



円肩方足布 安邑二釿(倒書)
素材:銅
時代:先秦(~BC221)
重さ:27.5g
直径:64.5mm
円肩方足布 梁充釿五十当寽
素材:銅
時代:先秦(~BC221)
重さ:19.8g
直径:60.5mm
方足布 藺
素材:銅
量目:4.72g
直径:58.7mm
方足布 匋陽 背左
素材:銅
量目:6.11g
長径:47.3mm
古代中国の銅貨「方足布」は、その銘文や形状、保存状態で大きく価値が変動します。
本記事では代表的な例と現在の買取相場を紹介し、査定時の注目ポイントを解説します。
目次
現代における方足布の価値
方足布は現代の中国古銭コレクター・収集家に高い人気があります。
収集家に人気の理由
- 歴史的価値
- 中国戦国時代の経済・政治背景を映す資料として高い重要性
- 地域ごとの違い
- 形や銘文の違いが非常に多く、集める楽しみがある
- 希少性
- 一部の銘文がある方足布・燕式方足布は極めて珍しく、高額で取引される
ネットでの取引価格
ネットオークションでも頻繁に方足布の取引がされています。
銘文や状態によって価格が大きく変わるため、最近の落札価格を簡単にまとめました。
| ネットの取引価格 | 1,000円~15万円 |
|---|
高額取引された方足布
実際に取引された方足布で、近年、特に高額だったものをいくつかご紹介します。
現存する数の少ない方足布や銘文によって価値が大きく変わります。
| 種類 | 取引時期 | 実際の取引価格 |
|---|---|---|
| 方足布 襄垣 | 35万4,900円 | |
| 方足布 皮氏 | 26万5,300円 | |
| 方足布 侖阝氏 | 403万4,000円 | |
| 方足布 露(右) | 84万3,000円 | |
| 燕式方足布 宜平 | 192万円 |
真贋の見極めの難しさ
方足布の真贋を見極めるには、以下のような難しさがあります。
- 地名など銘文の読解が難しい(書体の崩れ、字の省略・倒書など)
- 同名の地名が複数存在する
- 鋳造国の判定が困難(魏・韓・趙・周などの文字の類似性)
総合的な古銭の知識や文字研究・地域史の知識が必要で、今なお研究がすすめられているのが実状です。
方足布とは?
方足布は、古代中国の戦国時代に使われていた青銅製の貨幣の一種です。
布幣・布貨・布銭とよばれる貨幣に分類され、下部の足がまっすぐで四角いことから、方足(四角い足)布(布幣・布貨)とよばれます。
農具の「鍬・鋤」の形を模したこの貨幣は、古代中国の経済や政治を知る上で非常に重要な存在です。
歴史と起源
方足布は、それ以前に使われていた「尖足布」という貨幣の改良版です。
尖った足が折れやすかったため、各国がより「実用的な形=四角い形の足」を持つ貨幣へと進化させました。

足部を四角にして壊れにくい形に変化
この改革は、鄭・衛・宋といった国々から始まり、やがて韓・魏・趙などの三晋と呼ばれる国々に広がっていきました。
以下が大きな改良点・特徴です。
- 折れにくい四角い足
- 首部が広く、「耳」と呼ばれる突起がついているものがある(鋭角布・有耳布)
- 長さは約4.5〜6.5cm、重さは13g前後(地域により異なる)
抛弃了容易折损的尖足,改为抗击力较强的方足
(壊れやすい尖った脚は廃止され、より耐久性の高い四角い脚に置き換えられました。)
出典:方足布_百度百科
方足布の種類と地域別の特徴
方足布は、戦国時代の中期~末期に中国北方を中心に各国で鋳造されました。
地域ごとにサイズや重さ、銘文のスタイルが異なり、それぞれの国の経済政策や文化を反映しています。
主な地域と特徴
- 三晋(魏・韓・趙)
- 最も多く鋳造。安陽、大陰、北屈など地名入り
重量感あり、銅質も良好 - 秦国
- 魏や趙の重要地域を占領後、大量に鋳造
特に「安陽」製は流通量が非常に多い - 燕国
- 陶陽、坪陰など
裏に「左」「右」などの銘文されたものもある - その他(斉・魯・宋など)
- 独自の書体や鋳造技術が使われており、地域性が見られる
類方足布
類方足布は、趙国が作った方足布の一種で、尖足布と方足布の中間の形です。
- 細長い形で、足はやや尖りつつも平ら
- 銘文には「大陰」「榆即」「塗水」など趙国の地名が多い
- 主に山西省北部で出土
- 他の方足布とは共に出土しないため、独自の流通エリアを持っていたと考えられる
この貨幣は、尖足布から方足布へと変化していく「過渡期の貨幣」として、歴史的に高い価値があります。
燕式方足布
燕式方足布は、燕国で作られた独特な方足布です。
- 形は基本的に方足布と同じ
- 裏面に「左」「右」などの文字を持つものが特徴
- 主な銘文:「安陽」「坪陰」「襄坪」「右明新冶」「宜平」
なかでも「宜平」の銘文があるものは極めて希少で、市場では高値で取引されます。
重さと大きさ
方足布の大きさは、大まかに大小2種類に分別できます。
| 分類 | サイズ | 重さ |
|---|---|---|
| 一般的な小型方足布 | 長さ 約45~48mm 肩幅 約23~26mm 足幅 約24~29mm |
約3.5~8g |
| 特定の大型方足布 | 長さ 約47~49mm 肩幅 約28~29mm 足幅 約30~31mm |
約9~14g |
地域・時期による重さ・サイズ
方足布の重さは、種類や鋳造された地域・時期によって異なります。
- 初期の「鋭角布」「有耳布」
-
長さ:約4.5~6.5cm
重さ:約13g
特徴:方足布の前段階
鄭国は重くて大きく、宋・衛はやや小型 - 三晋(魏・韓・趙)で鋳造された一般的な方足布
-
長さ:約5cm
重さ:約7~8g(最小でも5g以上)
特徴:鋳造量が多く、銅質が良好。実用性の高い標準タイプ - 魏の「戈邑(かゆう)」大布
-
重さ:約9~14g(初期は14gに近い)
備考:「安邑一釿布」に相当し、重量制の後期(=一釿・二釿制)に属する - 秦国で鋳造された方足布
-
大型タイプ:小型布の約2倍の重さ
額面:重さよりも価値が大きく、小型布の十数倍以上になることも
特徴:大銭の始まりとされる戦略的発行 - 趙国の「類方足布」
-
長さ:約50mm
幅:約27mm
重さ:約5g
特徴:尖足布と方足布の中間、形状も重さもやや軽量
方足布の重さは一律ではなく、時代・国・目的によって変化していたことが分かります。
時代が後期になるにつれて、小型化・軽量化されていたようです。
方足布の終焉
方足布は、戦国時代を通じて約200年ものあいだ流通していましたが、最終的には秦の始皇帝による貨幣統一によって廃止されました。
秦が敵国の金融をかく乱するために、大量の「方足布」を発行し貨幣の信用を崩したことが、方足布の終焉を早めたと考えられています。
まとめ|方足布は中国古代の経済と文化の鍵
方足布は、ただの古銭ではありません。
このユニークな形をした貨幣からは、古代中国の習慣・鋳造地の特徴や歴史的な背景までが浮かび上がってきます。
まるで小さな貨幣が、当時の国同士の駆け引きや、民の暮らしを語っているかのようです。
古銭コレクターや歴史ファンだけでなく、多くの人の興味をかきたてる魅力的な古代通貨です。
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