スイス金貨の種類と偽物の見抜き方

スイス金貨の種類と偽物の見抜き方

スイス金貨にはどんな種類がある?

アルプスをはじめとする大自然、世界に誇る経済でよく知られるスイス。

現在は永世中立国として有名ですが、ヨーロッパの歴史の中で各国と相互に影響しあい、複雑な歴史をたどってきました。

そんな歴史を語るスイスの金貨についてご紹介していきます。

カントンの32フランケン金貨

カントンの32フランケン金貨

1803年にヘルヴェティア共和国が解体されたあと、スイスには「カントン(Canton)」と呼ばれる19地域の連邦制が確立しました。ナポレオンの調停によって生まれた新しいスイスは、ナポレオンのアルプス越えのための軍事道路や傭兵を提供していました。

そんな時代、1813年に発行されたのが32フランケンです。スイスが誇る兵が、槍と盾を持っています。盾には「カントンの19連邦(ⅩⅨ CANT)」の文字が見えます。兵を囲む文字は「SCHWEIZER.E EIDSGENOSS.T(スイス連邦)」。伝統的に君主制よりも連邦制を好むスイスの国名が、明確に記されています。

裏側にはカントンとゾロトゥルンを表す「SOLOTH.N」の文字。王冠の下にはゾロトゥルンの紋章があります。

重さは15.44g、直径は27mm。16フランケンよりもひとまわり大きいサイズになっています。

まったく同じデザインで、重さ7.63g、直径が22mmの16フランケンも存在します。

いずれも希少性が高い金貨です。

スイス・ベルン4ダカット金貨

スイス・ベルン4ダカット金貨

スイスは1815年のウィーン会議によって、「永世中立」が国際法的に認められました。永世中立とは、平素から戦争に与しない政策をとるだけではなく、戦争が起こっても特定の国に偏らない政策で終始する国のことです。

スイスは19世紀に永世中立国となりましたが、カトリックとプロテスタントの間で内乱が起き、1848年の連邦国家誕生まで紆余曲折がありました。

1825年にスイスで発行された4ダカット金貨には、「RESPUBLICA BERNENSIS(ベルン共和国)」と彫られ、ベルンの紋章が見えます。栄光のシンボルである月桂樹に囲まれたベルンの紋章、熊が特徴です。

裏側にも月桂樹と額面がローマ字で記され、「BENEDICTUS SIT IEHOVA DEUS(エホバの神に祝福あれ)」というラテン語が彫られています。

重さは14g、直径は31mm。過渡期にあったスイスの歴史を伝える貴重な金貨です。

バチカンのスイス衛兵制500年記念コイン

バチカンのスイス衛兵制500年記念コイン

ローマ教皇にスイスの衛兵が仕えるようになったのは1506年。両者の関係が500年続いた記念に発行されたのが、スイス衛兵制500年記念の50フラン金貨です。モダンなデザインはグラフィックデザイナーのローランド・ヒルター(Roland Hirter)とスイス出身のアーティストルドルフ・ミラー(Rudolf Mirer)が担当。

特徴のあるスイス衛兵とともに「1506-2006」の文字と「GUARDIA SVIZZERA PONTIFICIA(ローマ教皇のスイス衛兵)」というラテン語が刻まれています。

裏側には額面と「CONFOEDERATIO HELVETICA(スイス連邦)」のラテン語、そしてスイスの国章である十字架が見えます。

現在のスイスは強い軍事力のイメージはありませんが、かつてのヨーロッパに大きな影響を与えた兵士の姿が誇らし気に描かれています。

フランケン金貨、偽物と本物の見分け方

フランケン金貨は希少性が高く、偽物も数多く存在します。

金貨の真贋を知りたい場合には、どんな点に注意すべきなのでしょうか。

いくつかの例をご紹介します。

オリジナルの重さ・サイズと比較する

コインの真贋を知るにはオリジナルの重さやサイズと比較するのが近道。

たとえば、16フランケン金貨の場合、重さは7.64g、直径は23mmです。この規格から外れた場合は、偽物である可能性が高くなります。

スイス金貨 フランケン金貨
スイス金貨 フランケン金貨2

磁性を確認する

純粋なゴールドは、磁性を帯びていません。金貨が偽物でゴールド以外の素材が用いられた場合、強力な磁石を近づけると磁性を示すこともあります。この場合は、金貨は偽物ということになります。

造幣所などを記した小さな文字を確認する

金貨の偽物の多くは、小さな文字のあたりで確認できることもあります。たとえば、16フランケン金貨の場合は、ベルンの造幣所で発行されたことを示す小さな「B」の文字に注目。この文字がなかったり、あっても鮮明でない場合は真贋の是非を専門家に相談することをお勧めします。

金貨を偽物と見極めるには、手触りや色など、経験を要することがほとんど。

お手元にあるスイス金貨の真贋を知りたい場合は、取扱例が多い専門家に問い合わせて確認してみてください。