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目次
太平天国古銭とは、19世紀中頃の中国で興った反乱政権「太平天国※」が鋳造した貨幣です。
中でも背聖宝とよばれる貨幣が最も一般的な銘文として知られています。
太平天国銭が鋳造されたのは、太平天国が清朝と戦っていた激動の時代です。
鋳造は1853年頃から始まり、太平天国の首都であった天京(現在の南京)を中心に進められました。
太平天国は清朝の支配を打倒し、独自の国家体制と経済基盤を築こうとしました。
その一環として、自前の貨幣制度が確立されました。
清朝の貨幣を参考にしつつも、独自色の強い貨幣を発行したのです。
特徴の一つとしてあげられるのは、清朝の貨幣は表に漢文、裏に満州文字が使われているのに対し、太平天国銭では両面とも漢文が使われています。
「聖宝」という名称は、太平天国が行っていた「聖庫制度※」に由来します。
太平天国はキリスト教的な教義に基づいた独自の信仰体系「拝上帝教」を掲げており、その中で「聖」は至高の存在「上帝(神)」を象徴する文字でした。
「聖」の文字をつけられた「太平天国聖宝」は単なる貨幣ではなく、太平天国の宗教的・政治的理念を反映したものでもあります。
また、清朝の貨幣と明確に差別化する意図もあったと考えられます。
太平天国古銭には、多様なデザインとバリエーションが存在します。
基本的には「太」「平」「天」「国」「聖」「寶」の6文字が表と裏に配置されています。
「国」の字は、「囗」(くにがまえ)の中に「玉」ではなく「王」を配した独特な字体が使われているのも特徴です。
口(くにがまえ)の中が王
最も一般的なものは表面に「太平天国」、裏面に「聖宝」が銘文された貨幣です。
裏に「聖宝」が銘文された貨幣は「背聖宝」とよばれます。
銘文の組み合わせだけでも様々なものが存在します。
名称 | 表 | 裏 |
---|---|---|
太平天国背聖宝 | 太平天国 | 聖宝 |
太平聖宝背天国 | 太平聖宝 | 天国 |
天国聖宝背太平 | 天国聖宝 | 太平 |
天国通宝 | 天国 | 通宝 |
天国聖宝 | 天国 | 聖宝 |
天国太平背聖宝 | 天国太平 | 聖宝 |
太平通宝※ | 太平通宝 | – |
裏面の「聖宝」の文字も、縦に配置されたものは「縦聖宝」(主に前期)、横に配置されたものは「横聖宝」(主に後期)と区別されます。
左:背縦聖宝 右:背横聖宝
書体には、宋体、楷書体、隷書体などがあり、中でも宋体の横書き「聖宝」小平銭が最も多く見られます。
「太平天国銭」の銘文には額面の銘文はありません。
ですが、大まかに分類すると下記の額面があったようです。
大致可分为小平钱、当五型、当十型、当五十型和当百型5种
ほかにも当二(折二)や当二十といった額面があったとされています。
太平天国が鋳造した銭貨には様々な種類があり、サイズも多様です。
太平天国が発行した貨幣の材質は多岐にわたりますが、主な材質は銅でした。
銅にも様々な材質の違いがあり、主流は黄銅でしたが青銅・白銅・紅銅も使用されました。
また、同じ種類の貨幣でも銅の材質が異なる場合もあったようです。
財政状況や材料の調達状況に応じて、少量の鉄銭や鉛銭も鋳造されたようです。
これは当時の清朝の貨幣にも見られた傾向です。
金や銀の貨幣も鋳造されましたが、流通を目的としたものではなく、褒美や贈答用あるいは葬儀で埋葬するお金だったと考えられています。
これらは鋳造量が極めて少なく、現存する実物は非常に希少です。
さらに、流通を目的としない鎮庫銭や大花銭(絵銭)のような大型の銭貨には、金メッキ(鎏金)が施された豪華なものも存在します。
太平天国銭の鋳造は天京(南京)が主要な地域であったとされています。
太平天国は咸豊3年(1853年)に南京に都を構えた後、天京の朝天宮に「鋳銭匠」という官職を設けて鋳造を担当させました。
試作を経て、翌年6月に発行を開始しました。
以下の各地で太平天国銭が鋳造されました。
これらの地域は、太平天国が活動した主要な都市です。
太平天国は清朝により短期間で鎮圧され、多くの「太平天国銭」が破棄されたため、現存数が少なく希少価値が高いとされています。
最も一般的な貨幣でも、保存状態によっては数万円以上の価格で取引されています。
特に珍しい大型の鎮庫銭や花銭(絵銭)は、オークションで高額落札されるケースもあります。
「太平天国銭」はその希少性と人気から、偽物が多く出回っている古銭の一つです。
購入時には以下の点に注意しましょう。
知識が浅い状態での購入はリスクが高いため、専門書や資料で十分に学んでから収集を始めることをおすすめします。
「太平天国銭」は、短命ながら中国史に大きな足跡を残した太平天国政権の存在を物語る重要な古銭です。
宗教、政治、経済が複雑に絡み合った背景を持ち、収集する価値の高い貨幣として多くのコレクターを魅了しています。
その希少性、多様性、歴史的背景を理解することで、「太平天国銭」は単なる古銭ではなく、19世紀の中国を映し出す貴重な文化遺産であることが実感できるでしょう。
「太平天国 背・聖宝」銭は、清朝末期の民衆反乱政権「太平天国(1851年~1864年)」が独自に鋳造した銅銭の一種です。この銭の表面には「太平天国」、裏面には「聖宝」の文字が刻まれており、当時の太平天国による経済政策や思想が反映されています。
この貨幣は形状としては清朝の通常銭と同様、円形で中央に方孔があるもので、サイズや文字の配置(縦書き・横書き)には複数のバリエーションが存在します。書体にも楷書や篆書などが使われ、多様性が見られます。
太平天国は中央集権的な統制経済を導入しており、「聖庫」と呼ばれる国庫制度を通じて財貨や農産物、金銀などを一元管理しようとしていました。この貨幣もそうした制度の一環として発行されたものであり、太平天国領内での流通を目指していました。
しかしながら、太平天国銭はその経済圏以外では信頼性に乏しく、都市外部の商人や庶民の間では依然として清朝の貨幣が主に使用されていたため、実際の流通量は限られていたと考えられています。
現在では、この「太平天国 背・聖宝」銭は希少価値のある歴史的資料として収集家の間で注目されています。鋳造地やバリエーション、現存数によっては極めて高値で取引されることもあり、歴史的・文化的価値の高い古銭です。
買取価格 | 30,000 円 |
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買取日 | |
カテゴリー | 中国古銭の買取実績 |
エリア | 大阪府 |
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