エラー紙幣の見分け方 | インク印刷ズレ・裁断ミス・福耳など種類を解説

レアなお札を発見!エラー紙幣の事例や価格相場、見分け方を紹介

エラー紙幣とは

エラー紙幣とは、1万円札や1000円札などのお札が想定外の形で印字されたり裁断されてしまったもので、いわば「お札の失敗作」です。

この失敗作は、規格外でありながらも厳正なチェックを通過して世の中に流通してしまった、非常に珍しい紙幣です。
それだけ「激レア」な紙幣は、コレクター人気が高く古銭専門店では高価で買取してもらえるため、エラー紙幣を探すのは宝さがしのような楽しみがあります。

もしかすると、財布の中にある紙幣の中に、額面の何倍もの価値があるエラー紙幣が眠っている…かもしれません。

エラー紙幣が生まれる理由

本来ミスが起こりそうもない紙幣の印刷ですが、なぜエラー紙幣が生まれるのでしょうか?

1万円札などの紙幣は特殊な紙や印刷機を使い、特殊な印刷方法で製造されています。
私たちが普段使うプリンターなどとは比べものになりませんが、それでも機械を使って大量に印刷している以上、ごく稀に起きるわずかな印刷ズレや裁断ミスは避けられません

通常ならそういった印刷ズレや裁断ミスは検査で取り除かれるのですが、何らかの理由によって検査を通過して市場に流通してしまう。
これがエラー紙幣が生まれる理由です。

それでは実際に世に出回っているエラー紙幣の種類を紹介します。

福耳付き/裁断エラー

エラー紙幣の中でも特に珍しいとされる「福耳付きふくみみつき」とよばれるエラー紙幣です。
出会えれば奇跡といっても過言ではない代物です。

大きな紙にまとめて印刷されてから私たちに馴染みのあるサイズへ裁断される紙幣ですが、紙が折れたままカットされると余分な紙が紙幣の外側に残ってしまいます

画像の例は聖徳太子100円札の福耳付きエラー紙幣です。
左上に折れ曲がったまま裁断されずに残った紙が残っています。

福耳付きエラー紙幣

福耳付きエラー紙幣の例

その紙幣がチェックを通り過ぎ、流通してしまったものが「福耳付き」や「福耳」と呼ばれ、コレクターの間でプレミア紙幣として注目を集めました。
手に取れば簡単に気づいてしまうようなわかりやすいエラー紙幣です。

現在の技術では起こる可能性が0に等しいエラーとされているため、福耳付き新紙幣に付く価値は計りしれません。

記番号エラー/番号エラー/記号エラー

紙幣の記番号きばんごうは、上下それぞれに同じものが印刷されるのが通常です。
上下の記番号が一致しないエラー紙幣を記番号エラー/記号エラーとよばれます
記番号エラーの例

記番号エラーの例

たとえばこちらの2000円札の例ですが、左上の記番号は「J728978Z」ですが、右下の記番号は「L728978Z」と、違っています。

JLエラー/JL記号エラー

守礼門2000円札の記番号エラーは有名で「JLエラー」「JL記号エラー」と呼ばれています。
はじめに大阪で見つかり、全部で5,000枚ほど出回ったようです。
その後、国が3,000枚ほど回収しましたが、まだ2,000枚ほどは市中に出回っていると考えられます。

新紙幣のLが曲がっている?

