一朱銀の見分け方を徹底解説!現在の買取価格はいくら?

実家の物置から一朱銀と書かれた銀が見つかったんです。これも古いお金なんですよね?

そうです。一朱銀は江戸時代に使われた貨幣の一種です。

結構古いものなんですね。それなら高値がつきますか?

状態や種類次第では高値で取引されることもあります。
価値を見極めるためにも、一朱銀のことをもっとよく知っておきましょう。

一朱銀とは?

3種類の一朱銀
一朱銀とは、江戸時代後期に日本で使われた短冊形の銀貨です。
裏面には必ず「銀座常是」と刻まれています。
この銘(金属製の器具に刻まれた製作者の名のこと)は、当時の銀貨鋳造を管理していた役人のことです。

当時の価値はどれぐらい?

では、一朱銀は元々どの程度の価値がある貨幣だったのでしょうか?
順番にひも解いていきましょう。

まず、一朱銀は1両の16分の1の価値として発行された通貨です。
1両は時代劇でもよく見る小判1枚にあたります。

蕎麦400杯
これらの古銭を現代の価値に換算する際、例として蕎麦がよく使われます。
当時の蕎麦1杯が16文だったことから、1両(=6500文)で大体400杯が食べられます。
蕎麦25杯
一朱銀は1両の16分の1ですから、一朱銀の価値はおよそ蕎麦25杯ぐらいです。

最後に、現代の蕎麦1杯を400円程度と見積もって一朱銀の価値を割り出します。
1杯400円の蕎麦を25杯で計算するとちょうど1万円程度です。


つまり、一朱銀は当時の人にとって1万円ぐらいの価値があったと言えますね。

一朱銀の現在の買取価格はいくら?

いくら?
では、現在の一朱銀の買取価格はどの程度なのでしょうか?
一朱銀には3種類が存在しそれぞれ価格帯が少々異なっています。
現在の買取価格は以下のようになっています。
並品
文政南鐐一朱銀

3,000円

嘉永一朱銀

400~600円

明治一朱銀

500~800円

これらは使用感のあるものの価格です。

状態の良い美品であればもっと高い値段がつくこともあります。
さらに、製造エラーの痕跡が残ったもので50万円以上の値段が付いたこともありました。

また、彫られた文字の書体でも価格が変わるため、高価商品の価格設定はもう少し複雑です。


皆さんが気になるのは、お手元の一朱銀の価値ですよね。
それを知るためにも、まずは一朱銀の種類や特徴をおさえておきましょう。

3種類の一朱銀と特徴

一朱銀には大きく分けて3種類が存在します。

まずは、一朱銀として最初に作られた「文政南鐐一朱銀」です。
次に作られたのが「嘉永一朱銀」、そして最後に「明治一朱銀」が作られました。

この3種類の詳細な情報をひとつずつ解説していきます。

文政南鐐一朱銀

文政南鐐一朱銀
文政南鐐一朱銀
文政南鐐一朱銀は、文政12年(西暦1829年)に発行されました。
名前に使われている「南鐐」とは上質な銀を意味する言葉です。

銀の品位がほぼ99%ですから、他の金属を1%しか含んでいません。
南鐐という名前の通りとても上質な銀貨なのです。

  • 重さ: 2.63g
  • 品位: 銀989/その他11

文政南鐐一朱銀の表面には「以十六 換一兩」と書かれています。
現代文に訳すと、16枚で1両と交換できるという内容です。

このような説明書きが彫られたのは、この貨幣の価値を周知するためでした。
どの程度の価値があるものなのかわからないまま貨幣を使う人はいません。
そこで、貨幣の価値を確実に伝達すべく銀貨そのものに説明を彫り込んだのです。

ちなみに、本来なら「以南鐐十六片 換小判一兩」とより詳細な文章になる予定でした。
しかし、文政南鐐一朱銀はそれ以前に使われていた貨幣より面積が小さくなっています。
そのせいで文字数を減らす必要があったため、南鐐や小判という字が削られました。

本日の買取価格
美品
文政南鐐一朱銀

3,000円

嘉永一朱銀(安政一朱銀)

嘉永一朱銀(安政一朱銀)
嘉永一朱銀(安政一朱銀)
1853年から1865年にかけて発行されたのが嘉永一朱銀です。
最初に発行されたときの元号が嘉永だったことからこう呼ばれています。
しかし、安政の時代にも作られたことがあるため安政一朱銀とも呼ばれます。

