年代: 和銅元年
西暦: 708年
素材: 銅
※皇朝銭は状態や書体、組合鑑定書の有無によって買取金額が大きく変動いたします。
和同開珎（わどうかいちん）の買取価格
日本初の流通貨幣とされる「和同開珎」。
直径24mm前後の円形で、中央には一辺が約7mmの正方形の穴が開いている円形方孔の形式の古銭です。
目次
和同開珎の種類と買取価格について
和同開珎には大きく分けて、「古和同開珎」と「和同開珎」がありますが、古い年代に作られた古和同は高額な買取価格となります。
また、それぞれに細かなデザイン違い（手変わり）が存在し、そのそれぞれで買取価格は異なります。
鑑定を行って、それぞれの価値に見合った買取金額を提示させていただきます。
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和同開珎の買取実績
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和同開珎は劣化しやすい
和同開珎は、約1300年前（708年〜）の通貨であり、現代の1セント硬貨とは比較にならないほど「劣化しやすく、かつ劣化の状態が価値を劇的に左右する」硬貨です。
劣化しやすい主な理由
和同開珎が劣化しやすい理由は、主に「材質」と「経年」の2点にあります。
- 材質（青銅・銀）
- 和同開珎には「銀銭」と「銅銭」がありますが、主流の銅銭は銅と錫（すず）の合金（青銅）です。
青銅は酸化しやすく、水分や酸素、土壌中の成分と反応して腐食が進みます。 - 鋳造品質のバラつき
- 当時は技術が未熟だったため、不純物（鉛など）が多く混ざっている個体があります。
不純物が多いほど、金属の結合が弱く、内側から脆くなって崩れやすくなります。 - 「青銅病（Bronze Disease）」の脅威
- 「亜鉛腐食」に似ていますが、青銅特有の腐食現象です。
塩化物と反応して粉を吹いたようになり、一度始まると硬貨を内部から破壊し続けます。
保存状態による価値の差
古銭市場において、和同開珎の価値は「保存状態（グレード）」で決まると言っても過言ではありません。
| 状態 | 特徴 | 価格の傾向 |
|---|---|---|
| 極美品 | 文字が鮮明で、表面の腐食が最小限 | 数万円〜 |
| 並品（出土品） | 全体的に錆（緑青）が浮き、文字が一部不鮮明 | 数千～数万円 |
| 劣品 | 錆がひどく、文字が読めない、ひび割れがある | 買取不可～数千円 |
和同開珎の「ずさんな管理は資産価値を捨てるのと同じ」です。
もしお手元に古い硬貨があり、錆が進んでいるようであれば、手遅れになる前に鑑定に出す、あるいは適切な保存環境を整えることを強くおすすめします。
和同開珎（わどうかいちん）の特徴
見た目とデザイン
表面には時計回りに「和同開珎」と書かれ、裏面は模様のない「無紋」です。
621年に発行された唐（中国）の「開元通宝」をお手本にしており、書体も同じものが使われています。
当時の価値（1文）
律令政府が定めた「1文」という単位ですが、発行当初の価値は現在の感覚よりもかなり高額でした。
- お米 約2kg分
- 新成人の1日分の労働賃金
これらに相当する価値があったといわれています。
「和同開珎」はいつどうやって生まれたの？
日本初となる流通貨幣とされる和同開珎はいつどのようにして生まれたのでしょうか。
誕生した時代背景や経緯、和同開珎が日本に与えた影響について詳しく解説していきます。
「和同開珎」が生まれたのは飛鳥時代末期
和同開珎が生まれたのは、飛鳥時代の末期にあたる708年（和銅元年）のことでした。
701年に制定された大宝律令により中央集権体制が確立された時期でもあります。中央政府は国内外に国家の独立性と権威を示すべく、銭貨の鋳造に踏み切ったのです。
その後、政府は何とか貨幣の流通を促そうと、さまざまな施策を行います。
たとえば、田畑の売買に銭貨を使用させたり銭貨を多く持つものに位階を与えたりしました。
しかし、いずれも奏功せず、中央政府の目論見通りに流通は広がりませんでした。
読み方は「わどうかいちん」or「わどうかいほう」？
実は和同開珎の読み方については、従来から2通りの読み方がなされてきました。
それが、「わどうかいちん」と「わどうかいほう」です。
前者は、「珎」の字を「珍」の異字体ととらえています。
後者を支持している方によると、「珎」は「寳（宝）」の略字体なのだそうです。
この論争には結論は出ておらず、今でも両方の読み方が混在しているのが現状です。
ただし、後に紹介する皇朝十二銭の残りがすべて「寳」を使用している点は見逃せません。
「和同開珎」は中国の銭貨を模倣して誕生
和同開珎は日本の完全オリジナルというわけではなく、お手本となるべき銭貨が存在しました。
それは、中国の唐王朝で流通していた「開元通宝」です。
円貨の中心に四角形の穴が空いたスタイルは、日本でも江戸時代まで受け継がれていきます。
古代中国では、円形は「天」を表し四角形は「地」を表すと考えられていました。
銭貨の特徴的な形状は、この思想に影響を受けたものだと考えてよさそうです。
日本でもそのままこの形状が受け継がれ、銭貨の鋳造が行われました。
「和同開珎」の流通で律令国家で経済発展
和同開珎が発行された当時の政権は、貨幣の力を借りて経済を発展させていこうとしていました。
現代では貨幣での取引は当たり前であり電子マネーという存在すら身近になってきています。
ところが、当時はまだまだ物々交換が当たり前の世の中でした。
ここで、物々交換ではなく貨幣を使うことの意味についてさらっておきます。
価値尺度としての貨幣
貨幣を使用することで、物やサービスの価値を客観的に統一した基準で表すことが可能になります。
