軍用手票100円札 4種類の価値・見分け方をわかりやすく解説!

軍用手票100円札 4種類の価値・見分け方をわかりやすく解説!

軍用手票(軍票)の100円札には全部で4種類がありますが、その価値や見分け方について説明していきます。

軍用手票(軍票)100円札 4種類の価値と見分け方

軍票100円札の中で、3種類は紙幣の中央に「軍用手票」と赤字で印刷されています。
紙幣の人物は聖徳太子ですので、聖徳太子100円札と間違えないように気をつけましょう。
また1種類だけ軍用手票と印刷されていない、鳳凰のデザインの紙幣もありますのでぜひご確認ください。

軍票100円札一覧表

軍票100円札一覧表
種類 画像 発行年 肖像
日華事変軍票
戊号100円札
戊号100円 昭和14年 鳳凰
日華事変軍票
乙号100円札
乙号100円札 昭和19年 聖徳太子
日華事変軍票
丙号100円札
丙号100円 昭和19年 聖徳太子
日華事変軍票
丙号(異式)100円札
丙号異式 昭和19年 聖徳太子

運用手票(軍票)とは?

戦争中に、軍隊が占領地などで一時的に発行する「お金」のことです。
略して「軍票ぐんぴょう」と呼ばれます。

どこで使う?
自国ではなく、攻め入った占領地で使います。
なんのため?
現地で食料や資材を調達したり、兵士に給料を払うためです(本国のお金を持ち込まずに現地経済を回すため)。
価値は?
その国が勝っている間は使えますが、戦争に負けると補償されず、ただの紙切れ(無価値)になることがほとんどです。

ひとことで言うと、「戦争中だけ無理やり通用させた、政府(軍)の借用書」のようなものです。

戊号100円札

戊号100円

本日の買取価格

1枚10円

【1940年(昭和15年)~】

まだ戦局に余裕があり、占領政策を軌道に乗せようとしていた時期のお札です。

それまでの軍票(丁号券など)からデザインを一新し、中国大陸(中・南部)での流通を主目的に発行された戊号シリーズの100円札です。

デザインの特徴

独自デザイン
聖徳太子ではなく、中国で好まれる「鳳凰ほうおう」がが描かれています。
表記の変化
「軍用手票(軍が一時的に出す手形)」という表記を廃止し、堂々と「大日本帝国政府」と記載。
管理体制
しっかりとした記番号(シリアルナンバー)が振られており、通貨としての信用を持たせようとした意図が見えます。

時代背景

現地の人々に「これは正規のお金である」と信用させるため、手間とコストをかけて立派な紙幣を作っていた時期です。

乙号100円札

乙号100円札

本日の買取価格

1枚10円

【1944年(昭和19年)頃】

太平洋戦争も後半に入り、香港占領などで急激に通貨需要が高まったものの、正規の軍票製造が追いつかなくなった時期のものです。

軍票が足りないため、日本国内で使われていた聖徳太子2次100円札」を急遽現地に持ち込み、無理やり軍票に仕立て上げたものです。

デザインの特徴

国内紙幣の流用
見た目は日本の100円札そのもの。
「日本銀行券」という文字も残っている(または消し忘れ)場合があります。
加刷(オーバープリント)
その上から赤文字で「軍用手票」や中国語の注意書きを後から印刷しています。

時代背景

「とにかくお札が足りない!」という現場のひっ迫した状況がわかります。
国内用の紙幣を転用せざるを得ないほど、準備の余裕がなくなっていました。

丙号100円札

丙号100円

本日の買取価格

1枚10円

【1944年(昭和19年)~】

戦局がさらに悪化し、物資不足が深刻化してきた時期です。
乙号のような「後から加工」すら手間がかかるため、最初から簡素な軍票が作られました。

香港などで使用されましたが、乙号(国内紙幣流用)とは異なり、軍票専用の版を起こして印刷されました。

デザインの特徴

黒っぽい見た目
聖徳太子と夢殿の図案ですが、全体的に黒っぽい色調です。
簡略化
最初から「日本銀行券」の文字や総裁印は削除され、「大日本帝国政府」「軍用手票」と印刷されています。
品質低下
手間のかかる凹版印刷(手触りのある印刷)をやめ、平版印刷にするなど、製造コストが極限まで削られています。

時代背景

「質より量」の生産体制です。
紙質が悪くなり、見た目の美しさよりも、とにかく枚数を刷ることが優先されました。

丙号(異式)100円札

丙号異式

本日の買取価格

1枚10円

【1945年(昭和20年)/大戦末期】

終戦直前、あるいは混乱の最中に現れた、異様な姿をしたお札です。

上記の「丙号券」と同じ版を使っていますが、インクの色が全く違います

デザインの特徴

真っ赤な紙幣
表面も裏面も、すべての印刷が赤一色で行われています。
異様な存在感
通常の紙幣ではありえない色使いです。

時代背景(諸説あり)

資材枯渇説
現地の印刷工場で黒インクが尽きてしまい、余っていた赤インクで刷るしかなかった。
謀略説
敵国(イギリスや中国)が日本経済を混乱させるために偽造した。
真相は不明ですが、正常な管理体制が崩壊していたことだけは確かです。

現在の価値

大量に残存しており、市場価値は1枚10円~数百円程度と非常に低いです。

軍票100円札のまとめ

軍票100円札まとめ
種類 まとめ
戊号 威信をかけた正規版
乙号 間に合わせの代用品
丙号 質を落とした簡素版
丙号(異式) 崩壊寸前のエラー版

このように時系列で並べると、軍用手票100円札の変化は、そのまま「大日本帝国の国力が衰退していくプロセス」と重なって見えるのが非常に興味深い点です。

軍票100円札の買取なら古銭専門店アンティーリンクへ

以上、4種類の軍票100円札の価値や見分け方についてご紹介しました。
ご覧いただいた通り、軍票100円札は発行枚数が多く、プレミア価値が付かないものがほとんどです。

なお、軍票ではありませんが、100円札としては板垣退助や聖徳太子の紙幣が特に有名です。
これらを含めた全16種類の「100円札の価値一覧表」もご用意していますので、ぜひ併せてご確認ください。

また、このほかにも価値が気になる軍票や紙幣があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください!アンティーリンクではLINEでの無料査定も承っていますので、お気軽にご相談いただけます。