イギリスが誇るソブリン金貨とは?歴史から種類、真贋まで解説!

金貨って、海外にもたくさん種類があるんですよね!

世界で初めて金貨が作られたのは、紀元前7世紀~6世紀頃と言われていますよ。

たくさん歴史がありそうですね。

今回はイギリスの金貨、ソブリンに絞って解説しましょう。

ソブリン金貨の歴史

世界に冠たる大英帝国として栄えたイギリス。
そんなイギリス代々の君主が刻まれたコインがあるのを、ご存じでしょうか?

歴史や格式を感じることができるこのコインは、「ソブリン金貨」と呼ばれています。

  • ソブリン金貨はいつ頃誕生し、どんな変遷を経てきたのか。
  • アンティークコイン市場で、ソブリン金貨はどのくらいの価値があるのか。

この記事では、イギリスのソブリン金貨について、そしてギニー金貨との違いや真贋についても詳しく解説いたします。

ソブリン金貨は、長い歴史を誇るコイン。
イギリスの歴史を語る歴史の証人といってもよいかもしれません。

まずは、ソブリン金貨の歴史や変遷を、詳しくご紹介します。

なぜソブリン金貨と呼ばれるの?

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画像:Wikipedia
ソブリンとは「Sovereign」のこと

つまり「君主」や「国王」という意味を持つ金貨です。

なぜ「君主の金貨」と呼ばれるのでしょうか?それは、ソブリン金貨の起源に理由があります。

ソブリン金貨が発行されたのは、1489年のことでした。

王立造幣局に新しい金貨の発行を命じたのは、当時のイギリス王ヘンリー7世です。

新たな金貨には、王であるヘンリー7世の肖像画が刻まれました。
このことから、ソブリン金貨と呼ばれるようになったのです。

イギリスには、それまでも金貨は存在していました。
しかし、ソブリン金貨には王の肖像とともに、王家の紋章、ヨーク家とランカスター家の融合を象徴するチューダー家のバラがデザインされました。

その格式の高さから、ソブリン金貨は英国王の権威の象徴として定着したのです。
まさに「君主の金貨」の名にふさわしい概念を持つコイン、といったところでしょうか。

ソブリン金貨、その後の変遷

1489年に登場したソブリン金貨は、その後どんな変遷をたどったのでしょうか。

ヘンリー7世が玉座に座ったデザインのソブリン金貨は、その後、ヘンリー8世やエリザベス1世の時代にも発行が続きました。
ところが、この最初のソブリン金貨は1603年に発行が中止されました。

イングランドとスコットランドの王を兼ねたジェームス1世の治世の始まりとともに、ソブリン金貨の肖像画はヘンリー7世から、ジェームス1世へと切り替えられました。

ジェームス1世のソブリン金貨

1604年、このソブリン金貨を最後に鋳造が打ち切られ、以後19世紀初頭まで、金貨はギニー金貨のみとなりました。

再びソブリン金貨が発行されたのは1817年。
金本位制殿導入に伴い貨幣法が制定され、ソブリン金貨も復活しました。

再登場したソブリン金貨にも、代々の君主がデザインされています。
すべて横顔で描かれ、イギリスを守護する聖ジョージや王家の紋章とセットになっているのが特徴です。

ソブリン金貨とギニー金貨の違い

ソブリン金貨は1489年に発行され、1604年に発行が一時停止されますが、この期間に発行されたものを「旧ソブリン金貨」と呼びます。

そして、1817年以降に再度発行が開始されますが、これを「ソブリン金貨」と呼びます。

一方で、ギニー金貨は1663~1814年までに限り発行されたもので、現在でいうガーナやトーゴ近くのギニア海岸から調達された金が使われたため、「ギニー金貨」と呼ばれます。

ハーフギニア金貨


1ギニア金貨


2ギニア金貨


ソブリン金貨のサイズや重さ

君主にふさわしいゴールドのコイン、ソブリン金貨のサイズや重さはどうなっているのでしょうか。

1489年に発行された最初のソブリン金貨は、大きさも重量もまさに君主級。
23カラットの金の純度は96%でした。重さは15.27g。

ヘンリー7世の息子、ヘンリー8世は、金を22カラット(純度92%)に下げ、これがクラウンゴールドと呼ばれるイギリス金貨の基準となりました。

ヘンリー8世のクラウン金貨

1816年に再登場したソブリン金貨は、最初のタイプに比べると重さは約半分の7.3224g。
直径も約半分の22mmとなり、現在までこのサイズと重量が守られています。

