2025年に旧札が使えなくなる!?いつまで旧紙幣が使えるのか予想してみた!

2025年に旧札が使えなくなる!?いつまで旧紙幣が使えるのか予想してみた!

2024年の新紙幣発行や、2025年旧紙幣の入金手数料の発生を受け、旧札や旧紙幣について「いつまで使えるの?」「使えなくなったらどうすればいい?」といった疑問を持つ方が増えています。一部では「旧札が回収される」「取っておいたほうがいい」などの情報も広がっていますが、実際のところはどうなのでしょうか?この記事では、旧札の使用期限や取り扱い、保管のメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。古いお札の行方が気になる方は、ぜひ最後までご覧ください!

2025年に旧札が使えなくなるって本当?

最近、古銭買取でご依頼いただくお客様から「2025年に旧札が使えなくなるんですよね?」とよくご質問いただきます。

おそらく、三菱UFJ銀行が2025年4月28日から旧紙幣や記念硬貨の入金に対して新たな手数料制度を導入することを発表したことから、旧紙幣や旧札が使えなくなってしまうのでは?と考えられた方が多くいらっしゃるようです。

参考:旧紙幣・記念硬貨の入金が有料に!銀行別手数料をご紹介!

SNSでデマが広がった!

2024年の7月に新しい一万円札、五千円札、千円札が発行されたタイミングで、「今のお札が使えなくなる」「銀行の口座が使えなくなる」といったウソの情報がSNS(XやTikTok)で広がりましたが、これらは全部ウソです!財務省も「今のお札も使えます。だまされないように注意してください」と公表しております。

新しいお札が作られる理由は、ニセ札を防ぐための新しい技術を使うことと、みんなが使いやすいデザインにすることです。今のお札がダメになるわけではありません。「タンス預金(家でしまっている現金)を国に取られる」とか、「銀行の口座が使えなくなる、預金封鎖」なんてことはありません。これも完全にウソです。

また、「こうすれば大丈夫」と言って仮想通貨を買わせようとする詐欺もあるので、注意しましょう。怪しいと思ったら、家族や友人に相談するか、ネットで調べるようにしてください。

専門家も「預金封鎖(銀行のお金が使えなくなること)は今の日本では絶対にありえない」と言っています。もしそんなことをしたら、日本のお金の価値が下がって世界中に悪い影響が出るからです。昔、1946年に一度だけ預金封鎖がありましたが、当時は物価がものすごく上がっていた特別な状況でした。今とは状況が全く異なるのです。

 

旧札・旧紙幣はいつまで使える?

何年後まで?
現在使える旧紙幣については、当分使えなくなることはないでしょう。
貨幣を使用不可能にするためには、大きな法令の変更が必要になります。
これまで、日本で紙幣を使用不可にするような法改正や政策で、紙幣が廃止になったのは昭和14年昭和21年昭和23年、昭和28年4回だけです。

昭和14年は金本位制からの離脱、昭和21年は新円切替政策、昭和23年は終戦によるインフレ阻止、昭和28年は1円以下の少額通貨をなくすためです。

どれも日本の財政を揺るがすほどの大事件でした。それ以降も財政に関するトラブルがなかったわけではありません。ですが、貨幣のルールを見直す程の事態にはなりませんでした。

60年以上も変わらずにきていますし、ここ1、2年で急に変わることはなさそうですね。

古銭の専門家として、古銭鑑定士兼株式会社アンティーリンク代表取締役社長の渡邉博のコメント

それではここから歴代の旧紙幣の廃止になった理由を詳しく確認していきましょう。

昭和14年(1939年)に使えなくなった旧札

昭和14年(1939年)に使えなくなった旧札は、ぜんぶで13種類もありました。

1927年(昭和2年)にできた法律「兌換銀行券整理法」によって、古い昔のお札が使えなくなりました。

昭和14年(1939年)に使えなくなった旧札

昭和14年(1939年)に使えなくなった旧札

参考:旧紙幣の買取価格一覧表

昭和14年(1939年)に使えなくなった旧紙幣はいつからいつまで使えたのでしょうか?

