅貨となり、時代によって素材は変化していきます。
簡単に名前だけご紹介しておきます。

10銭白銅貨(大正9〜昭和7年)
10銭ニッケル貨(昭和8〜12年)
10銭アルミ青銅貨(昭和13〜15年)

戦中にかけては資材不足からアルミニウムや錫になりました。

菊10銭アルミ貨(昭和15〜18年)
10銭錫貨(昭和19年)
稲10銭アルミ貨(昭和20~21年)

そして戦後、1953(昭和28)年「小額通貨整理法」の制定によって、銭・厘の硬貨・紙幣は全て通用停止となり、姿を消しました。
これ以後、現在に至るまで、10銭という額面の貨幣は発行されていません。

価値のある10銭銀貨は古銭のプロに査定依頼を!

以上、10銭銀貨全3種類とその価値についてお伝えしました。
10銭銀貨、特に旭日竜10銭銀貨や竜10銭銀貨は銀の価値以上にプレミアが付きます。
しかも試鋳貨の八咫烏10銭銀貨という、とても希少な銀貨が存在することも分かりました。

しかし価値があるからこそ、偽物も多く出回っているのが現状です。
まずは実績のある専門家に鑑定してもらうのが一番良い方法です。

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