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空首布は、古代中国で使われた布銭・布幣・布貨とよばれる貨幣の一種です。
農具の鋤の形をした青銅製の貨幣で、主に春秋戦国時代(紀元前770年〜紀元前221年)に流通していました。
空首布は、首(上部)の部分に四角錐の空洞があることが特徴で、鋤(シャベル)型の青銅貨幣です。
この空洞には、もともと木の柄を差し込むための穴がありました。
そこから「空首」という名前がつけられました。
它是模仿古代一种农具铲而来的,古代铲土的农具带有一个把儿,为了插把儿,有一个安把的地方像空心的方锥
空首布は、布幣の中でも初期に登場した形式で、当初は実用的な農具に近い形をしていました。
しかし時代が進むにつれて、実用性よりも貨幣としての機能が重視され、形が簡素化されていきました。
首部に空洞がないものは平首布として区別されます。
項目 | 空首布 | 平首布 |
---|---|---|
首部の形状 | 立体的で空洞在り | 平坦 |
出現時期 | 主に春秋中期〜後期 (紀元前600〜400年ごろ) |
主に春秋後期〜戦国初期 (紀元前500〜300年ごろ) |
構造 | 肩や足が鋭く突き出すものが多い | 肩や足が丸みを帯び、全体的に簡素化 |
実用性の名残 | 初期には実際の農具に近い形 | 実用性はなく、純粋な貨幣デザイン |
主な鋳造地 | 晋、周王室、韓、趙など | 周王室、魏、鄭、衛、宋など |
銘文 | 初期は無文(文字なし)が多い | 地名・数字などの銘文が豊富に刻まれる |
代表的な形 | 聳肩尖足型、平肩弧足型など | 平肩弧足型、斜肩弧足型など |
発展の流れ | 原始布 → 空首布 → 平首布 → 刀幣・円銭へ | 空首布からの発展形として出現 |
空首布は、中国の西周末期から春秋時代初期にかけて登場し、春秋戦国時代に広く使用されました。
主に現在の山西省や河南省周辺で鋳造・流通しており、晋国や周王室、衛・鄭・韓・趙などの国々で使われていました。
その後、秦の始皇帝が中国全土を統一し貨幣制度を一本化した際に、空首布を含む布幣は廃止されてしまいます。
一時期、新莽時代に復活しますが、それは新しい制度に基づいた異なる形の布幣でした。
空首布は、以下のような構造を持っています。
形状は時代とともに変化し、初期の大きく重厚なものから、後期には軽量で小型の形に変わっていきました。
各部位の形の特徴で区分され取り扱われます。
空首布は形状によっていくつかの種類に分けられます。
代表的なタイプを紹介します。
空首布は当時としては高額の貨幣であり、貝貨などよりも高い取引に使われました。
具体的に貨幣として取り扱われた記録は少ないですが、重さや大きさに関係なく単純に個数で取引されたと考えられています。
現在、出土している空首布は限られています。
特に初期の大型で文字がないタイプや、複数枚が連なった状態のものは非常に珍しく高い価値があります。
また、後期に鋳造された「武」「宋」「田」などの文字がある空首布も、アンティークコレクター・古銭コレクターの間で高額で取引されています。
空首布は、農具を起源とする青銅製の貨幣であり、中国における貨幣制度の進化を示す重要な遺物です。
その形状や素材、使用地域から当時の経済や社会の様子を知る手がかりにもなります。
現在では歴史的価値が非常に高く、考古学的にも注目されている「空首布」。
中国最古級の貨幣として、今後もその研究と発見が期待されています。
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