天保小判と万延小判の違いは?小判全12種類それぞれの特徴と見分け方を解説

天保小判と万延小判の違いは?小判全12種類それぞれの特徴と見分け方を解説
今回は江戸時代に発行された天保小判と万延小判それぞれの特徴と違い、そして同時代に発行された合計12種類の小判について解説していきます。

小判を手にする上で重要になる本物と偽物の見分け方についても最後に解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

小判とはどんなもの?

小判とはどんなもの?

小判とは日本の江戸時代に使用された金貨の一種で、長方形の独特な形状をしていることが特徴です。

小判は徳川家康が貨幣制度を整備した慶長年間(1601年)に初めて発行され、小判の価値は時代ごとに異なりますが、基本的にはその金の含有量に基づいて評価され、1枚で1両の価値があります。

しかし現代は滅多に目にすることがないものなので、小判ってそもそもどんな硬貨なの?と思っている方も多いのではないでしょうか?

そこでここからは、小判の基本的な情報を解説していきます。

日本で小判が多く出回り始めたのは何時代?

日本で小判が多く出回り始めたのは江戸時代で、特に本格的に流通し始めたのは徳川家康が貨幣制度を整備し最初の小判である慶長小判を発行した1601年(慶長6年)頃からです。

そしてこの慶長小判を基準にその後様々な小判が発行され、比較的安定し経済も発展を遂げ続けていた江戸時代に大規模な商取引や富裕層の資産として利用され、金貨として日本全国で流通しました。

大判との違いは?

小判と聞くと同時に想像するのは大判ではないでしょうか?
しかし現代は小判も大判も目にすることはほとんどないのでここにテキストそれぞれの違いはどうなのか分からないですよね。

結論からいうと、小判と大判の主な違いとしては大きさや用途、価値に関するものです。
まず小判の大きさは長さ約6〜7cmの手のひらに収まるサイズであるのに対し、大判は長さ約17cmと大きな紙幣に近いサイズです。

使われる用途も全く異なり、小判は日常的な取引や商取引で使用され、大判は儀礼的な贈答用、将軍や大名が特別な贈り物として使用されていました。

価値としては小判が1枚1両であるのに対し、大判は1枚の価値が数両〜10両以上に及ぶことがありました。

天保小判と万延小判の違いは?

天保小判と万延小判の違いは?

ここからは江戸時代に発行された天保小判と万延小判それぞれの特徴を解説していきます。

どちらも江戸時代に発行された小判ですが、金の含有量や価値・歴史の背景などがそれぞれ異なり、その違いを詳しく解説しているのでぜひご参考ください。

天保小判

天保小判は江戸時代中期にあたる、天保8年(1837年)に徳川幕府の天保の改革の一環として発行されました。

天保小判、表
天保小判、裏

金の含有量は約57%と低めになっており価値は低めですが、重量は約13.5gと他の時代の小判と大差ない標準的な重量です。

天保小判は経済安定を図る目的で発行されましたが、幕府の財政状況が厳しい時期に作られたため、その価値維持には限界がありました。

万延小判

万延小判は幕末の混乱期、徳川幕府の末期にあたる万延元年(1860年)に発行されました。

万延小判、表
万延小判、裏

金の含有量は天保小判同様約57%と低めであることに加え、サイズも小さめなので価値としては低めです。

そして万延小判は短期間しか発行されなかったため、他の小判に比べて流通量は少なく、幕末の不安定な経済状況下で発行されたため実際に使われることも限られていました。

江戸時代以降に誕生した小判8種類をそれぞれ紹介

江戸時代以降に誕生した小判8種類をそれぞれ紹介

江戸時代は小判が最も活発に流通していた時代であり、先ほど紹介した天保小判と万延小判の他にも多くの種類の小判が発行されています。

天保小判と万延小判の2種類でも特徴に違いがあったように他の小判にもそれぞれの特徴があるので、ここからは江戸時代以降に発行された小判8種類をそれぞれ解説していきます。

慶長小判

慶長小判は江戸時代以降に発行された小判8種類をそれぞれ解説慶長6年(1601年)に、徳川家康が全国的な貨幣制度を整えるために発行しました。

江戸幕府が初めて発行した記念すべき小判であり、金の含有量も約84%と江戸時代に発行された小判の中でも価値のある小判となっています。
慶長小判の高い金の純度は後の時代と比べても特筆すべき特徴であり、経済的に豊かな時代を象徴する貨幣です。

元禄小判

元禄小判は元禄8年(1695年)に発行された小判で、この時期は5代将軍徳川綱吉の治世であり江戸時代の中期にあたります。

元禄小判の前に発行された慶長小判は約84%の金を含んでいたのに対し、元禄小判の金の純度は約57%にまで下げられ、これは幕府の財政難を背景に金の供給量を増やすために金の含有量を減らした結果です。