これにより、さらにスムーズに商取引が進むようになりますし、物々交換にありがちな相互のニーズの不一致などという事態も避けられます。
交換・流通手段としての貨幣
物々交換の場合、たとえば食べ物を考えると、かならずしも持ち運びに便利なものばかりというわけではありません。
加えて、生ものですといずれ腐敗してしまうおそれもあります。
ところが、貨幣であれば持ち運びも容易であり、もちろん腐敗の心配もありません。
価値の貯蔵手段としての貨幣
商取引により儲けが出た場合、貨幣があれば使わずに貯めておくことが可能になります。
もちろん、お米やその他のものでも似たようなことはできましたが、時間の経過による劣化は避けられませんでした。
その点、貨幣ならばその心配も必要ありません。
これらのようなメリットがあるため、貨幣の流通は経済の発展にとって強力な推進剤になるというわけです。
和同開珎を品位測定してみた結果
708年に発行された日本初の流通貨幣、和同開珎。
その歴史的遺物がどのような金属で作られているのか、最新の品位測定機（蛍光X線分析装置）を使って成分を分析しました。
しかし、そこに表示されたのは、専門家も首をかしげるような驚きの結果でした。
これは世紀の発見か、それとも測定器の「誤検出」なのでしょうか。
分析結果に現れた「ありえない金属」
まずは測定器が示したデータをご覧ください。
| 元素記号 | 元素名 | 含有率（%） |
|---|---|---|
| Cu | 銅 | 75.71 |
| Os | オスミウム | 16.44 |
| Sn | 錫 | 3.15 |
| Ir | イリジウム | 2.60 |
| Fe | 鉄 | 1.12 |
| Au | 金 | 0.59 |
| Pb | 鉛 | 0.289 |
| Mo | モリブデン | 0.058 |
| Zr | ジルコニウム | 0.051 |
この結果から、主成分が銅（Cu）であり、錫（Sn）を含むことから、この和同開珎が「青銅」で作られていること自体はわかります。
ここまでは、一般的な和同開珎の知見と一致します。
しかし、問題はオスミウム（Os）16.44%、イリジウム（Ir）2.60%という異常な数値です。
これらは金よりも希少で高価なレアメタルであり、古代の技術で合金にすることは不可能に近いです。
なぜ？考えられる「測定誤差」の可能性
では、なぜこのようなありえない数値が表示されたのでしょうか。
専門家の間では、これは「測定誤差」、いわば測定器のバグである可能性が極めて高いと指摘されています。
蛍光X線分析は非常に優れた技術ですが、万能ではありません。
特に、今回のように特定の成分（銅）が全体の75%以上を占める「銅合金」の分析には、特有の難しさがあります。
主な誤差の要因として、以下の2つが考えられます。
- マトリックス効果
- 大量に存在する銅原子が、他の微量な元素が発するはずの信号を吸収してしまったり、逆に余計な信号を発生させたりする現象です。
これにより、実際には含まれていない元素が検出されたり、含有量が誤って表示されたりすることがあります。 - ピーク干渉（スペクトルオーバーラップ）
- 銅が発する膨大なエネルギーの信号と、他の元素の信号の波形が非常に似ている場合、測定器がそれらを分離できずに「誤認」してしまう現象です。
ハンドヘルドの簡易測定器などでは、ヒ素（As）をイリジウム（Ir）と誤認する例も報告されています。
今回のケースでは、銅という巨大な山の麓にある小さな山（他の元素の信号）が、銅のノイズに埋もれたり、形が似ている別のものと見間違えられたりした結果、オスミウムやイリジウムという誤った診断が下された可能性が高いのです。
和同開珎に関するよくある質問
和同開珎 わどうかいちん わどうかいほう？
どちらの読み方も正解です。
4文字目の「珎」を、「珍（ちん）」の異体字とするか、「宝（ほう）」の略字とするかで学説が分かれているためです。
一般的には「かいちん」が定着していますが、後続の皇朝十二銭がすべて「宝（ほう）」の名を持つことから、歴史学上は「かいほう」説も有力視されています。
「和同開珎」とは何ですか？
708年（和銅元年）に発行された、日本初の本格的な流通貨幣です。
大宝律令によって中央集権体制を整えた政府が、国家の威信を示し、経済を活性化させる目的で鋳造しました。
中国（唐）の「開元通宝」をモデルとした円形方孔（円い形に四角い穴）が特徴で、銅銭と銀銭の2種類が存在します。/p>
和同開珎に関するまとめ
日本最古の流通貨幣である「和同開珎」は、1300年以上の時を経た今もなお、歴史的・資産的に極めて高い価値を持っています。
しかし、その価値を維持するためには、「状態の維持」が何よりも重要です。
今回のポイントを振り返ってみましょう。
- 価値は「状態」で決まる
- 美品や鑑定書付きであれば130,000円以上の高値がつく一方、劣化が進むと価値は激減します。
- 劣化の恐れ
- 青銅製のため「青銅病」などの腐食リスクが常にあり、ずさんな保管は資産価値を捨てるのと同じです。
- 希少な「手変わり」
- 書体や鋳造時期（古和同・新和同）によって、想像以上の鑑定額がつく可能性があります。
- 「売却」という賢い選択
- 適切な保管環境（調湿・密閉）を整えるのが難しい場合は、価値が損なわれる前にプロの鑑定士へ託すことも、大切な資産を守る一つの方法です。
「これって本物の和同開珎かな？」「かなり錆びているけれど売れるのだろうか？」と少しでも疑問に思われたら、手遅れになる前にまずは無料査定を利用して、現在の正確な価値を把握することから始めてみてください。
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