安定の人気を誇るソブリン金貨、そのデザインについて

英国王の威信を伝えるソブリン金貨。
そのデザインは、時代によって異なる部分と、英国のシンボルとして変わらない部分があります。

ソブリン金貨のデザインについて、詳細を見ていきましょう。

希少性の高い最初のソブリン金貨 ヘンリー7世

1498年に発行された最初のソブリン金貨は、当時の技術力を反映してサイズが大きいのが特徴です。
前述したように、玉座に座る英国王と、当時の王家であったチューダー家のバラがデザインされているのが特徴です。

最初のソブリン金貨(ヘンリー7世 ソブリン金貨)

英国王家は、時代によって名字が異なります。

ヘンリー7世から始まるチューダー王家は、その孫のエリザベス1世が独身であったため1603年に断絶。
エリザベス1世のあとを継いだジェームズ1世はステュアート家の出身であるため、バラの花のデザインも1603年以降は消滅しました。

デザインを比較してみましょう。

ヘンリー7世 ソブリン金貨


ヘンリー8世 ソブリン金貨


ジェームス1世 ソブリン金貨



※バラのデザインが消える

イギリスの守護聖人がソブリン金貨に

1817年に再登場したソブリン金貨には、君主の横顔と、英国の守護聖人ジョージがセットとなってデザインされています。

これは当時の英国王が、ハノーヴァー家出身のジョージ3世であったことに由来しているといわれています。
2022年に即位した現国王チャールズ3世のソブリン金貨も、このデザインで発行されています。

聖ジョージはイタリア人の作品


画像:Wikipedia
ソブリン金貨に彫られた聖ジョージは、3世紀に殉教した聖人です。

父の代から高名な軍人であり、ドラゴン退治の伝説を持つ聖人として、中世から大変な人気を誇りました。
ラファエロをはじめとする高名な芸術家たちも、ドラゴンを退治する聖ジョージをテーマにした作品を数多く描いています。

イギリスのソブリン金貨のシンボルともいえる聖ジョージは、躍動的に美しく描かれた傑作です。

ソブリン金貨の聖ジョージをデザインしたのは、イタリア生まれのメダル彫刻師、ベネデット・ピストルッチでした。
コインやカメオのデザインで突出した才を見せたピストルッチは、30代で渡英、王立造幣局の依頼で聖ジョージをデザインしました。
ピストルッチが残したさまざまな作品の中でも傑作中の傑作として、200年以上も使用されているデザインなのです。

ソブリン金貨には紋章が描かれることも

ソブリン金貨には聖ジョージが刻まれることが大半ですが、ジョージ4世の時代に王家の紋章をデザインしたタイプも発行されました。
英国王の紋章は非常に複雑で、イギリス王を象徴するライオンスコットランド王のシンボルである竪琴などが細かく刻まれています。

ジョージ4世のほかにも、ウィリアム4世やヴィクトリア女王の時代にも、紋章をデザインしたソブリン金貨が発行されています。

ジョージ4世 ソブリン金貨

ウィリアム4世 ソブリン金貨

ヴィクトリア女王 ソブリン金貨

ソブリン金貨誕生500年を記念した復刻版もあり!

1817年以降は、君主の横顔が彫られてきたソブリン金貨。
ところが1989年、エリザベス2世の時代に、旧ソブリン金貨の復刻版として、玉座に座る女王をデザインしたコインが登場しました。

ソブリン金貨500年記念金貨

これは、1489年に最初のソブリン金貨が発行されてから500年を記念したプルーフコインです。

玉座のエリザベス女王が、王のシンボルである王笏を手にした優雅なデザインが魅力的です。
裏面には、オリジナルのソブリン金貨を思わせるチューダー家のバラと王家の紋章が彫られて、中世の趣を伝える素敵なコインになっています。

日本で大人気の1982年銘エリザベス二世のソブリン金貨

日本ではとくに、1981年、1982年に発行されたエリザベス二世が描かれたソブリン金貨が人気です。
同じデザインでも、種類が異なるので重さや価値などを一覧で紹介します。品位はすべて金 (.9167)です。

エリザベス二世のソブリン金貨(1974~1984年)
重さ 直径
ハーフソブリン(1980~1984年発行)

3.99g

19.3mm

1ソブリン(1974~1984年発行)

7.98g

22.05mm

2ソブリン(1980~1983年発行)

15.98g

28.4mm

5ソブリン(1980~1984年発行)

39.94g

36.02mm

ソブリン金貨の額面金額は?