それぞれの発行年から、使うことができた期間を表にまとめました。

種類 発行 廃止 通用期間
大黒100円札

明治18年(1885年)

昭和14年(1939年)

54年

大黒10円札

明治18年(1885年)

昭和14年(1939年)

54年

裏大黒5円札

明治19年(1886年)

昭和14年(1939年)

53年

めがね100円札

明治24年(1891年)

昭和14年(1939年)

48年

表猪10円札

明治23年(1890年)

昭和14年(1939年)

49年

分銅5円札

明治21年(1888年)

昭和14年(1939年)

51年

裏紫100円札

明治33年(1900年)

昭和14年(1939年)

39年

裏猪10円札

明治32年(1899年)

昭和14年(1939年)

40年

中央武内5円札

明治32年(1899年)

昭和14年(1939年)

40年

透かし大黒5円札

明治43年(1910年)

昭和14年(1939年)

29年

横書き20円札

大正6年(1917年)

昭和14年(1939年)

22年

左和気10円札

大正4年(1915年)

昭和14年(1939年)

24年

大正武内5円札

大正5年(1916年)

昭和14年(1939年)

23年

明治・大正時代から昭和にかけて使用された13種類の旧札の通用期間は平均すると、約40年間という計算になりました。

兌換銀行券整理法が出された理由

1927年(昭和2年)に制定された兌換銀行券整理法によって、12年もの猶予期間を持って、1939年に廃止された旧紙幣たち。

この兌換銀行券整理法が作られた背景には、1931年に日本が金本位制をやめたことがありました。このころ、戦争費用のために多くのお金が発行され、物価が大きく上がるインフレーションが進んでいました。また、世界でも金本位制をやめる国が増えていたため、日本もそれに合わせる必要があったという大きな歴史的転換点があったため、こうしたさまざまな紙幣が通用停止となったのです。

昭和21年(1946年)に使えなくなった旧札

昭和21年(1946年)に使えなくなった旧札は、ぜんぶで16種類もありました。

1946年(昭和21年)2月16日に、幣原内閣が戦後のインフレーション対策として発表した政策「新円切替」によって、多くの旧紙幣が使えなくなりました。

昭和21年(1946年)に使えなくなった旧札

昭和21年(1946年)に使えなくなった旧札

昭和21年(1946年)に使うことができなくなった旧紙幣はどのくらいの期間、使えたのでしょうか?

それぞれの種類別に発行年と廃止年、そして使うことができた期間を表にまとめています。

種類 発行 廃止 通用期間
裏白200円札

昭和2年(1927年)

昭和21年(1946年)

19年

裏赤200円札

昭和2年(1927年)

昭和21年(1946年)

19年

1次100円札

昭和5年(1930年)

昭和21年(1946年)

16年

タテ書き20円札

昭和6年(1931年)

昭和21年(1946年)

15年

兌換券10円札

昭和5年(1930年)

昭和21年(1946年)

16年

兌換券5円札

昭和5年(1930年)

昭和21年(1946年)

16年

日本武尊1000円札

昭和17年(1942年)

昭和21年(1946年)

4年

藤原200円札

昭和17年(1942年)

昭和21年(1946年)

4年

改正兌換券5円札

昭和17年(1942年)

昭和21年(1946年)

4年

2次100円札

昭和19年(1944年)

昭和21年(1946年)

2年

不換紙幣10円札

昭和18年(1943年)

昭和21年(1946年)

3年

不換紙幣5円札

昭和18年(1943年)

昭和21年(1946年)

3年

改正不換紙幣10円札

昭和19年(1944年)

昭和21年(1946年)

2年

改正不換紙幣5円札

昭和19年(1944年)

昭和21年(1946年)

2年

3次100円札

昭和20年(1945年)

昭和21年(1946年)

1年

再改正不換紙幣10円札

昭和20年(1945年)

昭和21年(1946年)

1年

昭和時代に流通した16種類の旧札の通用期間は平均すると、約8年間という計算になりました。後述しますが、戦争の影響もあって、使用期間がかなり短い期間に終わった紙幣も多くありますね。

新円切替政策が発表された理由

新円切替政策の背景には、戦後の物資不足による物価の急激な上昇や、戦時中の金融統制が緩んだことで預金の引き出しが増え、市場に出回るお金の量が急増したことがありました。また、戦時中の軍需物資の代金が支払われたことも要因の一つです。

新円切替の目的は、インフレーションを抑えるために市場のお金の量を減らすことや、財産税を導入する準備として国民の資産を把握し、一部を差し押さえることでした。

この政策によって、「日本銀行兌換券」と表記された紙幣は旧一円券を除きすべて無効となり、国民生活に大きな影響を与え、「五百円生活」という言葉が流行するほど困難な時代を象徴するものとなりました。

