【2024年10月29日】金・銀相場に影響を与えるアメリカの雇用統計ってなに?

【2024年10月29日】金・銀相場に影響を与えるアメリカの雇用統計ってなに?

アメリカでは、毎月第1金曜日に「雇用統計」というデータが発表されます。これは、アメリカの労働省が発表するデータで、失業率や働く人の人数、平均の時給の変化などが含まれています。これを知ることで、アメリカの経済が元気かどうかを判断できる大事な情報です。

雇用統計ってどんな内容?

雇用統計には、次の2つの調査が含まれています。

企業調査(事業所調査)

    • 非農業分野(農業以外の仕事)の新しい仕事がどれだけ増えたか、あるいは減ったかを調べます。
    • 働いている人の平均時給や週平均の労働時間もわかります。
    • 約12万2000の企業や政府機関を対象にしています。

家庭調査(住民調査)

    • 失業率(仕事を探しているけど見つかっていない人の割合)を計算します。
    • 約6万世帯(家庭)に調査をしています。

注目のポイント

雇用統計で特に注目されるのは、次のような数字です。

  • 非農業部門の雇用者数:経済全体で新しい仕事が増えたかどうかがわかります。
  • 失業率:仕事を探しているけど見つからない人の割合を示し、経済の安定具合がわかります。
  • 平均時給:賃金(給料)が増えているかどうかがわかります。給料が上がると、物価が上がること(インフレ)の兆しになることもあります。
  • 労働力参加率:働ける年齢の人の中で実際に働いている割合です。

雇用統計はいつ発表される?

アメリカでの発表は毎月第1金曜日ですが、日本での発表時間はアメリカが「夏時間(サマータイム)」か「冬時間(標準時間)」かで変わります。

  • 夏時間(3月〜11月)の間は、日本時間の午後9時30分に発表されます。
  • 冬時間(11月〜3月)の間は、日本時間の午後10時30分に発表されます。

雇用統計はどこで見れる?

アメリカの雇用統計データは、米国労働省(Bureau of Labor Statistics)の公式ウェブサイトで確認できます。このサイトでは、毎月発表される最新の雇用統計に加え、過去のデータや詳細な分析も公開されています。たとえば、失業率、非農業部門の雇用者数、平均時給の推移など、経済の動きを把握するためのさまざまな情報をチェックすることが可能です。また、サイトにはグラフや図表も多く掲載されており、雇用統計の内容をよりわかりやすく理解できる工夫がされています。

参考:https://www.bls.gov/bls/newsrels.htm#OEUS

雇用統計が経済に与える影響

雇用統計の結果は、アメリカの経済全体に大きな影響を与えます。例えば、中央銀行(連邦準備制度)はこのデータを使って「金利」をどうするかを決めることがあり、金利が変わるとアメリカだけでなく世界の金融市場(株や為替の市場)に影響を与えることが多いです。

雇用統計が金と銀の価格に与える影響

  • 金の価格

    • 金利への期待:雇用が好調な時は金利が下がる可能性が減り、金の価格も下がりがちです。逆に、雇用が不調な時は金利が下がる期待が増え、金の価格が上がりやすくなります。
    • ドルの強さ:雇用データはドルの価値にも影響し、ドルが強くなると金の価格は下がりがちです。
  • 銀の価格

    • 産業需要:銀は工業用にも多く使われるため、経済が元気な時は銀の需要が増え、価格が上がりやすくなります。
    • 価格の変動:銀は金よりも価格が変動しやすく、雇用データの影響も大きく受けます。

金や銀相場は、金貨や銀貨の買取価格にも影響を与えております。

雇用統計と市場の動き

最近の9月の報告によると、非農業部門で25万4000件の新しい仕事が増えたため、予想以上の結果となりました。これによって金と銀の価格が下がり、金は1オンスあたり17ドル、銀は1オンスあたり0.52ドル(約1.63%)下落しました。

雇用統計はなぜ重要?

このデータは経済の「体温」を測るようなものです。働く人が増え、時給が上がると経済が活発だと判断されます。逆に、仕事が減り失業率が高いと、経済が停滞していると見なされます。このデータは、世界の経済や市場の動きに関わる重要な指標なのです。