もうひとつ、少々変わった呼び名として知られるのがお台場銀です。
そもそも台場とは、大砲を並べて設置する要塞のことをさしています。

  • 重さ: 1.89g
  • 品位: 銀968/その他32

嘉永の時代はペリーが来航した時期であり、日本は海外の船を警戒していた時期です。
そのため、外からやってくる船への対策のひとつとして品川に台場を築いていました。

その台場での労働者に対し、日給として支払われたのが嘉永一朱銀1枚です。
このことから、嘉永一朱銀をお台場銀とも呼ぶようになりました。

また、嘉永一朱銀の特徴として、文字の書体による価格変化が大きい点も挙げられます。

本日の買取価格
極美品 美品 並品
嘉永一朱銀

600円

500円

400円

明治一朱銀(川常一朱銀)

明治一朱銀(川常一朱銀)
明治一朱銀(川常一朱銀)
1868年から1869年の2年間で発行されたのが明治一朱銀です。
1868年が明治元年になることから、このように呼ばれます。

最も特徴的なのが、裏面に書かれた「銀座常是」の「」のデザインです。
上の3画全てに跳ねや払いがほぼ無く、まっすぐ縦に並んでいます。

明治一朱銀と嘉永一朱銀を比べた画像がこちらです。

明治一朱銀と嘉永一朱銀を比べた画像

その様子が川の字のように見えることから「川常一朱銀」とも呼ばれます。

  • 重さ: 1.89g
  • 品位: 銀879/その他121

もうひとつ、「貨幣司一朱銀」という呼び方もありますが、これはあまり使われません。
貨幣司(かへいし)とは大政奉還によって生まれた貨幣の鋳造機関のことです。

当時、大政奉還で政権が幕府から朝廷に移ったため、造幣機関も替える必要がでてきました。
そのために作られたのが貨幣司です。
しかし、明治2年には造幣局が作られたことで、貨幣司は早くもお役御免となってしまいました。

そのため、貨幣司で作られた貨幣は少なく、あまり詳細な記録も残っていないのです。

本日の買取価格
美品
明治一朱銀

500~800円


一朱銀には3種類あることがわかったところで、次に見分け方も確認していきましょう。

一朱銀の見分け方

一朱銀の見分け方は比較的簡単です。まずは表面を見てみましょう。

一朱銀の表面比較

一朱銀の表面比較

まず、一番分かりやすい文政南鐐一朱銀からです。
これは表面に「以十六 換一兩」と書かれていれば間違いありません。

一朱銀の裏面比較

一朱銀の裏面比較

次に、嘉永一朱銀と明治一朱銀の違いについてです。

これは、裏面の「常」の上の3画をチェックします。
この3画にハネや払いがなく、ほぼ平行にまっすぐ伸びていれば明治一朱銀です。
詳しくはこちらを参考にしてください。

このどちらにも当てはまらない場合は嘉永一朱銀と判断できます。

嘉永一朱銀は書体で価値が変わる?

書体で価値が変わる
嘉永一朱銀は彫られている文字の形が統一されていません。
文字の書体によっては製造数や残存数が少ないものがあります。
そのため、嘉永一朱銀は書体次第でプレミア価値が付くのです。

では、どのような書体のものに価値があるのかを確認していきましょう。

跳是

裏面に書かれた「」の字の8画目に跳ねがあると「跳是」になります。
「是」の8画目は左下の部分が該当します。

買取価格

400~600円

跳座

跳座の確認ポイント
裏面の「」の字の3画目に跳ねがあると「跳座」になります。
「座」の3画目も左下の部分が該当します。

買取価格

400~600円

跳銀

跳銀の確認ポイント
あとは「」の字の1画目に跳ねがある場合「跳銀」と言われます。
「銀」の字の1画目は屋根の左の線になります。

買取価格

400~600円

三ツ跳

三ツ跳の確認ポイント
「三ツ跳」はその名の通り3か所に跳ねがあるものです。

画像のもので説明すると、まずは表面の「」の5画目。
次に表面の「」の1画目。
そして、裏面の「」の1画目。

この3か所が跳ねているため「三ツ跳」となります。
組み合わせはこれに限ったものではありません。
裏面が跳銀ではなく跳座でも「三ツ跳」として扱われます。

買取価格

2000~3000円

より高く売れる一朱銀のエラー

一朱銀がさらに高額になる要素として製造中のエラーがあります。
製造エラーの痕跡を残したまま流通するものは少ないです。
そのため、通常のものよりもプレミア価値があります。

それでは、古銭の市場で取引されるエラーの例も知っておきましょう。

逆打

逆打サンプル
通常、表面と裏面の上下は同じになっています。
これがひっくり返っているものが「逆打」です。

文政南鐐、嘉永、明治のどれにもあるエラーです。
このうち、文政南鐐か嘉永であれば10万~20万円の価値が付きます。
もし、明治の逆打があればこれ以上の値段も期待できます。