現在でも使える昔発行された紙幣

現在でも、法律上はお金として使える戦前の紙幣をまとめています。どれも80年以上も有効な紙幣となっています。

種類 発行 通用期間
大黒1円札

明治18年(1885年)

139年

武内宿祢 漢数字1円札

明治22年(1889年)

135年

武内宿祢 アラビア数字1円札

大正5年(1916年)

108年

不換紙幣1円札

昭和18年(1943年)

81年

改正不換紙幣1円札

昭和19年(1944年)

80年

上記のような旧1円札が今でも使える理由は、その歴史と法律の仕組みにあります。このお札は、もともと銀や金と交換できる「兌換銀券(だかんぎんけん)」として作られました。しかし、1897年に日本が銀本位制から金本位制に変わったとき、金と交換できることになりましたが、1円金貨が作られなかったため、実際には何とも交換できない「不換紙幣(ふかんしへい)」になったのです。

1942年に日本が金本位制をやめた後も、正式に不換紙幣としてそのまま残り、1946年の「新円切替」などの政策の対象にもならなかったため、今でも法律上は有効なお金となっています。

昭和23年(1948年)に使えなくなった旧札

昭和23年(1948年)に使えなくなった旧札は、5種類です。

下図で挙げた5種類の紙幣は、当時、小額紙幣は物価が上がった影響でほとんど使われなくなっていました。

そのため、これらの紙幣を整理するための「小額紙幣整理法」が制定されたのです。

昭和23年(1948年)に使えなくなった旧札

昭和23年(1948年)に使えなくなった旧札

昭和23年(1948年)に使用できなくなったこれらの旧札はどれほどの期間、使えたのでしょうか?

それぞれの種類別に通用期間をまとめています。

種類 発行 廃止 通用期間
大正50銭札

大正6年(1917年)

昭和23年(1948年)

31年

大正20銭札

大正6年(1917年)

昭和23年(1948年)

31年

大正10銭札

大正6年(1917年)

昭和23年(1948年)

31年

富士桜50銭札

昭和13年(1938年)

昭和23年(1948年)

10年

靖国50銭札

昭和17年(1942年)

昭和23年(1948年)

6年

大正から昭和にかけて使われた、これらの紙幣の通用期間は約22年。

小額紙幣整理法が作られた背景

1948年(昭和23年)に「小額紙幣整理法」が制定された背景には、戦後の経済や物価の変化が大きく影響しています。戦後のインフレーションによって物価が大幅に上がり、小額紙幣の価値が実質的に下がってしまいました。その結果、これらの紙幣は日常の取引でほとんど使われなくなり、通貨制度を見直して効率化する必要がありました。

また、この法律によって、日本で唯一残っていた政府発行の紙幣(板垣50銭紙幣)が無効となり、政府紙幣が完全に廃止されました。さらに、戦争中に金属不足を補うために発行されていた小額紙幣を整理することで、金属資源を有効に活用する意図も含まれていました。

この法改正は、戦後の経済再建の一環であり、通貨制度を合理的にするための重要なステップでした。その後、1953年に制定された「小額通貨整理法」へとつながり、より包括的な通貨整理が進められるきっかけとなりました。

昭和28年(1953年)に使えなくなった旧札

昭和28年(1953年)に使用できなくなった旧札は、ぜんぶで5種類です。

1948年(昭和23年)の「小額紙幣整理法」に引き続き、1953年(昭和28年)7月に制定された「小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律」によって、日本では銭や厘といった小さな単位の硬貨や紙幣の全てが廃止されることになりました。

昭和28年(1953年)に使えなくなった旧札

昭和28年(1953年)に使えなくなった旧札

昭和28年(1953年)に使用できなくなったこれらの旧札はどれほどの期間、使えたのでしょうか?

それぞれの種類別に通用期間をまとめています。

種類 発行 廃止 通用期間
八紘一宇10銭札

昭和19年(1944年)

昭和28年(1953年)

9年

楠公5銭札

昭和19年(1944年)

昭和28年(1953年)

9年

板垣50銭札

昭和23年(1948年)

昭和28年(1953年)

5年

ハト10銭札

昭和22年(1947年)

昭和28年(1953年)

6年

梅5銭札

昭和23年(1948年)

昭和28年(1953年)

5年

通用期間の平均はおよそ7年とかなり短いですね。

1948年の小額紙幣整理法と、1953年の小額通貨整理法の違い

戦後のインフレーション対策と通貨制度の合理化を進めるため、日本では1948年に「小額紙幣整理法」、1953年に「小額通貨整理法」が制定されました。両者は約5年の間隔を空けて施行され、それぞれ異なる範囲で通貨整理を行いました。

