元禄小判を作った人は誰? インフレ原因の悪貨の現在価値は?


実家の蔵から”元”と書かれた小判が見つかったんですが、これは高く売れますか?

それなら元禄小判ですね。美品なら100万円を超える種類です。

そんなに高いんですか! もしかして人気のある小判だったんでしょうか?

高価な貨幣ではありますが、あまり人気はありませんでした。今回は、元禄小判がどんな貨幣なのか解説していきましょう。
目次
元禄小判とは?
元禄小判は日本で使われた金貨の一種で、江戸時代初期に使われていました。
1695年(元禄8年)に発行されましたが、この後に起きるインフレの引き金となってしまいます。


たがねという道具を使って手作業で刻んでいたので、多少不揃いになるものです。表面の上には「扇形の桐紋」と、額面を示す「壹两(いちりょう)」の極印が打たれています。
「扇形の桐紋」は下にもあり、その近くに打たれている花押(サイン)は製造責任者である「光次」のものです。
裏面は中央の「花押」と、左下の製造担当者と製造所を示す「験極印」が打たれています。
そして、中央左には製造年代を意味する「時代印」として「元」の字があります。
元禄小判の基本情報
- 重さ: 17.81g
- 品位: 金564/銀436
- 発行年: 1714年(正徳4年)
元禄小判の買取価格
極美品 | 美品 |
---|---|
130万円 |
100万円 |
元禄小判は当社の「古銭全種類 買取価格一覧表」にも掲載されています。
元禄小判を作った人は誰?
元禄小判の発行は将軍の命令ではなく、荻原重秀という人物によって作られました。
荻原重秀は当時の勘定吟味役という役職を務め、財政の管理に携わった人物です。
重秀は佐渡金山の再生や、破損が増えた慶長小判の改鋳といった政策を打ち出しました。
しかし、ことごとく失敗に終わってしまい民衆の信頼を失う結果に終わっています。
そのため、幕府内でも重秀の勘定奉行退任を求める声があがるようになりました。
当時の将軍徳川家宣もそれに応じざるを得ず、重秀は晩年には役職からおろされています。
元禄小判はどんなねらいで作られた?

元禄小判の1代前にあたる慶長小判は、90年以上も使われたために摩耗が進んでいました。
欠けてしまったり、削れてしまったことで金の量が減ってしまっていたのです。
本来であれば、金が減ってしまった小判に金を継ぎ足すといった対処法もありました。
しかし、この時期は金の産出量減少と人口増加が重なったために深刻な貨幣不足にも陥っていたのです。
そこで重秀が打ち出した改鋳案は、金の含有量を大きく減らして製造枚数を増やすというものでした。
さらに、慶長小判と交換で元禄小判を渡すことにより、金品位の高い慶長小判を回収する目論見も含まれています。
こうして生まれた元禄小判は、ねらい通り製造枚数を増やせたものの、インフレという新たな問題を引き起こします。
慶長小判の回収も上手く進まず、財政の改善には貢献できませんでした。
悪貨は良貨を駆逐する
「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉に聞き覚えはありますか?
これは、イギリスの経済学者であるトーマス・グレシャムが提唱した「グレシャムの法則」を一言でまとめた言葉です。
同じ額面でありながら素材が高い貨幣と安い貨幣の2種類があったとき、人は素材が高い貨幣を貯めこむようになります。
その結果、市場には安価な貨幣ばかりが出回るようになることを指した理論です。
元禄小判でも同様の現象が発生し、金品位の高い慶長小判を商人が隠し持ち、市場には元禄小判だけが出回るようになりました。
商人は慶長小判と元禄小判の交換にも応じないため、慶長小判の回収も上手くいかなかったというわけです。
価値が高い元禄小判の特徴
元禄小判には、買取価格がアップするデザインがいくつかあります。
それは「短元」および「偶然大吉」と呼ばれるものです。
それぞれの特徴を解説していきます。
短元

「短元」は京都で作られたものや、江戸に呼ばれた京都の小判師が作ったものという説があります。
製造元が限られているだけに製造枚数は少ないです。
そのため、レアな種類として買取価格が高くなっています。
長元

