中国と日本のそれぞれで多様な額面、様々な場所で発行されたため不定。
目次
洪武通宝の価値
洪武通宝は、その歴史的価値と多様性から、コレクターの間で人気があります。
特に希少性の高いものは高値で取引されます。
例えば、最も一般的な「楷書 小平 光背※」は比較的手に入りやすい一方で、
「楷書 小平 背『京』」や「楷書 小平 背『済』」のような特定の鋳造局名が記されたものは、非常に高い希少価値があります。
価値に影響を与える要因
価格に影響する要因をご紹介します。
実際の取引価格は流通量や状態、需要によって変動する可能性があります。
- 種類と額面
- 小平銭(1文)、折二銭(2文)、当三銭(3文)、当五銭(5文)、当十銭(10文)の五等級に分けられ、それぞれの等級によって価値が異なる
- 鋳造局と銘文
- 裏面に鋳造局名(例:京、北平、鄂など)や重さ(例:一钱、一两など)、額面(例:十)が記されたものがあり、これらが価値を左右する
- 希少性
- 「背京小平」「背京折二」「背桂三」「背桂五」「背广三」「背广五」などの局名銭や、背穿上三記値銭※などは極めて稀少
「京」「济」「鄂」などの文字が記された小平銭も稀少 - 品質・保存状態
- 貨幣の制作精度は、同一の鋳造局であっても、等級によって差があったり、鋳造時期や材料の銅の質によってばらつきがある
保存状態も価値に影響を与える
種類ごとの参考価格
「洪武通宝」の価値は、その種類や希少性によって大きく異なります。
貨幣の種類ごとの参考となる価格をご紹介します。
| 種類 | 参考価格 |
|---|---|
| 楷書小平光背 | 80円 |
| 楷書折二光背 | 26,600円 |
| 楷書折三光背 | 26,600円 |
| 楷書折五光背 | 22,500円 |
※小平銭の光背はバージョンが非常に多い
| 種類 | 参考価格 |
|---|---|
| 楷書小平背「一銭」 | 1,000円 |
| 楷書折二背「二銭」 | 2,000円 |
| 楷書折三背「三銭」 | 4,100円 |
| 楷書折五背「五銭」 | 22,500円 |
| 楷書折十背「十一两」 | 1,200円 |
| 種類 | 参考価格 | |
|---|---|---|
| 小平銭 | 楷書小平背「北平」 | 1,200円 |
| 楷書小平背「浙」 | 1,000円 | |
| 楷書小平背「桂」 | 200円 | |
| 楷書小平背「福」 | 200円 | |
| 楷書小平背「豫」 | 1,600円 | |
| 楷書小平背「京」 | 102,400円(希少) | |
| 楷書小平背「鄂」 | 92,000円(希少) | |
| 楷書小平背「济」 | 143,000円(希少) | |
| 楷書小平背「广」 | 1,200円(希少) | |
| 楷書小平背「桂一」 | 6,500円 | |
| 折二銭 | 楷書折二背「北平」 | 16,400円 |
| 楷書折二背「浙」 | 2,000円 | |
| 楷書折二背「桂二」 | 8,200円 | |
| 楷書折二背「二福」 | 4,100円 | |
| 楷書折二背「豫」 | 3,100円 | |
| 楷書折二背「京」 | 205,000円(非常に稀少) | |
| 楷書折二背「济」 | 113,000円(希少) | |
| 楷書折二背「广二」 | 113,000円(希少) | |
| 折三銭 | 楷書折三背「北平」 | 20,500円 |
| 楷書折三背「浙」 | 2,500円 | |
| 楷書折三背「三福」 | 20,500円 | |
| 楷書折三背「豫」 | 3,000円 | |
| 楷書折三背「京」 | 82,000円(希少) | |
| 楷書折三背「鄂」 | 113,000円(希少) | |
