

重さ: 不定
品位: 不定
形や大きさにより大きく変動 150~600万円(税込)
重さ: 不定
品位: 不定
「無名大判金」とは、額面や署名(銘)がはっきりと記されていない、大型の金貨のことを指します。
見た目は後の大判金に似ていますが、「拾両」「後藤」などの墨書や極印(刻印)がないのが特徴です。
このような金貨は、正式な制度のもとで作られた慶長大判金や元禄大判金よりも前の時代、たとえば豊臣秀吉の頃に作られた「蛭藻金※」のようなものも含まれると考えられています。
また、昭和8年の日本鉱業会誌には以下のような記述がみられます。
其他無名大判なるものあり。此等は其以前織田氏の時代に造られたるものなるべし。
出典:日本鑛業會誌No.578 金貨の製造(PFF:1.25Mb)
つまり、無名大判金は、江戸幕府による本格的な金貨制度が始まる前に使われていた、過渡期の金貨といえます。
後藤家による署名や年号印が入る前の、金貨の初期の形を知るうえで、重要な歴史的資料とされています。
日本の金貨の歴史は、初めは自然のままの金から始まり、時代とともに形や使われ方が少しずつ進化していきました。
その流れは、以下のように整理できます。
はじめに使われたのは「砂金」です。
これは、川や山などの自然の中で採れた、まったく加工されていない金でした。
次に登場したのが「練金」と呼ばれる金の塊です。
これは室町時代の終わりごろに使われていたもので、インゴットのような形をしており、「金錠」や「竹流金」などの名前でも知られています。
中には、金の品質を保証するために菊や桐の印(極印)が刻まれたものもありました。
その後、金銀鉱石から金を取り出す「灰吹法」という技術が日本に広まったことで、金を板のように叩きのばして作る「延金」の形が生まれます。
この延金の代表的なものが、「蛭藻金」や「譲葉金※」です。
これらは、表面だけでなく内部までしっかり金でできていることを証明するために、槌やタガネで叩き跡をつけてありました。
大判小判の形や表面のゴザ目は、当時の人々が工夫して考え出した金の本物性を示す「認証の方法」だったのです。
そして、この蛭藻金の技術や形をもとにしたものが「無名大判金」とされています。
まだ額面や署名はありませんが、見た目や作り方は後の大判に近づいています。
また、戦国時代には武田信玄が独自に「甲州金大判」という金貨を作りました。
これは後の「両・分・朱」といった貨幣の単位のもとになったもので、日本の金貨の仕組みをつくる大きな一歩となりました。
無名大判金は、発行者の名前や発行年を示す刻印(極印)が入っていないため、いわゆる「貨幣」としてではなく、金の塊(地金)としての性格が強いものとされています。
これは、まだ日本にきちんとした貨幣制度が整っていなかった時代に作られたものです。
当時の価値は、今のように額面で決まるのではなく、その金の量と質=地金の価値そのものによって評価されていました。
これは、後に幕府が発行した「天正大判金」や「慶長大判金」のように、重さや純度がしっかり決められた正式な貨幣とは大きく違う点です。
現在の資料では、無名大判金に具体的な市場価格(当時の値段)が記されている記録は見つかっていません。
これは、貨幣として流通することよりも、「金の素材」としての役割が重視されていたからだと考えられます。
記事で紹介した無名大判金、蛭藻金、甲州金大判はいずれも東京国立博物館に所蔵されていることから、博物館クラスの一品といえます。
この無名大判金が、日本の金貨が本格的に制度化されていく流れの中でとても大事な役割を果たしているということです。
無名大判金は、後に登場する甲州金大判や慶長小判といった正式な金貨に至る『原点』にもなる存在です。
つまり、無名大判金は「まだお金になりきっていない金貨」の姿を伝えるものであり、日本の貨幣が生まれ、発展していく過程を知る上で欠かせない貴重な歴史資料なのです。
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