品位K21.6、重さ16.129g、直径28mm
イタリア王国建国50周年記念金貨 の買取価格
イタリア王国建国50周年記念金貨とは
イタリア王国建国50周年記念金貨は、1911年にイタリア王国で発行された50リラ金貨です。
1861年に誕生した王国の建国50年を記念して、2万枚が発行されました。
イギリスやフランスと比較するとイタリアの統一は遅く、近世に入ってからのことでした。18世紀末にフランス革命軍の遠征を受けて、イタリアでも共和革命が起こります。19世紀半ばまではローマ教皇領やトスカーナ大公国、ヴェネツィア共和国などのさまざまな国に分かれていたイタリア半島は、1861年に北イタリアの貴族サヴォイア家のもとで王国となりました。
建国50周年当時、イタリア王だったのはヴィットーリオ・エマヌエーレ3世。父ウンベルト1世の暗殺を受けて、ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世が即位したのは1900年。31歳のときでした。
1911年、イタリア王国建国50周年記念金貨が発行されたとき、ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世は即位10年を超え、40代に入ったころでした。
貨幣の収集家であったヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の時代に発行された金貨は、芸術的な価値が非常に高いデザインで有名。建国50周年記念金貨も、イタリアらしい凝ったデザインで人気があります。
イタリア王国建国50周年記念金貨を知ろう
イタリア王国建国50周年を記念して発行された50リラ金貨について、詳しく解説します。
イタリア王国建国50周年金貨の概要
品位 | K21.6 |
重さ | 16.129g |
直径 | 28mm |
額面 | 50リラ |
発行年 | 1911年 |
発行枚数 | 2万枚 |
デザイナー | ドメニコ・トレンタコステ(Domenico Trentacoste)
ルイージ・ジョルジ(Luigi Giorgi) |
イタリア王国建国50周年記念金貨のデザイン
アンティークコインのコレクターであったヴィットーリオ・エマヌエーレ3世。彼の治世に発行された王国建国50周年記念金貨は、芸術的な価値が高い1枚といわれています。
デザインを見てみましょう。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の肖像画は、左向きに描かれています。王冠はかぶっておらず、ごくシンプルな肖像画です。髭を蓄えた紳士風で、謹厳な表情が印象的です。
王の肖像画の周りには、文字が刻まれています。
VITTORIO EMANUELE III RE D’ITALIA(イタリア王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世)
王の首の下のあたりには、彫刻家(incisore)の名前がサインのように入っています。
- TRENTACOSTE(ドメニコ・トレンタコステ)
- GIORGI (ルイージ・じょるじ)INC.(彫刻家)
金貨を裏返すと、これぞ芸術と思えるデザインになっています。
中央にいるのは、イタリアを擬人化した女性とローマを代表する男性。古典彫刻のような2人の背後には、蒸気船が描かれています。蒸気船の船首には、サヴォイア王家の紋章(十字架)が見えます。
イタリアを象徴する女神の右手付近に「1861-1911」の文字。イタリア王国50周年記念の数字です。「L50(50リラ)」と「R(ローマ鋳造所)」の文字も刻まれています。
価値
イタリア王国建国50周年を記念した金貨は、発行枚数が2万枚。数字的にみると、希少性の高いコインのひとつとされています。
またイタリア王国は1946年に終焉を迎えていること、コインコレクターの王も携わったといわれる芸術性もあり、非常に価値の高いコインです。
イタリア王国建国50周年記念コインとよく似た金貨
イタリア王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の時代、美しい金貨がたくさん発行されました。建国50周年記念金貨と比べてみましょう。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の50リラ金貨(軍服姿)
王国建国50周年の前年、1910年から1927年にかけて発行された50リラ金貨。この金貨にデザインされたヴィットーリオ・エマヌエーレ3世は、軍服を着用しています。ヨーロッパは世界大戦に向かおうとしていた時代であり、イタリアではムッソリーニが台頭してファシズムが生まれようとしていた時期でした。王の軍服姿に、20世紀前半の世相が感じられます。
