【全12種類】小判の種類と見分け方

日本には、慶長・元禄・宝永…といった歴史的背景を持つ 小判 が実は全12種類も存在します。
見た目が似通っていても、刻印やサイズ、打ち目の特徴を押さえれば、どれが何かを見分けられるようになります。

本記事では、それぞれの小判の違いと見分け方を丁寧に紹介していきます。

[監修:奥村 志門/執筆:渡邉 博

小判の種類一覧表

小判の種類一覧表
名称 画像 鋳造開始年 見分け方
慶長小判金 慶長小判金表裏 1601年
  • サイズが「中」
  • 小判を特定する刻印がない
  • 「細目打ち」
元禄小判金 元禄小判金 1695年
  • サイズが「中」
  • 「元」の刻印
宝永小判金 宝永小判金表裏 1710年
  • サイズが「中」
  • 「乾」の刻印
正徳小判金 正徳小判表裏 1714年
  • サイズが「中」
  • 小判を特定する刻印がない
  • 「細目打ち」ではない
  • 「光次」の字が重なる
享保小判金 享保小判金表裏 1714年
  • サイズが「中」
  • 小判を特定する刻印がない
  • 「細目打ち」ではない
  • 「光次」の字が離れている
佐渡小判金 佐渡小判金表裏 不明
  • サイズが「中」
  • 「佐」の刻印
元文小判金 元文小判表裏 1736年
  • サイズが「中」
  • 「文」の刻印
  • 「文」が真書体
文政小判金 文政小判表裏 1819年
  • サイズが「中」
  • 「文」の刻印
  • 「文」が草書体
天保五両判金 天保五両判金表裏 1837年
  • サイズが「大」
天保小判金 天保小判金表裏 1837年
  • サイズが「中」
  • 「保」の刻印
安政小判金 安政小判金 1859年
  • サイズが「中」
  • 「正」の刻印
万延小判金 万延小判金表裏 1860年
  • サイズが「小」

大きさで判別できる小判

まずは、大きさで判別できる2種類の小判を紹介いたします。
日本の小判12種類のうち、ほとんどのものは手のひらサイズです。
成人の手のひら(指は含みません)にすっぽり収まる程度の大きさです。

しかし、異なる小判が2種類あります。
天保五両判金」と「万延小判金」です。

天保五両判金

天保五両判金表裏

こちらの天保五両判金てんぽうごりょうばんきんは、その他の小判よりも大きいのが特徴です。
天保8年8月(1837年)に鋳造開始され、同年11月末に発行された五両としての額面を持つ小判型の金貨です。

発行が天保年間のみであったことから天保五両判、あるいは、中判とも呼ばれています。

大きさを比較してみよう

どの程度大きさに差があるのか比べてみましょう。
天保五両判金は寸法約8.9cm、天保小判金は寸法約5.9cmになります。

※写真は実物大ではありません。
※小判の大きさは一定ではありませんので、サイズの比較はあくまでも目安としてお考えください。

5両としての額面を持つ

天保五両判金5両の額面

赤い丸の中を見てみてください。他の小判が壱両(1両)なのに対し、こちらは名前の通り5両です。
天保五両判金は使い勝手の悪さから、わずか6年で発行中止となりました。
そのため、5両の額面を持つ小判は、天保五両判金のみとなります。

五両金と一両金比較

拡大して見てみると、このように見分けられます。

万延小判金(雛小判)

万延小判金表裏

こちらの万延小判金まんえんこばんきんは、その他の小判よりも小さいのが特徴です。

手のひらと比較すると、およそ半分程度の大きさです。
その大きさからか、万延小判金は「雛小判」とも呼ばれています。

大きさを比較してみよう

どの程度大きさに差があるのか比べてみましょう。
天保小判金は寸法約5.9cm、万延小判金は寸法約3.3cmになります。


※写真は実物大ではありません。
※小判の大きさは一定ではありませんので、サイズの比較はあくまでも目安としてお考えください。

3種の大きさを比較してみよう

先程の天保五両判金、天保小判金、万延小判金をすべて比較すると、以下のようになります。

次は、天保五両判金・万延小判金以外の、大きさの近しい小判を見分けていきましょう。

うら面の刻印で見分ける

大きさの近しい小判を見分けるために見ていただきたいのは、裏面の刻印部分です。
裏面には3つの刻印があります。

小判裏の刻印

それぞれ刻印について解説していきます。

花押印かおういん
全ての小判に共通して押されている
極印ごくいん
鋳造された時代などを表す
小判の種類を見分けるために重要な刻印
押されている場所は右上でないこともある
座人印ざじんいん
小判を作成した人が打つ刻印

