二分判金の価値を全種解説!偽物の見分け方を画像付きで紹介!

実家の蔵の中から四角い金貨のようなものがでてきました。「二分」と書いてあるように見えますがこれは何でしょうか?

それは江戸時代に使われていた「二分金(にぶきん)」ですね。

「にぶきん」と言うんですね。どれぐらいの価値があるんでしょうか?

状態が良ければ1万円を超えるケースが多い古銭です。種類によっても価格は変わりますので二分金の種類と買取価格について解説していきます。

二分金とは?

二分金画像
二分金とは、正式には二分判と呼ばれる江戸時代の金貨のことです。
とは金貨に使われる呼称です。皆さんも「小判」なら聞き覚えがあるのではないでしょうか?これに、額面となる二分を付けて二分判と名付けられています。

初めて発行されたのは、江戸の文政元年(1818年)です。
その後、明治2年に至るまで作られ続けられていました。

二分金の特徴

短冊型をしていて、表面には「桐紋」の図柄と額面の「二分」の文字。
裏面には「光次」の署名と、サイン代わりに使われる「花押」という記号が彫られています。

当時の価値はどれぐらい?

二分金は、江戸時代の1両(小判1枚)の半分に相当する金貨として作られました。
なので、二分金が2枚あれば小判1枚に相当する高額な貨幣でした。
当時の1両小判は、そばを400杯も食べられました。
ということは、その半分の価値がある二分金なら200杯です。これだけでもかなりの金額であることがわかりますね。現代で概算すると、かけそば1杯で大体400円ぐらいですから、200杯で8万円になります。
当時の人にとって二分金1枚で8万円程度の価値がありました。
そば400杯

金貨とはいえど驚く価格ですね!

現在の価値はどれぐらい?

考える

昔の価値はこれでわかりましたが、それでは現在はどれぐらいの価値があるのでしょうか?

二分金の買取価格は種類によって変わりますが、安いものでも3,000~5,000円
高いものなら40,000~50,000円といった額がつくこともあります。

次は二分金の種類と、買取価格の相場について解説していきます。

二分判の種類と買取価格

ここで紹介した特徴を踏まえておけば、二分金の種類を見分ける際に役に立つかと思います。

二分金には以下の種類があります。

  • 文政二分判(真文二分判)
  • 文政二分判(草文二分判)
  • 安政二分判
  • 万延二分判
  • 明治二分判(貨幣司二分判)

文政二分判(真文二分判)

真分二分

文政元年(1818年)に初めて作られた二分金が文政(ぶんせい)二分判です。

  • 重さ: 6.52g
  • 寸法(約): 縦2.3×横1.4(cm)
  • 品位: 金563/銀437

文政二分判金はさらに、文字の形で2種類に分けられています。
裏面の「文」の字楷書体であるものは真文二分判と呼ばれます。

後述する草文二分金との見分け方については、二分金の見分け方の項目を参考にしてください。

当時、一両小判として使われていた元文金は傷物が増えてきていました。
このことを理由に、幕府は元文小判と二分金2枚の無料両替を実施します。

これが盛況で多くの小判を幕府は回収しました。
ですが、元文小判1枚に対し文政二分金2枚は金の含有量がわずかに少なくなっています。
つまり、小判の回収と言いつつ財政難を乗り切るための金を回収する目論見だったのです。

このように、貨幣の改鋳によって差分の金属を集めることを「出目」と呼びます。

本日の買取価格
極美品
文政二分判(真文二分判)

40,000円

文政二分判(草文二分判)

草分二分

文政元年(1818年)に初めて作られた二分金が文政(ぶんせい)二分判です。

  • 重さ: 6.56g
  • 寸法(約): 縦2.3×横1.4(cm)
  • 品位: 金490/銀510

上記の真文二分判と違い、裏の「文」の草書体だと草文二分判と呼ばれます。
文政11年以降に鋳造されたものが、この草文二分判になっています。

真文二分判と重さはほぼ同じながら、金の含有量はだいぶ減りました。
これも、江戸幕府による出目が目的だったとされています。

草文二分判は、真文二分判より0.5gほど金が少なくなっています。
1枚交換するたびに幕府が0.5gの金を回収できるというわけです。
この回収できた金の分が幕府にとっての儲けになりました。

