イルカが描かれた金貨の種類と価値
金貨のデザインは本当にさまざま。小さな1枚に凝縮されたデザインの秀逸ぶりに感動してしまうこともあります。
今日ご紹介するのはそんな1枚、イルカの金貨です。イルカがデザインされた金貨は世界中にありますが、とくに人気があるのがクック諸島で発行されたコイン。南太平洋に位置するクック諸島で発行されたイルカの金貨は、女王様の肖像画とアートの巨匠の作品がセットになった贅沢なコイでイルカの可愛さが印象的です。
クック諸島発行のイルカの金貨のほか、世界中で発行されるイルカの金貨もご紹介。
西洋ではポジティブなイメージのあるイルカの金貨について、詳しく解説します。
目次
イルカ金貨とは
イルカ金貨と聞くと、不思議に思う方も多いことでしょう。
イルカを神々の使いとした文明があったり、キリスト教においては救済と復活のシンボルとなったり、とてもポジティブなイメージを持つ動物です。
そんな理由もあってか、アンティークコインにはイルカがデザインされたものがたくさんあります。
一般的に「イルカの金貨」の代表格とされているのが、クック諸島で発行されたドル貨幣です。クック諸島ではニュージーランドドルが使われていますが、クック諸島独自の貨幣もあり、その中のひとつがイルカの金貨なのです。
クック諸島のイルカの金貨が人気を誇る理由は、そのデザインにあります。
イギリス連邦の一部であった関係から、エリザベス女王の肖像画があるこの金貨、裏にデザインされたイルカは、人気画家クリスチャン・ラッセンが手掛けました。マリンアートの巨匠が手掛けたイルカたちは躍動的でかわいらしく、数あるイルカ金貨の中でも特に人気があります。
ラッセンがデザインしたクック諸島の金貨以外にも、オーストラリアではエリザベス女王とイルカの組み合わせが多いほか、カナダや中国、フランスでも発行されています。
ラッセンがデザインしたイルカ金貨の種類と価値
イルカの金貨の中でも特に人気が高いクリスチャン・ラッセンによるコイン。
アートとしての価値も高いラッセンのイルカ金貨は、コインのコレクターにとどまらず、ラッセンのファンや海の動物好きの間でも大人気。高額となる傾向があります。
クック諸島 20ドル イルカ金貨
品位 |
24K |
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直径 |
21.9mm |
重さ |
6.2g |
発行年 |
1999年 |
イルカと熱帯魚を囲むように「TWENTY DOLLARS 999·9 GOLD 1/5th OZ Lassen $20」と彫られています。
表面の品格溢れるエリザベス女王の横顔は、イギリス連邦のコインのデザインを多数デザインしたラファエル・マクロフ作。女王の肖像を囲む「エリザベス2世・クック諸島(ELIZABETH II COOK ISLANDS)」とともに刻まれた「RDM」はマクロフの本名「Raphael David Maklouf」の略です。
・アンティーリンクの買取価格は77,445円(2024年7月17日)
※こちらの金貨は、地金相場に連動して日々買取価格は変動します。
最新の買取価格は「クック諸島 イルカ金貨(ラッセン) の買取価格」をご覧ください。
クック諸島 4ドル イルカ金貨
ラッセンのデザインによる4ドル金貨も存在します。20ドル金貨に描かれていた熱帯魚はなく、2頭のイルカがのびのびとデザインされているのが素敵な1枚。「FOUR DOLLARS 999·9 GOLD 1/30th OZ Lassen $4」の文字が見えます。
品位 |
24K |
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直径 |
12mm |
重さ |
1.04g |
発行年 |
2018年 |
エリザベス女王の肖像は、イアン・ランク=ブロードリーが担当。ランク=ブロードリーは、亡きダイアナ元妃の彫像の作者として有名です。1997年に王立造幣局主催のコンペティションで勝者となったランク=ブロードリーは、イルカの金貨以外にも重要な記念コインをデザインしています。
一流のアーティストがコラボした貴重なイルカ金貨ですね。
・アンティーリンクの買取価格は12,991円(2024年7月17日)
※こちらの金貨は、地金相場に連動して日々買取価格は変動します。
外国金貨、銀貨、メダルの買取価格一覧表もぜひご確認ください。
ラッセンによるクジラの金貨
ラッセンがデザインしたクジラの可愛さは格別ですが、マリンアートの巨匠はクジラの金貨発行にもかかわっています。描かれた2頭のクジラは親子といわれており、その下には地球のような円が。バランスのある構図が特徴的です。
品位 |
24K |
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直径 |
23mm |
重さ |
6.22g |
発行年 |
2001年 |
海に反射する太陽光を思わせる装飾もラッセンらしさがあります。
エリザベス女王の肖像はマクロフ・バージョン。
ラッセンのファンにはたまらない金貨となっています。
・アンティーリンクの買取価格は77,695円(2024年7月17日)
※こちらの金貨は、地金相場に連動して日々買取価格は変動します。
クック諸島 バンドウイルカ 10ドル金貨
クック諸島で発行された10ドル金貨には「BOTTLE – NOSED DOLPHIN(バンドウイルカ)」という種の名前が記されているものもあります。
品位 |
24K |
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直径 |