裏面には、農業を寓意化した女神の姿があります。小麦の束と鋤を持った姿は豊穣の象徴。農業王国イタリアらしいデザインになっています。デザインは彫刻家でもあったエジーディオ・ブオニンセーニャ。建国50周年記念金貨と同様、ノーブルな印象のデザインです。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の50リラ金貨(リークトル)
1930年代、60歳を超えたヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の姿を見ることができる金貨。カイゼル髭を蓄えた王は少しふっくらとして、勲章と軍服を身につけています。時代はすでにムッソリーニが実権を握ったファシズム下にあり、ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世も諸権限を制約されつつありました。
王の肖像画の周りの文字は「VITT.EM.III.RE」と簡略化されています。
裏面には「リークトル」と呼ばれる古代ローマの官吏の姿が。リークトルは、権標を掲げて執政官の先駆けをする役職でした。シンプルな「ITALIA」の文字がモダンです。
デザイナーは、ローマにあるヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂の彫刻も手掛けたジュゼッペ・ロマニョーリ。老年に入った王のリアルな姿を、気品とともにデザインしています。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の50リラ金貨(禿頭・ファシズム)
イタリア王として時代に翻弄されたことを証明するような金貨、それが1936年に発行された50リラ金貨です。
60代後半の王は禿頭(とくとう)になり、目も落ちくぼんでいます。裏面にはムッソリーニがファシズムのシンボルとして好んだ鷲、その下にサヴォイア家の紋章、さらにその下にはファシズムの語源となったファッショ(木の束)が見えます。ファシズム体制下で国のかじ取りに苦悩する老いた王の姿は、まさに時代の顔といったところでしょうか。デザインはリークトルの金貨と同様、ジュゼッペ・ロマニョーリ。
金貨に刻まれた文字はモダニズムを感じるシンプリシティ。発行枚数は非常に少ないといわれ、希少性が高い1枚です。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の50リラ金貨
ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世は、イタリア国王としては3代目。祖父のヴィットーリオ・エマヌエーレ2世が、初代国王です。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世が誕生する5年ほど前に発行された50リラ金貨には、在位3年ほどだったヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の横顔が描かれています。驚くほど孫の3世と似ている肖像画には、40代半ばの落ち着きが漂っています。
「VITTORIO EMANUELE II(ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世)」の文字は見えますが、「RE(王)」とは刻まれていません。イタリア王国としてまだ不安定だった時代の国民感情を考慮した可能性もあります。
裏面はサヴォイア家の紋章が描かれ、「REGNO D’ITALIA(イタリア王国)」の文字が。王国としての歴史を刻み始めた時代の金貨です。
イタリア王国建国50周年記念金貨にまつわるエピソード
芸術的に美しいイタリア王国建国50周年記念金貨。
その金貨にまつわるエピソードを紹介します。
「貨幣王」のあだ名を持つ王様の金貨!
イタリア王国50周年を記念した金貨は、ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の時代の発行。
実はこの王様、「貨幣王(Re numismatico)」というあだ名がつけられるほどコインを愛した王様でした。
いいつたえによると、10代のプリンスだったヴィットーリオ・エマヌエーレ3世に侍従がピウス9世の1ペニーをプレゼントしたのが発端だったのだとか。13歳の時には75枚のアンティークコインを持っていました。
王となってからもコインのコレクションは続き、20歳になるころには3000点に到達。1900年、ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世として即位したころには2万7,000枚ものコインコレクションになっていたそうです。
最終的に10万枚を超えた王のコインコレクションは、王の死後、1947年にイタリアに寄贈されました。現在はローマ国立博物館で鑑賞できます。
イタリア王国建国50周年記念金貨の美しさは、コインを愛した王様のこだわりが詰まっているのかもしれません。
日本でも人気のピザとコインの関係?