| 楷書折三背「济」 | 82,000円(希少) | |
| 楷書折三背「桂三」 | 113,000円(非常に稀少) | |
| 楷書折三背「广三」 | 123,000円(非常に稀少) | |
| 折五銭 | 楷書折五背「北平」 | 24,500円 |
| 楷書折五背「浙」 | 6,150円 | |
| 楷書折五背「五福」 | 8,200円 | |
| 楷書折五背「豫」 | 5,700円 | |
| 楷書折五背「京」 | 82,000円(希少) | |
| 楷書折五背「鄂」 | 123,000円(希少) | |
| 楷書折五背「济」 | 113,000円(希少) | |
| 楷書折五背「桂五」 | 113,000円(非常に稀少) | |
| 楷書折五背「广五」 | 113,000円(非常に稀少) | |
| 折十銭 | 楷書折十背「北平十」 | 4,500円 |
| 楷書折十背「京十」 | 2,500円 | |
| 楷書折十背「济十」 | 4,500円 | |
| 楷書折十背「鄂十」 | 5,700円 | |
| 楷書折十背「十豫」 | 3,000円 | |
| 楷書折十背「桂十」 | 10,000円 | |
| 楷書折十背「十福」 | 3,000円 | |
| 楷書折十背「十浙」 | 3,000円 | |
| 楷書折十背「十广」 | 45,000円(稀少) |
| 種類 | 参考価格 |
|---|---|
| 楷書折三背「三」 | 82,000円(稀少) |
| 楷書折五背「五」 | 57,000円(稀少) |
| 楷書折十背「十」 | 7,000円 |
高額で取引された実例
実際にオークションなどで取引された事例を紹介します。
| 取引時期 | 種類 | 取引額 | 取引額(当時のレートで計算) |
|---|---|---|---|
| 2012年5月 | 洪武通宝 折二 背上済 | 22万元 | 277万2,000円 |
洪武通宝とは?
洪武通宝(洪武通寶)は、中国の明王朝の最初の皇帝「朱元璋」が、建国後の1368年(洪武元年)に発行した貨幣です。
これは、明王朝の正式な銅銭(青銅製の通貨)として使われ、のちの中国貨幣制度に大きな影響を与えた中国古銭です。
読み方
読み方は「こうぶつうほう」です。
洪武通宝は洪武帝(朱元璋)の時代に発行された通貨という意味です。
洪武の「洪」は壮大さ、「武」は軍事的力を象徴する文字で、「大いなる武力による新たな時代の創始」という意味が込められていたとされています。
朱元璋は「元宝」という名称を決して使おうとはしませんでした。
これは、前の時代の国「元」と同じ字を使いたくなかったからです。
そのため、明の時代につくられたお金には、すべて「通宝」という名称が使われるようになりました。
朱元璋为避讳元朝的元字,把所铸之钱钱文一律叫通宝而不叫元宝,而不只是为避讳他自己的名字,以后所铸之钱也都没有元宝钱文
翻訳:「元」という文字を避けるため、朱元璋は鋳造した貨幣を全て「元宝」ではなく「通宝」と名付けました。これは単に自身の名を避けるためだけではありませんでした。彼が後に鋳造した貨幣には全て「元宝」の文字が刻まれていません。
出典:记地钱_百度百科
貨幣の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発行時期 | 1368年(洪武元年)~洪武年間末期 |
| 発行者 | 明の初代皇帝「朱元璋」 |
| 材質 | 主に銅(青銅)、一部に鉄銭もあり |
| デザイン | 表に「洪武通宝」の銘文 裏に鋳造所や額面などの銘がある場合もある |
額面
洪武通宝の通貨制度は、朱元璋が元時代の末期の即位前に鋳造した「大中通宝」を継承しており、「五等銭」と呼ばれる5つの額面で発行されました。
| 額面 | 重さ |
