500円玉に使われるクラッド技術とは?新硬貨の特徴や旧硬貨との違いを解説

500円玉に使われるクラッド技術とは?新硬貨の特徴や旧硬貨との違いを解説

新500円玉に採用されているクラッド技術について知っていますか?この記事では、クラッド技術とは何か、なぜ採用されたのか、そしてどのようなメリットがあるのかを詳しく解説します。

新500円玉や旧500円玉との違いが知りたい人は最後まで目を通してみてくださいね。

500円玉に使われるクラッド技術とは?

500円玉に使われるクラッド技術とは?

クラッド技術とは、異なる金属を層状に重ね合わせて硬貨を製造する技術です。

2021年から流通している新500円玉には「クラッド技術」という最新の製造方法が採用されています。
新500円玉の場合、中心に銅を挟み、表裏をニッケル黄銅で覆った3層構造となっています。

新500円玉の断面をよく見てみてください。金色の外層と銀色の内層がはっきりと区別できますね。この構造こそが、クラッド技術なのです。

バイカラー・クラッド技術とは

クラッド技術を採用した理由

クラッド技術を採用した理由

新500円玉にクラッド技術が採用されたのには、いくつかの重要な理由があります。

ここでは、その主な理由について詳しく見ていきましょう。

偽造防止のため

クラッド技術採用の最大の理由は、偽造防止効果の向上です。

旧500円玉は、高額硬貨としての価値と単一金属構造のために、偽造の標的となりやすいという問題がありました。クラッド技術を採用することで硬貨の内部構造が複雑になり、偽造が難しくなりました。

クラッド技術は硬貨の電気的特性も変化させます。そのため、自動販売機などでの偽造硬貨の検出もできるようになったのです。

耐久性を強くするため

クラッド技術のもう一つの大きなメリットは、硬貨の耐久性の向上です。

旧500円玉は単一金属製のため、長期使用による摩耗や変色が問題でした。

新500円玉では、表面をより硬い金属で覆うことで、摩耗に強く、長期間使用してもきれいに保つことができます。耐腐食性も向上し、様々な環境下でも安定して使用できるようになりました。

製造コストを最適化するため

クラッド技術によって耐久性が強くなることで、硬貨の寿命が延びました。これは、製造・流通コストの削減にもつながります。

また、クラッド技術によって硬貨の重量や大きさを変えずに原材料コストを抑えた素材に構成を変更することが可能になりました。

クラッド技術は500円玉の製造コストを抑えることにも役立っているのです。

500円玉に使われるその他の技術

500円玉に使われるその他の技術

新500円玉には、クラッド技術以外にも最先端の偽造防止技術が採用されています。

  • バイカラー技術
  • 異形斜めギザ
  • 微細文字
  • 潜像

「バイカラー」技術とは、硬貨の外周部と中心部で異なる色を使用する技術です。見た目で偽造を判別しやすくします。

また、「異形斜めギザ」という技術も採用されています。これは硬貨の縁に不規則な溝を刻む技術で、触感で本物かどうかを判別できるようにしています。

さらに、硬貨の表面には微細な文字や模様が刻まれており、これらを再現することはとても難しいです。

そして、旧500円玉同様に、硬貨を傾けると模様が変化して見える「潜像」も施されています。

これらの技術の組み合わせにより、新500円玉は世界最高水準の偽造防止機能を持つ硬貨となっているのです。

他の硬貨にもクラッド技術は使われている?

他の硬貨にもクラッド技術は使われている?

クラッド技術は日本では新500円玉以外には使われていません。

しかし、世界を見るとクラッド技術を採用している硬貨はあります。
アメリカの10セント、25セント、50セント硬貨やタイの5バーツ硬貨、ドイツの5ペニヒ、10ペニヒ硬貨などが代表例です。

また、この技術は硬貨以外の分野でも活用されています。
例えば、電子部品の製造や、耐食性が求められる化学プラントの設備など、異なる特性を持つ金属を組み合わせる必要がある場面で広く応用されています。

新500円玉の違いを比較

新500円玉は、旧500円玉と比べて様々な点が異なります。

ここでは、新旧500円玉の違いを詳しく見ていきましょう。

500円白銅貨表
500円バイカラー・クラッド貨幣表

 

 

見た目の変化

新500円玉は、旧500円玉と比べて見た目が大きく変わりました。

先ほども紹介しましたが、最も目立つ変化は、外周部が金色、中心部が銀色のバイカラーデザインになったことです。
また、表面のデザインも新しくなり、より繊細で複雑な模様が施されています。

中身の違い

新500円玉は、クラッド技術の採用により内部構造が大きく変わりました。

旧500円玉が単一金属だったのに対し、新500円玉は3層構造になっています。重さは旧500円玉が7グラム、新500円玉が7.1グラムでほとんど変わりません。
しかし、新500円玉の方が偽造防止性能と耐久性が高いです。

手触りの変化

新500円玉は、縁の形状が変わったことで手触りも変化しています。

旧500円玉の細かいギザギザの縁に対し、新500円玉は「異形斜めギザ」という不規則な溝が刻まれています。これにより、触感だけで本物かどうかを判別しやすくなりました。

「異形斜めギザ」は世界初の技術として知られています。

参考:500円玉の偽造対策がすごい!旧硬貨との比較や見分け方も解説

新500円玉のデザインの意味

新500円玉も、表裏面の絵柄や象徴には変更がありません。

何度も書いてはいますが、新500円玉のデザインの1番の目的は偽造防止です。
偽造防止技術のつまった旧500円玉と比較しても、新500円玉はかなり精密な作りになっています。

従来の偽造防止技術はそのままに、さらに進化した偽造防止技術を備えた、世界でもトップクラスの硬貨と言えるでしょう。

まとめ:新500円玉はクラッド技術で進化

まとめ:新500円玉はクラッド技術で進化

新500円玉に採用されたクラッド技術は、革新的な技術です。
偽造防止性能の大幅な向上や耐久性の強化など、多くのメリットをもっています。

また、バイカラーデザインや異形斜めギザなど、他の最新技術との組み合わせにより、新500円玉は世界最高水準の機能性を持つ硬貨となりました。
普段何気なく使用している硬貨ですが、このように詳しく見ていくと、技術や文化的な意味に気づくことができます。

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