銀貨30枚とは?話の由来から登場する銀貨の価値を解説!
詳しく銀貨30枚について見ていきましょう。
目次
銀貨30枚とは?
銀貨30枚とは、新約聖書に登場する象徴的な出来事の1つです。
ここでは、銀貨30枚の話の由来や絵画や文学の題材となった例、現代での使用実例を解説します。
銀貨30枚がどのようなことがきっかけに生み出されたのか、確認していきましょう。
話の由来
銀貨30枚は、新約聖書に登場する題材です。
新約聖書のマタイによる福音書26章15節によると、イエスの弟子の一人であったユダは、イエスを裏切る対価として銀貨30枚を受け取りました。
ユダは金銭欲に目がくらみ、祭司長たちにイエスを引き渡すことを提案し、その報酬として銀貨30枚を受け取る約束をしました。
そして、ユダは祭司長たちと群衆をイエスのいる場所に案内し、イエスにキスをすることで彼を特定させ、引き渡しました。
しかし、その後ユダは自分の行為を深く後悔し、銀貨30枚を返そうとしたと言われています。
このように、ユダはイエスを裏切ったことで銀貨30枚を得ましたが、最終的にはその行為に苦悩し、後悔することになりました。
絵画や文学でも題材になっている
銀貨30枚は、絵画や文学作品においても重要なモチーフとして扱われています。
例えば、レンブラントは1629年に「銀貨30枚を返すユダ」という作品を描きました。
この絵画は、イエスを裏切ったことを後悔したユダが、銀貨30枚を返却しようとする場面を描写しています。
また、文学作品では、銀貨30枚という表現は、人が裏切られたり、売られたりする際の対価を象徴するものとして用いられることがあります。
イギリスの民謡「ジョン王と大司教」では、王が「自分の王としての価値はどれくらいか」という問いかけに対し、大司教は銀貨29枚と答えました。
これは、イエス・キリストのような偉大な人物でさえ銀貨30枚で売られたのに、平凡な王であるジョン王にはそれだけの価値もない、ということを示唆しています。
このように、銀貨30枚は歴史を通して様々な意味合いを持たせながら、芸術作品や文学作品の中で繰り返し登場するモチーフとなっています。
現代の使用
現代においては、政治家や芸術家が自身の原則や理想を経済的利益と引き換えに売り払ったと非難するのに使用されることが多いです。
最近の例では、2022年にオンライン公開されたウクライナ国境警備隊のビデオがあります。
この件の詳細は、ロシアがベラルーシを経由してウクライナに侵攻したことに対し、ウクライナ国境警備隊が退去するベラルーシ大使に銀貨30枚を払ったと伝えられました。
現在においては、強力な相手への非難の言葉として利用されているので、できるだけ大事な人には使いたくない言葉の一つと言えます。
使われたとされる銀貨の種類
ここでは銀貨30枚として、実際に使われたとされる銀貨の種類を解説します。
実際に使われたとされる銀貨は以下の4種類です。
- 古代フェニキア銀貨 ティルスのシェケル
- アンティオキアのスタテル銀貨
- プトレマイオスのテトラドラクマ銀貨
- アテネのテトラドラクマ銀貨
実際の品位や価値などを見ていきましょう。
古代フェニキア銀貨 ティルスのシェケル
ティルスのシェケル銀貨は、イエスの代価として使われた銀貨の有力候補の一つです。
銀貨の概要 | |
銀品位 | 94% |
重量 | 14g |
銀含有量 | 13.16g |
買取価格相場 | 25,000円~ |
フェニキア、ティルス(現在のレバノン付近)で、紀元前126年ごろから紀元66年ごろに作られた銀貨(シェケルと呼ぶ)。表面にはメルカルト(フェニキアの神)が月桂冠(冠の一種)をかぶって右を向いています。裏面には左向きに立つワシが描かれています。その他にも、クラブ(棍棒の絵)、フェニキア文字、そして「KP」とモノグラム(文字を組み合わせた記号)が刻まれています。
この「KPシェケル」と「半シェケル」と呼ばれるコインは、デザインや作りが粗いことで知られており、エルサレムで作られたと考えられています。
日本国内ではお目にかかるのはまず難しい銀貨です。
