プルーフ硬貨とは?見分け方から各年代の貨幣セット価値まで解説!

プルーフ硬貨とは?見分け方から各年代の貨幣セット価値まで解説!

プルーフ硬貨と聞いて、皆さんはどのようなものを思い浮かべますか?
何か高級感があって高く売れそうと思った人もいるかもしれません。本記事では、プルーフ硬貨の製造方法や見分け方、さらには各年代のプルーフ貨幣セットの価値まで解説します。
本記事を読み、プルーフ硬貨に興味を持っていただければ幸いです。

執筆・監修者
渡邉 博古銭鑑定士
2012年、古銭買取専門店「アンティーリンク」を創業し、古銭の買取・販売を始める。
2022年、日本唯一の古銭鑑定機関「貨幣商協同組合」に加盟
現在は古銭鑑定士として、テレビ等メディア出演多数
▶︎詳しいプロフィールはコチラ。

プルーフ硬貨とは?

プルーフ硬貨とは、収集用として特殊な技術を用いて製造された硬貨で、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第10条第1項第2号に基づき、造幣局が販売しています。
より美しく見せるため、下図のように表面を鏡のように磨いています。

プルーフ硬貨とは?

ここでは、プルーフ硬貨(貨幣)の製造方法や見分け方、種類を見ていきましょう。

製造方法

プルーフ硬貨は、通常の硬貨とは異なり、以下のような点を行って製造しています。

  • 表面を入念に磨き上げた極印(ハンコの役目をする金型)を使用
  • 貨幣の模様を深く鮮明にするために極印の二回打ちを実施

このような特殊な技術を使って、細心の注意を払って製造をしています。

それだけに、通常の硬貨よりも製造コストがかかっており、大変貴重な硬貨と言えるでしょう。

種類

プルーフ硬貨の主な種類と特徴は以下の表の通りです。

種類 特徴
フロステッド(カメオ)プルーフ デザインのすべてまたはほとんどの隆起部分に、つや消しのような乳白色の表面が施されたプルーフコイン
ブリリアントプルーフ 反射率の高い表面を持つプルーフコイン
マットプルーフ 金型やコインの酸洗いやサンドブラストによって表面が鈍く粒状になったプルーフコイン

日本のプルーフ貨幣は、フロステッド(カメオ)プルーフと言われています。
他にも様々な種類のプルーフがあるので、興味がある人は調べてみても良いでしょう。

プルーフ貨幣の見分け方

プルーフ硬貨は、基本的に通常の貨幣と異なり、貨幣自体に光沢があるので見分けやすくなっています。
そのため、一目見れば、なんとなくプルーフ硬貨であることが分かるでしょう。

プルーフコインとそうでないものを比較

プルーフコイン(写真左)とそうでないものを比較

上の写真では、左の10円玉がプルーフ硬貨です。

真ん中は、あまり使用されておらずちょっと綺麗な10円玉で、右はよく見る通常の10円玉です。

古銭の専門家として、古銭鑑定士兼株式会社アンティーリンク代表取締役社長の渡邉博のコメント

比べてみるとまったく違うことが分かりますね

ただ、ややこしいのがプルーフに見えるほど綺麗な“プルーフライク”と呼ばれるコインです。

1円玉のプルーフとプルーフライク

1円玉のプルーフとプルーフライク

写真右がプルーフで、左は“プルーフライク”です。

古銭業界では、プルーフに見えるほど綺麗な状態の古銭には特別な価値が付けられることがあります。

ちなみに、記念硬貨にもプルーフ版とそのでないものがあります。

皇太子殿下御成婚記念硬貨500円のプルーフ比較

皇太子殿下御成婚記念硬貨500円のプルーフ比較

参考:500円記念硬貨

ただ、お手元の硬貨がプルーフ硬貨であるか不安で、確認に確実を期すのであれば、買取業者に依頼してください。
専門の買取業者であれば、確実に本物かどうか見分けることができます。

参考:プルーフ貨幣の買取価格

各年代の主な貨幣セットの価値

ここからはプルーフ貨幣セットの代表的なものを紹介しつつ、それらの価値について紹介します。

日本では、プルーフ貨幣は1987年から製造され、毎年様々な種類の貨幣セットが製造されてきました。
以下の表は各年代のプルーフ貨幣の種類数と価値の注目度を表にしたものです。

年代 種類数 注目度
1980年代(1987年~1989年) 3 ★★★☆☆
1990年代(1990年~1999年) 14 ★★☆☆☆
2000年代(2000年~2009年) 51 ★★★☆☆
2010年代(2010年~2019年) 62 ★★★★★
2020年代(2020年~2023年) 24 ★★★★★