本日の買取価格
極美品
文政二分判(草文二分判)

28,000円

安政二分判

安政二分
安政3年(1856年)から鋳造されていたのが安政二分判です。
金の含有量が大きく減っているのが特徴です。

  • 重さ: 5.62g
  • 寸法(約): 縦2.1×横1.3(cm)
  • 品位: 金209/銀791

これも草分二分判と同様に、出目を目的として製造されました。
より多くの金を回収するために、金の含有量が低くなっています。

本日の買取価格
極美品
安政二分判

10,000円

万延二分判

万延二分金

万延元年(1860年)から鋳造された万延二分判は大幅に小型化されています。

  • 重さ: 3.00g
  • 寸法(約): 縦1.7×幅1.1(cm)
  • 品位: 金229/銀771

重さにして半分以下です。
そのため、品位を見ると金の量が増えていそうですが実際には減っています。

これもやはり出目を目的として国内での流通を狙って大量に鋳造されました。
万延二分判は総額が5千万両を超える量が作られたそうです。

これは、当時流通していた通貨の総額の90%に匹敵します。
つまり、幕末の財政はほぼ万延二分金で回っていたのです。

本日の買取価格
極美品
万延二分判

30,000円

明治二分判(貨幣司二分判)

明治二分金
明治元年(1860年)から鋳造された明治二分判は「貨幣司二分判」とも呼ばれます。
貨幣司とは、大政奉還のあと一時的に設立された造幣局です。

  • 重さ: 6.52g
  • 寸法(約): 縦1.9×横1.1(cm)
  • 品位: 金563/銀437

明治二分判のなかには、金の含有量が少ない劣位二分金というものが存在します。
通常の明治二分判の金含有量は22.3%です。
これに対し劣位二分判の金含有量は18%程度まで落ちます。

また、幕末の時期は財政難に陥った各藩で二分判が偽造されました。
そのせいで、明治二分判には金メッキをした偽物も混じっています。

本日の買取価格
極美品
明治二分判(貨幣司二分判)

15,000円

以上が、二分金の種類と買取価格です。次に、二分金の種類の見分け方を確認していきましょう。文字の文体サイズ種類は見分けられます。

全種類の見分け方

ポイントごとに細かく確認していきましょう。

裏面で確認

裏面で確認できる二分金は文政二分判で、2種類に分けられます。

まずは裏面のデザインを確認します。
裏の右上の位置に「文」の字があれば、文政二分判の真文二分判草文二分判です。

この「文」は時代印というもので、文政時代のものであることを意味します。

真文二分判と草文二分判の見分け方

こちらの画像をご覧ください。

真文と草文の違い

「文」の書体が楷書体であれば真文二分判です。草書体ならば草文二分判です。

比較するとわかりやすいですね。続いてサイズでの見分け方を確認しましょう。

全種類のサイズを確認

次に二分金全種類のサイズを比較してみましょう。

二分判のサイズ比較

二分金サイズ比較

なんとなく大きさのイメージができたでしょうか。続いては万延と明治を見分け方です。

表面のデザイン

最後に、万延と明治を見分けるポイントです。

二分金の表面には、必ず額面の「」の字があります。
この「」で万延と明治が見分けられるのです。

「分」の字の2角目が跳ねているのは万延二分金の特徴で「跳ね分」と言います。
2角目が跳ねずに止めてあるのは明治二分金の特徴で「止め分」と言います。

万延と明治の「文」を比較

明治・万延の見分け方

いかがでしたか。これで種類の見分け方は分かったのではないでしょうか。

価値が上がるエラー品?

?