現在は銀相場が高騰しており、100円銀貨の価値も高騰しております!詳しくは「今も使える稲穂100円銀貨の価値は?」をご覧ください。
アンティオキアのスタテル銀貨
銀貨の概要 | |
銀品位 | 75% |
重量 | 15g |
銀含有量 | 11.25g |
銀自体の価値(2024年10月時点※) | 2,027円 |
※銀1g:180.18円として計算
※参考:銀価格推移 | 田中貴金属工業
アンティオキアのスタテル銀貨は、銀貨30枚として使われた候補の一つです。
ギリシアや周辺の地域で使われた古代の硬貨でした。スタテルは古代ギリシア語で「重さ」を意味しています。
オークションで見かけることもまず皆無なので、アンティオキアのスタテル銀貨の入手自体も非常に困難と言えます。
プトレマイオスのテトラドラクマ銀貨
銀貨の概要 | |
銀品位 | 25% |
重量 | 13.5g |
銀含有量 | 3.375g |
銀自体の価値(2024年10月時点※) | 608円 |
※銀1g:180.18円として計算
※参考:銀価格推移 | 田中貴金属工業
銀貨30枚の有力候補の3つ目は、プトレマイオスのテトラドラクマ銀貨です。
古代エジプトのプトレマイオス朝の時に発行された銀貨となります。
ドラクマ貨は、ギリシャ中でさまざまな発行者がさまざまな重量基準で鋳造していました。
オークションでもお目にかかることは少なく、古代コインでも人気が高いものとなります。
アテネのテトラドラクマ銀貨
銀貨の概要 | |
銀品位 | 95% |
重量 | 17.2g |
銀含有量 | 16.34g |
銀自体の価値(2024年10月時点※) | 2,944円 |
※銀1g:180.18円として計算
※参考:銀価格推移 | 田中貴金属工業
最後に紹介する銀貨30枚の候補は、アテネのテトラドラクマ銀貨です。
紀元前5世紀にアテナイで発行され、アレクサンドロス3世以前のギリシャ世界でおそらく最も広く通用していた硬貨でした。
現在ギリシャで発行されている1ユーロ硬貨には、テトラドラクマ銀貨の裏面が描かれていることでも知られています。
よくある質問
最後に、銀貨30枚で使われたとされる銀貨に関連する質問をご紹介します。
当時はどれくらいの価値だったの?
マタイによる福音書20章2節によると、イエスの時代の農業労働者は、1日12時間働いて「1デナリ」という賃金をもらっていたとされています。この計算をもとにすると、銀1シェケルは3日分の賃金にあたります。したがって、銀30シェケルは90日分、つまり3か月分の賃金に相当します。現代の日本で時給を1000円と仮定すると、1日12時間働けば12,000円となり、それを90日分とすると合計で1,080,000円(約108万円)になるという計算をすることができます。
どんな硬貨だったの?
銀貨30枚の候補となっている4種類の銀貨は、古代において広く利用されてきた銀貨でした。
当時神殿への賽銭として使われていたという説もあるので、日本での1円~500円の硬貨のように気軽に使われた硬貨と言っても良いでしょう。
今どこに?
基本的に銀貨30枚の候補として挙がっている銀貨は、現在はどれも入手困難です。
現在ではコレクターズアイテムとして取引されているので、入手したい人は古銭販売業者やオークションサイト(特に海外の!)などを見てみても良いでしょう。
ただ、古代銀貨は偽物も多いので、要注意ですし、入手できたとしても、かなりの高額が予想されるので、その点を念頭に置いて入手を検討するようにしてください。
まとめ
本記事では、銀貨30枚の話の由来から登場する銀貨の価値を解説しました。
新約聖書に出てくる銀貨で、話しの内容から良いイメージはありませんが、銀貨自体は歴史を感じさせてくれる素晴らしい硬貨ばかりです。
アンティークコインを投資先として考えていたり、コレクターの方は入手を検討してみても良いでしょう。
ただ、さきほどもお伝えした通り、古代銀貨は偽物が多いので要注意です。
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