次はそれぞれの年代の主な貨幣セットの価値を見ていきます。

なお、貨幣セットの価値は、買取業者、国内オークションサイト、海外オークションサイトで記載していますが、2024年12月時点の価格です。
確認する時期などによっては変動する場合があるので、念頭に置いて確認していきましょう。

※参考:
古銭買取価格一覧表 | アンティーリンク
Yahoo!オークション
ebay

1980年代(1987年~1989年)

1980年代(1987年~1989年)は、まだ貨幣セットが販売されてから間もないのですが、そこそこの価値があるセットが販売された年代となっています。

主な貨幣セットは以下の表の通りです。

買取価格(目安)
貨幣セット名 製造年 販売セット数 買取業者 国内 海外
昭和62年
通常プルーフ貨幣セット

1987年

190,000

美品で1,800円

800円~3,000円

20$前後

昭和63年
通常プルーフ貨幣セット

1988年

200,000

買取不可

700円~1,150円

10$前後

平成元年
通常プルーフ貨幣セット

1989年

200,000

買取不可

670円~1,350円

11$前後

※「国内」「海外」は、各オークションサイトでの買取目安。
※2024年12月時点の価格。

「昭和62年 通常プルーフ貨幣セット」が最も価値が高い結果でした。
これは、昭和62年の50円硬貨が一般流通用には1枚も発行されておらず、希少価値が高いことが理由の一つとなっています。

参考:記念硬貨の買取実績

1990年代(1990年~1999年)

1990年代(1990年~1999年)は、ようやく記念貨幣セットが販売されてきた年代となります。

主な貨幣セットは以下の表の通りです。

買取価格(目安)
貨幣セット名 製造年 販売セット数 買取業者 国内 海外
平成5年
通常プルーフ貨幣セット

1993年

250,000

美品で700円

800円~1,300円

11$前後

東京湾アクアライン開通記念・プルーフ貨幣セット

1997年

25,000

買取不可

800円

13$前後

明石海峡大橋開通記念・プルーフ貨幣セット

1998年

30,000

買取不可

1,350円

20$前後

オールドコインメダルシリーズ・プルーフ貨幣セット

1999年

70,000

買取不可

1,200円~2,000円

20$前後

※「国内」「海外」は、各オークションサイトでの買取目安。
※2024年12月時点の価格。

1990年代は、総じてそこまで高い価値のものはない結果でした。
ただし、国内では「オールドコインメダルシリーズ・プルーフ貨幣セット (平成11年)」に関しては、国内オークションサイトでやや高値で取引されていました。

また、「東京湾アクアライン開通記念・プルーフ貨幣セット (平成9年)」を始めとして、販売セットが少ないものに関しては海外での価格が高い傾向にあります。

参考:貨幣セットの買取実績

2000年代(2000年~2009年)

2000年代(2000年~2009年)は、貨幣セットの種類も増えてきた年代です。
この年代から、アニメの周年や歴史的な周年を記念した貨幣セットが販売されていています。

主な貨幣セットは以下の表の通りです。

買取価格(目安)
貨幣セット名 製造年 販売セット数 買取業者 国内 海外
江戸開府400年プルーフ貨幣セット

2003年

5,000

美品で666円

1,000円~1,500円

12$前後

“幻の金貨”メモリアル平成十八年銘プルーフ貨幣セット

2006年

40,000

美品で900円

1,100円~1,800円

15$前後

日仏交流150周年2008プル-フ貨幣セット

2008年

44,000

直接確認

1,800円前後

20$前後

和同開珎千三百年記念平成二十年銘プル-フ貨幣セット

2008年

33,000

美品で900円

1,000円~2,800円

出品なし

桜の通り抜け2008プルーフ貨幣セット

2008年

27,000

買取不可

1,000円~2,000円

10$前後

※「国内」「海外」は、各オークションサイトでの落札目安。
※2024年12月時点の価格。

この年代では、「江戸開府400年プルーフ貨幣セット」が、買取業者でも買い取ってくれるうえに、比較的国内外のオークションでも高値で取引されています。
販売セット数も少ないので、今後の値上がりに期待しても良いでしょう。

2010年代(2010年~2019年)

2010年代(2010年~2019年)は、他の年代に比べて最もプルーフ貨幣セットの種類が多い年代です。
それだけに、様々な周年記念コインがこの年代で発売されてきました。