定落

定落サンプル
一朱銀の裏面には「銀座常是」の上に「定」の字が彫られています。
この「定」がない一朱銀を「定落」と呼びます。

定落の価値は、嘉永一朱銀の場合で15万~30万円ほど。
明治一朱銀であれば20万~40万円が期待できます。

ズレ打

ズレ打サンプル
「ズレ打」は本来の位置よりも刻印がずれているエラーです。
一朱銀だけの珍しいものではなく、どの時代の貨幣でも見られるエラーです。

逆打や定落よりは価格が落ちますが、それでも1万~2万円が期待できます。

一朱銀と似ている貨幣

貨幣には昔から似たものがあったりして紛らわしいものです。
種類を間違えたまま売ると損してしまうこともあります。

一朱銀と似た貨幣のこともチェックしておきましょう。

一分銀

一朱銀と同じ銀貨で名前も似ていますね。
この一分銀は、一朱銀よりも価値の高い貨幣として使われていました。

一分銀が4枚で1両と交換可能だったので、一朱銀の4倍の価値がありました。
重さも8.6gほどあるため、嘉永一朱銀や明治一朱銀の4倍以上です。

表面には「一分銀」と額面が彫られています。
一朱銀とは大きさも重さもまったく違うため見分けるのは簡単です。

二朱銀


二朱銀は一朱銀の2倍の価値を持つ貨幣として作られていました。
つまり、1両の8分の1に相当します。

二朱銀も一朱銀と比べればサイズが大きい貨幣です。
また、表面には額面ではなく「以南鐐八片換小判一両」と彫られています。

一見すると、文政南鐐一朱銀の文面と似てはいますが判別は簡単です。
こちらには南鐐や小判といった文字がありますが、文政南鐐一朱銀にはありません。
これは、文政南鐐一朱銀はサイズが小さくて文字数を減らす必要があったからです。

安政二朱銀という種類は、表面に「二朱銀」と額面を彫っています。
サイズも一分銀以上に大きいため一目瞭然です。

一朱銀の偽物の見分け方

自分で一朱銀の真贋をチェックしたい方は、以下のポイントに気を付けてください。

POINT

  1. 重さを計測する
  2. 表面の縦線と側面のやすりがけの有無
  3. 緑青付きは偽物の可能性大
  4. 削れた部分の素材を確認

なぜこれらのポイントが重要になるのか、ひとつずつ解説していきます。

重さを計測する

硬貨の真贋を確認するには、まず重さを計ってみましょう。
これは一朱銀に限らず、どの硬貨でも使える手段です。

貨幣の大きさや使用する金属の割合は、種類ごとにきっちり決まっています。
そのため、本物の重さはほぼ均一になるものなのです。
しかし、偽物は安い金属を多く混ぜたりするため重さに違いが出ます。

一朱銀の本来の重さは、文政南鐐が2.36gで嘉永と明治は1.89gです。
これよりも軽すぎるものや、重すぎるものは偽物の可能性が高くなります。
例えば嘉永一朱銀であれば、1.8gを下回るようなものは偽物を疑いましょう。

以下の画像は、1枚目が本物を集めたものです。

本物の重さ

軽いものであっても、必ず1.8gを超えていることがわかります。

次に、偽物を集めた画像です。

本物の重さ

半分が1.8gを下回っていますし、反対に2gを超えているものまであります


このように、偽物は重さにバラつきがあるため、真贋を見極める目安のひとつにできるのです。

表面の縦線と側面のやすりがけの有無

次に、表面と側面の模様も確認してみましょう。
一朱銀の表面には細かく縦線が入ってデコボコしています。

表面がツルツルと平坦ならば偽物と思っていいでしょう。

合わせて、側面も見ておきましょう。

本物の側面にはナナメにヤスリがけされた跡があります。


偽物はヤスリがけの跡が無かったり、不自然に彫り込まれていることが多いです。

緑青付きは偽物の可能性大

急に緑青(ろくしょう)と言われてもピンと来ない方もいるかもしれません。
そういった方は、古くからある銅像を思い浮かべてみてください。
大仏のように青っぽい緑色に染まったものが思い浮かびませんか?

あの青緑色の正体が緑青という物質です。
これは、銅や真鍮に発生する錆であって銀には発生しません。

つまり、銀の含有量が多い一朱銀に緑青が発生することはほぼないのです。


ですから、青緑色に変色している部分があれば偽物と言えるというわけです。

削れた部分の素材を確認

古銭の中には、使われていくうちに削れてしまったものもあります。
この摩耗した部分を観察することでも偽物の判別は可能です。

削れた部分は中の素材が見えている状態になっています。
本物の一朱銀であれば摩耗した部分もキレイな銀色のはずです。


銅のような赤色や鉄のような鈍い色が見える場合は偽物を疑いましょう。

判断がつかないものは買取業者に依頼する

ここまで、偽物を見分けるポイントについて解説してきました。
しかし、実際に偽物を見分けるにはかなりの経験が必要です。
本物も偽物もたくさん見ていなければ、正しい判断はできません。

もし、本物かどうか不安な場合は、古銭のプロの鑑定士に任せることをおすすめします。

一朱銀を高く売るにはどうする?