※3つとも、それ以外の呼び方をする場合もあります。

この裏面の②極印で判別できます。

天保五両判金、万延小判金以外の残り10種類のうち、極印が打ってあるものは次の7種類あります。

小判と極印(時代印)の一覧表
小判の種類 極印(時代印)
元禄小判金
宝永小判金
佐渡小判金
元文小判金 文(真書体)
文政小判金 文(草書体)
天保小判金
安政小判金

それでは、詳しく説明します。

元禄小判金

まずは元禄小判金げんろくこばんきんです。
元禄小判金

こちらは極印が花押印の左側にあります。

元禄小判金拡大

「元」の極印

拡大して見てみましょう。

元禄の「元」の文字が刻印されています。
「元」が刻印されているのは元禄小判金のみですので、これで見分けられます。

宝永小判金(乾字小判)

宝永小判金ほうえいこばんきんです。
宝永小判金表裏

こちらの極印は、花押印のかなり右上にあります。

「乾」の極印

「乾」の極印

拡大して見てみましょう。

「乾」という文字が刻印されています。
宝永小判金は、この極印から、「乾字小判けんじこばん」とも呼ばれています。
「乾」が刻印されているのは宝永小判金のみですので、これで見分けられます。

佐渡小判金(佐字小判)

佐渡小判金さどこばんきんです。
佐渡小判金表裏

こちらの極印も、花押印のかなり右上にあります。

佐渡小判金「佐」

佐渡小判金うら面の「佐」の刻印

拡大して見てみましょう。

佐渡の「佐」という文字が刻印されています。
佐渡小判金は、この極印から、「佐字小判さじこばん」とも呼ばれています。
「佐」が刻印されているのは佐渡小判金のみですので、これで見分けられます。

佐渡小判金はほかの小判とは違い、佐渡で鋳造されたものを指します。
つまり、慶長佐渡小判金・享保佐渡小判金・元文佐渡小判金といったように、ほかの小判の佐渡で鋳造されたものとして存在します。
「佐」の極印(時代印)も右上ではない場合(慶長佐渡小判金)や別の極印が打たれたもの(元文佐渡小判金は「文」)が存在します。

享保小判に「佐」の極印を打った、後世の変造品も確認されています。
その場合は左下の座人印にも注目してみましょう。
佐渡小判金は座人印が筋神、利神、高神、又神・又当・宝当の品のみ現存しているため、それ以外の場合は変造品と判断できます。

元文小判金(真文小判)

元文小判金げんぶんこばんきんです。
元文小判表裏

こちらの極印は、花押印の右上にあります。

元文小判拡大

「文」の極印

拡大して見てみましょう。

真書体しんしょたいの「文」という文字が刻印されています。
元文小判金は、この極印から「真文小判しんぶんこばん」とも呼ばれています。

また、花押印・極印・座人印以外の凹凸は、両替時に付けられた刻印です。
元文小判金は両替印があるものが多いため、両替印が無い場合は価値が大きく上がります。

「文」が刻印されているものは、元文小判金の他に文政小判金にも刻印されています。

元文小判文政小判比較

しかし、「文」の書体が違うため、簡単に見分けられます。
真書体の「文」の文字が刻印されているのは元文小判金です。

文政小判金(草字小判)

文政小判金ぶんせいこんばんきんです。
文政小判表裏

こちらの極印は、花押印の右上にあります。

文政小判金拡大

草書体「文」の極印

拡大して見てみましょう。

草書体そうしょたいの「文」という文字が刻印されています。
文政小判金は、この極印から「草文小判そうぶんこばん」とも呼ばれています。

「文」が刻印されているものは、文政小判金の他に元文小判金があります。

草書体の「文」の文字が刻印されているのは文政小判金です。

天保小判金(保字小判)

天保小判金てんぽうこばんきんです。

天保小判金表裏

こちらの極印は、花押印の右上にあります。

天保小判金拡大

「保」の極印

拡大して見てみましょう。

天保の「保」という文字が刻印されています。
天保小判金は、この極印から、「保字小判ほじこばん」とも呼ばれています。
「保」が刻印されているのは天保小判金のみですので、これで見分けられます。