13.92mm |
重さ |
1.244g |
発行年 |
2000年 |
水族館でお目にかかることが多いバンドウイルカは、私たちにもなじみ深いイルカ。2000年にクック諸島で発行された10ドル金貨のイルカも、愛嬌のある表情が魅力的です。
エリザベス女王像はマクロフ・バージョンです。
・アンティーリンクの買取価格は15,538円(2024年7月17日)
※こちらの金貨は、地金相場に連動して日々買取価格は変動します。
外国金貨の種類・買取価格をご紹介!!の記事もぜひご覧ください。
世界中のイルカ金貨の種類と価値
有名なクック諸島のイルカ金貨以外にも、イルカがデザインされたコインは多数。
とくに素敵なイルカ金貨をご紹介します。
オーストラリア 15ドル 金貨
品位 |
24K |
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直径 |
16mm |
重さ |
3.135g |
発行年 |
2009年 |
オーストラリアの動物シリーズ金貨(Discover Australia Fauna)には、とてもモダンで素敵なイルカがデザインされています。
点と線による立体感がすばらしい15ドル金貨のイルカは、グラフィックデザイナーとして活躍するダリル・ベロッティ作。オーストラリアの先住民の血を引くベロッティの独特の感性が光る金貨です。
表面のエリザベス女王像はランク=ブロードリ・バージョンで、クラシカルな美とモダンな美の両方を楽しめます。
・アンティーリンクの買取価格は39,160円(2024年7月17日)
※こちらの金貨は、地金相場に連動して日々買取価格は変動します。
オーストラリア 100ドル 金貨
品位 |
24K |
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直径 |
38.74mm |
重さ |
31.1035g |
発行年 |
2020年 |
近年発行されたイルカ金貨の中でも人気が高いオーストラリアの100ドル金貨。通称「スピナー・ドルフィン」は、垂直のポーズで回転するイルカがデザインされています。喜びにあふれるイルカの動きが、コインから伝わってきます。デザイナーは明らかにされていません。
対となるエリザベス女王の肖像は、2019年からオーストラリアのコインのデザインをしているジョディ・クラーク。最晩年の女王の貫録が見える金貨です。
・アンティーリンクの買取価格は388,517円(2024年7月17日)
※こちらの金貨は、地金相場に連動して日々買取価格は変動します。
中国 500元 イルカ金貨
品位 |
24K |
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直径 |
60mm |
重さ |
155.5g |
発行年 |
1997年 |
1997年に中国で発行された希少動物シリーズの1枚には、「CHINESE WHITE DOLPHIN(シナウスイロイルカ)」の文字が刻まれています。デザイナー名等は明らかにされていませんが、中国の都市を背景にした2頭のイルカが勢いよく海上で跳ねています。
水しぶきまで表現されたイルカ金貨、海の動物が好きな人にはとても魅力的なコインになっています。
・アンティーリンクの買取価格は1,942,367円(2024年7月17日)
※こちらの金貨は、地金相場に連動して日々買取価格は変動します。
フランス イルカエキュ金貨
品位 |
– |
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直径 |
約26.9mm |
重さ |
約3.32g |
発行年 |
1520~1530年 |
伝統的にフランスの王太子は「ドーファン(イルカの意味)」と呼ばれました。イギリスの皇太子がプリンス・オブ・ウェールズと呼ばれるのと同じです。
王太子の紋章にはイルカがデザインされているため、イルカの金貨は中世のフランスにも存在します。
フランスでは人気のある王フランソワ1世の時代に発行されたエキュ金貨にも、イルカの姿が見られます。
・直近のオークションでの落札価格は107,067円(2024年5月21日)
イルカ金貨の偽物は多い?フェイクコイン
イルカの姿がかわいいさまざまな金貨。現在は海外の小売店舗含め売切れとなっているものが大半です。
イルカ金貨の偽物は多いのでしょうか。
偽物との見分け方とともに解説します。
コイン市場に多い偽物、その要素とは?
コインの偽物は、それをテーマにした本があるほど長い歴史を持つもの。アンティークコインに興味を持ったら、フェイクコインについても知る必要があります。
人気のイルカ金貨はフェイクが多いのでしょうか。
実はイルカ金貨の多くには、フェイクになりやすいある要素があります。
それが女王エリザベス2世の肖像です。
英国と英国連邦で発行されたコインはデザイン性が高く、品質も保証されています。人気を反映して、市場でも高額になる傾向があります。
エリザベス女王がデザインされた金貨の偽造ニュースは、後を絶ちません。
イルカ金貨は全般的に人気がありますが、とくにエリザベス女王がデザインされたタイプは注意が必要です。
偽物を見分けるための基礎
コインの鋳造技術が未熟だった古代や中世は別として、近代のコインは技術の向上で重さやサイズは均等です。
まずはサイズと重さをはかること。
そしてなによりも、きちんとした業者との取引をすること。
これが偽物を手にしないための近道となります。
イルカ金貨に限らず、古銭や外国コインについて気になることがありましたらお気軽にご相談くださいませ。