ガチャガチャで悪用!香港50セントと100円玉はそんなに似ている!?

2025年3月、Xにて香港50セント硬貨が、ガチャガチャで不正に使用される事件が報告されました。
注意喚起:拡散希望
ガチャガチャに100円硬貨の代わりに香港50セント硬貨(日本円で7円程度)を使用されていました😠
15枚総額1,500円分です
被害届提出いたします👮
おそらくあちらこちらで同じような被害があるのではないでしょうか⁉️
ガチャガチャ設置されているショップの皆様ご注意ください pic.twitter.com/cxOD8V6hGa— 道の駅大歩危・妖怪屋敷と石の博物館 (@Youkaiyashiki) March 26, 2025
価値が全く違う2つの硬貨ですが、なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。
この記事では、香港50セントと100円玉がどれほど似ているのか、実際の写真を使って丁寧に解説していきます!
2022年、日本唯一の古銭鑑定機関「貨幣商協同組合」に加盟
現在は古銭鑑定士として、テレビ等メディア出演多数
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目次
【写真比較】香港50セントと日本の100円玉は本当にそっくり?
「似ている」と言われる香港50セントと100円玉ですが、実際に並べてみると以下のようになります。

表面

裏面
それぞれのデザインと素材
2つのデザインは以下の通りです。
| 100円玉 | 香港50セント | |
|---|---|---|
| 表面デザイン | 中央に桜花のイラスト、周りに「日本国」「百円」の刻印 | 中央にバウヒニアのイラスト、周りに「香港」「HONG KONG」の刻印 |
| 裏面デザイン | 中央に数字の100、下部に年号の刻印 | 中央に数字の50、周りに「伍毫」「年号」「FIFTY CENTS」の刻印 |
| 素材 | 白銅 | 黄銅メッキ鋼鉄 |
こうして表にしてみると、デザインや素材、額面などまったく違うことがわかります。
ではなぜ香港50セントが悪用されてしまったのでしょうか!?
その理由はサイズと重さにあります。
100円玉と香港50セントの重さとサイズ
デザインは一目瞭然ですが、問題は「重さ」や「サイズ」です。
それぞれの違いを見てみましょう。
| 100円玉 | 香港50セント | |
|---|---|---|
| 直径(実測値) | 22.5mm | 22.4mm |
| 厚み(実測値) | 1.6mm | 1.7mm |
| 重さ(実測値) | 4.78g | 4.89g |
この表を見ると、驚くほど数値が近いことがわかります。
直径、厚みはわずか約0.1mm、重さは約0.1gしか違いません。

香港50セントと100円玉の直径の実測値

香港50セントと100円玉の厚みの実測値

香港50セントと100円玉の重さの実測値
色味が違うため、パット見では全く違うものと判断できますが、サイズや重さはかなり類似しているので、手にもった感覚だけで判断するのは難しいかと思われます。
なぜ?香港50セントがガチャガチャで悪用される手口と理由
大きさや重さがかなり似ている事がわかりましたが、見た目や素材は違います。
なぜXでポストされた事件が起きてしまったのでしょうか。
自動販売機が誤認する「重さとサイズ」の絶妙な一致
その理由は、先ほど比較表で見た「重さ」と「サイズ」にあります。
ガチャガチャのような機械の内部には硬貨選別機(コインセレクター)が付いています。

これは、投入された硬貨の「直径」「厚み」「重さ」「材質(電気抵抗値)」などを瞬時に測定し、本物かどうかを判断しています。
最新の自動販売機や駅の券売機などは非常に高精度なセンサーを搭載しているため、偽造硬貨や外国コインをほぼ確実に見抜くことができます。
しかし、一部のガチャガチャでは、このセンサーの精度がそれほど高くない場合があります。
「直径」と「重さ」だけを判別している機械の場合、0.1㎜や0.1gの違いの判断するのは非常に困難です。
というのも硬貨というのは長い間流通しますので、それに伴って傷や摩擦が増えていき、若干の変化が生じることが通常です。
そのため、0.1㎜や0.1gの差というのは、許容値になっている可能性が高いのです。(技術的に判断が難しい可能性もあります)
その結果、機械は「100円玉だ」と誤って認識し、ガチャガチャを回すことができてしまったと考えられます。
香港50セントの価値は日本円でいくら?
ちなみに、香港50セントというのは日本円に換算すると、いったいいくらになるのでしょうか。
あまり馴染みがないので、ピント来ない方も多いと思いますが、2025年11月現在のレートでいうと1香港ドルが約19.7円となっております。
香港50セントというのはこの半分(1ドル=100セント)のため、日本円にすると約10円となります。
そのため、100円の代わりに香港50セントを使用されると、約90円の差額が生まれることになります。
意図的な使用は犯罪になります!
当たり前ですが、使えるからと言って香港50セントでガチャガチャを回すのは犯罪行為となります。

どのような罪になるのですか?

