新紙幣発行で注目の「タンス預金」、その背景と対策とは?

新紙幣発行で注目の「タンス預金」、その背景と対策とは?

2024年の新紙幣発行に伴い、「タンス預金」が注目されています。「新紙幣タンス預金あぶり出し」「新紙幣発行でタンス預金はどうなる」といったキーワードで多くの方が情報を求めており、その背景には新紙幣発行が現金の流通状況や貯蓄スタイルに与える影響への関心が伺えます。本記事では、新紙幣とタンス預金に関する話題を解説し、「あぶり出し」という言葉の真意やその理由、交換・両替の方法、さらにはタンス預金をどうすべきかといった対策まで詳しくご紹介します。現金をどのように管理すべきか迷っている方にとって、必見の内容です!

総額100兆円⁉タンス預金ってそもそもなに?

タンス預金とは、銀行や信用金庫などの金融機関に預けず、自宅で保管しているまとまった現金のことをいいます。この名前は、昔、現金をタンスにしまっていたことが由来ですが、今では保管場所に関係なく、自宅や会社で管理している現金全般を指します。タンス預金は家の金庫やベッドの下、冷蔵庫、仏壇、さらには庭に埋めるなど、さまざまな場所で保管されることがあります。日本では、タンス預金の総額が100兆円を超えると推定されており、銀行などに預けたお金とは対照的な存在として扱われています。

日本では、タンス預金の総額が100兆円を超える

新紙幣発行の理由は、タンス預金をあぶり出すため?

新しいお札が定期的に作られる理由は、偽札を防ぐためです。日本の国立印刷局などでは、新しい技術を使って偽札を作りにくくしています。さらに、その技術を他の国にアピールする目的もあります。技術を見せる場がないと売り込むことができませんからね。

古いお札も使うことはできますが、たとえば「聖徳太子の1万円札」を今出したら、店の人は驚いてじっくり確認するでしょう。見慣れた新しいお札は安全性が高く、古いお札はセキュリティが弱いので、自然と流通しなくなります。これが、新しいお札を作る大きな理由です。

聖徳太子の一万円札の鑑定・査定方法は?

参考:聖徳太子一万円札の価値と魅力を徹底解説!

新紙幣がタンス預金のあぶり出しになるという理屈

家でしまい込んでいる現金、いわゆる「タンス預金」は、自動的に新しいお札に変わるわけではありません。

特に、税金を払わずに受け取った相続のお金などがある場合、古いお札のままだと困ることがあります。そのため、新しいお札に交換したいと思うことがありますが、交換する際には銀行で記録が残るため、かえって不自然に思われる可能性もあります。

現在、銀行でお札を両替するにはキャッシュカードなどが必要で、誰がいつ、どれくらいのお金を交換したかが記録されます。そのため、タンス預金を新しいお札にするには、生活費程度の少額を少しずつ銀行から引き出し、古いお札を使いながら新しいお札に入れ替えていくしかありません。

また、古いお札はいずれ自動販売機や銀行の機械で使えなくなる場合があるため、交換する人も増えていきます。タンス預金の総額は日本全体で約100兆円とも言われ、そのすべてが動くわけではありませんが、一部が市場に出るだけでも経済に良い影響を与えます。また、銀行に預けられたお金は税務署が把握できるため、課税の対象にもなります。

古いお札はいずれ自動販売機や銀行の機械で使えなくなる

新しいお札がタンス預金を「表に出す」きっかけになることはありますが、それが新紙幣発行の主な目的とは言えません。今回の紙幣の変更は、偽造防止技術の更新が目的であり、それ以上の理由は考えにくいです。

一方で、「新紙幣=タンス預金の炙り出し」と考える人もいます。これは、過去に行われた昭和21年の新円切替の影響があるかもしれません。当時は、旧札が無効になり、タンス預金を銀行に預けなければただの紙切れになってしまうという厳しい政策が取られました。しかし、今回の変更ではそのようなことは起きません。

タンス預金を新紙幣にしたい場合、少しずつお金を動かせば全て新しいお札に置き換えることは可能です。必ずしも「炙り出される」というわけではないので、あまり心配しすぎる必要はありません。

「新紙幣になったら旧紙幣が使えなくなる」というデマ

新紙幣発行の理由は、タンス預金をあぶり出すためという情報が出回った時と同じタイミングで、「新紙幣になったら旧紙幣が使えなくなる」というデマも拡散されました。

これは、詐欺師グループによって宣伝されたデマで、「旧札が使えなくなるので回収します」という詐欺には要注意です。

新紙幣がタンス預金をあぶり出すため言われるキッカケ

「新紙幣の発行はタンス預金をあぶり出すためだ」と言われる背景には、戦後のある出来事が関係しています。それが、1946年(昭和21年)に行われた「預金封鎖」と「新円切替」です。この政策は、現在の新紙幣発行の目的とは大きく異なり、国が戦後の急激な物価上昇(ハイパーインフレ)を抑えつつ、財政を立て直すための緊急対策でした。