宝永小判

宝永小判は宝永7年(1710年)に発行され、この時期は5代将軍徳川綱吉の治世後、徳川家宣の時代にあたり、幕府の財政難が続いていた時期です。

金の含有量は慶長小判同様約84%と高めになっており、サイズは他の小判と比べて小さめですが金の含有量が高いことから価値は高いです。

正徳小判

正徳小判は正徳4年(1714年)から発行され、この時期は6代将軍 徳川家宣の時代で幕府が財政再建と通貨の信頼回復を図っていた時期です。

正徳小判は慶長小判の金純度に近い水準である約84%になっており、これにより貨幣価値の安定が図られました。

享保小判

享保小判は正徳小判同様、正徳4年(1714年)から発行され、8代将軍徳川吉宗が進めた享保の改革の一環で財政安定と経済政策の見直しが進められた時期です。

金の純度は約86%と高めですが、流通量が多いため買取価値としてはさほど高くはない傾向があります。

元文小判

元文小判は元文元年(1736年)に発行され、この時期は8代将軍徳川吉宗の治世で、享保の改革後のさらなる経済安定を図るための時期です。

享保小判と比べると金の含有量は約66%と低めになっており、市場での小判の流通量を増やすために作られたので現存枚数は多くなっています。

文政小判

文政小判は文政2年(1819年)に発行され、この時期は11代将軍徳川家斉の時代で幕府の財政が厳しい状況にあり、経済政策の一環として小判が改鋳されました。

金の含有量は約56%と比較的低く、これにより幕府は通貨供給量を増やして財政の立て直しを図ろうとしました。

安政小判

安政小判は安政6年(1859年)に発行され、これは13代将軍徳川家定の治世であり、幕末の混乱期にあたります。

幕府は金の国外流出や財政赤字に対応するため、金の含有量を約57%と大幅に減らし、サイズも小さくなった安政小判を発行しました。

江戸時代以前に誕生した小判2種類を紹介

江戸時代以前に誕生した小判2種類を紹介

これまで最も活発に小判が流通していた江戸時代以降の小判について解説してきましたが、ここからは江戸時代以前に発行された小判2種類を紹介

江戸時代以降とはまた異なる歴史の背景などがあるので、江戸時代以降の小判とどんな違いがあるのか注目して見てみてくださいね。

駿河墨書小判

駿河墨書小判は文禄4年に発行され、駿河国(現在の静岡県の一部)で発行された特別な小判です。

駿河墨書小判は通常の小判と比べて発行量が少なく非常に貴重なものであり、そのため現在では歴史的価値が高く、収集家や研究者にとって興味深い対象となっています。

武蔵墨書小判

武蔵墨書小判は武蔵国(現在の東京都や埼玉県、神奈川県の一部などを含む地域)で発行された特別な小判で、墨で手書きされた文字が特徴の特別な小判です。

一般的な商取引に使用されたというよりも地方の役職者や藩士への報酬として使用されたり、記念として贈られたりすることがあったとされています。

小判はどうやって本物か偽物か見分けられる?

小判はどうやって本物か偽物か見分けられる?

小判は現代ではほとんど見る機会がない金貨ということもあり、本物と偽物の見分け方がわからないという方も多いのではないでしょうか?

そこでここからは、小判の見分け方について詳しく解説していきます。

定められた重さや大きさを基準に見極める

小判はその重さや大きさによって価値を決めるため、見極める際にはそれらの基準が非常に重要です。

江戸時代に発行された小判は、特定の基準に従って製造されており、その正確な重さや大きさが貨幣の信頼性を支える要素トとなっていました。

本物のサイズをしっかり頭においた上で基準のサイズになっているかどうかを確認しましょう。

小判それぞれに彫られた刻印で見極める

小判はそれぞれに彫られた刻印によっても見極めることが可能です。

江戸時代の小判は、正確な重さや大きさだけでなく、特定の刻印によってその価値や正当性が証明されていました。

刻印の組み合わせや刻印の彫りの深さなど本物と違う部分はないか注意深く観察しましょう。

表面の質や金の色で見極める

小判は表面の質感や金の色でも見極めることができます。

小判によって金の含有量が異なるため、時代ごとの小判には独特の外観や色合いがあり、これらの要素が小判の真贋や価値を判断する手がかりとなります。

磁石に反応するかどうかで見極める

小判の主成分は金であり、この金は磁石に反応しません。

また、金と一緒に使用されている銀も磁石には反応しないので、もし磁石を近づけて反応するならば他の成分が含まれている偽物の可能性があると考えられます。

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