主に「詐欺罪」や「窃盗罪」、場合によっては「偽造通貨行使罪」などが成立する可能性があります。
今回のガチャガチャの事件に関しても、すでに警察への被害届が出され、受理されています。
仮に家にあったからと言って、試すようなことは絶対にやめましょう。
100円玉は改鋳される?偽造・悪用対策の歴史
このような外国硬貨による悪用問題は、今回が初めてではありません。
実は日本の硬貨の歴史は、偽造や不正使用との戦いの歴史でもあります。過去の事例を振り返りながら、今後の100円玉の可能性について考えてみましょう。
過去の改鋳事例:韓国500ウォンと似ていた旧500円玉
硬貨の不正使用問題で最も有名なのが、旧500円硬貨と韓国の500ウォン硬貨のケースです。
1982年に発行された初代の500円硬貨は、当時発行されていた韓国の500ウォン硬貨とが非常に似ていました。
当時の為替レートでは500ウォンの価値は50円程度。この価値の差に目をつけた犯罪者が、500ウォン硬貨を自動販売機に投入して500円分の商品やお釣りを得るという事件が日本全国で多発し、深刻な社会問題となったのです。
この事態を重く見た政府は、対策として2000年に500円硬貨の改鋳に踏み切りました。
新しい500円硬貨は大幅な変更が加えられ、自動販売機が素材の違い等を正確に検知できるように改良されました。
これにより、500ウォン硬貨による不正使用は激減しました。

左が500ウォン、右が旧500円玉
現在の100円玉に改鋳の予定はあるのか?
では、香港50セントと似ている現在の100円玉も、近い将来改鋳される可能性はあるのでしょうか。
結論から言うと、現時点で100円玉の具体的な改鋳計画は発表されていません。その理由としては、いくつかの点が考えられます。
- 被害規模の違い:旧500円玉のケースは被害が全国的かつ大規模で、自動販売機業界に深刻な経済的損失を与えました。それに比べると、香港50セントによる被害は現状では限定的と見られています。
- コインセレクターの進化:近年、キャッシュレス決済の普及や、より高精度な硬貨識別センサーを搭載した新しい機器への置き換えが進んでいます。これにより、機械側での対策がある程度可能になっています。
- 改鋳コスト:硬貨のデザインを変更し、全国に流通させるには莫大なコストと時間がかかります。現在の被害状況と天秤にかけた場合、費用対効果が見合わないと判断されている可能性があります。
とはいえ、今後被害が拡大するようなことがあれば、将来的には何らかの対策が講じられる可能性もゼロではありません。
100円玉と香港50セント、先に誕生したのはどっち?
サイズや重さの似ている2つの硬貨ですが、先に誕生したのはどちらなのでしょうか?
結論として、先に誕生したのは日本の100円玉です。
日本の現行100円玉は1967年から発行されており、香港50セントは1993年に発行が始まりました。
ただ偶然にも似てしまっただけで、どちらかが模倣したわけではありません。

香港50セントに関するよくある質問(Q&A)
ここまで香港50セントについて詳しく解説してきましたが、最後によく寄せられる質問とその回答をQ&A形式でまとめました。
いざという時に困らないよう、ぜひ参考にしてください。
Q. 香港50セントは日本国内の銀行で両替できますか?
A. ほとんどの銀行では、硬貨(コイン)の両替は受け付けていません。
一般的に、日本の銀行や外貨両替店などで取り扱うのは「紙幣」のみです。これは、硬貨は重量がかさばり輸送コストが高いことや、偽造の判別が難しいことなどが理由です。
また、硬貨の両替が可能な、ポケットチェンジでも香港50セントの両替は行っていないようです。
参考▶ポケットチェンジの対応通貨
Q. 手元にある香港50セントは、どう処分すればいいですか?
A. 買取店に売却する方法があります。
買取店などでは一部海外通貨の買取を行っている場合があります。
アンティーリンクでは1gあたり2円でおまとめ買取を行っております。
香港50セント硬貨に限らず、処分に困っている海外硬貨等ございましたらお気軽にご相談ください。
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まとめ
今回は、日本の100円玉とよく似ている香港50セント硬貨について、その違いから悪用される理由を解説してきました。
使えるからと言って安易に使ってしまうと、犯罪行為になってしまうので、十分に注意しましょう。
また、もし処分に困っている場合はアンティーリンクにご相談ください。
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