2000円札に首里城が描かれているのはなぜ?採用された背景を紹介

2000円札に首里城が描かれているのはなぜ?採用された背景を紹介
日本では、主に4種類の紙幣が流通していますが、その中で2000円札は人物の肖像を採用していない珍しい紙幣です。

2000円札には日本を代表する建築物や作品が描かれていますが、両面ともどういった絵が描かれているのかをすぐに思い出せる人は少ないでしょう。
実は、表面に首里城の守礼門、裏面には「源氏物語絵巻」が描かれています。

本記事では、2000円札のデザインや採用するに至った背景、価値について解説していきますので覚えておいてくださいね。

2000円札には何が描かれている?

2000円札には何が描かれている?

一般的に、日本で発行されている紙幣は人物の肖像が描かれていますが、2000円札は従来のパターンと異なった案が採用されました。

表面は首里城の守礼門、裏面は「源氏物語絵巻」と他の紙幣と一線を画すようなデザイン性に、注目が集まったのは記憶に新しいでしょう。

ここでは、表面と裏面それぞれの描写について解説していきます。

表面には首里城の守礼門が描かれている

2000円札の表面には、沖縄県那覇市にある首里城の守礼門が描かれています。

守礼門は、琉球王国尚清王の時代に創建されたと言われていて、1933年に国宝として指定されました。
第二次大戦で焼失し、1958年に復元されて以降、首里城やその他城跡は「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」として世界遺産に登録されています。

裏面には源氏物語絵巻が描かれている

2000円札の裏面に描かれている「源氏物語絵巻」は、平安時代中期の代表的な作家・家人として活躍した紫式部の作品です。

紙幣の裏面右側に印刷されている紫式部の顔は、肖像画ではなく「紫式部日記」の絵が採用されたと言われています。

一方、左側に印刷されているのは「源氏物語絵巻」第38帖「鈴虫」の詞書と絵です。
詞書とは、和歌や俳句の前に入れる情景の説明文で、八月十五夜の夕暮れ時の出来事が書かれています。

また、絵には光源氏の子供である冷泉院が「月が見たい」と光源氏を呼び出し、親子で対面するシーンがデザインされています。

2000円札に首里城が採用された背景は?

2000円札に首里城が採用された背景は?

1999年に当時の小渕恵三首相が2000年に開催される九州・沖縄サミットを記念して発案し、作られたのが2000円札です。

沖縄でサミットを開催するからには相応しいものをという理由で、沖縄の建造物の中から戦前より国宝として指定されていた守礼門を採用するに至りました。

また、守礼門を日本銀行券にデザインしたのは「沖縄が日本の領土だ」と断言する意味合いが込められているとの見方もあります。
中国が度々「沖縄は自国の領土だ」と主張していたため、世界に向けて公式的に意思表示するには適していると考えられたようです。

首里城復元と2000円札の関係性

首里城復元と2000円札の関係性

首里城は創建から戦前まで4度焼失していますが、その度に人々の強い思いによって復元されてきました。
1992年の復元完了から25年近く守られてきた首里城でしたが、2019年10月に発生した火災でまたもや焼失してしまいます。

そこで、復元に尽力すべく立ち上げられたのが2000円札を使ったキャンペーンです。
始まった経緯や、効果のほどを詳しく見ていきましょう。

2019年の火事をきっかけに2000円札を使ったキャンペーンが開始

2019年10月に首里城の正殿内部から発生した火災によって、正殿をはじめとする9施設が焼失しました。
2026年度の正殿復元を目指し、現在作業が進められています。

しかし、復元には約51億円という莫大な総工費がかかるため、首里城再建の一役を買おうと2020年に始まったのが2000円札を使用したキャンペーンです。

具体的には、沖縄県銀行協会が県内で流通した2000円札1枚につき0.1%(2円)を沖縄県に寄付するという内容を発案しました。

316万円の寄付実績がある

2020年に開始した2000円札を使ったキャンペーンは2021年に終了し、316万円が寄付されました。

他にも首里城復興の寄付は行われており、2022年3月で終了した「首里城火災復旧・復興支援寄付金」では約59億1700万円ほど集まったとされています。

県内にとどまらず日本全国や世界からも寄付金が寄せられたため、沖縄を代表する首里城の再建に協力したいと考えている人の多さが伺えますね。

2000円札にはどれくらいの価値がつくのか?

2000円札にはどれくらいの価値がつくのか?

2004年に流通量のピークを迎えた2000円札は、流通量が減少する一方で手に入れるのが難しい状況です。
レアになりつつある2000円札は、どれほどの価値がつくのか気になる方もいるでしょう。

一般的に、流通している紙幣は金額分の価値しかないと言われています。
しかし、2000円札の中には価値が高くなっているものもあるのが実情です。

では、どういった場合に価値の上昇が期待できるのかを解説していきます。

すぐに価値がつくことは考えにくい

残念ながら、2000円札の価値がすぐに上がることは考えにくいです。

現在も使用可能な紙幣として、日本銀行のホームページに記載されています。
また、銀行・郵便局で両替すれば手に入れられるため、希少価値の高さはありません。

見かける機会は減っていますが市場に流通しているため、2000円札の価値は額面と同じ金額にとどまります。

ピン札やキリ番はすでにオークションサイトで取引されている

ピン札やキリ番といった価値の高い2000円札は、オークションサイトですでに取引されています。

その他、頭文字がアルファベット2つで始まり、後ろに6桁の数字が続くものや、特定の数字で終わるものなど、新旧問わず人気が高い紙幣です。

さらに、中には数万円単位で取引されているプレミア級の紙幣もあります。
今後の価値を考慮すれば安いと感じる方もいるかもしれません。

徐々に価値が上がっていくと考えられる

ピ2000円札は、いずれ価値が上がっていくと考えられています。

偽造防止のため、紙幣は数十年単位で入れ替えられるパターンがほとんどです。
2024年7月に行われた紙幣の新デザイン発表で2000円札は対象外となりましたが、今後デザインが変更される、あるいは発行中止になる場合もあるでしょう。
そのため、現在の2000円札も徐々に価値が上がっていく可能性が高くなります。

もっと詳しく2000円札の価値を知りたい方は、アンティーリンクへ問い合わせてみてくださいね。