1948年の小額紙幣整理法は、特定の小額紙幣のみを対象とし、戦時中に発行された紙幣を整理するものでした。一方、1953年の小額通貨整理法では、硬貨も含むより広範囲の小額通貨が対象となり、銭や厘といった単位の廃止や端数計算の方法を定めるなど、より抜本的な通貨制度の改革が行われました。この法律により、銭や厘単位の硬貨や紙幣が同年末をもってすべて廃止され、日本の通貨制度は円に統一されました。

これらの政策は、戦後の混乱した経済を立て直し、取引を効率化するために段階的に実施されたものであり、戦後日本の経済再建において重要な役割を果たしました。

参考:旧硬貨は使えない?交換・入金方法

いつまで旧紙幣が使えるのか予想してみた!

過去にいくつかのタイミング(昭和14年、昭和19年、昭和21年、昭和23年)で、紙幣が使用不可となる法改正や政策があったことをお伝えしましたが、この過去の事例を参考にして、今後どのくらいのタイミングで旧札(旧紙幣)が使用不可になるのかを予想してみようと思います。

まず、80年以上、通用している旧1円札に関してはいつ廃止が決まってもおかしくないといえますが、あえて法律を作って廃止するということも考えづらいということもあり、このままずるずるといく可能性もあります。

  • 大黒1円札
  • 武内宿祢 漢数字1円札
  • 武内宿祢 アラビア数字1円札
  • 不換紙幣1円札
  • 改正不換紙幣1円札

2024年7月に新しい紙幣が使われ始めるタイミングで、「夏目漱石の千円札や新渡戸稲造の五千円札は使えなくなるのでは?」という問い合わせを多くいただきました。しかし、これら比較的新しい紙幣については、今後数十年にわたって使用が停止される可能性は低いと言えます。

その理由は、これまで古い紙幣が使えなくなる背景には、金本位制の終了や急激な物価高騰といった大きな経済的変化がありました。しかし、現代の日本でそのような劇的な転換点を迎える可能性は考えにくいからです。

例えば、昭和23年(1948年)に小額紙幣整理法が制定された当時、お米10合(約1.5kg)の値段は200円だったと言われています。この200円を10銭札で支払う場合、なんと2,000枚が必要でした。これは非常に非現実的で、こうした不便さが通貨整理の一因となりました。

現在のお米10合の価格はおおよそ1,500円前後です。この価格が仮に200万円にまで物価が上昇するような事態が起きれば、1,000円札を廃止するような議論が出る可能性もありますが、そのような極端な物価高騰が起きることは現状では考えにくいと言えるでしょう。

旧札はどうしたらいい?取っておくと価値がでる?

旧札の中には、数百万円から場合によっては1000万円を超える値段で取引されるものもあります。しかし、こうした高額な旧札が特別に時代を経て価値が上がったわけではありません。高値がつく理由は、もともと発行枚数が少なく、「希少性」が高いからです。発行当時から珍しかった旧札は、今も収集家の間で高く評価されているということです。

参考:古紙幣の価値ランキング ベスト10!最も高額な昔のお札とは?

旧札の価値は希少性がポイントですが、逆に年月が経つことで価値が下がる場合もあります。例えば、現存する枚数が少ないために高い価値がついていた旧札が、何らかの理由で大量に発見されると、その希少性が失われ、価値が暴落する可能性があります。市場に供給が増えることで希少性が薄れ、収集家の需要に対して供給が過剰になると、価格が大きく下がることもあるのです。価値を見極めるには、希少性が今後も維持されるかどうかが重要なポイントと言えます。

紙幣の買取なら、古銭買取専門店アンティーリンクへお任せください

旧紙幣を銀行で交換してしまう方もいらっしゃいますが、これはおすすめしません。銀行では額面通りでの交換となるからです。これはつまり、たとえば旧1円札を銀行で交換すると1円にしかなりませんが、アンティーリンクでは数万円になることもあります。株式会社アンティーリンクは、古銭に特化した買取業者です。豊富な知識と実績を持つ鑑定士が多数所属しておりますので、紙幣や古銭の価値についてやご売却を検討されているなら、ぜひ弊社までお気軽にご相談くださいませ。

参考:古紙幣の処分はぜひ専門の買取店で!