「短元」と比較すると4画目の線が長く、丸を描くような形ですね。
元禄小判の大半は「長元」であり、通常の買取価格になります。
偶然大吉

元禄小判の頃は、まだ験極印の組み合わせに注目している人が少なく、幕府も意図して作ってはいませんでした。
そのため、元禄の大吉はたまたまできた「偶然大吉」と呼ばれます。
後々の小判では、褒賞品や贈答品として意図的に大吉を作る「献上大吉」が主流になりました。
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元禄以外の小判と買取価格
小判には多くの種類があり、元禄以外の種類も多数出回っています。
他の小判と混同してしまわないように注意しましょう。
なかでも、高額かつ代表的なのが慶長小判と正徳小判です。
このふたつについても解説していきます。
慶長小判
まさに小判の代表格と言えるのが慶長小判です。
1601年(慶長6年)に発行されてから、90年以上も江戸の財政を支えました。
金の含有量が多い良質な金貨として評価も高く、現在も高値で取引されています。


慶長小判固有の特徴としては「細目打ち」があげられます。慶長小判は表面の「ござ目」が細いうえに隙間なく打たれています。このござ目の打ち方が「細目打ち」です。
また、慶長小判は極印にもござ目がついています。
こうしたござ目の特徴を知っておくと慶長小判を見分けやすくなります。
- 重さ: 17.78g
- 品位: 金861/銀139
- 発行年: 1714年(正徳4年)
極美品 |
---|
120万円 |
正徳小判


金品位を下げたことでインフレ等の様々な問題を起こした元禄小判に代わる小判として作られました。
しかし、金の品位は慶長小判よりも劣っており、慶長小判を貯めこもうとする動きは止められませんでした。
そのため、幕府は半年ほどで正徳小判の改鋳を決断します。
製造された期間があまりにも短かったので、正徳小判はとても枚数が少ない小判です。
その枚数の少なさから高いプレミア価値が付き、買取価格も高くなっています。

正徳小判は「光」の6画目のハネる線と、「次」の4画目となる横線が重なっています。
これは「重光次」と呼ばれるもので、正徳小判にしかない特徴です。
- 重さ: 17.72g
- 品位: 金857/銀143
- 発行年: 1714年(正徳4年)
極美品 | 美品 |
---|---|
180万円 |
150万円 |
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元禄小判の偽物の見分け方
元禄小判は金の含有量が少ないために、当時は価値が低いとされていました。
しかし、額面としては非常に高価な貨幣なのは変わらないため偽物も作られていました。
取引をするにあたっては、偽物の見分け方を知っておく必要があります。
小判の偽物を見分けるには以下の方法がおすすめです。
- 重さを計る
- 極印を調べる
- 磁石に反応するかを調べる
では、それぞれどのように調べるのか解説していきます。
重さを計測する
古銭の真贋を見分けるには、重さを調べるのがおすすめです。
小判は重さをしっかりと定めて作られています。
ですから、重量計測で偽物を判別可能です。
本物の元禄小判の重さは17.81gに決められています。
これより1g以上の誤差があれば、重くても軽くてもまず偽物です。
もし、重さが合わなかった場合は他の小判の重さとも比べてみてください。
- 駿河墨書小判:16.88g
- 武蔵墨書小判:18.00g
- 慶長小判:17.73g
- 宝永小判:9.34g
- 正徳小判:17.72g
- 享保小判:17.78g
- 元文小判:13.00g
- 文政小判:13.07g
- 天保小判:11.20g
- 安政小判:8.97g
- 万延小判:3.30g
極印の数を調べる
粗悪な偽物だと極印の数が多かったり不足していることがあります。
元禄小判の極印の数は表に4つ、裏にも4つです。

