万延 小判とは?価値や偽物との見分け方を解説

万延 小判とは?価値や偽物との見分け方を解説
江戸時代には多くの種類の小判が鋳造されていますが、今回はその中で江戸時代最後に鋳造された万延小判について解説していきます。インフラを引き起こす一因ともなった万延小判は一体どんな価値があるのか、そして元々何のために作られたものなのか詳しく解説していくのでぜひ最後までご覧ください。

万延 小判とはどんな小判?

万延 小判とはどんな小判?

万延小判は、幕末の1860年(万延元年)に鋳造された江戸時代最後の小判です。鋳造量が少ないことから江戸時代に鋳造された小判の中でも注目度が高く、極小サイズながらも価値のある小判になります。

そこでここからは、万延小判の特徴や価値、そして誰が何のために作ったのかなどについて紹介していきます。

万延 小判にはどんな特徴がある?

万延小判の特徴としては、形は小判と聞いて誰もが思い浮かべる長方形の形状をしており、表面には扇型の紋様や花押の極印、そして額を示す「一兩」の文字が打たれています。

裏面には年号を示す「干支」や鋳造所の刻印があり、全体的に細かい彫刻が特徴的です。

万延小判、表
万延小判、裏

大きさは金の含有料を減らすために他の小判より小さいサイズで作られているので、別名「雛小判」とも呼ばれています。
さらに江戸時代最後に作られた小判ということもあり、「新小判」と呼ばれていますよ。

万延 小判はどれくらいの価値がある?

万延小判の現在の価値は状態や市場の需給によって大きく異なりますが、収集家の間では非常に高い評価を受けています。

万延小判は小判の中で小さめのサイズでありながらも、金の含有率は約57%であるため、金の市場価値としては万延小判以前の天保小判と大差はほぼありません。

さらに鋳造量が少ないことから保存状態がいいものだと数十万円から中には100万円以上で取引されることもあります。そして刻印の組み合わせによっても価値は変化します。

万延 小判はいつ誰が作った?

万延小判は、江戸時代末期の1860年(万延元年)に幕府の命令により作られました。当時の江戸幕府第14代将軍徳川家茂の時代です。

万延小判が作られた目的としては、幕府が抱えていた財政赤字の増大に伴い、特に金の流出が問題となっていたことに対する経済改善として行われた「改鋳」のためです。従来の小判に比べて金の含有量を大幅に減らすことで、少ない金でより多くの貨幣を鋳造し、国内の金の保有量を維持しながら資金調達を図りました。

実際に万延小判は金の純度が約57%に引き下げられており、これにより物価の安定や財政再建を試みましたが結果としてインフレを引き起こし、経済混乱を招く一因となりました。

万延 小判の重さはどれくらい?

万延 小判の重さはどれくらい?

万延小判の重さは3.3gで、従来の小判と比べると比較的軽い部類に入ります。

これは金の純度が約57%に減らされたことに伴い重量も軽減されており、金の純度が高く比較的重かった従来の小判に比べて幕末の財政難から金の含有量が削減され、結果として万延小判は軽くなりました。

しかしこの改鋳によって発行された小判は、経済的な混乱を引き起こした要因の一つとなっています。

万延 小判は5円玉と同じくらいの重さ

小判の中ではかなり小さめのサイズとして知られる万延小判ですが、現在流通している硬貨と比較するとどれくらいのどの硬貨と同じくらいの重さなのか気になりますよね。

現在日本人が使用している硬貨は主に1円玉に5円玉・100円玉や500円玉が多いですが、この中で最も万延小判の重さに近い硬貨は5円玉です。万延小判は3.3gであるのに対し、現代の5円玉は3.75gとかなり近いg数になります。

5円玉は語呂の縁起が良いことからお賽銭でよく使っている方も多いと思うので、5円玉と同じくらいと聞いたらなんとなく万延小判の重さも想像しやすいのではないでしょうか?

金の含有量が違っても重さは変わらない?

江戸時代に鋳造された小判は様々な種類がありますが、金の含有量も小判それぞれで異なります。では金の含有量が違うとどれくらい重さは変わってくるのでしょうか?

小判 材質 重さ
慶長小判 純度約85%金(残りは銀) 17.8g
元禄小判 純度約56%金(残りは銀) 17.9g
万延小判 純度役57%金(残りは銀) 3.3g

上記は江戸時代に鋳造された代表的な小判を3種類をピックアップしています。

慶長小判は85%も金が含まれていることに対し、元禄小判は56%しか含まれていませんが、重さはほぼ大差ないです。
金が多く含まれていれば含まれているほどサイズ関係なく重くなりそうというイメージを持っている方もいると思いますが、意外な結果ですね!

万延 小判を本物か偽物か見極める方法は?

万延 小判を本物か偽物か見極める方法は?

小判は万延小判を含めて多く偽物が出回っているので、本物か偽物か見極めることは非常に大切です。でもどこを見れば本物かどうかは初めて見る場合だとさっぱり分からないですよね。

そこでここからは、万延小判を本物か偽物か見極める方法を解説していきます。

刻印がはっきりしているか確認する

万延小判を見極める際は、刻印がはっきりしているかの確認が非常に重要です。

万延小判の刻印

万延小判には様々な刻印が打たれており、本物はこの刻印が非常に細かく彫りが深く均等になっています。対して偽物の場合はこの刻印の彫りが浅く、線が太すぎたりして不自然な形状になっていることが多いです。

重さやサイズは本物通りか確認する

次に万延小判を見極めるポイントとして、重さやサイズをしっかりチェックすることが大切です。

  • サイズ:約30×20㎜
  • 重さ:3.3g
  • 品位:金574、銀426

本物の万延小判は重さが3.3g、サイズは約30×20㎜となっており、偽物の場合はこの規定サイズから外れていることが多いです。摩擦や損傷によって多少重さが変わることはありますが、大幅に違う場合は偽物の可能性を考えましょう。

表面の艶や槌目に不自然な箇所はないか確認する

万延小判を見極める際に、表面の質感にもよく注目して見てみましょう。

たとえば本物の万延小判は長い年月を経ているため自然な経年変化によるくすみや輝きの変化が見られるのですが、反対に新品のように光沢が強すぎる場合、偽物である可能性があります。

また、偽造品や修復された小判には表面に不自然な加工の痕跡が残っていることがあり、特に槌目や艶が一部だけ不自然に異なる場合修復や偽造が疑われるので、本物の写真と見比べて気になる場所はないか十分観察しましょう。

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