垣字銭
素材:銅
量目:10.60g
長径:43.9mm
古代中国の古銭のうち、刀銭(刀幣・刀貨)・布幣・布銭・布貨(空首布・方足布ほか)・古圜法を除く、渡来銭よりも前の時代のものをこちらに分類しています。
円銭(圜錢・環銭)
円銭は、昔の中国、特に戦国時代(紀元前5世紀ごろ〜紀元前3世紀ごろ)に使われていた銅でできたお金の一つです。
主に「秦」や「魏」という国で流通していました。
この円銭の特徴は、丸い形の真ん中に、丸い穴があいていることです。
現代の五円玉のような形と言えば、イメージしやすいかもしれません。
表側には、その銭を作った土地の名前などが刻まれており、裏側には何も書かれていません。
円銭の種類
円銭には2種類あり、少しずつ進化していきました。
- 古いものは「丸い形・丸い穴」
- 新しいものは「丸い形・四角い穴(のちの方孔銭)」
このお金は、ただ古いだけでなく、とても合理的なつくりでした。
例えば、穴に紐を通して束ねることで、持ち歩きやすく、数えるのも簡単です。
また、銅でできているので割れにくく丈夫で、とても便利だったのです。
垣字銭
最初にこの円銭を作ったのは魏の国で、「垣※」や「共」といった地名が書かれたものがありました。
「垣」の銘文がある円銭を垣字銭とよばれます。
やがて、それを見た他の国、趙、秦、斉、燕などでも広く使われるようになりました。

古文字で「垣」の銘文
お金の単位
お金の単位(重さや価値)も、国ごとに違いました。
- 秦では「両」
- 周辺の地域では「釿」
- 北の斉や燕では「刀」や「化」
など、さまざまな単位が用いられていました。
とくに有名なのが、秦の「半両」と呼ばれる円銭です。
これは、後に始皇帝によって中国全土で使われる統一通貨となり、中国の経済が発展するきっかけとなりました。
蟻鼻銭(ぎびせん)
蟻鼻銭は、昔の中国・戦国時代(今から約2300年前)に、「楚」という国で使われていた青銅製のお金です。
名前の由来は、形がアリの鼻(顔)のように見えることから「蟻鼻」と呼ばれているというものや、表面の字が鼻の上を歩く蟻のように見えることからという説も存在します。
阴文“紊”字形就如同一只蚂蚁爬在鼻子上故称之为蚁鼻钱
また、表面に彫られた文字が鬼の顔のように見えることから、「鬼臉錢」とも呼ばれています。
このお金は、さらに昔に使われていた「貝のお金(貝貨)」から発展したもので、楚の国では主に小さい額の買い物や支払いに使われました。
蟻鼻銭の形と大きさ
- 形は楕円形で、片方が丸く、もう片方が少し尖っていて、小さな貝のような見た目
- 表の面には、文字が彫られて盛り上がっていますが、裏面は平ら
- サイズはおおよそ長さ1.6cm、幅1.3cm、重さ3gほど
- ただし、出土した場所によって少しずつサイズや重さが異なる
- 下の端に穴があいているものもある、多くは貫通していない
蟻鼻銭の表に書かれた文字(銘文)
- 一番よく見つかる文字は「咒」という字で、蟻鼻銭の表面に大きく銘文される
- 「巽」「紊」「朱」「君」「金」「安」など、10種類以上の銘文が確認されている
- 彫られた文字には楚国特有の「鳥虫書」という装飾書体が使われており、美しく、さらに偽造防止の工夫にもなっている
半両銭
半両銭は、古代中国の戦国時代から漢の初めごろ(紀元前4世紀〜前2世紀)にかけて使われた、丸くて真ん中に四角い穴があいた青銅のお金です。
表には「半両」という2文字が刻まれており、中国で最初に全国で使われた統一通貨として知られています。

半両銭の特徴
- 形
- 外は丸く、真ん中は四角い穴
この形は「天は丸く、地は四角い」という古代中国の宇宙観(天円地方)を表すともいわれる - 重さ
- 理想は12銖(約8g)でしたが、実際はばらつきがあり、軽いものは6g台、重いものは20gを超える
- 文字
- 「半両」と刻まれた文字は、秦の宰相李斯が書いたと伝えられている
初期は「大篆」という大きく古い書体、秦の時代になると「小篆」という整った書体が使われた - 裏面
- 文字は無し
全体的にシンプルなデザイン - 数字の意味
- 重さや大きさの数字(12銖・6分など)には、当時の陰陽五行思想における「6」の数字が多く使われており、哲学的な意味合いも含まれていた
五銖銭(ごしゅせん)
五銖銭は、古代中国で長く使われた青銅のお金です。
紀元前118年、前漢の武帝が作り始めてから、唐の時代に廃止されるまで700年以上にわたり流通しました。
名前の「五銖」は、当時のお金の重さの単位「銖」で5銖分、つまり重さの目安を示していたものです。
表面には「五銖」の文字が刻まれていました。
五銖銭の主な特徴
- 形
- 丸くて中央に四角い穴(円形方孔)
- 文字
- 「五銖」の2文字
時代ごとに書体やデザインが変化 - 重さ
- 約4g(5銖分)
時代が進むと軽くなるなど粗悪品も増えた - 縁
- 外と内側に「郭」と呼ばれる縁取りがあり
きれいな円形に整えられている - 前漢(武帝の時代)
-
五銖銭が登場
半両銭の後を継ぎ、統一通貨として使われる
最初は各地の地方で自由に作っていたが、質がバラバラで問題が多発
その後、国の工場(三官)で統一的に鋳造されるようになり、品質も安定 - 後漢~三国時代
-
戦乱と混乱で、偽物や粗悪品が横行
曹操・孫権・劉備らがそれぞれ独自の貨幣を発行(例:「直百五銖」や「大泉当千」)するも 実際の価値と釣り合わず、インフレの原因になる - 南北朝~隋の時代
-
小型・軽量・鉄製など、さまざまな五銖銭が登場、質もバラバラ
隋の統一で五銖銭も再統一、このとき「白銭五銖」など新たなタイプも生まれる - 唐の時代
- 621年、「開元通宝」が新しいお金として登場し、五銖銭が廃止
- 投稿タグ
- 中国貨幣
五銖銭歴史の流れ
参考:秦朝钱币_百度百科
参考:西汉半两_百度百科
参考:西汉五铢_百度百科
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