手作業で付けた「ござ目」はまばらになるもので、水平にびっしりと並んだ「ござ目」は偽物の可能性が高いです。


磁石に反応するかを調べる
小判はほぼ金と銀のみで作られている貨幣です。
金も銀も磁石とは反応しない金属なので、小判も磁石には無反応となります。
ですが、偽物は鉄やニッケルのような安い金属を使って製造コストを押さえています。
そのせいで、磁石に反応してしまうようになるんです。
つまり、磁石を近づけて反応が無ければ本物。
反応するようであれば、異なる素材を使った偽物とわかります。
元禄小判を高く売るためのポイント
元禄小判を高く売るためには、価値を下げないようにすることが重要です。
古銭を傷付けるような行為や、状態を劣化させる保管方法は避けましょう。
取引に慣れた人であれば、小さな傷も違和感も見逃しません。
買取価格を下げないためにも以下のポイントに注意してください。
- 古銭を磨かない
- 試金石は使わない
- 酸化を防ぐ
それぞれ、詳しく解説していきます。
古銭は磨くと価格ダウン
古銭は状態が良いものほど買取価格は上がります。
ですが、見た目を良くするために古銭を磨くと逆に価値を下げてしまいます。
古銭の価値は見た目の綺麗さではなく、製造時の状態が残っているかどうかで判断されます。
ですから、古銭は磨くことによって不自然な加工品となり、価値が下がってしまうんです。
古銭鑑定に慣れた人であれば、磨きの痕跡は必ず判別できます。
確実に買取価格を下げられてしまうので磨きは厳禁です。
試金石は絶対に使わない
金貨の素材確認のために試金石を使う方がいますが、これも絶対にやめましょう。
試金石は金より硬い金属で、金を削ることでメッキかどうかを調べられます。
その過程で必ず金貨に傷を付けないといけません。
傷跡が見つかればもちろん買取価格は下がります。
試金石の傷跡も見る人が見ればすぐにわかります。
素材の確認は試金石ではなく、磁石だけにとどめておきましょう。
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空気に触れない保存法を用意
古銭の状態を悪化させる原因のひとつが酸化です。
酸素に触れるだけで酸化は進行します。
なので、できるだけ空気に触れない保存方法が望ましいです。
もし、最初から桐箱などの専用の箱に入っているなら、そのまま箱にしまっておいてください。
箱が無い場合は、小判が折れないように厚紙等で挟みこんで補強をしましょう。
その後、ファイルや袋に入れてしっかりと口を閉じておいてください。
あとは、湿気を避けるために通気の良い暗所に保管するのがおすすめです。
元禄小判を売るならどこがお得?
元禄小判を高く売るためには、どこで売るのかも重要です。
高額な小判を取引するのであれば、以下のような方法があります。
- ネットオークション
- フリマアプリ
- 古銭専門買取業者
ネットオークション(ヤフオクなど)
実際、ネットオークションでも高額な古銭の取引実績は多くあります。入札者が多ければ落札金額が思いがけず高額になる可能性はあります。

ですが、落札価格に応じて手数料が上がる点には注意が必要です。
ヤフオクであれば、最低でも落札価格の8.8%が差し引かれます。100万円の商品であれば8万8千円にもなりますから、かなりもったいない気がしてしまいますね。
手数料を差し引いた金額で考えると、相場以下の儲けにしかならないケースも少なくありません。
フリマアプリ(メルカリなど)
しっかりと相場の価格をおさえていれば損をすることはありません。ただし、こちらも手数料が引かれることは計算にいれておきましょう。
もうひとつ、重要な懸念点となるのが高額商品は売れづらいという点です。

フリマアプリはリーズナブルに商品を手に入れたいユーザーが多いサービスです。
そのため、値引き交渉も頻繁に行われています。そういったサービスの性質上、100万円を超えるような買い物は頻繁には行われません。
ですから、今回解説した小判のような高額古銭はなかなか買い手がつかないのです。気長に待つことができる人、値引き交渉に対応可能な人にはおすすめです。
古銭専門買取業者
個人間での取引と違って価格設定で悩むこともなく、手間もかかりません。買取業者を利用する際には、古銭専門の業者を選ぶようにしましょう。

古銭を専門に扱う業者であれば、必ず古銭のプロの鑑定士が所属しています。
つまり、古銭専門の買取業者査定の精度が上がるんです。取引の手間を省きたい、プロに任せたいという人におすすめです。
元禄小判を売るならアンティーリンクにお任せ
元禄小判についての解説は以上となります。
江戸時代当時の評価は悪くとも、貴重な古銭かつ大型の金貨として現在の価値は高くなっています。
状態次第では買取価格が100万円を超える商品なので、リスキーな個人での取引は避けることをお勧めします。
トラブルを避けるためにも、まずは鑑定だけでもプロの鑑定士の力を借りてください。
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