|---|---|
| 小平 | 1銭 |
| 当二(折二) | 2銭 |
| 当三(折三) | 3銭 |
| 当五(折五) | 5銭 |
| 当十(折十) | 1両 |
重さの規定も設けられており、小平銭は1銭、当二銭は2銭、当三銭は3銭、当五銭は5銭、当十銭は1両と定められました。
洪武26年には、1文の重さが1銭2分に引き上げられ、他の4つの額面も小平銭の重さに応じて変更されています。
材質
鋳造に用いられる銅の品質については、「鋳銭規則」において、新しく生成した銅(生銅)の使用が規定されていました。
洪武《铸钱则例》规定,铸钱应用生铜。
翻訳:洪武の『鋳銭規則』には、鋳銭は生銅でなければならないと規定されている。
出典:祖辈经历过的明代各朝历史背景及铸行钱币文化_百科TA说
ですが、当時の銅は希少であったため、旧貨幣などをリサイクルした銅が広く用いられました。
このため、銅の質が安定せず純度も均一ではないため、「洪武通宝」は見た目にもばらつきが生じています。
大きさ
洪武通宝の一般的な大きさ(直径)は下記とおりです。
- 小平
- 直径2.3~2.45cm
- 当二
- 直径2.8cm
- 当三
- 直径3.15~3.3cm
- 当五
- 直径3.8~4cm
- 当十
- 直径4.4~4.6cm
※上記サイズに当てはまらないケースも存在します。
洪武通宝と明朝の貨幣政策
明朝初期は、銅銭の鋳造と並行して紙幣「大明宝鈔」の発行と流通を促進しました。
- 洪武8年(西暦1375年)に「大明宝鈔」が正式に発行され、宝鈔1貫は銅銭1,000文または銀1両に相当し、宝鈔4貫で金1両と定められました。
- 政府は銅銭と紙幣の併用政策を推し進め、金・銀の流通を禁止しました。(ただし、政府との交換は可)
紙幣の流通を推進するため、明朝は銅銭の鋳造と流通を厳しく管理しました。
- 洪武元年(西暦1368年)
- 朱元璋が皇帝に即位し「洪武通宝」が鋳造開始
- 洪武8年(西暦1375年)
- 中央および地方の鋳造所での銅銭鋳造が一時停止され、翌年には全面的に停止
- 洪武10年(西暦1377年)
- 再び宝源局と各省の鋳造所で小銭の鋳造が再開
- 洪武20年(西暦1387年)過ぎ
- 再び停止
- 洪武26年(西暦1393年)
- 銭制が変更され五等銭が再び鋳造されるが、京師宝源局のみの鋳造に限られ他の各省では再び停止
- 洪武26年(西暦1393年)8月
- 宝鈔の流通が滞ったため、紙幣制度を徹底するために再び銅銭の使用が禁止
この銅銭禁止令は、第6代皇帝・明宣宗の宣徳末年まで実に41年間も続く
このような厳しい銅銭の規制は、明朝前期に2つの結果をもたらしました。
- 一つは、民間での勝手な貨幣の鋳造(私鋳)が横行したこと。
銅不足の中、古銭を溶かして新しい貨幣を再鋳造する動きが見られました。 - もう一つは、白銀の流通が一般化したこと。
明朝中期、第10代皇帝・弘治帝(孝宗)の時代には、紙幣制度は実質的に名ばかりとなり、銀が社会経済の中心的な貨幣となり、銅銭は補助的な役割を担うようになりました。
明朝初代皇帝・洪武帝から第13代皇帝・隆慶帝(明穆宗)の時期は、紙幣政策が重視されたために銅銭の鋳造が厳しく制限され、鋳造量が限られていました。
種類
洪武通宝は、裏面の銘文(刻印)によって大きく4つの種類に分類されます。
中国湖南省常德市の中国収集家協会会員である周新国氏による書籍「武陵蔵珍」によると、4つの分類で61種類が存在し、現在確認できるものは58種類とされています。
鋳造所名が銘文された銭(記局銭)

洪武通宝裏面の銘文例
- 裏面に鋳造された鋳造局名が刻まれている
- 鋳造局名は9種類
- 「京」:南京
- 「北平」:北京
- 「鄂」:湖北
- 「浙」:浙江
- 「済」:山東