もし、手元の一朱銀を売るとなれば少しでも高く売りたいですよね。
そのためには、古銭の種類や状態をしっかり把握すること。
そして、余計な手を加えずに保管しておく必要があります。

また、自分に合った売却方法も考えておくべきです。
では、実際に売却するにあたって注意すべきことをまとめていきます。

一朱銀を売る前の注意点

一朱銀を売却するにあたって注意しておくべきことは以下の3点です。

  • 古銭の種類を再度確認
  • 真贋のチェック(個人取引の場合のみ)
  • 古銭を磨かない

では、これらのポイントについて細かく解説していきます。

古銭の種類を再度確認

一朱銀は種類によって相場が変わってきます。
なので、まずは手元の一朱銀の種類を確定させておきましょう。

一朱銀には3種類が存在します。
種類さえ分かれば基本的な価格帯が分かります。

並品
文政南鐐一朱銀

3,000円

嘉永一朱銀

400~600円

明治一朱銀

500~800円

書体やエラーによっては価格が上がるので、それらも確認しておきましょう。
ただし、これらの判別は難易度が高いです。
高額商品かもしれないと思ったら、古銭買取専門業者の鑑定士に査定を依頼してみてください。

真贋のチェック(フリマサイト等での個人取引の場合のみ)

ネットオークションやフリマサイトを使った個人取引では、真贋の見極めも重要です。
もし偽物を取引してしまうとトラブルの種になってしまいます。

真贋の見極め方はここで紹介したポイントを参考にしてみてください。
また、以下の記事でも嘉永一朱銀の真贋の見分け方を詳細に解説しています。

古銭を磨かない

磨かないでください
これは一朱銀に限った話ではなく、古銭は絶対に磨かずに保管しましょう。
古銭は、製造された時の状態を保っていることで評価が上がります。
そのため、未使用のキレイな物が高くなるのです。

磨いてしまった古銭は、見た目がキレイでも加工された物として扱われます。
そのため、磨いてしまうと逆に価値を下げてしまうのです。

なので、磨いたりはせずに状態が悪くならないように保管することが重要です。
極力空気に触れないよう、密閉できる袋や容器で保管してください。

一朱銀の売却方法

一朱銀を売却する方法は、大きくふたつに分けられます。
それは、個人での取引古銭専門の買取業者を利用の2通りです。

  • ネットオークションやフリマアプリ
  • 古銭専門の買取業者

それぞれの売却方法のメリットとデメリットを確認していきましょう。
自分に合った売却方法を選ぶ際の参考にしてください。

ネットオークションやフリマアプリ

ネットオークション
ひとつ目は、ネットオークションやフリマアプリを使った個人取引です。
該当するのはヤフオクやメルカリといったサービスになります。
これらのメリットは自分で取引価格を決められることです。

価格は自由に設定できるので相場以上の値段をつけることもできます。
ただし、あまりに高すぎれば買い手は付きません。
反対に、安すぎれば買い手はついても自分が損をしてしまいます。

つまり、相場と利益を考慮した適切な価格設定が重要となります。
そして、適正な価格を設定するためには正しい知識と入念な調査が欠かせません。

落札されたあとも、購入者との連絡や商品の発送もする必要があります。
この価格設定の難しさと、発送や連絡にかかる手間の多さがデメリットになります。

古銭専門の買取業者

古銭専門の買取業者
もうひとつの売却方法が買取業者の利用です。
こちらは、プロの鑑定士による厳正な査定によって適正価格での取引ができます。

ちなみに、買取業者を利用するなら必ず古銭専門の会社を選びましょう。
その理由は、古銭専門の鑑定士がいる会社の方が査定の信頼度が高いからです。

買取業者に依頼すれば、真贋やエラーのチェックをする必要がなく手間もかかりません。
つまり、スピーディーな取引が期待できるということです。

一朱銀の売却は古銭専門買取業者がおすすめ

この記事では、一朱銀の見分け方や売却方法について解説してきました。
一朱銀には偽物も多く、文字の書体など細かなところまで見なくてはいけません。
個人での取引はかなりハードルが高い古銭だと言えます。

それに、プレミア価値が付くものでなければ、手間に見合うほどの利益も得にくいです。
真贋の見極めのようなリスクの高い作業も必要です。
リスクを抱えたまま取引をするよりは、プロの買取業者に依頼することをおすすめします。

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