主な貨幣セットは以下の表の通りです。

買取価格(目安)
貨幣セット名 製造年 販売セット数 買取業者 国内 海外
テクノプル-フ貨幣セット2010

2010年

20,000

美品で1,000円

1,100円~1,800円

15$前後

造幣東京フェア2015プル-フ貨幣セット

2015年

2,387

美品で4,000円

5,000円前後

出品なし

東京タワー開業60周年2018プルーフ貨幣セット

2018年

12,000

美品で3,000円

3,000円~4,500円

15$前後

令和元年 通常プルーフ貨幣セット

2019年

30,000

美品で5,000円
並品で4,000円
劣品で3,000円以下

2,500円~3,500円

出品なし

映画『男はつらいよ』公開50周年記念2019プルーフ貨幣セット

2019年

15,000

美品で5,000円

1,800円~9,000円

16$前後

※「国内」「海外」は、各オークションサイトでの買取目安。
※2024年12月時点の価格。

2010年代は、他の年代と比べて、買取業者、国内、海外オークションサイトどこでも高めの値段になっています。

ただし、一部の貨幣セットは海外オークションサイトで出品自体されていないので、いくらの値段になるかは不透明です。
出品自体されていない貨幣セットの価格については十分注意して出品するようにしてください。

2020年代(2020年~2023年)

2020年代(2020年~2023年)は、最近の年代ですが、馴染みの深いアニメ作品の記念コインが数多く発売されてきました。

主な貨幣セットは以下の表の通りです。

買取価格(目安)
貨幣セット名 製造年 販売セット数 買取業者 国内 海外
仮面ライダー生誕50周年2021プルーフ貨幣セット

2021年

20,000

美品で3,000円

3,000円~5,800円

15$~20$

ワンピース2022プルーフ貨幣セット

2022年

35,000

美品で5,000円

4,500円~6,500円

15$~40$

忍たま30 2023プルーフ貨幣セット

2023年

16,000

美品で6,000円

1900円~7,200円

30$前後

おじゃる丸放送25周年2023プルーフ貨幣セット

2023年

8,500

美品で6,000円

8,000円前後

出品なし

※「国内」「海外」は、各オークションサイトでの買取目安。
※2024年12月時点の価格。

この年代についても、高値で売れる傾向にあります。
国内や海外のオークションであれば、購入時の価格より高く売れる可能性もあるのは魅力的と言えるでしょう。

参考:仮面ライダーの貨幣セットの価値は?定価と現在の買取価格を紹介

よくある質問

最後によくある質問について、解説します。

プルーフ硬貨や貨幣セットの基本的な内容に回答しているので、確認してみましょう。

どこで入手できますか?

プルーフ硬貨や貨幣セットは、今後販売されるものに関しては、造幣局で購入することができます。

販売終了した貨幣セットについては、国内や海外のオークションサイトで入手する方法しかありません。
ただし、販売価格より高値で売られている場合もあるので、その点を念頭に置いて購入してください。

日常の支払いに使えますか?

プルーフ硬貨や貨幣セットを日常の支払いに利用することは可能です。
ただし、自動販売機などでは使えない場合があるので、あまりおすすめはできません。

プルーフ硬貨や貨幣セットは、普段使いではなく、観賞用として特別な手法で作られています。
そのため、できるだけ手元に置いておくか、高額で買い取ってくれる場所で売った方が望ましいです。

高額で売るにはどうしたらよいですか?

できるだけ手元に置いておいて価値が上がるのを待ちましょう。

記念硬貨などは年数が経過して希少価値が上がる程、価値が高くなる傾向にあります。
買取サイトだけでなく、国内オークションサイトや海外オークションサイトでも売れる場合もあります。
常に価格をチェックしておくと、値上がりした時にスムーズに売却できる可能性が高まるでしょう。

まとめ

本記事では、プルーフ硬貨の製造方法や見分け方、さらには各年代のプルーフ貨幣セットの価値を紹介しました。

プルーフ硬貨とは、収集用として特殊な技術を用いて製造された硬貨で、観賞用として製造されたものです。
それだけに通常の貨幣より価値が高く、ここ10年~20年以内に販売されたプルーフ貨幣セットは高い価値を持つものが多い傾向にあります。

本記事を読み、興味が出たら、皆さん自身が欲しい貨幣セットの価値を調べてみてはいかがでしょうか?
また、お手元の貨幣セットや古銭の価値についの疑問があれば、お気軽にアンティーリンクまでお問い合わせ下さい。