- 「桂」:広西
- 「福」:福建
- 「豫」:河南
- 「広」(廣):広東
- 文字の位置は、銭の穴の上に刻まれることが多い
- 「福」や「豫」は穴の下、「広(廣)」は穴の右に刻まれるものもある
- 歴史書の記録と異なる鋳造時期の「福」や「鄂」の鋳造局名が見られる点は、今後の研究が待たれる部分である
- 「京」「済」「鄂」などの文字が記されたものは希少

下の「福」と上の「浙」
加治木銭(かじきせん)
日本では、16世紀から多くの明朝の古銭(明銭)が「私鋳銭※」として流通し始めました。
特に、九州の薩摩藩にある加治木村(現在の鹿児島県姶良市加治木町)では、16世紀後半から17世紀初頭にかけて大量の古銭が生産されました。
薩摩藩は琉球王国との貿易が非常に活発であったことで、明朝の古銭を模倣した硬貨が多く作られましたが、その1つが「洪武通宝」でした。
加治木で鋳造されたことを示す印として、裏側に「加」「治」「木」のいずれかの文字が銘文されていますが、そのほとんどは「治」です。
裏面に銘文がない銭(素背銭)
- 裏面に何も刻印されていない
- 五等銭すべてで存在するとされているが、当十銭は現在確認できていない
- 特に小平銭で多くみられる
「ColBase」(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/E-5741?locale=ja)をもとに画像作成
額面が銘文された銭(記値銭)
- 裏面に「一、二、三、五、十」といった額面が刻まれている
- 裏面に鋳造局名がある当十銭にはすべて「十」の文字が銘文される
- 「桂」「広」「福」の鋳造局名が銘文されたもので額面が併記されたものがある
重さが銘文された銭(記重銭)
- 銭の穴の右側に「一銭、二銭、三銭、五銭、一両」といった重さが銘文される
- 「大中通宝」にはない特徴で、洪武21年(西暦1368年)に五等銭の制度が復活し、貨幣の形式が改定された際に鋳造された新しい銭と考えられる
- 当十銭には、穴の右に重量の「一両」、穴の上に額面の「十」の銘文が併記される
- 記重銭の導入は全国の貨幣を統一し、元末期以来の通貨制度の混乱を終わらせ、経済発展に貢献した

穴の右側に縦書きで一銭
このように鋳造された局や時期によって、様々な様式の洪武通宝が存在します。
同じ鋳造局のものでも、直径や重さが違うこともあり、五等銭の各額面の鋳造量や現存量も大きく異なります。
洪武通宝に関するよくある質問
「洪武通宝」の読み方は?
洪武通宝には何種類ありますか?
他にも記局名による分類や記重による分類など、様々な分類と種類が存在します。
まとめ
洪武通宝は、明朝の経済と貨幣制度の変遷を物語る貴重な歴史的遺物です。
朱元璋によって定められた五等銭の制度、紙幣との併用、そして厳しい銅銭統制の歴史は、明朝初期の複雑な時代背景を今に伝えています。
- 中国明朝初代皇帝・朱元璋(洪武元年=1368年)によって鋳造された銅銭で、後世の貨幣制度に大きな影響を与える
- 額面や鋳造所、製造時期の違いによって数多くのバリエーションがあり、記局銭、素背銭、記値銭、記重銭などの分類がある
- 「背京」「背済」「背鄂」など特定の鋳造所名入りの種類は希少で、コレクター市場では高額取引の対象になる
多様な洪武通宝は単なる貨幣ではなく、当時の政治・経済政策の紆余曲折を反映した重要な存在であるといえます。
この多様性がもたらすと希少価値は、現代のコレクターにとっても魅力的な収集対象であり続けています。
洪武通宝の買取実績
TEL:☎03-6709-1306(営業時間 11:00~18:00)
〒170-0013 東京都豊島区東池袋3丁目12−6 KYTビル 2階




