当時、政府は次のような厳しいルールを決めました。

  • 古いお札の無効化
    10円以上の旧紙幣は数か月後に無効となり、使うには銀行で新しいお札に交換する必要がありました。
  • 現金引き出しの制限
    1世帯あたり月に数百円、新円を引き出せるだけで、残りのお金はすべて預金として封鎖されました。
  • 財産税の導入
    銀行に預けたお金や財産を調べたうえで、10万円を超える資産には最大90%の税金がかけられました。

このように、国はタンス預金を銀行に預けさせ、国民のお金の流れを把握しやすくしたうえで、税金を徴収し、戦争で大きく膨らんだ借金を返済しようとしました。また、お金の流通量を減らすことで物価上昇を抑える狙いもありました。

たとえば、廃止予定の旧札を持ち続けると、数か月後にはただの紙切れになってしまうため、多くの人が銀行にお金を預けるしかなかったのです。このような強制的な方法で現金を減らすことが、当時のインフレ対策でした。

現在の新紙幣発行は、偽造防止技術の向上が目的であり、このような旧紙幣の廃止や強制的なタンス預金のあぶり出しとは無関係です。しかし、1946年の政策の影響から、新紙幣がタンス預金をあぶり出すためだと考える人もいるのです。

預金封鎖がインフレを抑制する効果はどれくらいだったのか

1946年に行われた預金封鎖は、インフレを抑えるために実施されたものですが、結果的には効果が限定的で失敗に終わったと言えます。

まず、預金封鎖には多くの抜け道がありました。たとえば、事業資金や株式取引の資金は例外とされていて、封鎖のルールが厳密ではありませんでした。そのため、完全にお金の流れを止めることができなかったのです。

また、預金封鎖を実施しても物価の上昇は止まりませんでした。1948年末の物価は、1945年末と比べて約30倍にもなっていました。さらに、封鎖が行われた1946年だけでも物価は3倍になり、国民の生活に大きな負担を与えました。

預金封鎖が実施されてから2年半後の1948年7月には、政策そのものが廃止されました。効果があれば続けられていたはずですが、短期間で終わったことが、この政策の失敗を物語っています。

インフレがようやく落ち着いたのは、1949年に導入された「ドッジ・プラン」のような本格的な経済政策が始まってからでした。つまり、預金封鎖だけではインフレを止める力が弱く、もっと広い視点での経済対策が必要だったのです。

結果的に、預金封鎖はインフレ抑制というより、政府の借金整理や財産税の徴収に役立った面が強くありました。しかし、それは国民の財産を奪う形になり、長い目で見て経済の安定にはつながらなかったと現在では評価されています。

結論:新紙幣発行の理由は、タンス預金をあぶり出すためではない!

旧紙幣の福沢諭吉の1万円札は、これからもそのままの価値が保証されています。だから、急いで使う必要がなければ、タンス預金として家に置いておいても全く問題ありません。「タンス預金を炙り出すため」という考え方は、この状況には当てはまりません。

ただ、旧紙幣は時間が経つとだんだん流通しなくなり、お店で使おうとしたときに「こんなお札見たことがないから受け取れません」と断られることが増えるかもしれません。そのため、旧紙幣のままだと少し使いにくくなることはあります。しかし、銀行に持っていけば新しいお札と交換してもらえますし、口座に預金して新しいお札を引き出すこともできます。これらの方法を使えば支払いには全く問題がありません。面倒だと感じる人は、今のうちにタンス預金を新紙幣に交換しておくこともできます。それでも特に問題はありません。

つまり、新紙幣が発行されても、タンス預金を「炙り出す」効果はほとんどありません。本当にタンス預金をあぶり出したいなら、旧紙幣を完全に使えなくして、銀行に預けさせる政策が必要です。実際、1946年に「新円切り替え」や「預金封鎖」という方法が取られたことがあります。このときはインフレを抑える目的で、旧紙幣を使えなくし、財産税をかけてお金を国が管理する仕組みが導入されました。

今回の新紙幣発行は、こうした炙り出しとは関係ありません。目的は、偽造されにくくするための技術を向上させることです。したがって、「タンス預金を炙り出すため」という説は現実的ではないと言えるでしょう。

【番外編】よくタンスに入っている古銭

弊社は古銭専門に買取を行っていて日々、さまざまなお客様から古銭の査定や買取のご依頼をいただいておりますが、「タンスの中に入っていた」「実家を掃除していたら出てきた」というお声とともに査定や買取のご依頼をいただく古銭の種類を3つご紹介いたします。

種類 買取金額
100円銀貨

1000円銀貨

御在位60年10万円金貨

天皇陛下御在位60年記念10万円金貨の表面

御即位10万円金貨

天皇陛下御即位記念10万円金貨の表面

参考:日本の記念金貨・銀貨の買取価格

ぜひお家の蔵やタンスの奥底にないか確認してみてください!もし見つかりましたら、ぜひ株式会社アンティーリンクまでご相談いただけますと幸いです。