南鐐二朱銀の価値は?計数貨幣としてのメリットから影響まで解説!

南鐐二朱銀の価値は?計数貨幣としてのメリットから影響まで解説!
南鐐二朱銀は、江戸時代に発行された銀貨です。

本記事では南鐐二朱銀について、貨幣としての価値や、計数貨幣としてのメリット、世間に与えた影響までを解説します。

南鐐二朱銀とは?

南鐐二朱銀とは?

南鐐二朱銀(読み方:なんりょうにしゅぎん)とは、江戸時代に流通した銀貨の一種です。

まずは、南鐐二朱銀が具体的にどのような銀貨であるかの概要や、作った人がだれであるか、さらには現在の価値まで詳しく見ていきましょう。

概要

南鐐二朱銀は、主に2種類あります。
1つは、1772年に発行された明和南鐐二朱銀です。もう1つは、1824年に発行された文政南鐐二朱銀になります。

データは以下の表の通りです。

南鐐二朱銀の概要
種類 寸法 重さ 品位
明和
南鐐二朱銀

27.0×15.4mm

10.12g

金:0.13%
銀:97.81%
その他:2.06%

文政
南鐐二朱銀

27.0×15.4mm

7.49g

金:0.22%
銀:97.96%
その他:1.82%

どちらも銀の品位がとても高いのが特徴的です。
品位が高い分、貨幣自体の価値や信用度が高い銀貨と言えるでしょう。

作った人

南鐐二朱銀は、1772年に当時の田沼意次の施政下で勘定奉行の川井久敬の建策により創鋳されました。

もともとこの時代になると金の量が足りなくなってきて、一両以下のお金が金で製造できなくなってきました。
金の不足の解消や出目(貨幣改悪鋳造によって生じた益金)を狙って、銀で金を作り出すことを目的として作られたのが南鐐二朱銀です。

一旦は、田沼意次の失脚の影響もあり1788年に製造が中止されましたが、1800年には製造が再開されました。

価値

南鐐二朱銀の現在の価値も見てみましょう。

買取業者、国内・海外オークションサイトでの2024年10月時点の価格は以下の表の通りです。

南鐐二朱銀の参考価格
買取場所(出品場所) 明和 文政
買取業者(アンティ―リンク)

美品:6,000円
並品:4,000円

美品:4,000円

国内オークションサイト(ヤフオク)

1,100円

1,335円~7,000円

海外オークションサイト(eBay)

110$(日本円:15,400円)程度※

76$(日本円:10,640円)程度※

※1$=140円で換算

なお、オークションサイトの価格は変動する場合があります。そのため、出品時期によっては上記価格と異なる場合があるので、注意してください。
国内・海外オークションサイトともに出品数がかなり少ないため売れるための時間も要する可能性が高いです。

価格もそこまで変わらないので、南鐐二朱銀を売却したい場合は、買取業者に持っていくのが無難と言えます。

計数貨幣としての南鐐二朱銀

計数貨幣としての南鐐二朱銀

ここでは計数貨幣としての南鐐二朱銀を紹介します。

当時の価値や、計数貨幣がどのようなメリットがあるか、また南鐐二朱銀が当時の人に与えた影響を詳しく確認していきましょう。

当時の価値と計算方法

計数貨幣とは、額面金額が記載されており、その額面金額どおりの価値を持つ貨幣です。
貨幣に「以南鐐八片/換小判一両」と刻まれている通り、南鐐二朱銀8枚が小判1両に相当するよう定められていました。

1両は商品やサービスにより価値が異なりますが、かけそば1杯420円を例にすると、1両はおよそ17万円です。
南鐐二朱銀は一両の8分の1にあたるので、およそ21,250円と見ておくと良いでしょう。

現在の物質としての価値を比較すると、銀1gは2024年10月時点で163.24円程度です。
明和南鐐二朱銀の銀自体の含有量が9.9g程度のため、物質としての価値は1,600円程度になります。
このことから、当時の価値の方が高いと言えますね。

※銀相場参考:銀価格推移 | 田中貴金属

計数貨幣としてのメリット

計数貨幣としてのメリットは、以下の4つがあります。

  • 経済の安定化に貢献
  • 取引の効率化
  • 貨幣管理の容易さ
  • 国家(政権)による経済政策の実施が可能

何と言っても、計数貨幣は素材価値に左右されない特徴を持ちます。

発行された当初は、まだ秤量貨幣という貨幣そのものの素材価値で計算している地域もありました。
計数貨幣になると、重さを測る必要がなくなり、取引が効率的になります。さらには、貨幣管理がしやすくなり、発行量を調整するなどで経済政策がしやすくなるメリットがあります。

現代社会において必須と言えるメリットを、江戸時代にいち早く導入していたと言えるでしょう。

南鐐二朱銀の影響

南鐐二朱銀を始めとして計数貨幣は、幕府の流通促進策により、19世紀前半に全国的に流通しました。

取扱いが秤量貨幣に比べて便利なのもあり、大きく広がりました。計数貨幣は、江戸時代の経済の仕組みを大きく変化させた貨幣の一つ
と言えるでしょう。

この成功体験から、計数銀貨が定着してくると、天保期にはさらに価値の高い一分銀が発行されるようにもなりました。

よくある質問

よくある質問

最後によくある質問に回答していきます。

しっかり確認していきましょう。

なぜ「南鐐」二朱銀という名前なのか?

「南鐐」は、美しい銀、または良質の銀を意味する言葉です。
南鐐二朱銀は、銀の品位が非常に高かったことから、「南鐐」の名を冠しました。

当時は金の代わりとして発行する目的があったので、少しでも価値を高めるためにしたのかもしれませんね。

現在でも使えるのか?

南鐐二朱銀は、現在の日本では買い物などで利用ができません。

もし日本で利用したい場合は、買取業者やオークションサイトなどで売却して日本円にしてから利用する必要があります。

どこで買えるのか?

南鐐二朱銀は、古銭売買業者かオークションサイトで入手可能です。

しかしながら、オークションサイトの出品数は少なめなので、確実に入手したいのであれば、古銭売買業者での購入を検討すると良いでしょう。
また購入に際しては、できるだけ実物を確認できる店舗で買った方が、より安全性も高まります。

まとめ

本記事では、南鐐二朱銀の貨幣としての価値や、計数貨幣としてのメリット、世間に与えた影響までを紹介しました。

南鐐二朱銀は、素材の価値以上に、計数貨幣としての価値が高く、買取業者でも状態が良ければ、比較的高値で買い取ってもらえます。
もし手元にあって売却をしたい場合は、買取業者にまずは相談から行ってみてはいかがでしょうか?

アンティーリンクは、古銭や古紙幣の買取を行なっています。ご自宅で昔のお金などが出てきたら、お気軽にご相談ください。