安政小判金(正字小判)

安政小判金あんせいこばんきんです。

安政小判金表裏

こちらの極印は、花押印の右上にあります。

安政小判金拡大

「正」の極印

拡大して見てみましょう。

「正」という文字が刻印されています。
安政小判金は、この極印から「正字小判せいじこばん」とも呼ばれています。
「正」が刻印されているのは安政小判金のみですので、これで見分けられます。

以上が、裏面の刻印で種類を特定できる小判です。

刻印のない小判の見分け方

次に、大きさで分類できず、極印(時代印)もない3種類の慶長・正徳・享保の小判の見分け方についてです。
表面の槌目つちめで、慶長小判金が見分けられますので、解説します。

大きさで分類できず、極印(時代印)のない小判
小判の種類
慶長小判金
正徳小判金
享保小判金

おもて面の横線を確認

画像をご覧ください。

小判の表
小判のおもて面には横線が多数入っています。

この横線のことを、「槌目つちめ」または「茣蓙目ござめ」と言います。
こちらの記事では呼び方を「槌目」で統一いたします。

ここで確認していただきたいのが、この槌目です。

慶長小判金

慶長小判金表裏

慶長小判金けいちょうこばんきんです。

他の小判と比べると、槌目が細かいのが特徴です。
このことを「細目打ち」とも言います。
右側の小判と比べると、槌目と槌目の間隔が狭いことがわかります。

慶長小判金比較

拡大して見てみましょう。

慶長小判金は、槌目がデザインや文字に重なっています
その他の小判は、デザインや文字が鮮明に見えますが、慶長小判金は少しぼんやりとした印象になっています。

慶長小判金比較拡大

POINT

  1. 槌目の細かさ
  2. 槌目がデザインや文字に重なっている

この2点が慶長小判金の大きな特徴です。

小判裏の刻印

そして、もう1点確認できるところがあります。
それは裏面の座人印です。
③の部分ですね。

小判金裏座人印
このように、座人印が1つしか刻印されていない場合は慶長小判金です。
(右下に刻印されている場合もあります。)
慶長小判金と間違えやすい「正徳小判金」「享保小判金」は座人印が2つあります。
こちらは左下に刻印がされています。