二分金には、製造中のエラー(※)の痕跡が残っているものがあります。

※エラーとは…
貨幣の製造過程で、何らかの異常が発生し、不良品となってしまった貨幣のことです。
基本的には市場に出回る前に取り除かれるのですが、何かの理由で出回ることがあります。

一見不良品のため価値がないように思えますが、プレミア価値があり高額で取引されることがあります。
ではどのようなエラーがあるのでしょうか。

逆打

真文二分判逆打
表と裏で上下が逆転した刻印がされている「逆打」です。
画像の真文二分判は400,000円の価値がつきました。

偽物の見極め方

偽物の見極める
残念ながら、二分金にも偽物は存在します。
幕末の時期はあらゆる貨幣の偽物が横行したのです。知らずに偽物を取引してしまうとトラブルになりかねません。
まずは、自分でもできる真贋の見分け方を知っておきましょう。

重さを測る

計り
古銭の偽物を見分けるうえで、まず参考にしたいのが重さです。
二分金のそれぞれの重さは以下の通りとなります。二分金の見分け方を参考にして、種類を見分けてから重さを確認してみてください。
  • 文政二分判(真文):6.52g
  • 文政二分判(草文):6.56g
  • 安政二分判:5.62g
  • 万延二分判:3.00g
  • 明治二分判:3.00g

明治二分判の本物と偽物の重さ比較

明治二分判の本物偽物の重さを量った画像です。
本物は重さがぴったり3.00gになっていますね。それに対し偽物は2枚とも、重さに0.1g以上の差が生じています。

本物と偽物の重さ比較

このように重さが違うものは偽物を疑っておきましょう。

色を確認する

次に、表裏の色味を確認しましょう。
写真は明治二分金で、左側が本物右側が偽物になっています。
二分金の色味 本物と偽物

本物は表、裏ともに金の光沢で輝いています。

偽物は金の色がくすみ、ところどころ薄くなっています。しかも黒ずんでいますね。
この変色具合は、銀の変色に似ています。

写真ですとわかりづらいのですが、ところどころ銀色に剥げている部分もあります。
このように金が薄いものや銀に近い色味のものは偽物の可能性が高いです。

ちなみにこの偽物は、銀で作ったものに金メッキを施したものです。
これは「銀台」と呼ばれる、当時の偽物になります。

銀製のため、銅製の偽物に比べて、重さも本物に近いものも多く存在します。
また厚みや大きさも、本物と同じようなものが多ため、注意が必要です。

重さを確認した後は、二分金の色を見ることも重要になってきます。

側面を確認する

側面の状態も、実は真贋確認のための重要なポイントになります。
3枚の明治二分金で、側面を比較してみましょう。

側面比較用

側面アップ

左側の本物は、側面がごつごつとして、ざらついている感じが伝わってきます。

真ん中の偽物は、メッキがはがれて銅色が見えています。特に側面は試金に使われることが多いため、この痕から真贋がわかることもあります。

一番右の偽物は断面が滑らかで、逆に不自然です。例えるなら板チョコを横から見たような感じです。

以上のように、側面には真贋を判断する上での手掛かりが存在します。
二分金の真贋確認には、側面もしっかりと確認しましょう。

色がハゲていたり、あまりに滑らかなものは、偽物の可能性が高いです。

デザインを確認する

最後に、表裏どちらもデザインを細かく確認していきましょう。

改めて解説すると、二分金の表面には「桐紋」が2つと「二分」の文字が書かれています。
裏面に彫られているのは「時代印」と「光次」の署名と、サイン代わりに使われる「花押」です。

本物のデザイン

これらのデザインの彫りが浅いと、全体の凹凸が少なく見た目も平坦になります。
こうした、見た目の凹凸が少ないものは偽物の可能性が高いです。

参考に本物と偽物を比べた写真を置いておきます。

本物のデザイン
偽物のデザイン

紹介した手段でも判断が難しい場合は、専門家に頼ることをお勧めします。

絶対にしてはいけない確認方法!

試金はダメ
真贋確認の際に、絶対にやってはいけないことがあります。こちらの二分金をご覧ください。
右上が斜めに削れてしまっていますね。これは真贋を確かめるために行われた、試金の痕跡です。
試金は金が本物か偽物(たとえば金メッキ)かを確認するために行われます。
その時に試金石という石にこすりつけるため、このように削れてしまうのです。

試金してしまうと、本物であっても価値は大幅に下がってしまいます。また現在では、うっすらと試金石やヤスリで削り、硝酸で確かめることも行われています。
ですが専門家やコレクターは、わずかな試金痕でも見逃しません。
もし真贋がわからない場合、試金は行わず、専門家に相談してみましょう。

