貿易銀は偽物が多く存在している!? 簡単真贋チェック

前に見た某鑑定番組で、貿易銀にすごい高値がついててびっくりしました!

貿易銀は発行期間が短いため、希少価値が高いんですよ。ただし、偽物も多く出回っていることで有名です。

そうなんですか…、それって、私でも見分けることはできますか?

では各ポイントを押さえながら、貿易銀の本物と偽物について解説しましょう。

[監修:渡邉 博/執筆:増田 英明

貿易銀の基本情報

貿易銀

  • 重さ:27.22g
  • 品位:銀900/銅100
  • 直径:38.58mm

まずは、こちらの基本情報を頭に入れておきましょう。

本物と偽物の見分け方

貿易銀の真贋を見分けるポイントは3つです。

POINT

  1. 重さを計る
  2. デザインを見る
  3. 側面を見る

この3つを押さておけばいいんですね!

それぞれ確認してみましょう。

ポイント1:重さを計る

最初に、真贋判定の基本である重さを計ってチェックします。

製造時の本物の重さは27.22gです。
およそ27.05g〜27.22gの範囲が、本物と偽物を見分ける際の基準になります。

本物と偽物の重さを比較

左が27.21gで本物、右が17.33gで偽物です。

本物は、重さが27.05g〜27.22gの範囲内なのですぐわかりますね。
対して偽物は、明らかに軽いですよね。

まず手にした時に軽いと感じたら、偽物を疑ってみてください。

ポイント2:デザインを見る

次に、表面と裏面それぞれのデザインをチェックします。

表面の文字を比較

貿易銀表

表面の貿易銀の文字を見比べてください。
本物は、文字のトメやハネ、角がしっかりしています。
偽物は、文字が全体的に細く、弱々しい印象になっています。

貿易銀裏

本物は銀の品位を示す900の文字がはっきり見えます。
偽物は文字が太く、潰れています。

このようにデザインを意識して見ることで、偽物を見抜くことができます。

ポイント3:側面を見る

最後に、側面をチェックします。

左の本物はギザギザの溝がはっきりと、だいたい等間隔で刻まれています。
右の偽物は溝が浅かったり短かったり、間隔も不均一です。

稀に、真ん中に線のようなものが入っているものもあります。
これは鋳造後に残ったバリです。
本物はプレス加工で製造されているため、バリはありません。
このバリの存在だけで、偽物だと判断できます。

­※鋳造…溶かした金属を金型に流し込んで作る方法
※プレス加工…金型に金属を入れ、圧力をかけて変形させる方法

このように、側面を見ることで、偽物を判別することもできます。

シークレットマークの見つけ方

ほかに、もっとお手軽に偽物を見分ける方法ってないんですか。

シークレットマークの有無で、簡単に真贋を見分けることもできます。

貿易銀には、本物であれば、シークレットマークが存在しています。
シークレットマークとは、本物と偽物を見分けやすいように、わざと入れた印のことです。
紙幣でいう「透かし」のようなものです。
つまり、シークレットマークがなければ偽物だと判断できます。

それではシークレットマークをチェックしてみましょう。
シークレットマークは、貿易銀と書かれた表面にあります。

赤囲みのあたりをルーペで拡大してみましょう。
菊紋の頂点からスタートして、ちょうど8本目の馬の歯が細くなっていますね。
これが、貿易銀のシークレットマークです。

ちなみに時計の針でたとえると、「だいたい1時の方向」になります。
数を忘れてしまったら、だいたい1時の方向で、細い歯を探してみましょう。

とはいえ、シークレットマークが存在しない、本物の貿易銀も存在します。
手変わりのうち「大桐」にはシークレットマークが存在しないとも言われています。

判断できない場合は、ぜひ専門の鑑定士に相談してみましょう。

手変わり品について

見分け方はわかりました!ところで、表面の葉っぱのデザインが、少しずつ違うものがあったんですよ。これって偽物なんですか?

手変わり品の事ですね。では、次に貿易銀の手変わり品について説明しましょう。

貿易銀は、手替り品というものが存在します。具体的には、表面の葉のデザイン部分が、通常のものと異なります。

種類は以下の4つです。

  • 大桐
  • 長支脈
  • 短支脈
  • 対象脈

中でも大桐は、明治8年と明治9年だけに存在し、流通量が少なく希少価値が高いです。

大桐

大桐

画像は明治8年の大桐です。
通常のものに比べて、桐の葉が大きく彫りが浅いのが特徴です。
他の桐葉についても、すこし大振りで、浅彫りになっています。

長支脈

画像は明治10年の長支脈です。
長支脈を見分けるには、桐葉にある赤丸部分に注目してください。
通常のものに比べ、3本の葉脈が同じ場所からキレイに伸びています。

短支脈

短支脈
画像は明治8年の短支脈です。
短支脈を見分けるには、一番大きな桐葉の支脈(赤丸部分)に注目します。
短支脈は、3本の支脈の位置がズレているのがわかります。
普通のものは、3本の支脈が同じところから分かれています。

手替り品については、今後も画像をアップしていきます。

修正品について

修正品とは、刻印部分を金属で穴埋めしたり、削り取った痕跡が見受けられる物です。

修正がある場合、通常のものより価値が下がってしまいます。

なお、同じく銀貨である1円銀貨にも修正品が多く見られます。

最後に

貿易銀は、本物よりも偽物の方が多く出回っています。中には熟練の鑑定士でも判断に迷う、精巧なレプリカもあります。
弊社では、貿易銀の査定・買取を数多く行なってきました。
貿易銀の真贋については、詳しくお調べになりたい方は、お気軽にご相談ください。