以上が、慶長小判金の見分け方です。

「正徳小判金」と「享保小判金」の見分け方

最後は、大きさで分類できず、極印(時代印)もなく、槌目での判別も難しい、「正徳小判金」と「享保小判金」の見分け方です。

「正徳小判金」と「享保小判金」
小判の種類
正徳小判金
享保小判金

おもて面の光次印を確認

小判の表

画像をご参照ください。
全ての小判の表面下部には、「光次みつつぐ」という刻印があります。

これは、小判を彫金した人物を表す刻印で、後藤庄三郎光次ごとうしょうざぶろうみつつぐという彫金師が作成した小判であることを示しています。

この後藤家は、世襲制のため江戸時代の終わり頃でもずっと同じ光次印が使用されていました。

正徳小判金と享保小判金を見分けるには、この光次印をよく見ることが重要です。

正徳小判金

正徳小判表裏

正徳小判金しょうとくこばんきんです。
赤丸で囲った部分の光次印を、拡大して見てみましょう。

正徳小判金拡大

画像をご覧ください。

「光」と「次」の字が繋がっています

享保小判金は字が離れているので、比較してみましょう。

享保小判正徳小判比較

見えづらい場合は、ルーペなどを使用してみてください。

享保小判金

享保小判金表裏

享保小判金きょうほうこばんきんです。
赤丸で囲った部分の光次印を、拡大して見てみましょう。

享保小判金拡大

画像をご覧ください。

「光」と「次」の字が離れています

正徳小判金は字が繋がっていましたので、比較するとよくわかります。

以上が、日本の小判12種類の見分け方です。

本物と偽物の見分け方

小判の真贋について解説していきます。

小判の真贋を見抜くには以下を確認します。

  1. 重さを量る(金品位を測定)
  2. 重さや金品位だけで判断することはできませんが、明らかに異なるものは偽物だとわかります。

  3. デザインや色味を見る
    はっきりと真贋が確認できるのはデザイン(特に刻印)です。

重さを量る

実際に天保小判金の重さを量ってみます。

天保小判金は重さ11.2g、金品位56.8%が本物の目安です。

小判真贋判定重さ本物
小判真贋判定重さ偽物

偽物は目安となる11.2gよりも重く、今回は重さだけでも偽物と判断できます。

デザインや色味を見る

次に注目すべきは裏面の刻印です。

小判真贋判定極印本物
小判真贋判定極印偽物

中央にひとつ(花押印)、右上にひとつ(極印)、左下にふたつ(座人印)、合計で4つの刻印があります。
これがひとつでも足りなければ偽物の可能性が非常に高いです。

表面を見てみましょう。

小判真贋判定ゴザ目本物
小判真贋判定ゴザ目偽物

表面には横線が入っているのがお分かりいただけると思います。
これは「槌目(つちめ)」や「茣蓙目(ござめ)」と呼ばれ、本物と偽物を見分ける際のポイントになります。

本物の槌目はうっすらとしていますが、偽物は深く、大量に刻まれています。

表と裏の刻印をアップで確認します。
お手元に小判がある方はルーペを使用するとよりわかりやすくなります。

小判真贋判定アップ本物
小判真贋判定アップ偽物

「光」の跳ねや桐紋など、本物は線が細くなる部分があるのに対し、偽物は全て一定の太さとなっています。
最後に質感です。

小判真贋判定質感本物
小判真贋判定質感偽物

感覚的なものになりますが、本物はマットな質感で偽物はつるつるとしています。

真贋確認でしてはいけないこと

本物の金か確認する手段として、試金石があります。
試金石にこすりつけると小判に傷が付き、本物でも大幅に価値が下がりますので、絶対にやらないでください。

そもそも小判ってなに?

小判とは、江戸時代の金貨の一つです。江戸時代を通じて幕府の標準的金貨幣でした。
慶長6年 (1601年)、慶長小判が大量に鋳造され、全国的通貨となり、慶長以後は、元禄・宝永・正徳・享保・元文・文政・天保・安政・万延の各種小判が発行されていきました。

小判の種類見分け方まとめ

POINT①

  • まずは大きさを確認

手のひらよりも大きければ「天保五両判金
手のひらの半分程度であれば「万延小判金

POINT②

  • うら面の極印を確認

「元」の字があれば「元禄小判金
「乾」の字があれば「宝永小判金
「佐」の字があれば「佐渡小判金
真書体の「文」があれば「元文小判金
草書体の「文」があれば「文政小判金
「保」の字があれば「天保小判金
「正」の字があれば「安政小判金

POINT③

  • おもて面の槌目を確認

槌目の間隔が狭く、デザインに重なっていたら「慶長小判金

POINT④

  • おもて面の光次印を確認

「光」と「次」が繋がっていたら「正徳小判金
「光」と「次」が離れていたら「享保小判金

以上です。

もちろん、状態などによってはこの判別方法に当てはまらない場合も無いとは言い切れません。
あくまでも参考にしていただければ幸いです。

この記事を見てもわからないことがありましたら、LINEでの無料査定も承っております。

小判の見分け方まとめ表

小判の見分け方まとめ表
種類 大きさ 時代印 その他
天保五両判金
天保小判金
元禄小判金
宝永小判金
安政小判金
佐渡小判金 「佐」以外の場合もある
元文小判金 真書体
文政小判金 草書体
慶長小判金 なし 細目打ち
座人印が1つ
正徳小判金 「光」「次」が繋がる
享保小判金 「光」「次」が離れる
万延小判金

小判の種類に関するよくある質問

小判の種類は?

大きく分けて12種類あります。

  1. 慶長小判金けいちょうこばんきん
  2. 元禄小判金げんろくこばんきん
  3. 宝永小判金ほうえいこばんきん乾字小判けんじこばん
  4. 正徳小判金しょうとくこばんきん
  5. 享保小判金きょうほうこばんきん
  6. 佐渡小判金さどこばんきん佐字小判さじこばん
  7. 元文小判金げんぶんこばんきん真文小判しんぶんこばん
  8. 文政小判金ぶんせいこばんきん草文小判そうぶんこばん
  9. 天保五両判金てんぽうごりょうばんきん
  10. 天保小判金てんぽうこばんきん保字小判ほじこばん
  11. 安政小判金あんせいこばんきん正字小判しょうじこばん
  12. 万延小判金まんえんこばんきん雛小判ひなこばん