重さ7.64g、直径23mm、品位K21.6
スイス フランケン金貨(ヘルヴェティア共和国) の買取価格
スイスのフランケン金貨とは
フランケン金貨という言葉は、あまり耳にしたことがない人のほうが多いと思います。
「フランケン」とはスイスの貨幣単位ですが、「フランケン」はドイツ語。スイスの公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、レト・ロマン語。それぞれの言語で、貨幣の呼び方も変わります。フランケン貨幣は、日本では「スイス・フラン」と呼ばれることが大半です。
スイス・フランが初めて登場するのは1798年のこと。この年、フランスからの圧力でスイスには「ヘルヴェティア共和国」が樹立されます。ところがヘルヴェティア共和国が存続したのはわずか5年。共和政は地域独立型を好むスイス人には合わない政体であったこともあり、1803年にはナポレオンによってヘルヴェティア共和国は解体されています。
スイスが欧州の列強に翻弄されたこの時代、1800年に発行された金貨のひとつが16フランケン金貨です。たった5年しか存在しなかった国が発行した金貨には、ヨーロッパで名をとどろかせていたスイス兵の姿、そしてブナの木がデザインされています。
そして金貨に刻まれた「ヘルヴェティア共和国(HELVETISCHE REPUBLIK)」の文字に、スイスの歴史の一端が垣間見えます。
フランケン金貨を知ろう
1800年にスイスで発行された16フランケン金貨の概要です。
品位 |
K21.6 |
---|---|
重さ |
7.64g |
直径 |
23mm |
額面 |
16フラン |
発行年 |
1800年 |
発行枚数 |
不明 |
デザイナー |
ヨハン・フランツ・フーバー(Johann Franz Huber) |
フランケン金貨のデザイン
1800年に発行された16フランケン金貨には、スイス特有の要素が盛り込まれています。
まず目に入るのは、旗と剣を手にした兵士の男性。
現在は高級時計や銀行業で有名なスイスですが、かつてはヨーロッパ各国を震撼させた強い軍隊で有名な国でした。屈強なスイスの歩兵は、15~18世紀にかけてヨーロッパを舞台にした戦争に参戦し、各国から恐れられていたのです。
ルネサンス時代に入ると、スイス兵は傭兵としてさまざまな国に赴くようになります。その例のひとつとして残っているのが、バチカン市国のスイス衛兵。フランケン金貨にデザインされた兵は、バチカンのスイス傭兵とも似ています。
スイス兵を囲む文字は「HELVETISCHE REPUBLIK(ヘルヴェティア共和国)」。
「ヘルヴェティア」とは、古代ローマ時代にスイス地域に住んでいたケルト民族のラテン語名「Helvetii」に由来します。
紀元前2世紀ごろに、ライン川やアルプスの地域に定住したヘルヴェティア人はフランス方面への侵略を試みますが、ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)によって阻まれてしまいました。それ以後、ヘルヴェティア人たちはローマ化してローマ文明の恩恵に浴しました。
スイスのコインによく登場する「Helvetia」という文字は、スイスが古代ローマ時代から存在していたというアイデンティティを示しているのです。スイス兵の下に記された「B」は、コインが発行されたベルン造幣所の略です。
裏面を見てみましょう。
16フランケンの額面と、発行された1800年の文字があります。
デザインされているのはブナの木。
スイスの領土に広がるブナの森は、2021年にユネスコ世界自然遺産に認定されました。
つまり16フランケン金貨には、スイスを象徴する要素が詰まっているのです。
フランケン金貨の価値
16フランケン金貨は、5年しか存続しなかったヘルヴェティア共和国のコイン。当然発行枚数は少なく、市場に出ることはまれです。歴史的にみても価値の高いフランケン金貨は、オークションに登場すると破格の高値が付くことが多いのが実情。多くの国と国境を接するスイスならではの歴史を語る価値も、注目に値します。
フランケン金貨にまつわるエピソード
富裕層が住む国というイメージがあるスイス。ドイツやフランス、イタリアと国境を接していたスイスは、複雑な歴史をたどってきました。
フランケン金貨にまつわるいくつかのエピソードをご紹介します。
君主制は拒否!伝統的に連邦制のスイス
ヨーロッパにおいて大国といわれたフランスやイギリスは、中央集権国家でした。ヨーロッパの多くの国が君主制を布いたなかで、スイスは伝統的に連邦制。各地域の自治が強く、フランケン金貨が発行された共和政時代もしっくりとこなかったようです。
スイスの建国は1291年。ウーリ、シュウィーツ、ニートワルデンの3つの地域が「永久同盟」を結び、「自由と自治」を守るための相互扶助を誓ったことが建国の発端でした。
その精神は、現代のスイスにまで伝えられているわけです。
無敵のスイス兵たちはローマ教皇のお抱えに
戦争には与しない永世中立国スイス。しかしかつては、スイス兵の勇猛さはヨーロッパ中で有名でした。
スイス兵の強さと忠誠心を高く評価したローマ教皇ユリウス2世は、1506年にバチカンの常備軍を編成。この常備軍は、スイス兵によって構成されました。歴史上有名なレーパントの戦いやフランス革命に関連する戦争にも、スイス衛兵は「ローマ教皇の軍隊」として派遣され、華々しい戦いを繰り広げました。
スイスの衛兵たちが儀式などで着用する典礼服は、ミケランジェロのデザインによるものという噂もあります。
華やかなカラーの制服に身を包んだスイス兵たちはそろってイケメン。フランケン金貨にもスイスが誇った兵の姿が刻まれているのです。
多数の国と国境を接するスイス、複雑な歴史を語るフランケン金貨
風光明媚で豊かな国スイス。平和を重んじる国というイメージがあるスイスですが、永世中立国という地位を得るまでには紆余曲折がありました。
13世紀の建国以来、近隣の地域との相互協力や自治を重んじてきたスイス。1798年から5年間、共和国であった歴史があります。
スイス人の性質と相いれなかった共和政はあっという間に姿を消しましたが、その間に発行されたフランケン金貨は希少性と歴史的な価値を持っています。
勇猛な兵士を輩出する国スイスを象徴するフランケン金貨、お手元にあるかぜひ確認してみてください。
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