インドの金貨の価値や買取価格、偽物の見分け方について
日本の9倍弱という広大な領土を持つインド。
アジアとヨーロッパを結ぶ文明の交差点として、紆余曲折した歴史をたどってきました。
美しい貴金属の文化でも知られるインドの金貨は、コインコレクターたちの注目の的。オークションでも高く評価されるコインのひとつです。
この記事では、インド金貨の歴史からはじまり、人気コインの価値や偽物を見分ける方法について解説していきます。
目次
インド金貨の歴史
インドの歴史を簡単におさらい<各時代の金貨がある!>
インドには3,500年前から文明が存在していました。
長い歴史をわかりやすく区分すると、次のようになります。
- 古代(ヒンズー時代)
- アーリア人の来住から13世紀初頭のイスラム教国建国
- イスラム人による中世
- 18世紀半ばから1947年までの英国による植民地時代
- 独立以後の現代
インド金貨は、古代のものから植民地時代のものまで多数あり、それぞれの時代を反映したデザインになっています。
インド金貨の起源
インドで発行されたギリシア文字の金貨は、古代世界のシンボルといった感じです。
▲最初のインド金貨
カニシカ1世の統治時代以後も金貨の発行は続きますが、刻まれた文字はバクトリア語へと変わっていきました。太陽神ミトラ、ヒンズー教の3主神の1人シヴァ神などが描かれ、古代のロマンを感じる金貨がたくさんあります。
長い歴史の中で発行されたさまざまなコインの種類
およそ2000年前のインドで最初に発行された金貨は、「ディナール」と呼ばれる通貨でした。ディナールは近東諸国の古代で普及した貨幣です。
インドのコインは種類が多く、ディナール以外にも次のようなものがあります。
- スタテル(ギリシア文化圏の貨幣)
- パゴダ(中世のインド南部で使われた貨幣)
- タンカ(イスラム教時代の貨幣)
- アシュラフィ(エジプトのマルムーク朝が使っていた貨幣)
- モハール(ムガル朝の貨幣でインドの標準金貨として英国人が用いる)
- ファナム(イギリス領インド帝国の通貨)
これ以外にもたくさんの種類のコインがあり、インドの歴史の奥深さを伝えてくれます。
人気の高い植民地時代のモハール金貨
モハール金貨がインドで初めて発行されたのは、16世紀のことでした。スール朝の王で優れた政治的手腕を振るったシェール・シャーが発行を命じたコインが、モハール金貨の期限です。
▲モハール金貨
ムガール帝国と呼ばれたインドでもモハール金貨の発行が続きますが、1857年にイギリスによって帝国は解体。その後は東インド会社、イギリス王室によってモハール金貨が発行されています。
とくにヴィクトリア女王が描かれたイギリス領インドのモハール金貨は、世界中のコレクターの垂涎の的になっています。
<買取価格>人気のモハール金貨の価値
インド金貨といえば、イギリスに統治されていた時代の美しいコインが人気です。
その中から、とくに評価の高いインド金貨を価値をご紹介していきます。
ヴィクトリア女王のモハール金貨
大英帝国の象徴として今も人気のあるヴィクトリア女王。
ヴィクトリア女王の肖像画が刻まれたモハール金貨は、アンティークコインの世界では突出した人気を誇ります。理由はさまざまあります。
まず、世界に冠たる大英帝国の最盛期のコインであるという点。
アンティークコインは、衰退期にある時代のものよりも、勢いがある時代に発行されたもののほうが人気があります。幸運を運んでくれそうなイメージがあるからかもしれません。
またイギリスの東インド会社による発行でありながら、「モハール」というインド的な音を持つコインである点も人気の理由といわれています。
そしてなによりも、ヴィクトリア女王のモハール金貨は、「ウナライオン」という別称を持つ美しさで有名であるためです。
ヴィクトリア女王のモハール金貨をデザインしたのは、英国のコイン史に名を残す彫刻家ウィリアム・ワイオンです。
ヴィクトリア女王のモハール金貨は何枚かありますが、とくに1841年に発行されたタイプが有名。20代前半の若々しいヴィクトリア女王は、後年の肥満とはまだ無縁で、スマートな横顔を見せています。
- 直径:26mm
- 重さ:11.66g
ヴィクトリア女王のモハール金貨 (1841年発行) |
要査定(準備中) |
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モハール金貨はインドのカルカッタやボンベイで鋳造されたため、肖像画や数字にわずかな違いがあります。素人目にはわかりにくいこの違いがまた人気を呼び、コレクターたちを夢中にさせているわけです。
サイズはそれほど大きくありませんが、それだけにワイオンによって彫られた精緻はため息をつくほどの美しさがあります。
ヴィクトリア女王のモハール金貨 (1862年発行) |
要査定(準備中) |
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ウィリアム4世のモハール金貨
ヴィクトリア女王のモハール金貨ほどではありませんが、海軍出身の王として知られるウィリアム4世のモハール金貨も、評価が高い1枚です。
ウィリアム4世はヴィクトリア女王の叔父にあたり、道徳的に問題が多かった英国ハノーヴァー朝を立て直し、中興の祖といわれている人です。
ウナライオンと、彫られた「東インド会社(EAST INDIA COMPANY)」の文字に歴史を感じますね。
- 直径:24mm
- 重さ:11.66g
ウィリアム4世のモハール金貨 |
要査定(準備中) |
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地金型金貨の価値は 地金型の金貨、銀貨、メダルの買取価格一覧表をご覧ください。