二分金に似ている貨幣

二分金には、見た目が似ている貨幣があります。
取引する際に混乱しないよう、間違えやすい貨幣のことも知っておきましょう。

一分金

一分金
二分金と同じく、短冊型の金貨で「一分金」という古銭があります。
桐紋を使ったデザインなど共通が多く、とてもややこしい古銭です。歴史は古く、安土桃山時代の頃から作られていました。

一分金と二分金の見分け方

一分の文字強調

一分金の表面には額面となる「一分」という文字が書かれています。

二分金は「二分」と書かれているので、見分けやすいポイントです。

二分金以上に種類の多い貨幣となっていますが、多くの一分判金は、年代印で見分けることが可能です。

二分金を高く売るために気を付けること

ここまで二分金の基本情報や、種類について確認してきました。
ただ、皆さんが一番気になるのは二分金を高く売る方法ではないでしょうか?

ここからは、二分金を取引する際に注意すべきポイントを紹介していきます。

二分金の種類を調べる

調べる
二分金の種類がわからないことには相場もわかりません。
まずは、お手元の二分金の種類を調べましょう。
二分金の種類は大きさ、重さ、デザインといった情報で見分けます。

真贋をチェックする

チェック
続けて真贋のチェックです。
特に、ネットオークションやフリマアプリを使う際は注意が必要です。
たとえ気付いていなかったとしても、偽物の取引はトラブルの原因となります。また真贋チェックのために二分金を削ったりすると、価値が大幅に下がってしまいます。ですので、記事内の二分金の真贋の見極め方を確認しながら、真贋を見極めましょう。

貨幣は磨かずに保管しておく

コインは磨かない
二分金だけの話ではなく、古銭は美品の方が価格は上がります。
ですが、美しく見せるために磨くことだけはしてはいけません。
むしろ、磨くことによって価値を落とすことになるからです。古銭は、製造当時の状態を保っていることで価値が上がります。
そのため、磨くことによって状態を保持できていないと判断されるのです。
ですから、古銭は磨かずに保管してください。その際、空気に触れにくい密閉した袋や容器にいれておくのがおすすめです。

二分金の売却方法の選択

二分金を売却するにあたっては、大きく分けて以下の3つの方法があります。

  • ヤフオクなどのオークションサイト
  • メルカリなどのフリマアプリ
  • 買取業者への依頼

それでは、それぞれのメリットやデメリットについて解説していきます。

ヤフオクなどのオークションサイト

ネットオークション
ヤフオクのようなオークションサイトを使うと、思わぬ高値がつくことがあります。古銭のコレクターもこうしたオークションサイトをよく使います。
注目度の高い商品であれば、コレクターが競り合って価格を上げてくれるはずです。ただ、注目度を高めるためには正確な情報が必要になります。
事前に、二分金についての知識や相場観を養っておきましょう。

また落札後から発送まで、落札者とのやり取りが必要であったり手間が多いのもネックです。
落札価格か手数料が引かれるという点も忘れてはいけません。
ヤフオクであれば落札価格の8.8%が引かれます。

メルカリなどのフリマアプリ

フリマアプリ
メルカリのようなフリマアプリであれば、最初から金額を決めておけます。
しっかりと相場に合った値段設定ができていればすぐに買い手もつくでしょう。ですが、相場よりも安すぎる価格設定になってしまわないようにだけ注意が必要です。
値段設定においては、オークションサイト以上の慎重さが必要だと言えます。古銭の状態による価格変動も含めて、自分で判断できるだけの知識と経験がいるでしょう。
こちらも手数料が引かれるという点を忘れてはいけません。

古銭専門の買取業者

経験豊富な鑑定士たち
もうひとつの方法が、古銭専門の買取業者への依頼です。
古銭専門の業者であれば鑑定士が所属しています。知識と経験豊富な鑑定士による査定のもと適正な価格を提示してくれます。また、自分で種類や真贋を自分で見分ける必要がないので安心です。
種類が多かったり、数が多くてもまとめて査定を依頼できるため手間もかかりません。
個人での取引に不安があれば、買取業者を利用してみましょう。

二分金を売るなら買取業者の利用がおすすめ

二分金についての解説は以上となります。
種類や真贋の見分け方も解説しましたが、慣れないうちの素人判断は危険な古銭です。
まずは、買取業者の査定を利用してみて、適正な価格を知ることから始めましょう。

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