ソブリン金貨の額面金額は、4種類あります。

ソブリン

最も一般的なタイプで、額面金額は1ポンド(または20シリング)です。ソブリン金貨は約7.3グラムの金を含みます。

ハーフソブリン

ソブリンの半分の額面金額、すなわち10シリングの価値があります。ハーフソブリンはソブリンの約半分の重さです。

ダブルソブリン

これはソブリンの二倍の額面金額、つまり2ポンドの価値があります。この種類の金貨は比較的珍しく、特定の期間や特別な記念イベントのために発行されることが多いです。

クォーターソブリン

これはソブリンの四分の一の額面金額で、5シリングの価値があります。しかし、クォーターソブリンはあまり一般的ではなく、限定的な発行でした。

ソブリン金貨、本物と偽物はどうやって見分ける?

ソブリン金貨は、長い歴史の中で発行されてきたコインです。
そのため、希少性が高いタイプはそれほど多くありません。

もちろん、1489年から発行された最初のソブリン金貨、1816年に再発行されたソブリン金貨の初期のタイプは、数が少ないため高額になることが通常です。

こうした事情から、ハノーヴァー王家のジョージ4世とジョージ5世のソブリン金貨は、偽物も多く出回っているといわれています。

ソブリン金貨の真贋はどのように見分けるべきなのでしょうか。
そのコツを説明します。

ソブリン金貨、これが偽物!

ソブリン金貨の偽者は、このようにして見分けます。

  • 重さが基準値から逸脱するもの
  • 直径が基準値から逸脱するないもの
  • 磁石を使ってくっつくコイン
  • 酸に触れると緑色に変色するもの

とはいえ、重さや直径はソブリン金貨の種類によっても異なるため、ソブリン金貨の真贋を見極めるのは素人には難しいものといえます。
困った場合には、専門の業者に相談するのが一番です。

ソブリン金貨と同時代のアンティークコイン

コレクターに大人気のソブリン金貨。
同時代に発行されたコインには、どんなタイプがあるのでしょうか。特に人気のコインをいくつか紹介します。

ハーフソブリン

ハーフソブリンは、その名のごとく1ポンドの半分の価値を持つコインです。
ハーフソブリンの発行は、ソブリン金貨より遅れることおよそ半世紀、1554年に始まりました。

ヘンリー8世 ハーフソブリン金貨

エリザベス1世の父、ヘンリー8世の時代に登場したハーフソブリンはその後、ソブリン金貨と同じような変遷をたどり、現在も王立剃造幣局から発行されています。

直径は19mm、重さは3.994g。

ソブリン金貨より一回り小さく、重さは約半分です。
歴代の君主と聖ジョージのデザインも、ソブリン金貨と同じ。ミニサイズのソブリン金貨として、注目したいところです。

フランツヨーゼフ1世 100コロナ金貨

英国王室と同様、ヨーロッパの歴史に大きな影響を及ぼしたハプスブルク家。

20世紀初頭のハプスブルク家を統治していたのは、「不死鳥」と称されたフランツヨーゼフ1世です。
日本でも人気の美貌の皇后エリザベトと並んで、ヨーロッパの最後の輝きともいわれてきました。

ハンガリー フランツヨーゼフ1世 100コロナ金貨

ソブリン金貨と同様、フランツヨーゼフ1世の横顔の肖像が美しい100コロナ金貨は、ハプスブルク家の知名度を反映して、人気が高いコインです。
英国王室の聖ジョージに対して、ハプスブルク家は双頭の鷲がシンボル。

直径37mmのサイズは、欧州随一の名門にふさわしい貫禄があります。

ジョージ5世 ワイタンギ銀貨

ジョージ5世のソブリン金貨は、希少性の高さで高額になるケースが多いといわれています。
そのジョージ5世の時代、1935年に発行されたのがワイタンギ銀貨と呼ばれるコイン。

ニュージーランド ジョージ5世 ワイタンギ銀貨

英国の植民地であったニュージーランドでは、先住民と入植したイギリス人の争いが絶えませんでした。
紛争の解決のために、1840年にワイタンギ条約が締結されました。

1935年に発行されたワイタンギコインは、ニュージーランド出身のアーティストがデザインし、改めて両国間の絆を象徴する記念コインとなったわけです。

エリザベス2世の祖父であったジョージ5世は、開明的な君主として現在も人気を誇ります。
ジョージ5世が王冠をいただいた横顔の美しさも、このコインの人気を支えているといえるでしょう。

ソブリン金貨は安定した人気を誇るコイン!

1498年に発行されたソブリン金貨は、5世紀におよぶ歴史を誇るコインです。

ヨーロッパの歴史に大きな影響を与えたイギリス歴代の君主がデザインされ、金の価値だけではなく、歴史や美術と関連して評価されています。

ソブリン金貨は人気が高いだけに、偽物が出回ることもしばしば。
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