500円玉の製造コストについて解説!お金を作る費用はどのくらい?

普段何気なく使っている500円玉は、1枚いくらで作られているのでしょうか。
この記事では、新500円玉の製造コストや他の硬貨との違い、原価割れの問題まで解説します。
- 古銭鑑定士
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2012年、古銭買取専門店「アンティーリンク」を創業し、古銭の買取・販売を始める。
2022年、日本唯一の古銭鑑定機関「貨幣商協同組合」に加盟
現在は古銭鑑定士として、テレビ等メディア出演多数
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目次
500円玉の製造コストは高い?安い?

500円玉は日常でよく使う硬貨ですが、製造コストはあまり知られていません。
1枚を作るのにどれくらいかかっているのか、新旧で違いがあるのかを見ていきます。
500円玉1枚あたりの製造コスト
造幣局は500円玉1枚あたりの製造コストを公表していません。
そのため、原材料の価格と公式発表から推測することになります。
ここでは造幣局が発表した貨幣製造事業の予算と財務省が発表した新500円玉の製造枚数をもとに計算します。
新500円玉の原材料は銅75%、亜鉛12.5%、ニッケル12.5%です。
造幣局の2024年度予算では、貨幣製造事業の支出が総額174億7600万円、そのうち原材料の仕入支出が46億7600万円、製造枚数は3億5000万枚でした。
これらを重量比で計算すると、1枚あたりの原材料コストは約9.34円、製造コストは約34.92円になります。
ほかの硬貨と比べると、500円玉の製造コストは高いほうです。
大型の硬貨で、使う素材の量も多いためです。
新旧500円玉の製造コストの違い
新旧の500円玉では、製造コストに違いがあります。
新500円玉は偽造防止技術が強化されたぶん、旧500円玉より製造コストが高くなっています。
製造方法が複雑になったことで、新500円玉の製造コストは旧硬貨より約10%上昇したと推定されています。
製造コストが変化する理由
製造コストの変化には、いくつかの要因が関係しています。
まず、原材料の価格変動です。
主要素材である銅や亜鉛の国際価格が上がれば、製造コストも上がります。
次に、新しい技術の導入です。
導入した直後はコストが上がりやすいものの、工程が効率化すればコスト削減につながることもあります。
500円玉以外の硬貨と紙幣を作る費用

500円玉以外の硬貨や紙幣は、どれくらいの費用で作られているのでしょうか。
硬貨と紙幣の違い
硬貨と紙幣では、製造コストの決まり方が大きく違います。
硬貨は金属を主原料とし、プレス加工や鋳造の工程を経て作られます。
一方、紙幣は特殊な紙を使い、高度な印刷技術で作られます。
硬貨の製造コストは、使う金属の種類と量に大きく左右されます。
そのため、額面が高い硬貨ほど製造コストも高くなる傾向があります。
紙幣は額面に関わらずコストがほぼ一定で、1万円札と千円札でほとんど変わりません。
耐久性にも違いがあります。
硬貨は紙幣より長く使えるため、長い目で見ると硬貨のほうがコスト効率はよくなります。
100円玉と10円玉の製造コスト

100円玉と10円玉の製造コストは、500円玉と比べるとかなり低くなります。
細かい計算は割愛しますが、100円玉は約15円、10円玉は約7円程度と推定されています。
コストが低いのは、使う金属の量が少ないためです。
また、100円玉と10円玉は長年デザインが変わっていないため、製造工程が最適化されており、効率よく作れます。
ただし原材料価格の変動によって、これらの硬貨の製造コストも年々変わっています。
とくに10円玉の主要素材である銅は価格が上がっており、のちほど解説する原価割れの問題が過去に起きたこともあります。
年間の貨幣製造コスト
日本の年間の貨幣製造コストは、経済状況や需要によって変わるものの、数百億円規模です。
この費用には硬貨と紙幣の両方が含まれます。
日本銀行と造幣局が協力し、適切な通貨供給量を保つために製造計画を立てています。
海外の硬貨とも比べてみましょう。

アメリカの1セント硬貨(ペニー)は、1枚あたりの製造コストが約4セントと、額面の4倍かかっていました。
この原価割れが続いた結果、アメリカは1セント硬貨の製造そのものを終了しました。
2025年11月12日、フィラデルフィア造幣局で最後の1枚が製造され、232年の歴史に幕が下りています。
製造をやめることで、年間5,600万ドル(約84億円)の材料費が節約できる見込みです。
なお、すでに出回っている1セント硬貨は、これまでどおり使えます。
各国とも偽造防止技術の強化や原材料価格の変動により、製造コスト上昇の問題を抱えています。
コスト削減と通貨の信頼性維持をどう両立させるかが、世界共通の課題になっています。
新500円硬貨の製造方法とコスト

500円玉の製造には高い技術力が必要で、それが製造コストにも表れています。
なお、歴代500円玉の素材や品位、規格の変化については次の記事でまとめています。
新500円硬貨の特殊な製造方法
新500円硬貨の製造方法は、従来の硬貨製造技術を大きく進化させたものです。
最も注目すべき点は、世界最高水準の偽造防止技術が採用されていることです。
新500円玉には、2色構造のバイカラー・クラッド、縁の異形斜めギザ、微細点、微細文字、潜像といった技術が使われています。
工程の最適化は進められていますが、高度な製造工程が硬貨の製造コストを押し上げる要因にもなっています。
硬貨の原価割れ問題が起きる理由

原価割れとは、製造コストが額面を上回ってしまうことです。
硬貨の原価割れは世界中が直面している課題で、主な原因は次の4つとされています。
- 原材料価格の高騰
- 偽造防止技術の複雑化
- インフレーション
- 電子決済の普及による需要減少
とくに額面の低い硬貨が大きく影響を受けます。
実際にアメリカでは、原価割れが続いた1セント硬貨の製造が2025年に終了しました。
そのため造幣局には、コスト削減と品質維持のバランスを取ることが求められています。
価値のある500円玉の製造コストは違う?

記念硬貨やレア硬貨は、通常の500円玉とは作り方が違います。
デザインが凝っていたり、特別な素材を使ったりするため、作るのに費用がかかることが多いです。
オリンピックや天皇陛下御即位の記念硬貨がその例です。
また、製造中に発生したエラーコインに価値が出ることもあります。
希少性や見た目の面白さから、通常の硬貨より高く売れる場合があります。
価値の判断は難しいため、気になる場合は専門店での鑑定をおすすめします。
まとめ:500円玉のコストは時代によって変わる

500円玉の製造コストは、時代とともに変わってきました。
原材料価格の変動、偽造防止技術の進化、経済状況の変化によって、コストは常に動いています。
とくに最新の偽造防止技術を備えた新500円玉は、より高度な製造工程が必要になり、コストも上がっています。
ただし、500円玉の価値は製造コストだけでは測れません。
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