近年は「ピッツァ」とイタリア語で呼ばれることも増えたピザ。ピザの王道メニュー「ピッツァ・マルゲリータ」は、実は王国建国50周年記念ともちょっとした関係があります。
というのもこのピザ、「マルゲリータ」という名前はイタリアの王妃様の名前からとったもの。そしてそのマルゲリータ王妃こそ、ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の母なのです。
マルゲリータ王妃が1889年にナポリを訪問したとき、ナポリのピザ職人によって王妃の前に捧げられたのがトマトソースとバジリコ、モッツァレラチーズがのったピザでした。このピザはロングセラーになり、私たちも喜んで食べるメニューになったわけです。
美貌の王妃として絶大な人気を誇ったマルゲリータ王妃にとって、ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世はたった1人の息子でした。
王国建国記念の金貨を眺めながら、おいしいピザを思い出すのも楽しいかもしれません。
コインからはうかがえないコンプレックスがあった王
イタリア王国建国50周年記念金貨をはじめ、ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の肖像画がデザインされたコインは美しいものばかり。貴族的な容貌の王は品格に満ちています。
コインの肖像画からはわかりませんが、ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世はあるコンプレックスを持っていました。それはとても身長が低かったということ。平均的なイタリア人男性は決して高身長ではありませんが、王は身長が低いことを気にして、要人と並んで写真に撮られることを嫌がっていたとか。
王様にも悩みがあるということで、ちょっと身近に感じるエピソードでした。
イタリア王国建国50周年50リラ金貨、偽物と本物の見分け方
人気が高いイタリア王国建国50周年金貨、実は偽物もたくさん存在します。ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の時代のコインは特に偽物が多く出回り、コインを扱う業者やサイトでは注意が呼びかけられています。
偽物と本物を見分けるのはどこに注目すべきなのか、詳しく解説します。
色に注目!偽物の色は?
まず注目すべきは金貨の色です。
偽物の金貨は金が使われていなかったり、品位が低かったりするため、オリジナルとは色が異なります。
とくに赤っぽい色を呈しているときは要注意です。
重さに注意
オリジナルの金貨の重さは約16.13g。金が本物でなかったり品質が悪いと、当然重さが異なってきます。
最近見つかった精緻な偽物(スーパーコピー)の重さはオリジナルよりも0.4gほど軽かったということも確認されています。
重さに注意して、偽物を見分けるようにしましょう。
デザイナー名の部分をよく見よう!
イタリア王国建国50周年記念金貨には、デザイナーであるトレンタコステとジョルジの名前が小さく刻まれています。
偽物の場合、デザイナー名が欠けていたり、ぼんやりとはっきりしなかったりという特徴があります。
王の顔ではなく、デザイナーの署名部分をよく観察してみてください。
芸術的にも価値の高いイタリア王国建国50周年記念金貨
アートの国イタリアで発行されたコインの中でも、とくに芸術的価値が高いとされるイタリア王国建国50周年記念金貨。額面が50リラのこの金貨、発行枚数は2万枚。1911年の限定発行であったことから、希少価値が高い金貨となっています。
「貨幣王」というあだ名を持っていたイタリア王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世が主役の時代だっただけに、コインもノーブルな美しさがあり。複雑で精巧なデザインは、見る人を魅了します。
現在は観光客が大挙する魅力的な国、イタリア。イタリアは現在共和国ですが、1861年から1946年までは王が存在する王国でした。
イタリア王国建国50周年の記念金貨は、芸術大国イタリアの名の恥じない美しいコイン。アンティークコインの収集家としても知られていたイタリア王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の治世1に発行され、ドラマチックなデザインで人気です。
以上、イタリア王国建国50周年記念金貨の特徴や魅力についての解説でした。
価値あるイタリア王国建国50周年記念金貨は、相応の価値で取引すべき値打ちもの。売却を考えている方は、取引数と経験のあるアンティーリンクにご相談ください。
ご多忙な方も、LINEや電話で気軽にご相談いただけます。
日本でも人気!外国金貨の種類・買取価格をご紹介します!もぜひご覧ください。
また、世界中の地金型外国金貨、銀貨、メダルの買取価格一覧はこちらでご覧いただけます。