<買取価格>モハール金貨以外のインド金貨の価値
金の文化が華やかなインドでは、モハール金貨以外にもたくさんの金貨が発行されてきました。
モハール金貨以外の人気のコインの価値についても解説していきます。
ウスマーン・アリー・ハーンの1アシュラフィ金貨
いかにもインド的なデザインの金貨として人気の1アシュラフィ金貨。
インドにあったニザーム藩王国の最後の王ウスマーン・アリー・ハーンの治世下で発行されました。
▲1アシュラフィ金貨(インド)
20世紀のインドの歴史を語る金貨です。
- 直径:25mm
- 重さ:11.178g
1アシュラフィ金貨(インド) |
要査定(準備中) |
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クシャーナ朝ヴァーシシカ王のディナール金貨
インドで初めて金貨を発行したクシャーナ朝。この時代の金貨はまさに歴史的遺産です。
3世紀頃の王、ヴァーシシカ王のディナール金貨には、祭壇に貢物を捧げる王の姿が彫られています。古代の彫刻技術を伝える金貨、大いにロマンを感じます。金の重さとともに、文化の重みが込められているかのようです。
▲ディナール金貨(インド)
- 直径:20mm
- 重さ:7.9g
ディナール金貨(インド) |
要査定(準備中) |
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パゴダ金貨
パゴダとは仏塔のことで、実際にこの金貨には塔の図柄が刻まれることが多かったようです。
16世紀から19世紀にかけて、南インドのさまざまな王朝で発行されました。
▲パゴダ金貨(インド)
イギリス、フランス、オランダなど、インドと交流のあった各国によっても発行されたパゴダ金貨にはいくつかの種類があり、とくにフランスの東インド会社によるスターパゴダが有名。
小さなサイズの金貨ですが、それだけに芸術的価値も感じます。
- 直径:11mm
- 重さ:3.42g
パゴダ金貨(インド) |
要査定(準備中) |
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人気上昇に伴い偽物も増えたインドのモハール金貨
インドのモハール金貨の人気は、近年急上昇しています。
それに伴って、非常に巧妙に作られた偽物が数多く摘発されています。本物のコインから模造金型を作って、大量の偽物が作られています。
とくに1862年と1888年に発行されたモハール金貨の偽物が多いという報告があります。
本物と偽物を見分けるのにはどうしたらよいのか。公表されている見分け方を紹介します。
色が微妙に異なる
本物は金の純度の高さを示すように黄色味を帯びた金色ですが、偽物はくすんだ色をしています。
一見しただけではわかりにくいのですが、本物と偽物を比べるとその違いがよくわかります。
この傷があったら偽物!
このモハール金貨のように、赤い丸で囲った3か所に、この写真と同じような傷があったら偽物を疑いましょう。1つの同じ模造金型から偽物のコインが作られるため、同じ傷を持った偽物コインが大量に出回ることになるのです。
文字やビクトリア女王の鼻のあたりが微妙に異なる
モハール金貨の本物と偽物を比べると、ビクトリア女王の鼻のあたり、モハールの文字の「O」やインドの「I」にわずかな相違が確認されています。
虫眼鏡を使ってもシロウトにはわかりにくい相違ですので、ここは我々コインのプロにご相談ください。
アンティークに見せるための摩耗したあとがある
発行から年月を経ているモハール金貨。
本物らしく見せるために、偽物のコインに人為的に摩耗させた痕跡が残っている場合もあります。
このあたりの見分けも難しいものですが、モハール金貨の真贋は、プロの目に任せることをおすすめします。
インドのモハール金貨と同時期の海外金貨の価値
大人気を誇るインドのモハール金貨。
同時期に発行されたコインを知るのも楽しいものです。
そのうちのいくつかをご紹介します。
ヴィクトリア女王のシドニー ソブリン金貨
1837年から1901年まで、実に60年を超える治世を誇るヴィクトリア女王。
晩年の貫禄ある姿が刻まれた金貨に、シドニーで発行されたコインがあります。
ウィリアム・ワイオンと並んでイギリスのコイン史に名を残す彫刻家、ベネデット・ピストゥルッチによるデザインです。
▲シドニー ソブリン金貨
- 直径:22.05mm
- 重さ:7,98g
シドニー ソブリン金貨 |
要査定(準備中) |
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アメリカのインディアン金貨
インドのモハール金貨と同時期、アメリカで発行された金貨です。
大国への道を歩んでいたアメリカの勢いを感じる技術力に、目を見張らされます。
比較的大きめの金貨になります。
▲アメリカ インディアン金貨
- 直径:27mm
- 重さ:16.718g
アメリカ インディアン金貨 |
要査定(準備中) |
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東西の文明が交錯したインドの金貨、人気が上昇中
アジアとヨーロッパを結ぶインドは、古代から多くの文明の交差点でした。
それぞれの時代に発行された金貨には、長い歴史を感じる特徴が込められています。特に人気のあるモハール金貨は、イギリスによる植民地時代に発行されたものです。
当時の一流のコインデザイナーによるモハール金貨は、アンティークコイン市場でも注目の的。インドの古代や中世の金貨も魅力的です。
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