2024年に発行された新紙幣の記番号(お札の通し番号)の「L(エル)」の文字が曲がって印刷されている、というご報告をいただきます。

残念ながら、こちらの事象はエラーではありません。

詳しくは下記コラムをご覧ください。

印刷抜け

印刷時に紙幣のデザインの一部が抜けて印刷されなかったエラー紙幣です。

例はちょっと古い紙幣ですが、国会議事堂10円札です。
上は印刷ミスのない正常な紙幣です。
議事堂10円札

正常な議事堂10円

下が「印刷抜け」のエラー紙幣です。
一部どころかデザインの大半が欠落してしまっています。
議事堂10円札印刷抜けエラー

エラー紙幣の議事堂10円

ここまでの印刷抜けは珍しいですが、一部のみの印刷抜けの場合もあります。
少しでも違和感を感じたら別の紙幣とデザインを比較してみましょう。

裏写り

「裏写り」は文字通り、紙幣の表裏どちらかにあるべきデザインが、何かしらの原因で反対側の面に印刷されてしまったエラー紙幣です。

画像の例は政府紙幣50銭(富士桜50銭)です。

表面
裏写りエラー表

裏写りエラー表面

裏面
裏写りエラー裏

裏写りエラー裏面

裏面の上部に注目してください。
表面のデザインが、裏面にも反転して写っているのがわかります。

福耳付きに負けず劣らず珍しいですが、気が付きやすいエラーです。
見つけた場合は古銭専門買取店へ持っていきましょう。

インクズレ/印刷ズレ/ズレエラー

「インクズレ/印刷ズレ/ズレエラー」は本来印刷される位置からズレて印刷さてしまったエラー紙幣です。

エラー紙幣の中でも、見つけにくく、見落としやすいエラーです。
印刷がズレていても数ミリだったり、肉眼では判断が難しかったりするのがその理由です。

例の画像は福沢諭吉10000円札(旧)です。

インク印刷ズレエラー

インク印刷ズレエラー


下の余白が大きく、かなり上位置にズレてしまっています。

ズレ幅が大きいほど高いプレミア価値がつきます
エラーの希少性に加えて、発見に至る難易度も高いため、巡り会うのは簡単ではありません。

しわ(皺)エラー

しわエラーは、紙にしわが寄った状態で印刷されてしまったエラー紙幣です。

しわエラー

聖徳太子100円札 しわエラー


上の画像は聖徳太子100円札のしわエラー紙幣です。

しわの大きさにもよりますが、見つけやすく気づきやすいエラー紙幣です。

エラー紙幣の取引相場

様々な種類があるエラー紙幣ですが、その取引相場はどのように決まるのでしょうか。

ただでさえ希少なエラー紙幣の中でも高価買取に結びつくポイント、そしてエラー紙幣の取引相場について解説します。

エラー紙幣の取引相場を上げるポイント

エラー紙幣の取引相場を決める最大のポイントは「エラーの珍しさ」です。
通常では考えられないようなエラー、なぜ検査を通り抜けてしまったのか不思議なミスであるほど希少性が高まり、取引相場も急騰します。

その他で価値にプラスされる要素としては「発行年」や「紙幣の保存状態」が挙げられますが、やはり価値が決まる最大のポイントは「エラーの珍しさ」と思っていいでしょう。

エラー紙幣の買取相場

実際にエラー紙幣がどの程度の価格で取引されているか、取引価格の相場をご紹介します。

エラー紙幣の実際の買取相場
取引年日 エラー紙幣 取引価格
2025年3月9日 大正兌換銀行券1円 福耳付きエラー 25,000円
2024年8月28日 守礼門2000円札 記番号JLエラー 150,000円
2024年7月13日 聖徳太子100円札(2次100円)印刷エラー 1,500円
2024年6月26日 守礼門2000円札 記番号JLエラー 160,000円
2024年4月17日 聖徳太子100円札(4次100円)福耳付きエラー 3,000円
2023年12月4日 聖徳太子100円札(4次100円)シワエラー 5,000円
2023年11月2日 聖徳太子100円札(4次100円)福耳エラー 30,000円
※2025年8月28日時点

上記の買取価格は、シワや折れがなく保存状態も良い場合の価格です。
保存状態が悪い場合は、金額が下がるおそれがありますので、ご注意ください。

最高額のエラー紙幣

お目にかかることすら滅多にないエラー紙幣ですが、その中でも考えられないほど珍しいエラー事例もあります。

  • 上下同じはずの記番号(お札の番号)が違う
  • 片面しか印刷されていない
  • 表面と裏面で同じ図柄が印刷されている
  • 片方の印刷が濃くて反対側まで浮き出ている

これら「激レア」なエラー紙幣は、例外なく超高値で買い取られています。

実際に発見された「両面に福沢諭吉が印字されている」エラー紙幣は超激レアといっても過言ではなく、なんと74万円近くの値段で買い取られています。

海外のエラー紙幣

エラー紙幣が生まれているのは日本だけではありません。
海外の紙幣にもエラー紙幣は存在しており、状態やエラー内容によって高値で買取されています。

  • 裁断ミスで四隅に余白が残ったアメリカ紙幣
  • 2箇所に印字された番号が違う満州紙幣
  • 裁断ミスで余分な紙片が付いたままのルピー紙幣
  • スターノートがついたアメリカ紙幣

アメリカ紙幣のスターノートとは、印刷ミス等で欠番になった代わりに星印をつけて印刷された紙幣を表しており、特に現行の紙幣であれば「数百万枚に1枚」ほど希少性が高いものです。

エラー紙幣を買取に出す時の注意点

手元にある紙幣がエラー紙幣かもしれないなら、いますぐ買取に出したいと考える方も多いでしょう。
ですが、買取へ出す前にいくつか知っておくべき注意点があります。

これらの注意点を知っているかどうかで買取価格にも影響が出る可能性があるため、ぜひチェックしてみてください。

信頼できる業者を選ぶ

エラー紙幣を買取に出すときは、信頼できる買取業者を選ぶのが何よりも大切です。

もし悪質な業者へ買取依頼を出してしまった場合、相場よりも低い価格で買い取られたり、最悪の場合は「これは値段が付かない」と嘘の鑑定結果を出される可能性もあります。

信頼できる業者かどうか調べるには、まずその買取業者のホームページや口コミなどを見て買取実績を確認する。
そして、鑑定結果に疑問を持ったら他の買取業者にも鑑定してもらうのがおすすめです。

近年では店舗への持ち込みだけでなく、事前にオンライン査定してくれる買取業者も増えているので、複数の業者を比較してから選ぶようにしましょう。

エラー紙幣の状態を保つようにする

エラー紙幣の買取価格を下げないためには、エラー紙幣の状態を保つのも大切です。
硬貨と違って紙幣は汚れやすく、破れたり折り目がついたりしやすいので買取に出すまでは慎重に取り扱いましょう。

特に紙幣は劣化も早いため、下記の点にも意識しましょう。

  • 日光や強い光に当てない
  • 湿気を避ける

紙幣の買取を行っている業者が「紙幣専用の保管ケース」を販売している場合がありますので、活用するものいいでしょう。

エラー紙幣を見つけたら専門店へ

エラー紙幣はなかなかお目にかかれるものではありません。
本来市場に存在してはいけない紙幣が流通してしまっているため、エラー紙幣はその母数自体が少ないからです。

それだけ貴重なエラー紙幣を見つけた場合は、価値があるかどうかを自分で判断せず、専門の買取店で鑑定してもらうことをおすすめします。